拡大読書器の選び方

拡大読書器の基本的な機能

拡大読書器は、視覚に障害のある方が本や新聞、書類などを読みやすくするための機器で、以下のようにさまざまな基本機能が備わっています。

①文字を大きく表示する

読みたい文字を画面に大きく表示できます。小さな文字もはっきり見えるようになります。
また、画面の文字がぼやけないように、自動でピント(フォーカス)を調整します。

②色の変更

文字と背景の色の組み合わせを変えることで、より見やすくなります。たとえば、「白い文字に黒い背景(白黒反転)」など、自分にとって最も見やすい配色を選べます。
画面の明るさやコントラストも調整可能です。

③書類を動かしやすくする台(XYテーブル)

据え置き型の機種には、書類を左右・上下にスムーズに動かせる台が付いています。
長文を読むときに便利です。

④拡大しながら書ける

拡大された画面を見ながら、自分の手やペン先を確認して書くことができます。

⑤画面を静止してじっくり見る

一部の機種には、画面を一時停止し、静止画として表示できる機能があります。

⑥音声読み上げ機能(OCR機能)

文字をカメラで読み取り、合成音声で読み上げる機能を備えた機種もあります。
全盲のかたや、目で見ることが難しいかたでも書類を確認することができます。
文字の認識精度も年々向上しています。

⑦持ち運びができる(携帯型)

携帯型の拡大読書器はバッテリーを内蔵しており、外出先でも使用できます。軽量でカバンにも入れやすく、さまざまな場所で活用できます。
 
※拡大読書器は、拡大鏡(ルーペ)と比較しても見やすく、疲れにくくなります。

種類の特徴

据え置き型

大きな画面と高倍率に対応しています。
カメラの下に読みたい書類を置き、画面で拡大表示します。
多くはXYテーブル(読み取り台)を備えており、書類をスムーズに上下左右に動かすことができます。
ポイント: 長文を読む際には、XYテーブルが非常に有効です。可動式のXYテーブルを使うことで、行をたどったり改行したりする操作が、スムーズかつ安定して行えます。モニターに1行分の文字が収まる表示が理想的です。XYテーブルは動きの調整が可能で、なめらかな動きからしっかりと固定する設定まで対応できます。ただし、動きがあまりになめらかすぎると、上下左右に動かした際に文字が揺れて見え、酔いやすくなったり、目の疲れの原因になることがあります。そのため、手や体の動きに沿って、まっすぐかつ滑らかに動かせるよう工夫することで、より快適に読書を楽しめます。

携帯型

手のひらサイズからタブレットサイズまで、さまざまな種類があり、屋内での移動や外出先での使用に便利です。
バッテリーを内蔵し、軽量かつコンパクトである点も特長です。
スタンド付きのモデルは、小型の据え置き型としても活用できます。 
ポイント: スマートフォンやタブレットを使って、拡大させたり、アプリで読み上げさせたり、代用する方も増えています。

音声読み上げ機能(OCR搭載モデル)

カメラで文字を読み取り、合成音声で読み上げる機能です。
全盲の方や目で見ることが難しい方にも書類を確認することができます。
操作が簡単な機器や、AI機能を備えたモデルもあります。
※ただし、漢字の誤読、手書き文字の認識ミス、表や段組みの文章が正しく読まれないことがあります。

体験のすすめ

見え方や使い勝手の感じ方は人それぞれです。拡大読書器を選ぶ際には、必ず実機を体験し、ご自身の見え方や使いやすさに合っているかを確認することをおすすめします。
体験時には、普段読みたいもの・見たいものをご持参いただくと、より実用的な確認が可能です。
一部の機種では貸出サービスもありますので、必要に応じてご相談ください。

公的補助制度の活用

拡大読書器は身体障害者手帳をお持ちの方を対象に「日常生活用具給付制度」の対象となっており、自治体の補助を受けて購入することが可能です。
詳しくは、お住まいの自治体の窓口にお問い合わせください。

使う時間を決めて、目を守る

長時間使用すると、目や肩に負担がかかります。
「30分使ったら5分休む」といったように、こまめな休憩を意識しましょう。

YouTube『ニポラチャンネル』でも拡大読書器について紹介しています

拡大読書器について

音声読書器について

拡大読書器は、適切な機器を選んで上手に活用すれば、文字情報へのアクセスが大きく広がる補助機器です。
見え方に合わせた設定や、ちょっとした工夫によって生活の質が大きく変わります。ご関心のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。