ろくおん通信第181号テキスト版ろくおん通信第181号テキスト版 2010年7月1日 発行   ※2010年度は奇数月のみの発行予定 日本ライトハウス情報文化センター 録音製作係 〒550-0002 大阪市西区江戸堀 1−13−2 TEL 06−6441−0015(代表) TEL 06−6441−1017(直通) FAX 06−6441−1027 (直通) ホームページ:http://www.iccb.jp/ 編集人 林田 茂 ◆◇ 主なトピックス ◇◆ ● 聴いてわかる図書(39) ● 画面校正結果(6)(7 最終回) ● リスナーの窓(21) ● Q&A ウェブスタジオなにわ 編 ● Q&A ● フォローアップ 勉強会【校正編】 ● 専門音訳 古典コースのお知らせ ● その他 お知らせ ● 各例会および勉強会の日程 ☆聴いてわかる図書 (39) 久保 洋子 音訳者は、新しい本を読み始める前には、何回か下読みを繰り返し、その本をどのように作るか、方針を定めて読み始めます。情文の録音製作では、この段階で職員またはお世話役の人と打合せをすることになっています。 例えば、図、表、写真などがあれば、これらを読むのか、読まないのか、読むとすれば、どこで、どのように読むのか、目次が複雑なものでは、全体をどのように階層化するのか、など一冊一冊 本の構成に合わせて作り方をきめます。 読み手とモニター者と職員またはお世話役で、打合せをしますが、この中で、その本を何回か読んで全体に目を通しているのは読み手だけです。従って、この打合せでは、問題点を読み手の方が出して、それについて、どのようにするのがいいか相談するということになります。 職員・お世話役もパラパラめくって気づくことはあるでしょうが、中身のことはわかりません。 音訳者は下読みの時、気づいた問題点はページと共にメモしておいてください。 読みはじめてから、校正者・編集者から問題点を指摘されることがあります。指摘されたことが、打合せの段階で検討し方針を定めたことであれば、見解の相違ということもあると思いますが、打ち合わせの段階では気が付かなかったこともあると思います。その時は改めて検討し相談してください。 作り方は全体に係ることですから、編集段階で指摘されると、はじめから読み直さなければならなくなったりもします。 録音図書製作では「早く」ということも大切な基本です。下読みをしっかりとして、問題点は、十分検討してきちっと方針を定めてから読みはじめることが大切です。 又、モニター者、第二校正者も字句の読み誤りだけでなく、全体の構成にも心を配って校正することが「早く、正確な本を作る」上で大切なことだと思います。 ☆画面校正結果6 始めと終わり  大林 緑 デイジー図書凡例や目次などで平素当たり前のように使っている“始め”と“終わり”ですが、たまに始まり方と終わり方が違う録音がされている場合があります。 図・表などのように全体に数多くある場合もあり校正のなるべく早い段階であげましょう。 ◎「図」「表」「写真」などの説明のあと「説明終わり」になっている。 (正)→ 「○○ページ図(表)(写真)〜」(説明・・・・・)「図(表)(写真)終わり」      「○○ページ図表〜」 (説明・・・・・) 「図表おわり」      「巻頭写真」    〃    「巻頭写真おわり」  など。 ◎「著者紹介」著者〜〜訳者〜〜 のあと「著者紹介終わり」になっている。 (正)→ 「著者紹介」・・・・・「著者紹介終わり」。「訳者紹介」・・・・・「訳者紹介終わり」       または「著者・訳者紹介」著者〜〜訳者〜〜「著者・訳者紹介終わり」 ◎「凡例」の終わりが「原本凡例おわり」になっている。 (正)→ 「凡例」・・・・・「凡例おわり」      「原本凡例」・・・・・「原本凡例おわり」  ◎「主要参考文献一覧」の終わりが「参考文献一覧終わり」になっている。  巻末によく書かれている参考文献・引用文献・年表・索引・編集部注、などにはほとんど“終わり”の記載がありません。しかし場合によって付けたほうが聞いて区切りがよく分かります。音声訳の段階で工夫して見て下さい。 ☆画面校正結果7(最終回) 校正に力をお貸しください 今回6回にわたって画面校正結果からの再確認とお願いを書いてきました。 画面校正ではそのほかに次のような間違いがありました。 1、始めの枠で著者名を読み間違っている。(ノリトシをトシノリ) 2、古典の人物名を読み間違っている。 3、著者紹介の中で作品名を読み間違っている。 4、目次の項目に同じものが2回入っている。 どれもあってはならないこと、特に調べが付く固有名詞は間違ってはなりません。 