録音通信第160号テキスト版ろくおん通信第160号 2008年6月発行 製作 日本ライトハウス盲人情報文化センター 録音製作係 ★ 聞いてわかる図書を作るために(第24回) 引用文について  久保洋子 今回は引用文について考えてます。 墨字の本の中で、引用文は 「  」、行明け、字下げ、など見た目でわかるように、印刷されています。これをただ読んでしまっては、どこからどこまでが引用文なのかわからなくなってしまいます。よく文体が違う(ex.引用部分は古文である)ので、断わらなくてもわかると云われることがあります。この場合しばらく聞いていると、何かちがうとわかるわけです。間とか音(ピッチ)の違いで区別する時も同じです。 録音図書製作の基準は、晴眼者が墨字の本をみてわかるのと同じように耳から理解してもらえるように読むことです。 私たちは「  」や、行明け、字下げ、などで、ここからは違うというということは読む前からわかっているわけですから、録音図書でも、「引用・・・引用終わり」のように読み始める前に断りを入れるべきだと思います。 断り方は、「  」(カギカッコ・・・カギカッコトジまたはトジ)を読み込むなどケースバイケースです。 本1冊、全体を通してどのような処理が必要か判断してください。 ★7月の予定 『自宅録音チーム』 8日(火)『マトリョーシカ』 10時〜12時 16日(水)『はなみずき』 1時半〜3時半 24日(木)『二十四の瞳』 10時〜12時 『プライベートチーム』 9日(水)1時半〜3時 『スタジオ曜日別チーム』 28日(月)『月曜チーム』 22日(火)『火曜チーム』 16日(水)『水曜チーム』 24日(木)『木曜チーム』 18日(金)『金曜チーム』 26日(土)『土曜チーム』 『専門図書音訳チーム』 9日(水) 『理数チーム』 10時半〜12時 12日(土)『古典チーム』1時〜3時 18日(金)『東洋医学チーム』3時〜5時 25日(金)『英語チーム』10時半〜3時 26日(土)『パソコンチーム』1時半〜4時 『橋本勝利のフォローアップ講座』 9日(水)1時〜3時 ※随時受け入れ中 11日(金)1時〜3時 月曜日出勤当番 7/7(月)(清水)7/14(月)(林田) 7/21(月)(祝日)7/28(月)(清水) 「音声訳中級(図・表)講習会」(全5回)スタート 7月9日(水)10時〜12時 ※盲人情報文化センターの音声訳活動者対象 「音声訳初心者講習会」(全8回)スタート 7月7日(月)1時〜3時 ★校正について 第8回 大林 緑 「録音の順序」 原本奥付 注意1:墨字原本の最後にある奥付を記載してある順序に読む。 但し、次のものは省略する。 A.アルファベットで書かれた著作権者(C) B.落丁、乱丁の断わり C.発行者、印刷所、製本所 D.装幀者など 注意2:シリーズ名、書名、副書名は書かれている順序に関係なく最初に読む。 奥付にシリーズ名、著者名や書名、副書名、外国の原題の記載がなくても入れる。 シリーズ名は原本カードで確認する。 注意3:定価、本体価格の読み方は、記載通りに読む。 ※定価、本体価格は裏表紙などにあることが多いので注意する。 注意4:「刷」の読みはスリ(サツと読まないように) 例:第一刷=ダイイチズリ   ※書いてあるのは全部省略せずに読む。 注意5:郵便番号、電話番号、振替番号の読み方にも注意すること。 〒550−0002:「ユウビンバンゴウ、ゴーゴーレイ(ゼロ)ノ、レイレイレイニ(ゼロゼロゼロニ)」 電話(06)6464−7311:「デンワ レイ(ゼロ)ロク ロクヨンロクヨンノナナサンイチイチ」 振替 東京 1−49701:「フリカエ トウキョウ イチノヨンキュウナナレイ(ゼロ)イチ」 国際標準図書番号(ISBN)の読み方 ISBN4−334−0704 → 『アイエスビーエヌ、ヨン、ハイフン、サンサンヨン、ハイフン、レイナナレイヨン』 *注意:番号の終わりにXとある場合、X→「エックス」と読む。 Xは10とは読まない。 注意6:インターネットのホームページアドレスの読み方 「http://www.*****.」 「エィチティティピー、コロン、スラッシュ、スラッシュ、ダブリュウ、ダブリュウ、ダブリュウ、ドット*****」 ※「ホームページアドレス」のコメントは言わない ※記号の前になにも書いてない時は「アドレス」と言って読みはじめる。 ※大文字がある時には、その事をわかるように言い添える。大文字と小文字は区別しないと違う住所になることもあるので注意する。 ※数字を読む前に、「数字」と言う、「9」「Q」などの区別 ※固有名詞や意味のある単語の場合、最初に読んでから、綴りを読む。 (校正のポイント) 上記の「録音の順序」原本奥付で決められた通りに入っていますか? ◎書名は入っていますか? 原本によっては書名を原本奥付の枠外上部などに記載してある場合があり、枠内だけを読んだことで書名が抜ける場合があります。 ◎出版社のシリーズ名は入っていますか? 出版社のシリーズ名は原本奥付しか入れるところがありません。 記載がなくてもここで入れます。 ◎前枠で入れた副書名・著者のシリーズ名・外国語の原題も記載がなくても入れます。 