ろくおん通信 No.169ろくおん通信第169号 2009年4月発行 発行:日本ライトハウス盲人情報文化センター録音製作係 ★聞いてわかる図書を作るために (第32回)久保 洋子 「原本通り」読んで文意が通るかを考える 活字の情報は当然のことに目で見て理解しやすいように作られています。「原本通り」だからといって、書かれている通り読んでも文意が伝わらないことはよくあります。いくつか例をあげてみます。 ○「○○は?点」“?点”を疑問符点とかクエスチョンマーク点とか読んでも、この云い方は私たちが日常使っている云い方ではないので伝わりにくいと思います。「○○は何点」と読んでいいと思います。 ○前に出て来た文章を再掲する時「○○は-------」 などのように文章を省略して「-----」で表していることがあります。この場合は前の文章をそのまま読めばいいと思います。 ○出典として同じものが時々出てくる時、本では(同)のように省略してあります。「ドウ」という読み方は間違いではありませんが、言葉が短いこともあり、わかりにくいと思います。前と同じように全部読むか、続けて出て来たときには「オナジク」という云い方もあるかと思います。 ○章、節のタイトルに1の1、1の2などの番号をつけるかどうか、小説などでは付けたくないというのが大方の読み手の意見です。ただ章と節のタイトルが全く同じということも時々あり、この時は、番号なしで読むとダブっているように聞こえたりします。 活字で情報を伝える時には、活字の大小、段落、行あけなど、目で見てわかり易いよう様々な工夫がされています。これらを声に出して読むと、活字の大小は勿論、段落などもなく、ただ全部をかなで書かれた文章を読むのと同じことになります。 勿論、間とか声の出し方、切り方など様々に工夫して読むわけですが、これだけでわかってもらうのは、聞き手に注意力を要求していることだと思います。 原本を見ることが出来ない利用者に、一冊一冊ちがう本を、利用者の立場に立って作ることができるよう、皆で工夫していたきいと願っています。 つづく ★5月 録音製作予定 『自宅録音チーム』 12日(火)『マトリョーシカ』13時〜15時 20日(水)『はなみずき』1時半〜3時半 28日(木)『二十四の瞳』10時〜12時 『スタジオ曜日別チーム』 26日(火)『火曜チーム』12時45分〜 13日(水)『水曜チーム』12時45分〜 21日(木)『木曜チーム』12時45分〜 15日(金)『金曜チーム』12時45分〜 16日(土)『土曜チーム』12時45分〜 『プライベートチーム』 20日(水)定例勉強会 1時半〜3時 ※ 講師 中井 はつみ 氏 『専門図書音訳チーム』 9日(土)『古典チーム』1時〜3時 16日(金)『東洋医学チーム』3時〜5時 20日(水)『 理数チーム』お休み 22日(金)『英語チーム』10時半〜3時 23日(土)『パソコンチーム 』1時半〜4時 1日(金)『音声解説チーム 』1時半〜3時半 『橋本勝利のフォローアップ講座』 13日(水)1時〜3時 ※随時受け入れ中 8日(金)1時〜3時 『月曜日出勤当番』 5月11日・25日 林田 5月18 日 清水 『ボランティア再登録のお願い』 今号に「ボランティア再登録」の用紙が同封されています。一部、盲人情報文化センターの音訳ボランティアでない方(etc.『ろくおん通信』のみの方、協力グループなど) にも入っている場合があります。 盲人情報文化センターで活動している方以外は再登録の必要はありませんので、よろしくお願いいたします。 ★ 画面校正について 大林 緑 昨年2008年9月から、デイジー編集終了のCDの中から順次「画面校正」という作業を行っています。CDをもう1度パソコンに戻しPRSで開いて画面を見ながら編集状態を確認していく作業です。 確認後「画面校正表」と依頼票を編集者に、録音の入れ替えの必要な場合には音声訳者にもお渡しして訂正して頂いています。 その間ブックトラック上の原本ボックスには「画面校正」と書かれたピンクのカードが差し込まれています。編集訂正が終わりましたら編集者はカードに最終訂正日を記入して再度ブックトラックにのせて下さい。そのあと最終確認して発行となります。最終訂正日の記入がないと確認出来ず発行が遅れる場合があります。 画面校正する内容は次の通りです。 @書誌情報 A第1セクションの第1フレーズ、書名の1フレーズ化 B第1セクションの通し聞き Cデイジー図書凡例と内容が合致しているか・利用に便利か D目次セクションの1フレーズ化 E各セクションの文字入力・第1フレーズ・階層の確認 Fページ付け Gグループ付け Hデータの変わり目 I著者紹介の始めと終わり J原本奥付の通し聞き K終わりの枠の通し聞き L最終校正表の訂正箇所のチェック Mコメント欄やマークが残っていないか Nフレーズの切れ方 Oその他 数年前から、編集が終わったデイジー図書を一旦ブックトラックに置き、そのあとプレクストークで最終確認し完成、という手順を踏んできました。 しかしPRS画面上にある書誌情報・見出し文字・数多いグループチェック・フレーズの切れ方・不要なマークやコメントなどはプレクストークでは確認出来ず、画面校正を組み込んだチェックが不可欠となってきました。 画面校正は編集者だけの問題ではありません。 声訳者は読み始める前に、どんなデイジー図書にするか、階層のつけ方、グループを付ける所、デイジー図書凡例の入れ方、始めの枠・終わりの枠などをよく検討して音声訳し、校正者もそれらの事項に十分注意を払って校正、そして編集にまわして下さい。