ろくおん通信第182号テキスト版ろくおん通信第182号テキスト版 2010年9月1日 発行 ※2010年度は奇数月のみの発行予定 日本ライトハウス情報文化センター 録音製作係 〒550-0002 大阪市西区江戸堀 1−13−2 TEL 06−6441−0015(代表) TEL 06−6441−1017(直通) FAX 06−6441−1027 (直通) ホームページ:http://www.iccb.jp/ 編集人 林田 茂 ◆◇ 主なトピックス ◇◆ ● 日本ライトハウス展の案内 ● 聴いてわかる図書(40) ● 音訳をはじめる前の事前打ち合わせ ● リスナーの窓(22) ● 音訳・編集について ● Q&A ● 『録音奉仕者感謝の集い』受賞報告 ● 各例会および勉強会の日程 ☆全国ロービジョンフェア 日本ライトハウス展 2010 (盲導犬 育成開始40周年記念) 〜 目の見えない方・見えにくい方の総合福祉展 〜 ◇ 2010年10月9日(土)〜10日(日)の2日間 午前10時〜午後5時まで ◇NHKK大阪放送会館アトリウム 最寄駅:地下鉄谷町線、中央線「谷町四丁目」駅 6つのコーナーで、目の見えない方、見えにくい方とご家族、ボランティアを応援! 盲導犬コーナー ・盲導犬の実演や体験歩行、盲導犬利用者や訓練士、ボランティアのお話、パネル展示など 世界のバリアフリー絵本展 ・世界21ヶ国50冊のバリアフリー絵本を展示 マルチメディアデイジー図書も展示 ・地デジとしゃべるテレビコーナー ブラインド スポーツコーナー 視覚障害者福祉 ・福祉サービスや注目の福祉機器の紹介 ・ボランティア活動コーナー いろんな録音図書の紹介 録音体験コーナー 録音図書の製作に関する相談 ※当日、ボランティアのご協力をお願いします! ミニステージ ☆聴いて分かる図書(40) 音訳をはじめる前に…  久保 洋子 1.本の種類を判断してください 本には、形式的にも内容的にも様々なものがあります。 小説、エッセイなどは筋を追って順に読み進むものです。 参考書、お料理の本、観光ガイドブックなどは、項目を選んで読みたいものです。この他にも、いろいろな作りの本があります。自分がこれから読む本は、どのように使われるものか、下読みしながらしっかり判断してください。 2.利用に合わせた作り方 例えば、筋を追って順に読み進むものでも、途中で中断した時には、その章のはじめからもう一度読むということは、私たちも普通にしていることです。そのために便利なように、目次の項目(章、節など)ごとに区切って編集します。使い方によって、どのような区切り方が便利か、気がつくことがあったら、打ち合わせの時にぜひ提案してください。 3.図・表などの処理 図・表・写真など、文章以外のものも、全て読むのが原則です。ただし、それらの中には本文に書かれていることをそのまま図にしたり、本文の情景を写真で写したり等と、説明すると本文と重複するものもあります。活字の本では、文字ばかりの本は読み難い、とっつきにくいということもあり、図や表が挿絵のように使われていることもあります。 これらのことを考えて、一つ一つの図や表を読むのか読まないのか、全体としてどのように作るのかを考えてください。 最終的な方針は打ち合わせで決めます。図・表などの扱いは、凡例でわかり易く断ることも大切です。 4.注の処理 注には、内容も形式も様々なものがあります。語句の説明で短いものは、その場で入れたほうがわかり易いこともあります。 長い注は、文章の途中で入れると文章が分断されて伝わりにくくなったりします。注の内容が参考文献などの場合は、章や節などの項目の最後にまとめて入れてもいいかもしれません。注も含めて、本文の内容がきちんと伝わる方法を考えてください。 以上、個々の事例について少し具体的に考え方を述べてみました。本は一冊一冊作り方も違いますので、一冊の本の内容を私たちが活字の本を読んで、理解するのと同じように、理解してもらえる作り方を考えて下さい。 