また推測読みとされている中に小学館の『日本国語大辞典』で分かるものがありました。 録音図書製作に調査はかかせません。最近はパソコンで調べる方が増え、辞書が以前のようには使われなくなっているようです。辞書は何か調べるごとに他のいろんなことを教えてくれるすぐれものです。いつまでも上手に利用したいものです。 画面校正は各本の全部を聞いたわけではありません。そういう校正するのが目的ではありませんでした。どれも偶然の結果です。これらの図書は最終校正の訂正も終わって発行直前のCD図書です。何人かの目を通って来ています。音声訳で気をつけるのは当然ですが、どうして校正を通ってきたのか不思議に思うことが数々ありました。共同製作の難しさかも知れません。 校正は面倒な作業だとお思いでしょうか?どうぞ校正の大切さをご理解いただき十二分の力をお貸し下さいますようお願い致します。 昨年から「ウェブスタジオ・なにわ」での自宅編集を進めています。音源と校正表をパソコンで送受信しデイジー図書を作成します。 その際の編集校正の内容は前校正者の校正表の最後に校正行追加として書き込みますが、そのあと前校正者の校正事項の1行ごとに編集者が確認の○か×を入れないと校正表を送信できない形式になっています。 編集の後ですから、校正ではどうだったのか、校正であげて欲しかった所、あがっているのに音声訳者が直していない所などつい気になります。 こういう編集も始まっていることをお伝えしてこのシリーズを終わります。 以上 ☆リスナーの窓(21) 雑誌の全文音訳は大きな挑戦  福井 哲也 墨字の雑誌や新聞を音訳した録音雑誌は全国で400以上製作されているそうですが、その中には原本の記事全てを音訳したものと、一部の記事を抜粋したものとがあります。雑誌は、興味のある記事、必要な部分だけをピックアップして読むのが普通です。もしも自分が「読みたい」記事が音訳されていなかったら、それはとても残念なことです。なので、全文音訳に対する期待はとても高いといえます。デイジーの開発で拾い読みが自由になり、ネット配信で一つの録音雑誌を全国の多数の利用者が同時に聞けるようになった現在、この期待はますます高まっていると思います。 しかし、短期間に多くの記事を音訳・編集し、しかも継続的に提供するのは、並大抵のことではないでしょう。特に週刊誌では、内容がすぐに古くなってしまいますので、即時提供も非常に重要です。そんな中、仕上がりにあまり多くを望むべきではないと思いつつ、普段利用しての感想をあえて二つほど書かせていただきます。 一つは、雑誌の音訳は単行本の音訳より易しいと思わないでほしいということです。1回に読む量が少ないのでビギナーはまず雑誌からと考える人もいるかもしれませんが、実際には内容が多岐に渡り、読みの調査に苦労することも少なくないと思います。また、複数の音訳者が分担録音すると、読みの技術の差が利用者にはっきり意識されてしまうという面もあります。 二つ目は、限られた時間の中でも校正は必ずしていただきたいということです。読み誤りを減らすためには、音訳した人とは別の人の目と耳と頭で確認する作業が必須です。音訳者自身が録音後に聞きなおしをするのも大切ですが、これは校正とは違います。一見して難しい漢字や人名などは皆さん調べると思いますが、平凡な言葉、だれでも読める易しい字の方がこわいのです。「子どもたちが手に手に風車(かざぐるまに下線)を持って」を「ふうしゃ」と読んだり、「部下に細々(こまごまに下線)と指示を出す」を「ほそぼそ」と読んだり。こんな単純な間違いが、かえってとても目立ったりするのです。 ところで、抜粋版の録音雑誌については、どう考えたらいいでしょうか。利用目的や製作にかけられる労力などの事情で、抜粋版を作るケースは今後もあると思います。その際は、録音資料のタイトルを「週刊○○抜粋版」などとして、全文音訳版との区別を明確にした上で、凡例に次のことを含めてほしいと私は考えます。利用者などに対して抜粋のポリシーを明示するためです。 @どの原本からどんな基準・観点で音訳する記事を選択しているか、 Aだれが選択しているか、 B原本のおよそ何割を音訳しているか。また、録音版の末尾に、 C音訳しなかった記事の見出しリストを付加するのが望ましいと思います。なお、新聞から特定のテーマの記事を選んで音訳するような場合には、BとCは不要でしょう。 録音雑誌の製作という難事業に、より多くの音訳者の力が結集されることを期待しています。 ☆Q&A ウェブスタジオ・なにわ 編 質問 音訳データを送ろうとしたのですが、読んでいる本の書名が一覧にありません。