ろくおん通信第186号テキスト版ろくおん通信第186号テキスト版 発行日 2011年5月1日 発行: 日本ライトハウス情報文化センター録音製作係 〒550-0002 大阪市西区江戸堀 1−13−2 電話 (録音製作係直通) http://www.iccb.jp/ ★“聞いてわかる図書を作るために”(第43)  校正のポイント  久保 洋子 今回は校正について書きます。 はじめに、当り前のことですが三つのことを確認しておきます。一つは、できあがった録音図書の発行責任は情報文化センターにあること。もう一つは、録音図書の製作は、音声訳者、校正者、編集者の共同作業であること。三つ目は、目的は視覚障害者のために墨字の本の内容を正確に、できるだけ早く伝えることです。ここでは共同作業の一つとしての校正について考えていきたいと思います。 人間は誰しも間違いをおかします。人によって注意力にも差がありますが、いつも間違い一つもなく読める人はめったにいません。校正者の仕事のまず第一は、誤読を指摘することです。文字の誤読は勿論ですが、切り方・立て方が違って文意が正しく伝わらないことも誤読です。アクセントも含めて、原本の文意が正しく伝わるかをチェックして下さい。 アクセントについては、育った環境の違いなどによって感覚にずいぶん違いがあります。音声訳者としては、きちんと調べて一つの間違いもなく読むことを目指して下さい。校正者としては、アクセントが違うために、文意が間違って伝わる、または文意が伝わらない時には上げて下さい。文意は伝わるけれど違っているものについては、欄外または別紙に記入するなどして、音声訳者のこれからの作業に活かしてもらえればと思います。 アクセントの違いをすべて上げて、すべて訂正することによって、流れの悪い録音になるのではないかということも考えていただきたいと思います。 校正が人の誤りを指摘する作業であることから、気持ちの上で校正者が優位に立ってしまう(音声訳者がそう感じてしまう)こともありますが、校正は共同作業の一環として、あくまでも水平目線でお願いします。言葉遣い、書き方を自分でチェックしてみて下さい。 また、音声訳者と校正者との見解の相違ということもよくあることです。音声訳者は校正者の指摘をその都度よく考えて、訂正するかどうか決めて下さい。指摘が納得いかないことがあれば職員に相談して下さい。 また、読みについて問題があると思われた場合は、校正表に書く前に職員に相談して下さい。音声訳者、校正者、編集者が力を合わせて、視覚障害者のために役に立つ本を一冊でも多く作っていきたいと願っています。 【まとめ】 * 音声訳者の作ったソースをよりよくするための校正 * 訂正することによって、より正確な、聞き易い本になるか考えて訂正すること * 見解の相違、読みの問題、校正表に納得がいかないなど、疑問があれば職員に相談して下さい ★「 間(マ)」と「フレーズ」について  大林 緑 日頃編集やマスター校正をする際、もっと早くに音声訳や第2校正の段階で処理して下さっておればと思うことが時々あります。その中に「間のとり方」の不足があります。いいリズムで間が入って読まれている本はとても聞きやすいものです。 間は1フレーズ(おおよそ10秒前後)中の音のあとに続く無音部分(編集画面ではポーズ)のことを指しますが、ではフレーズと間はどんな関係があってどこに間が必要でしょうか 1 フレーズとは ある一定の長さで区切られた音声のかたまりです。区切り時間の設定によって音声のかたまりの数が増えたり減ったりします。録音の際45分でおよそ500から600のフレーズ数になるのを目にされたことがあると思います。 フレーズは音を感知したところで区切られ、1フレーズは音の長さ+そのあとのポーズ(音のあとについている無音部分。間)とで成り立っています。したがって500から600のフレーズ数は「音+間」「音+間」・・・の集まりということになります。 音の前に間が付くフレーズはありません。編集で修正部分をはめ込む時は、音とともに音のあとについている無音部分までをはめ込んで次の文に繋げます。無音部分は次の文との間になります。 口を開ける時のチッというようなかすかな口中音も感知してフレーズを作りますので、各データの始めには「〜○枚目」などを入れて本番で音が入らないようにします。 2 間はどこに必要か(本文中の読みの部分については省略します) 始めの枠→デイジー図書凡例→目次→  →の箇所の間 目次中の大項目の前 (他の項目の間より心もち空けることで次は大項目だと察知出来ます) 本文中の各項目の前後 著者紹介・原本奥付・終わりの枠の前後 データの変わり目は読みが終わったあと十分に間を取って「○枚目に続きます」とします。 (ここの間は編集すると次のデータの始まりとの間になり必須です) 修正部分だけを入れる場合、単独でも複数でも一つ一つ、あとに十分に間を取って入れます。 (前記のとおり編集では「音+間」のフレーズをはめ込みます) その他、次の箇所もほんの少し間を取ることで文にめりはりがつきます。 ・図・表・写真 の始めとおわりの前後 ・引用・引用おわりの前後 ・注・注おわりの前後 ・カッコ・トジの前後 ・字の説明の前後 など 3 編集ではどこまで出来るか 編集では原則として音声訳者が録音されたものに許可なく間を足したりはしません。