一冊の本の作り方は、始めから終わりまで統一されていることが大切です。章によって、あるいは始めの方と終わりの方と方針が違ってしまうことのないように、読み始める前によく検討してください。わからないことは、打ち合わせの時にどんどん質問して一緒に考えて決めましょう。 ただし、打ち合わせの場で、その本を始めから終わりまできちんと読んでいるのは読み手だけであることを忘れないように。打ち合わせの場では、職員やお世話役はアドバイザーに過ぎません。読み手が責任をもって方針を決めてください。 ☆はじめが肝心! 音訳をはじめる前の事前打ち合わせ(相談)について。 〜 打ち合わせの日時を事前に決めてください 〜  録音製作係 林田 茂 録音図書の製作は共同作業です。分からないところや判断に迷う部分など図書製作に関わること、日常的なことも含めてなんでも相談しあえる雰囲気作りを考えていきたいと思います。 その中で、スタジオ録音ではない家庭録音のボランティアの方は、相談する機会も少なく不安な部分も多いと思いますので、音訳をはじめる前にしっかりと相談する時間を作ってください。製作過程でも分からないところは、一人で悩まず、世話役の方、または校正者や職員に相談してください。 また、図書の中には「図やグラフ」「写真」「漢文」「医学用語」「英文」などが含まれているものも数多くありますので、専門チームの方にも気軽にご相談いただけたらと思います。きっといい答えが見つかるはずです。 (専門チームのお名前は、6階のホワイトボード近くに置いています) スタジオ録音の方にも共通しますが、“音訳をはじめる前”の打ち合わせは、予め相談する人と時間を決めておくようにお願いします。家庭録音チームの方は実情を把握している各世話役の方が適任だと思います。本の特性に合わせて専門チーム、Gの会メンバー(※)、職員にご相談ください。その際には意見や質問する事柄をまとめておくようにお願いします。 < 当館の製作グループ > ≪専門音訳チーム≫ ・理数チーム ・東洋医学チーム ・古典チーム ・英語チーム ・パソコンチーム ≪スタジオチーム≫ ・火曜日チーム ・水曜日チーム ・木曜日チーム ・金曜日チーム ・土曜日チーム ≪家庭録音チーム≫ ・24の瞳 ・はなみずき ・マトリョーシカ ・金糸雀(カナリア) 各グループ世話役3〜4人 ※Gの会 ※グループリーダーの会(通称 Gの会)では、2ヶ月に1度、講習会担当者とグループ世話役の方に集まってもらい、互いのグループの近況や図書製作についての意見交換を定期的に行っています。 ☆リスナーの窓(22) 見出しの成り立ちがわかる読み方  福井哲也 DAISYの特長の一つは、見出しに階層レベルが設定できることです。とはいっても、再生中にプレイヤーが見出しの大きさをアナウンスしてくれるわけではありません。あくまで見出し単位に前後に移動(ジャンプ)するときに生きてくる機能です。なので、見出しが2階層以上になっている場合には、見出しの大小が聞き手にはっきり伝わるように読むことは、アナログ時代と変わらずとても大切です。 [例1]     1.日本国憲法の基本原則       1. 国民主権       2. 基本的人権の保障       3. 平和主義     2.大日本帝国憲法と日本国憲法       ‥‥‥ この例では、レベル1とレベル2の見出しの数字をどう区別して読むかが課題になります。オーソドックスなのは、レベル1の見出しを「一章」「二章」のように読む方法です。こうすれば、レベル2の方は「一」「二」だけでも区別はつくことになりますが、さらに本の中での見出しの位置関係をはっきりさせるために、レベル2の見出しを章番号を付けて「一の一」「一の二」のように読む方法もあります。 [例2]     第1章 生い立ち       早寝早起き少年時代         絵の中の蛙         葉っぱの川流れ         ‥‥‥       遅寝遅起き青春時代         鳶が鷹を振る         盗人に賽銭         ‥‥‥     第2章 絵描き修行       ‥‥‥ この例では、レベル2とレベル3の見出しにともに番号がありませんので、区別の手立てが何か必要です。