ろくおん通信第162号テキスト版ろくおん通信第162号 2008年9月発行 製作 日本ライトハウス盲人情報文化センター 録音製作係 ★ 聞いてわかる図書を作るために(第26回) 図・表・写真の読み方 その2  久保 洋子 3.具体的な処理の方法 では、墨字の本のそれと同じ役割を果たすことのむずかしい図・表・写真などを、具体的にどう処理するのか、ここでは処理の方法を考えてみます。 〔1〕図・表・写真などは文章化して録音する 図・表・写真などはいずれも音声訳者が文章化してそれを 読むことになります。音声訳者が文章化する時に注意すべき点として、 ・図か、表か、写真か、 ・原本のどのページにある図(表・写真)か、 がはっきりしていることが大切です。又、音声訳者の文章は 本文とはっきり区別で きなければなりません。 図・表・写真などの説明文を音声訳者の文章のあとで読んだ 方がいいような時には、「説明文を読みます」と断わって読み ます。ここでも原本の説明文と音声訳者の文章とがはっきり区別できなければなりません。 〔2〕全体の構成について 全体の構成は、 1 図・表・写真などが原本にどのような役割をしているか、 2 図・表・写真などを含めて原本の内容を正しく伝えられる か、 3 利用者の使い勝手はよいか、 などを考慮して、慎重に決定して下さい。全体を通して矛盾がないかも必ず確認してください。 図・表・写真などを文章化するとその内容が本文と重複することがあります。又、複雑な図、大きな表などは説明の文章が大変長くなります。 このように、すべての図・表・写真を本文中で説明することは必ずしも適当でない場合も多いのです。そこで、ここでは全体の構成の仕方として考えられるいくつかの処理を上げてみます。 (1)すべての図・表・写真などを本文中の適当な所で説明する。 (2)説明が本文と重複する図・表・写真などは説明を省略する。 本文中でページ、タイトル等を読み「説明は以下の本文にあります」「図は以上の本文をあらわしたものです」などとコメントを入れる。 (3)デイジー図書凡例で処理の仕方を断る。 以下のような場合にはあらかじめ処理の方法をデイジー図書凡例で断ることが必要です。 @タイトルも含めて図・表・写真などを省略する。 ex. 『各項目ごとに執筆者の顔写真がありますが省略します』 ex.『本文中に○枚の図がありますが内容が本文と重複するので省略します』 注意! どんな図(表・写真)があるのか、省略する理由をそえて断って下さい。 A章、節など項目ごとに図・表・写真などをまとめて録音する。 つづく ★10月 の録音製作予定 『自宅録音チーム』 14日(火) 『マトリョーシカ』 10時〜12時 15日(水) 『はなみずき』 1時半〜3時半 23日(木) 『二十四の瞳』 10時〜12時 『スタジオ曜日別チーム』 27日(月) 『月曜チーム』12時45分〜 28日(火) 『火曜チーム』12時45分〜 15日(水) 『水曜チーム』12時45分〜 23日(木) 『木曜チーム』12時45分〜 17日(金) 『金曜チーム』12時45分〜 25日(土) 『土曜チーム』12時45分〜 『プライベートチーム』 8日(水)1時半〜3時 『専門図書音訳チーム』 18日(土)『古典チーム』1時〜3時 17日(金)『東洋医学チーム』 3時〜5時 22日(水) 『理数チーム』10時半〜12時 24日(金)『英語チーム』10時半〜3時 25日(土)『パソコンチーム』1時半〜4時 『橋本勝利のフォローアップ講座』 8日(水) 1時〜3時 ※随時受け入れ中 10日(金) 1時〜3時 『北川富美代先生の読み方講座』 9月〜09年3月まで実施 10月28日(火)10時〜12時 月曜日出勤当番 10/ 6(月) (林田) 10/13(月)祝日で休館 10/20(月)(清水) 10/27(月)(林田) ★校正について 第10回 図・表・写真 大林 緑 校正者として図・表・写真の説明を聞く場合何より大切なことは、その説明によって内容がどの程度頭に描けるかにあります。まず本を見ないで聞いて見て下さい。それから原本と照合してください。 (校正のポイント) ◎本文中のどこに入っていますか?  適切なところに入っていますか? ◎説明内容は聞いて分かりますか?  書かれている内容通り、見て分かる範囲、の説明をしていますか?  主観的な説明はありませんか?自分の知識や自分で調べたことを説明に加えていませんか? ◎入れ方のスピードはどうですか?早すぎませんか?  音声訳者は事前に十分な検討の末作文しています。それを録音するとき、ともすれば地の文と同じようにすらすら入れてしまいがちです。  説明に入る前・項目の前後・図などで場面が移動する箇所の説明・終わって本文に戻るときなどは心持ち間を取ったほうが聞きやすい。 ◎説明文の1センテンスが長すぎませんか?  なるべく簡潔な文を順序良く重ねていくほうが分かりやすい。 ◎主語・述語は整っていますか? ◎図の説明を一部または全部省略するとき省略のことわりを入れていますか? ◎決められた入れ方が出来ていますか? 基本的な入れ方の順序 1.「○○ページ図(表・写真)」 2.図・表・写真の「タイトル」 3.