例:『ウェブスタジオなにわQ&A』 答え 「製作依頼受信」ボタンをクリックして「製作依頼受信一覧」画面で返信状況を確認します。返信状況が「未返信」のときは一覧の書名部分をクリックして「製作依頼返信」画面に移り、「承諾する」にチェックが入っていることを確認後、「送信」ボタンをクリックして返信します。 ※校正者・編集者も同様に「製作依頼受信」画面で、自分が製作依頼に返信したかどうかを確認することができます。 音声訳者が承諾に未返信の場合は音声データを送ることができませんが、校正者・編集者が承諾に未返信の場合は音声データ到着の連絡が届きません。 質問 『ウェブスタジオ・なにわ』で、自分以外の担当者(校正者・編集者など)がわかりますか? 答え 「製作依頼返信」画面の「製作依頼全体を表示」部分をクリックすると「製作依頼詳細」画面になり、自分以外の担当者を知ることができます。 質問 図書の構成が、全体的には2階層で、ひとつの章のみ3階層の構成になっている場合、デイジー図書凡例を含む音訳の処理はどうしたらよいでしょうか? 答え 目次を聞いて本文の階層が分かる場合は、章によって階層が違っても混乱は少ないかと思いますが、「この図書の階層はレベル3まであります。レベル3は目次にない小項目です。」だけではどこがレベル3まであるのかわからないので不親切でしょう。デイジー図書凡例や該当の箇所でコメントを入れる方がよいでしょう。 例「この図書の階層はレベル3まであります。ただし、レベル3は〇〇章のみです」 ※ 該当の箇所(章)でも、「この章はレベル3まであります」などのコメントを入れる場合もあります。 また、本文がレベル2までで、本文ではない資料編などがレベル3まであるような場合、凡例では「この図書は、本文がレベル2、資料編はレベル3まであります。」とコメントし、資料編のところでレベル3まであることをコメントする方がいいでしょう。 なお、章などがレベル2・レベル3とバラバラで統一されていない図書の場合は、これまでどおりもっとも深い階層を伝える。 「この図書の階層はレベル3まであります」でよいと思われます。 本の作られ方はさまざまなので利用者が混乱しないように簡潔で分かりやすいコメントにするように心がけましょう。 ☆Q&A 質問 校正用にコピーするためCD-RWをパソコンに入れると「フォーマットしてください」のメッセージが表示されました。 CDの中身はすでに消去済みのはずですが、どうしてでしょうか?  フォーマットしてもそのCDは使えませんでした。 答え 二つ可能性があります。 1.CD-RWディスク自体が駄目になっている。   CD-RWディスクは1000回書き換え可能とされていますが、実際にはそれ程使えません。品質の悪いディスクですと数十回程度でも使えなくなります。   →別のCD-RWディスクをお使い下さい。 2.パケットライトソフトを使っている。 メーカー製のPCでは、ライティングソフト(注1)と同時に、パケットライトソフト(注2)もインストールされていることがあります。このパケットライトソフトでフォーマットされたCD-RWは専用のフォーマットとなり、通常のCD-RWと同じようには使えません。 →CD−RWをフォーマット(消去)するときも、CD-Rを使うときと同じライティングソフトを使用し、消去をして下さい。 (注1) CD/CD−RWにデータを書き込むソフト (注2) CD−RWをフロッピーのように使うソフト 主なライティングソフト「B's Recorder」 「roxio creator」など 主なパケットライトソフト 「B's CLiP」 「Roxio(Sonic) DLA」など ※「B's CLiP」は「B's Recorder」に、「Roxio DLA」は「roxio creator」 などRoxio系のソフトに付属しています。 ☆アンケートのご協力ありがとうございます。 アンケートに、以下のようなご質問がありました。 〇音を同じ調子で入れられない。修正の時 声が違ってしまう ⇒ 前号(180号)でも大林さんが修正について触れられていましたが、修正した個所がで きるだけわからないように修正する必要があります。 レクディアの場合、波形が出ますのである程度の目安にはなりますが、やはり音は実際に録音して前後の音と違わないかを確認する必要があります。マイクとの距離や角度、録音する環境が少しでも変わると録音された音質は変わってしまいますので注意してください。 〇インターフェースのローランド「UA−4FX」は Windows 7 でも使えますか? ⇒ Windows Vista・Windows 7 の場合は、ローランドのホームページからドライバを ダウンロードしてインストールする必要があります。 