ただし大き な項目の前の間が1秒もなかったり、また長かったりとまちまちな場合、また文中に長い間があいている場合などは編集者により調整することもあります。 編集の作業では、間が多い場合カットすることは比較的簡単に出来ますが、間が少ない箇所に足すことは容易ではありません。間が少ない場合はどこか間の多いフレーズから切り取り、足りない所にコピーし、切り取った所を元に戻し、そのあとビルドブックといってデータを整理する作業をし、足した間の部分を結合し、再度ビルドブックをして全体をまとめる、という手間のかかる作業をします。新たなミスにつながることもあり、編集で間を入れることは出来れば避けたい作業です。 また、雑音は音と重なっている場合は編集では取れません。重なっていなくても雑音部分をカットするとそれだけ間が少なくなります。音声訳・モニター・第2校正の段階でご注意下さい。 原本に沿いながら聞いて分かる本を作るということは、音声訳者・校正者・編集者それぞれがお考え下さっていることと思いますが、ここで書いた間については音声訳のあと校正でもあまりあがらずそのまま編集して発行を重ねているのが現状です。音声訳者もモニター者もなにとぞ心にとめて頂き、第2校正者は必ずあげて、修正の上編集に回して下さるようお願い致します。 なお不明な点についてはそのままにせず職員やグループのリーダーなどにお尋ね下さい。 ★週刊新潮の校正データ・訂正データのアップについて 週刊新潮は現在、全文音訳を実施しております。録音時間は毎週9時間半程度になっています。データは「ウェブスタジオ・なにわ」にアップしていますので「はやみみ瓦版」に登録している利用者はいち早く聴くことができます。 最近は「ウェブスタジオ・なにわ」で校正作業を行う方が増えてきました。そのことで編集者が未校正のデータを編集したり、音声訳者が訂正データをアップする時に、先にアップしたデータを削除するケースもあります。最初にアップしたデータのみ「はやみみかわら版」にアップされますので、先にアップしたデータが削除されると、「はやみみ瓦版」の利用者は聞けなくなります。トラブルをさける為に「訂正データ」をアップする場合には以下の様にお願いします。 1.校正用にデータをアップする方 ◎ファイルの名前は「項目番号」の後に「未校」という字を入れてからアップして下さい。これで編集者は分かります。修正したデータをアップする場合は、項目番号の後に「修正済」といれて範囲外でアップしてください。 2.アップした後から誤読が見つかってアップする場合 ◎訂正箇所のみ録音して、項目番号の後に「訂正データ」と入れてから範囲外でアップしてください。 ※範囲外でアップしたデータは「はやみみ瓦版」には配信されません ★4月から新たに配属された スタッフの紹介です 今年度から林田主任が総務に異動になり、サービス部の岡本主任が配属になりました。それに伴い、岡本主任のヒューマンアシスタントとして井下(いした)職員と、今年製作部長に就任した久保田部長が4月から8階の点字製作と6階の録音製作に机をおいて仕事をしています。 4月から録音製作のスタッフは音訳指導担当の安田知博、事務の米村孝子、清水の6人体制になりました。ボランティアの皆さんからは「職員室(?)が一気に賑やかになりましたね。」といった声も聞かれます(賑やかになったのは職員が増えただけではないようですが・・・)。今年度は6人のスタッフが協力して、録音製作の仕事を進めていきますのでどうぞよろしくお願いします。 今回は、新しいスタッフの3人に自己紹介をしてもらいました。(清水) ◎久保田 文  この4月から、録音製作係に机を置いている久保田文と申します。製作部全体(録音製作係、点字製作係、マルチメディアデイジーなどの電子書籍事業)の職員と連携をとるために、午前中は録音製作係で仕事をし、午後は点字製作係・電子書籍関連の部署で仕事をすることになりました。 猫が好き!遊ぶの大好き!仕事もそれなりに好き!な、アルコール燃料で動くアラフォーのおひとりさまです。パソコンはそこそこ使えますが、家電には壊滅的に弱く(4か月前にハードディスクレコーダー内臓のテレビを購入するまでは、頻繁にビデオ予約をしくじっていました。未だに、洗濯機を「すすぎ1回・水多め・ドライ・ふんわり乾燥」設定にすることができません)。今は、先日購入したiPhoneと激闘中です。 録音製作係では、入口に一番近い特等席をもらいましたので、皆さまが来館された時に一番にご挨拶したいと思います。一日でも早く皆さまのお名前とお顔を覚えられるよう、がんばります。どうぞ、よろしくお願いいたします。 ◎岡本 昇 4月から、録音製作係でお世話になっております。録音図書は昔から利用させていただいていますが、製作するのは初めてです。視覚障害当事者という立場を、製作にうまく活かせていけたらと思っています。早く仕事を覚えていきたいと思っておりますが、しばらくの間、ご迷惑をおかけすることが多いかと思います。どうかよろしくお願いいたします。 また、私のパートナーである、盲導犬のヴィオラも、よろしくお願いいたします。席の横にいますので、顔を見てやってください。 ◎井下 直美 はじめまして。4月から岡本主任のヒューマン・アシスタントとして勤務しております井下(いした)直美と申します。点字とのおつき合いは長いのですが、録音製作にかかわるのは初めてです。人・物・仕事・・・すべてが新鮮な出会いに、ちょっと停滞気味の脳を活性化しながら楽しく仕事をさせていただいています。少々(?)薹がたった新人ですがよろしくお願いいたします。 ◎盲導犬ヴィオラからごあいさつ! みなさんこんにちは!4月からお世話になっている私のお父ちゃん、岡本昇の盲導犬ヴィオラ(7歳乙女)です。どうぞよろしくお願いします! お父ちゃんのところに来て5年半になります。毎朝通勤ラッシュの中、寝ぼけ顔のお父ちゃんを引っ張って職場に通っています。人混みの中を安全に誘導するのは大変だけど、「グーッド!」と言って褒められると、「よっしゃ!」とやる気が出ます。階段があることを伝えると「グーッド!」、障害物を避けて歩いたときも「グーッド!」と褒めてくれます。時々失敗して、「ノー」と注意されると「しゅん」となります。でも、けっこう立ち直るのは早いのです。落ち込んでいたら、盲導犬は勤まりませんからね!6階にお越しの際は、私の顔を見に来てください! (お昼寝中だったらごめんなさい!) ★今年度から雑誌『消費と生活』を情報文化センターで製作します これまでハーバーひろの会に製作をお願いしていました季刊雑誌『消費と生活』(年6回発行)を情報文化センターで製作することにしました。ハーバーひろの会は他に『ラジオ深夜便』を製作されており、今年度から全文音訳されています。 『消費と生活』も今年度から全文音訳をめざして製作していきます。製作担当は音訳基礎講習会修了生がスタジオ録音の実践を兼ねて行います。2011年5・6月号は、ベテラン音訳ボランティアに音訳をお願いしますが、7・8月号からは自宅録音チーム「金糸雀(かなりあ)」に今年度の担当をお願いしていく予定です。来年度は、今年の秋の音訳基礎講習会の修了生が担当していきます。この雑誌の編集は山見順子さんが担当されますのでよろしくお願いいたします。 ★係からのお知らせ 1. 6階フロアの作業機器整備について 日頃の作業環境ができるだけ快適になるよう、以下のことを行います。ボランティアの皆様には、環境が変化することでご不便をおかけすることがあるかと思いますが、ご理解いただきますようお願いいたします。 ●編集用パソコンをネットワークに接続予定 「ウェブスタジオ・なにわ」から、音訳データや校正表がダウンロードできるようになります。 ●ネットワークプリンターを設置 ネットワークに接続したパソコンから、校正表などの印刷が可能になります。A4・A3用紙(片面)に対応しています。費用・資源のムダをなくす観点から @ウェブ校正表は、音声訳者、編集者、D校正者が必要な時のみ印刷。できるだけウェブ上で見る方法を活用願います。 AD校正に必要な「PRS画面の印刷も可能です。但し、入力項目が少ない場合は、画面で確認願います。 ●CDコピー機の入れ替え CD10枚に同時コピーできる「CDデュプリケーター」を設置します。これまで故障していたコピー機と入れ替えます。 2.「製作状況変更のお知らせ」の処理の件 最近、「ウェブスタジオ・なにわ」ですでに音声訳が完了しているのに「製作状況変更のお知らせ」が入ることがあると思います。これは「ウェブスタジオ・なにわ」に保存されている完成データを係で削除しているからです。 「ウェブスタジオ・なにわ」で扱っているデータ量が増えてきて空き容量が足りなくなり、読んだものをアップ出来なくなるなどのトラブルが発生している為です。連絡は見て頂くだけで結構です。何もする必要はありません ★係からのお願い 1.名札の着用をお願いします。 4月から新しい職員が増えました。また、これからスタジオで読む新人の音声訳者も増えていきます。お互いの名前を少しでも早く覚えて頂くためにも全員の名札の着用をお願いいたします。名札を無くされました方は職員にお申し出下さい。再発行します。 2.スタジオ・編集予約のお願い スタジオ予約表への記入がされていない方が増えています。スタジオの予約表は2ヶ月前から出しますので、スタジオが固定になっている方も必ず予約表に記入をお願いします。今後、いろいろな雑誌の録音などでスタジオを使用しての録音が増えていきます。今後、予約忘れで、当日来られて他の方が使用していた場合、スタジオは使用できませんのでご注意ください。 尚、予め休みが分かっている場合は×印を入れてください。×のスタジオは他の方が利用可能になります。 3 ボランティアアンケートのお願い 2011年度のアンケートを実施中です。アンケートは裏面も忘れずに記入をお願いします。アンケートに出された要望などを参考にしていきますので、多くの方の奇譚のないご意見をお聞かせ下さい。自宅録音チームの方には曜日別定例勉強会で配布いたしますのでよろしくお願いします。 ★編集後記 4月から『ろくおん通信』の編集担当になりました。今回は時間がなく6ページになりました。次号からは「編集委員会」を立ち上げて発行していきたいと思います。ご協力をよろしくお願いします。(清水) 以上で、ろくおん通信186号終わり