よく行われる方法は、大きい方の見出し、すなわちレベル2の見出しに番号を振り、「一 早寝早起き少年時代」「二 遅寝遅起き青春時代」のようにします。この場合も、章番号を付けて「一の一 早寝…」「一の二 遅寝…」とする方法もあります。このような処理は、録音図書凡例で説明しておくとよいでしょう。 音訳で墨字にはない言葉を追加することについては、「原文に忠実でなくなる」との懸念もときに聞かれます。墨字資料の音訳は著作権法上「複製」ととらえられており、「同一性保持」の原則は重要です。と同時に、複製においては「媒体の変更」に伴う必要な改変は認められると解されますので、上記の見出し番号の処理もその一つと考えられます。 ただ、見出しの処理は原本のジャンルによっても違ってくるでしょう。教養書・実用書などは録音図書としての使い勝手を重視した処理が望まれますが、文学書については、原本の味わいをできるだけ変えないように、見出しの処理も最低限にとどめた方がよいと考えます。 ☆音訳・校正・編集の皆さまへ 音の訂正は、元データでお願いします。 本文の修正箇所を録音する際は、必ず元の音源で修正してください。 修正箇所だけをまとめて録音しないようにお願いします。 理由は、修正箇所の前後の音量や調子(リズム)が合わない場合があるためです。 また、訂正の際には、その語句の前後1行程度は入れるようにして下さい。(※) ※ろくおん通信180号 『画面校正結果(5)』をご参照ください 白紙ページの処理について 『ろくおん通信180号』に書きました、「白紙ページの処理」を以下のように改めます。 原本の白紙ページには、ページチェックを付けない。 新たな項目からページを「手動」で付けてください。 ただし、図表・写真などを原本と違う位置で読んだため生じた空きページは、白紙ページ扱いとはせずページ付けを行ってください。 ※デイジー校正や自己校正の際は、各項目ごとにページチェックを確認するようにお願いします。 自己校正をしっかりと。 編集者には“校正チェックリスト”を使用して自己校正をお願いしていますが、チェック後の校正表については、製作ボックスへのファイリングをお願いします。   ☆Q&A アンケートのご協力ありがとうございました。 質問 パソコン録音を考えていますが、必要な機器について教えてください 答え ・パソコン ノートパソコンだと、なにか困ったときに持参できるので便利です。 ・オーディオインターフェイス 音量を上げたり、雑音を抑えることができます。 安定した録音をするために推奨します。 ・マイクとマイクスタンド パソコンに直接録音の場合は、コンデンサーマイク(単一指向性)がお勧めです。 ・スピーカーとヘッドホン スピーカーは最低2W以上のものをお勧めします。 再生音量(ワット数)が少ないものは、雑音などを聞き逃す恐れがあります。 ヘッドホンはスピーカーでは聞こえない細かなところまでチェックできるので録音図書のモニターには最適です。 ・接続コードと接続プラグ 接続箇所が金メッキのものを選ぶと音の伝導率が良くなります。 ・録音、編集ソフト 当館では、主に録音ソフトは「Recdia] 、編集ソフトに「PRS Pro」を使用しています。 その他配布ソフトでは、録音・編集ソフト「My Studio PC」等があります。 ・記録媒体 CDのほかにも、CFカード、USBメモリースティック、ポータブルハードディスク等がありますが、大容量で持ち運びに便利なポータブルハードディスクがお勧めです。 ※パソコンや周辺機器は、日々モデルチェンジをしていますので、それらの情報を把握してお伝えすることは難しいのが現状です。ですが、動作確認ができている情報や機器によって は貸し出すことも可能な場合がありますので、購入の際はお気軽に職員にご相談ください。 質問 一枚のデイジー図書に何分ぐらい録音できますか? 