ローランド サポート http://www.roland.co.jp/support/information.html 〇パソコンの買い替えを考えていますが、Windows Vista・Windows 7 を購入しても問題ありませんか? ⇒ Windows Vista は一部互換性が悪いケースがあります。 Windows7 では録音ソフト・編集ソフトともに使用されているので問題ないと思います。 ただし、OSの bit数(64bit ・ 32bit 等)を確認してください。 オーディオインターフェースも同じ bit数 に合わせる必要があるためです。 レクディア(録音ソフト)には Windows7対応版があります。 ※OS=オペレーションシステム Windows XP/Vista/7 等のことです。 〇「ブーン」という音が入ることがあります。 ⇒ ハム音だと思います。ACアダプターを録音機に近づけたときや、マイクコードの束ねた部分が電気器具に近づいたときなどに発生します。 音を聞きながら、近くにある電気器具、ACアダプター、マイクコードなどを移動してみると発生の原因が分かる場合があります。 また、蛍光灯が古くなると「ジー」というバズ音が発生します。コードが断線しかかっているときにも発生する場合があります。 ※白熱灯に変えると良くなる場合があります。(ただし、熱くなりますのでご注意ください) 次回もアンケートからのご質問に回答したいと思います。 ☆【 各ファイル(音源)の「はじめ」と「終わり」のコメント 】 45分を目安に録音してもらっていますが、その音源の「はじめ」と「終わり」に以下のコメントを入れてください。 校正者・編集者の確認のためにご協力をお願いします。 はじめ → 〇〇〇『 書名 』 〇枚目 終わり → 〇枚目に続きます。 ☆フォローアップ 勉強会【校正編】 いつも当館での活動に、ご理解とご協力をいただきありがとうございます。 録音製作ボランティアには、いろんな活動内容があり活動経験も様々です。講習を受けた時期も異なっています。 つきましては、今回『校正』をテーマにしたフォローアップ勉強会を下記の通り実施いたします。 校正の留意点、考え方、ポイント、校正表の書き方などを共有したいと思います。 音訳・校正・編集等の作業に関わらず、できるだけご参加いただきますようお願いいたします。 日 時:7月9日(金)、13日(火)、21日(水)、24日(土)     いずれも午後1時から2時まで 会 場:4階 会議室 講 師:大林 緑氏 申込み:自由参加。どの日程に参加されてもOKです。 ☆専門音訳講習会 古典コース(2010年度) 日時:9月11日、25日    10月 2日、16日、23日、30日(全6回)    各土曜日 午後1時30分から3時30分 講師:近畿視情協 古典チーム リーダー 佐久間 かず子氏 詳しい案内は6階 録音製作係の掲示板または、ホームページをご確認ください。 ☆夏期休館日のお知らせ 8月12日(木) 8月13日(金) 8月14日(土) 全館休館いたします。 お間違えのないようにご注意ください。 ☆各例会および勉強会の日程 <スタジオ> 火曜日チーム 第3火曜日 12時45分から 水曜日チーム 第2水曜日 12時45分から 木曜日チーム 第3木曜日 12時45分から 金曜日チーム 第3金曜日 12時45分から 土曜日チーム 第1土曜日 12時45分から <自宅録音チーム> マトリョーシカ 第2火曜日 10時〜12時 はなみずき 第3水曜日 13時〜15時 二十四の瞳 第4木曜日 10時〜12時 金曜日チーム(9月より金糸雀グループとして活動)  第2・4金曜日 10時〜12時 古典チーム 第2火曜日 13時〜15時 東洋医学チーム 第3金曜日 14時30分〜16時30分 英語チーム 第4金曜日 10時30分〜15時30分 理数チーム 隔月の水曜日 10時30分〜12時 パソコンチーム 最終土曜日 13時30分〜15時30分 音声解説チーム 第1金曜日(偶数月)10時〜12時 (奇数月)13時30分〜15時30分 中井はつみの勉強会 第1水曜日 13時〜15時 橋本勝利のフォローアップ講座 第2水・金曜日 13時〜15時 安田知博の読み方勉強会 第1・第3月曜日 13時〜15時 ※日程は変更になる場合がありますのでご注意下さい 以下、ホームページよりご覧いただけます http://www.iccb.jp/ ◆ 講習会情報 ⇒ 『耳より情報(講習会のお知らせ)』 ◆ ろくおん通信 ダウンロード版(テキスト版あり) ⇒ 『録音製作係 ろくおん通信』 ろくおん通信 181号 終わり