ろくおん通信第163号テキスト版ろくおん通信第163号 2008年10月発行 製作 日本ライトハウス盲人情報文化センター 録音製作係 ★ 聞いてわかる図書を作るために(第27回) 図・表・写真の読み方 その3  久保 洋子 〔3〕本文中に入れる時はどこに入れるか 録音図書では墨字の本と違って、とばして先を読んだり、戻って読み返したりする作業は容易ではありません。従ってはじめから順に聞いて行けばいいような作り方をすることが理想です。 例えば、図や表を見ながら本文を読まないと本文が理解できないような時、本文のあとで図や表を入れたのでは困ります。 又、時には二つ以上の事柄を一つの図(又は表)にしたものがあります。墨字の本を読む時には、本文の途中で何度も同じ図(表)を見直すことになります。このような図(表)をはじめに出て来た時に全部説明して後は本文だけ読むのでは、後の方の本文は理解しにくいこともあるでしょう。このような場合には、はじめに図(表)などを入れる時に断って、一つの図(表)を何回かにわけて説明するという方法も考えられます。 ex.『図○○○の中に、A,B,C三つの図があります。ここでは図Aを説明し、図B,C は後の本文の関係のある所でそれぞれ説明します』 又、何代にもわたる大きな家系図ではこれを順に読んでいっても聞いている人の頭には残りません。小説などに出てくる系図では本文中にその人物がはじめて出てきた時に主人公との関係を言い添えるなど墨字の本を読む時に近い処理も考えられます。 この処理は大きな表、グラフなどでも使える場合があります。 ex.『○○を筆頭に○代にわたる○○家の系図があります。この録音図書では本文中にはじめて出て来た人物に主人公との関係を家系図から読み取って言い添えます。』 入れる所を決めて、説明の文章が出来たら、必ず一度前後の文章と続けて読んで見て下さい。思いがけない矛盾を発見することもあります。 図・表・写真などをどこに入れるか一つ一つ慎重に決めて下さい。 つづく ★11月の録音製作予定 『自宅録音チーム』 11日(火) 『マトリョーシカ』10時〜12時 19日(水) 『はなみずき』1時半〜3時半 27日(木) 『二十四の瞳』10時〜12時 『スタジオ曜日別チーム』 17日(月) 『月曜チーム』12時45分〜 25日(火) 『火曜チーム』12時45分〜 19日(水) 『水曜チーム』12時45分〜 27日(木) 『木曜チーム』12時45分〜 21日(金) 『金曜チーム』12時45分〜 29(土) 『土曜チーム』 12時45分〜 『プライベートチーム』 5日(水)1時半〜3時 ※ 第 1 水曜日に変更 『専門図書音訳チーム』 8日(土)『古典チーム』1時〜3時 21日(金)『東洋医学チーム』3時〜5時 5日(水) 理数チーム』10時半〜12時 21日(金)『英語チーム』10時半〜3時 ※11月12月のみ第3金曜日に変更 29日(土)『パソコンチーム』1時半〜4時 『橋本勝利のフォローアップ講座』 8日(水) 1時〜3時 ※随時受け入れ中 10日(金)1時〜3時 『北川富美代先生の読み方講座』 11月25日(火) 10時〜12時 『月曜日出勤当』 11/10(月)(清水) 11/17(月) (林田) ★校正について 11 大林 緑 注の入れ方につて 注は多くの場合文中の語句あるいは文章を補足するために書かれています。文中・文末・脚注・頭注・章末などに(注)(注1)(注2)(1)(2)などとして記載されています。入れ方としては本文の通りを妨げないこと、文意の理解に配慮した適切な入れ方が求められます。 (校正のポイント) ◎ どこに書かれている注がどこに入っていますか? 入れた注と入れた場所を原本の中にしるしをしましょう。 全部入っていますか? ◎ 文の内容や流れにふさわしい入れ方ですか? 入れ方 1.(注)の出てきたところで入れる :〜〜(注)。「注・・・・・注おわり」 2.(注)の所では入れずに文の切りのいい所で入れる :〜〜(注)〜〜〜。「注・・・・・注おわり」 3.用語の簡単な補足などの注は(注)は使わずその箇所に補足のみ入れる場合もある 4.出典や参考文献などの注を各項目の終わりに入れる場合もある   2回目以降「同」「前掲書」などとある場合は1回目と同じく入れる 5.同じ注を2回使っている場合がある。同じことを再度入れる 6.その他注の種類により工夫する ◎ 注を入れたとき「“チュウチュウ”聞こえて変です」とか「“チュウ”が2回入っています」などと校正であがることがあります。上記のアンダーラインを付けた文中の(注)は地の文の流れのまま静かに入れ、少し間を取って、入れる注をしっかり入れると区別がついてメリハリよく聞こえます。 ◎ 注の入れ方は、ずっと以前は声を落として小さく入れたり早口で言い添えたりしたこともありました。しかし注は本来本文の理解を深めるもの、内容によっては利用者の楽しみを増すものと考えれば、言い添えではなく本文と一緒に聞いて分かる注にするのが正しい入れ方だと思います。注が本文の流れにうまく乗るかどうかは入れる場所と入れ方にあります。 校正ではその点を中心に聞いてみて下さい。 