答え ・各音質のCD1枚に記録できる時間の目安      < 音質 >       < 650MB(700MB)> PCM 22.05KHZ モノラル   240分(260分) MP3 64kbps モノラル     20時間(22時間) MP3 48kbps モノラル     30時間(32時間) MP3 32kbps モノラル     40時間(45時間) ※今回は、全視情協 発行 『音訳マニュアル【デジタル録音編】』を参考にしました。 〇「Recdia]の後追い録音がうまくいきません。方法を教えてください。 「Recdia」の操作は、基本的にキーボードで行ってください。 後追い録音は、訂正箇所の少し前から音を聞いて、間やリズムを確かめながら録音します。 その際は、訂正フレーズの少し前までフレーズを戻し「再生ボタン D」を押したまま再生させます。訂正箇所に来たら焦らず「録音ボタン F」を押して録音します。この時、「Dボタン」を押したまま「Fボタン」の両方を一緒に押します。すぐに手を離さず、読み始めてから手を離してしてください。 〇ウェブスタジオ・なにわ」の使用状況 ウェブスタジオ・なにわの使用率 スタジオ使用 36% 自宅録音使用 36% 使用していない 23% 未回答 5% ☆鉄道弘済会・日本盲人福祉委員会主催 第40回『 朗読録音奉仕者 感謝の集い 』 受賞おめでとうございます!! 視覚障害者のための録音図書づくりに貢献した各地のボランティアを表彰する「朗読録音奉仕者感謝の集い」(後援:厚生労働省、文部科学省、朝日新聞厚生文化事業団など)の受賞者が8月9日に発表されました。 全国表彰【校正の部】 大林 緑 様 (活動歴31年、495タイトル・3790時間) 授賞式 9月30日 11時から 東京都「弘済会館」 地区表彰【朗読の部】 片岡 珠子 様 (活動歴24年、309タイトル・2085時間) 授賞式 9月8日 11時から「ホテルグランヴィア大阪」 加えて、昨年度から新設された奨励賞に以下の方々が受賞されました。奨励賞は活動のすそ野を広げる目的で新設され、活動が5年以内の方に贈られます。 理数 チ ー ム :M名 あきよ 様 マトリョーシカ:青木 千代美 様、高橋 啓子 様、古谷 あや子 様、松井 喜美代 様、山崎 千代子 様、山本 雅子 様 ※奨励賞の授賞式は、当館で予定されています。 日ごろのご精進の成果と、関係者一同心からお喜びするとともに、今後ますますのご活躍とご健勝をお祈りいたします。 ☆各例会および勉強会の日程 <スタジオ>火曜日チーム  第3火曜日 12時45分から 水曜日チーム  第2水曜日 12時45分から 木曜日チーム  第3木曜日 12時45分から 金曜日チーム  第3金曜日 12時45分から 土曜日チーム  第1土曜日 12時45分から <自宅録音チーム>マトリョーシカ   第2火 10時〜12時 はなみずき     第3水 13時〜15時 二十四の瞳     第4木 10時〜12時 金糸雀(カナリア) 第2金 10時〜12時 古典チーム 第2土 13時〜15時 東洋医学チーム  第3金 14時30分〜16時30分 英語チーム     第4金 10時30分〜15時30分 理数チーム     隔月の水10時30分〜12時 パソコンチーム   最終 土 13時30分〜15時30分 音声解説チーム   第1金(偶数月)10時〜12時              第1金(奇数月)13時30分〜15時30分 中井はつみの勉強会 第1水 13時〜15時 橋本勝利のフォローアップ講座 第2水 金 13時〜15時 安田知博の読み方勉強会 第1,3 月 13時〜15時 ※日程は変更になる場合がありますのでご注意下さい 以下、ホームページよりご覧いただけます http://www.iccb.jp/ ◆ 講習会情報 ⇒ 『耳より情報(講習会のお知らせ)』 ◆ ろくおん通信 ダウンロード版(テキスト版あり) ⇒ 『録音製作係 ろくおん通信』 ろくおん通信 182号 終わり