次回は「終わりの枠」です。 ★シリーズ リスナーの窓(1) 福井哲也 映画『ヤスクニ』はどう書くの? 世間でずいぶん評判になった映画『靖国』ですが、これに関する雑誌記事の音訳を聞いていて、はて?と思ったことがありました。記事の冒頭で次のように読んでおられたのです。 「映画 ヤスクニ漢字 ヤスクニローマ字 の上映中止が相次ぎ…」 ネットで見ますと、この映画の題名は『靖国 YASUKUNI』と並べて書くようですね。だとしますと、上の読み方は実にルールに適合した正確な読みと言えます。しかし、一つの題を文字では二つ併記で書くというのは、少なくとも私にはかなり予想外でした。映画が二つあるのか、それとも題名とそれに付けられたルビを重ねて読んでいるのか、などと妙なことを考えてしまいました。日常活字に触れられない私にも違和感なく聞けるように説明を補っていただくとすれば、例えば、「映画ヤスクニ 漢字でヤスクニのあとにローマ字でヤスクニと書きます ヤスクニの上映中止が相次ぎ…」のような感じでしょうか。文字の説明も、内容に即した一工夫で“わかりやすさ”が違ってくるように思います。ときには、定型的な処理だけで大丈夫かな?と、ちょっと立ち止まり考えてみてはいかがでしょうか。 福井哲也(ふくい てつや)氏の自己紹介 日本ライトハウス点字情報技術センター編集主幹。主な業務は点字出版物の編集・校正で,もちろん点字は大好きですが,録音図書も子どものころからたくさん利用してきました。聞きやすく,わかりやすい録音図書にするにはどうすればよいかに強い関心があり,折にふれて利用者の立場からの提案を行っています。またDAISYについても,その魅力を十分に活かした利用しやすい図書を常に求め続けています。DAISYに対する熱い想いは,DAISY TOKYOのホームページ(http://homepage2.nifty.com/daisy_t/)の「利用者の声」欄にも掲載されています。 ★ Q&Aコーナー 質問:外国の国名アクセントは何をどう調べたらいいですか 答え:余り聞き慣れない外国名のアクセントなどどう調べていいのか困っている方もあるようです。 実は「NHKのアクセント辞典」(平成3年 第19版・9階辞書コーナーにある白色のアクセント辞典)の、付.3.1.3、に「外国の地名」として、国名、首都、州、地方、川などが50音順に掲載されていますので参考にしてください。但し、最新版のNHKのアクセント辞典(緑のアクセント辞典)には載っていません。 ★ 「音声訳中級(図表)講習会」のご案内 2008年度の「音声訳中級講習会」を下記の通り実施します。この講習会は盲人情報文化センターの音声訳講習会を終了し、一定期間、音声訳(編集・校正)活動を経験した方が対象です。 講習の内容は、図、表などの音声訳処理が中心になります。この講習会の受講希望者は、申し込み用紙に記入の上、係に提出してたくさい。               記 期 間:2008年7月9日(水)〜8月6日(水)まで、(全5回) 時 間:10時〜12時 定 員:15人程度 費 用:無料 講 師:多田礼子氏・福島博子氏(理数チーム) 締め切り:2008年7月5日(土) 申込方法:申し込み用紙に記入/ファクスOK ★ ただ今、利用者から製作依頼のある図書です! 下記の本は利用者から音訳依頼が来ている本です。どなたか音声訳に挑戦いただける方がありましたら、録音製作係(清水か林田)までご連絡ください。 『リンパ浮腫の治療とケア 150頁 』佐藤佳代子著 『ナースがおこなう糖尿病フットケア』羽倉 稜子著 ★ 日本ライトハウス展を8月30日、31日、そごう心斎橋本店で開催 デジタル録音に関する最新・多様な情報を一堂に展示・実演 日本ライトハウスでは、目の見えない方・見えにくい方のための総合福祉展「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2008」を8月30日(土)、31日(日)午前10時から午後5時、大阪市中央区のそごう心斎橋本店14階ギャラリーで開催します。 視覚障害者の方々へのボランティア活動も、近年、デジタル化の流れに乗って、デジタル録音、パソコン点訳、インターネットによる点字・録音データの配信、テレビ・映画への音声解説、マルチメディアデイジーなど、大きく拡がっています。 今回の展示会では、地域で活躍中のボランティアの皆様に、視覚障害者の方向けの機器に加えて、ぜひこうした最新情報をご紹介し、今後の活動に役立てていただきたいと願っています。 <音訳・録音ボランティア活動に関連する主な展示・実演> *最新の携帯型デイジープレイヤー4機種ほか=シナノケンシ、ケージーエス、エクストラ、アメディア *デジタル録音・編集システム=盲人情報文化センター(サンデータセンター)、シナノケンシ、音声解説、マルチメディアデイジー(奈良デイジー) *デジタル録音のインターネット配信システム=びぶりおネット、はやみみかわら版 *その他=日本国際児童図書評議会「世界のバリアフリー絵本」21ヶ国62タイトル、盲導犬とのふれあいコーナー 以上、『ろくおん通信』160号 おわり 戻る