次回は「カッコ」です。 ★ リスナ−の窓(4)  福井哲也 DAISYの“グループ”はどこに付けていますか? DAISYのセクションは大小の見出しに対応しますが、グループの使用目的はいろいろです。一般的には、@行あけの段落の区切り、A箇条書きの各項目、B図表の前後、C長い注の前後、などにグループを付けます。 ただ、実際に製作された図書では、効果が疑問なグループの使い方もたまに見られます。例えば、@に関連して、小説中の詩や手紙の前後の行あけの所にグループが付けられることがありますが、これはどうでしょう。その詩や手紙がストーリーの展開の節目になっていて、斜め読みするときの手がかりになるとか、あるいはそこに伏線があって後から戻って見る可能性があるのなら、意味あるグループといえます。でも、そのようなケースはむしろ少数です。時間の経過、場面転換などを表す行あけにはグループが有効ですが、本文と詩や手紙を区別するだけの行あけには、普通グループは不要と考えます。 また、Cの関連では、短い注で、本文に読み込む形で音訳するものについても、グループは不要です。「今や年俸一千万ドル(注:およそ十億円)を超える選手も珍しくない」といった例です。聞き手が注の頭を見つけたいとか、注の終わりまで飛ばしたいという必要性を感じる間もなく過ぎてしまうからです。 すなわち、原本で行があいているとか「注」が書かれているといった印刷上の形だけにとらわれるのではなく、その意味合いをつかみ、聞き手がどう利用する可能性があるかを念頭に、編集方法を決めていただきたいと思います。 ★Q&Aコーナー 質問 最近購入したパソコン(Vista)にこれまで使用していたインターフェイスの「UA-4FX」を接続したのですが、録音ができなくなりました。どうしたら解決しますか。 答え パソコンの「OS」が「XP」から「Vista」に変わっていろいろとトラブルも増えています。これまで「XP」のパソコンで「UA-4FX」のインターフェイスを使用していた方がパソコンを新しくして「Vista」で同じように使おうとするとそのまでは録音できません。 「UA-4FX」をパソコンに認識させるには、「UA-4FX」を購入した時に付属しているソフトをパソコンにインストールする必要があります。さらに「UA-4FX」本体の左側にある「ドライバー」を「ON」側にセットして使用します。<右図参照> (※注意 「XP」の場合は「OFF」にセットします。) ★係からのお知らせ 1.「ウェブスタジオ・なにわ」の実演講習会を受付中 「ウェブスタジオ・なにわ」の演習を10月より下記の内容で随時実施しています。希望者は係までお申し込み下さい。       記 日 時:随時(1回限り) 時 間:10時30分〜12時 場 所:8階 デイジースタジオ 定 員:2名 講 師:岡村 佳子(デイジースタジオ職員) ※2名の受講生が揃い次第、随時、講習を行います。 ※「ウェブスタジオ・なにわ」の資料をお持ちの方は、受講時にご持参ください。 2.「音声訳上級講習会」日程変更のお知らせ 音声訳上級講習会は11月12日(水)から19日(水)・26日(水)と予定していましたが、会場の都合で、以下のように日程が変更になりますのでよろしくお願いします。 第1回目、11月19日(水) 第2回目、12月 3日(水) 第3回目、12月17日(水) いずれも 10時〜12時 3.2008年度 専門音訳講座 「図表コース」のご案内 下記の日程で「専門音訳講座・図表コース」がはじまります。この講座を修了された方は盲人情報文化センターの「音声訳中級講座」を終了したものとみなします。受講資格は、音声訳基礎講座修了後、5〜6冊の録音図書を製作した方が対象です。希望者は係までお申し込み下さい。 日時:2008年11月4日(火)〜12月2日(火) 毎週 火曜日 午前10時〜12時・全5回 講師: 久保 洋子氏 4.プライベートチーム 定例勉強会の日程変更のお知らせ 11月より、第1水曜日午後に これまで、プライベートチーム定例勉強会は第2水曜日(午後1時半から3時)い行っていましたが、講師の都合で、2008年11月より定例日を第1水曜日の午後1時半〜3時に変更になりますのでよろしくお願いします。 5.データアップは確実に、自分の読んだデータを指定してからアップしましょう 時々、利用者からタイトルと違う内容がアップされていると苦情がでています。 これはデータをアップする時に、自分の読んだデータではなく、前日にアップした人のデータを自分の音源データと勘違いして送るようです。 「参照」をクリックした時のデータはかならず前の人が送信したデータが自動的に出てきます。「参照」開いたら、まず自分の作品名のフォルダを探して指定し、次に、読み終えた該当のファイル指定して送信してください。たまたま参照を開いたときに、同じ数字のファイルがあると勘違して他人のデータを送信するケースが増えています。こうした間違いを防ぐためにもファイル名はTake○○と数字を入力するだけでなく、必ず本のタイトルを付けるようにしましょう。 以上、ろくおん通信 NO.163号おわり 戻る