以下の画面校正事項には音声訳者・校正者も目を通して確認して下さい。 音声訳、校正、編集の三者が協力してより良いデイジー図書が発行されることを願っています。ご理解とご協力をお願いします。 次回から上記の画面校正の内容を順に記載します。 ★リスナ−の窓 (10) 福井哲也 基本だから易しいわけではない 「DAISYでは、一番大きな見出しをレベル1、その下の見出しをレベル2とする」……これはDAISY編集のイロハかもしれませんが、こんなところにも編集者による“解釈の違い”が現れることがあります。例えば、ごく単純な成り立ちの小説で、次のような見出しの組み方をしてある本に稀にぶつかります。 レベル1 レベル2 書名(著者名等) 目次       第1章……       第2章……       第3章…… 原本奥付 目次の下に1〜3章がぶらさがっている感じで、形が整っているように見えるのかもしれませんが、利用者には結構困りものです。目次をスキップして本文を聞こうとレベル1で移動すると、いきなり奥付まで飛んでおしまいになってしまうからです。 また、小説の後ろに別の作家の解説文などがある場合に、次のような例も見ます。 レベル1 レベル2 書名(著者名等) 目次 小説の題名       第1章……       第2章……       第3章…… 解説文 原本奥付 小説の題名が中扉になっていたりすると、このように考えてしまうのかもしれませんが、これも全部の見出しをレベル1にすべきものです。解説文は、後書きなどと同じく本文外と考え、本文の一番大きな見出しである「章」をレベル1とするのが自然だからです。 録音図書は、インターネット配信などで広域の利用があたりまえ。だからこそ作り方の基本を再確認したいですね。 ★Q&Aコーナー 質問 デイジー編集でページチェックを入れる場合、どこまで厳格にするべきでしょうか 答え デイジー図書ではページ指定で瞬時に指定したページに飛ぶことが出来ますので、いろいろと読書が楽しめるようになりました。しかし、このページチェックをどのような基準で付けるかで、いろいろと苦労があるかと思います。ページチェックは原則としてページの変わり目により近いフレーズにチェックを付けることにしています。フレーズが極端に長い場合は、切りのよいところでフレーズを切ってから付けることもあるでしょう。 ただ、巻末に索引があるような本の場合は注意が必要です。巻末の索引にある語句がページの変わり目にあるような場合、より近い方ではなく、その語句が含まれているフレーズは原本と同じページになるようにページチェックを付けます。利用者が索引からページ指定で飛んだときにその語句が出てこないといったことがないようにする為です。 ページのチェックは索引がある図書でないかぎりページの変わり目により近い方にチェックを付ける程度の基準で良いでしよう。1字、2字と数えてより少ない方などど厳密にやらなくても良いでしょう。 ★係からのおしらせ @自宅録音の方は「レクディア」と「ウェブスタジオ版レクディア」の二つのソフトインストールして下さい。 現在、自宅録音チーム(「マトリョーシカ」「はなみずき」「24の瞳」)に所属している方で、まだ自宅のパソコンに「レクディア」と「ウェブスタジオ版レクディア」のソフトをインストールしていない方は係までお申し込み下さい。 A自宅録音者でアップできていない方は、来館してアップできるようにします。 現在、自宅でパソコン録音している方で「ウエブスタジオなにわ」でアップが出来ていない方は、来館した時に自分でアップできるように準備します。これは自宅でアップするときの練習にもなりますので、来館時に録音したデータを、CDに焼くか、USBのメモリーに保存して持ってきて下さい。アップの方法は係で説明します。 B新館移転の為、1ヶ月間はスタジオ録音ができません。 日程 7月9日(木)〜8月17日(月)休館します スタジオの解体は7月13日(月)から始まります。道頓堀での録音は7月9日(木)頃までとします。新館での録音は今のところ、お盆明けの8月18日(火)から開始予定にしていますのでよろしくお願いします。 C休館中の週刊新潮の発行体制について ・週刊新潮は7月9日第2週号まで通常の体制で発行します。 ・7月16日号第3週号〜8月13−20合併号までは、各担当チームが連載小説のみを収録し、8月末に1枚のCDにまとめて「休館特別号」として発行します。従いまして出来るだけ、自宅録音が可能な方で、「ウエブスタジオなにわ」でアップができる方に連載ものの小説を録音していただくと助かります。 ・自宅で録音できな方は、お盆明け(8月18日以降)にスタジオで録音していただきます。 ・2009年8月27日第4週号より、通常の体制に戻ります。 ・月曜開館は、2009年8月24日(月)より開始する予定です。 ★新潮音訳者の正誤表 @原文       A 誤読        B正しい読み 開高健       かいこうけん    かいこうたけし 大島理森     おおしまのりもり  おおしまただもり 天稟        てんびん       てんぴん 以後        いこう         いご 目処        めどころ       めど 間髪を容れず  かんぱつを・・    かん・はつを・・ 昼日中      まひるなか      ひるひなか 壊れる       くずれる        こわれる 憤り        おこり         いきどおり 勝谷誠彦    かつたにまさひこ  かつやまさひこ 伊藤乾      いとういぬい     いとうけん ★以上で、『ろくおん通信』169号おわり 戻る