「出典〜〜」(記載されている場合) 4.著者の説明文があれば入れる(“説明”とはしないで入れる) 5.「説明」(音声訳者の説明を“セツメイ”として始める) 6.説明を入れる 7.「図おわり」(表おわり・写真おわり) “説明終わり”ではない 複数の図などを入れる場合や、途中で著者の説明文を入れたりする場合などさまざまあります。原本の記載内容により入れ方を工夫します。 次回は「注」です。 ★ リスナーの窓 (3) 福井哲也 傍点は何の為? 注:以下の例文で,傍点が付けられた文字は{ }で囲んで示します。 今回は傍点を取り上げます。 例文1 キャッシュカードの{暗証番号}は絶対に他人に知られないようご注意ください。 例文2 記者はサミット会場から,アフリカの食料問題への先進国の取り組みについてレポートした後,その日の晩餐会の{御馳走}のメニューをこと細かに紹介していた。 例文1の傍点は強調のためであり,例文2ではやや皮肉めいたニュアンスを表しています。これらは,傍点の付いた言葉をやや強調して読んだり,文の区切りまで読んだ後に「○○に傍点」と言い添えるなどの方法で音訳するのが望ましい例です。 ところが,先日次のような例に出合いました(文は適宜変えてあります)。 例文3 二人はすぐに{はなれ}に通されました。 例文4 こうして三郎は田中家の{むこ}養子に迎えられたのです。 これらで,文末に「はなれに傍点」「むこに傍点」と言い添えていたのです。しかも,「はなれ」や「むこ」が出てくる度に。文意全体から見て,これらの言葉を常に強調する必要はなさそうです。後でわかったのですが,これは子ども向けの本で,漢字が少ないため読みにくい部分に傍点が打たれていたのです。 このようないわば“墨字の都合”で付けられた記号を音訳することは,意味がないばかりか,原本にはない妙なニュアンスを加えてしまう結果となります。この傍点は音訳では無視するという判断が必要だったと思います。本によっては,傍点がいろんな意味合いで使われていることもあります。このような場合は,箇所ごとの判断が必要です。原本の字面に惑わされず,筆者の意図を読み取るようにしてください。それが原本の意味を的確に伝える音訳につながるはずです。 ★ お詫び リスナーの窓 (2)で、福井氏の書き直しの原稿を頂きながら、書き直し前の原稿を印刷した分を郵送の方に発送していまいました。今回、郵送の方には「リスナーの(2)の書き直し文」を別紙で同封しております。お詫びして訂正させていただきます。 ★Q&Aコーナー 質問 「Recdia」で録音していますが、録音途中で突然フレーズが切れなくなることがあります。切れても1フレーズ極端に長くなったりします。直すにはどうすればいいのでしょうか。 答え 録音途中で、突然、フレーズがおかしくなった場合、一旦、録音設定をやり直してくまださい。録音環境がかわって周りの騒音が大きくなっている場合もあります。フレーズがおかしくなったものを正常にするには、 @一旦、「Recdia」を終了し、A該当のフォルダをあけ、フレーズデータ(拡張子、mrk)を削除してください。B次に「Recdia」を立ち上げ、該当のファイルを確定するとフレーズが新たに作られます。それでも直らない場合、マイクなどの雑音も考えられます。マイクの電池が消耗しても雑音が発生しますので、電池が古い時は変えると直る場合があります。 ★係からのおしらせ 1.自宅音声訳者を対象にしたウェブスタジオ・なにわ」の実演講習会を実施します。 「ウェブスタジオ・なにわ」の演習を10月より下記の内容で実施します。希望者は係までお申し込み下さい。       記 日 時 :随時(1回限り) 時 間 :10時30分〜12時 場 所 :8階 デイジースタジオ 定 員 :2名 講 師 : 岡村 佳子(デイジースタジオ職員) ※2名の受講生が揃い次第、随時、講習を行います。 ※「ウェブスタジオ・なにわ」の資料をお持ちの方は、受講時にご持参ください。 2. デイジー編集者養成講座のご案内 盲人情報文化センターでは下記の内容で「デイジー編集者養成講座」を実施します。 この講座は、 @終了後、自宅でデイジー図書の編集が可能な方 A講座は4回で終了しますが、講座終了後も、一定期間来館していただき、編集作業が可能な方(来館で、2、3冊作品を完成させる) 以上の条件が可能な方で、この講座を希望される方は係までご連絡ください。            記 期間:2008年10月9日(木)〜10月30日(木) 全4回 毎週木曜日1時〜3時 講師: 森和子氏、他、盲人情報文化センターボランティア 定員:5人  ※参加者が多い場合は、11月も実施予定 講習内容・4回の講座で簡単な作品を使って一つの作品を仕上げる。・講座修了後は、火曜から土曜の間で編集機が空いていて本人が来館できる曜日に来館(半日、又は1日)して頂き、デイジー図書を2、3冊程度完成させていただきます。 ・その後、自宅編集可能との判定が出た方から順に自宅で編集にかかっていただきます。 ・必要なソフトは館から支給します。 3.音声訳上級講習会のお知らせ 盲人情報文化センターの音声訳の活動を10年以上されている方が対象です。受講希望者は係までお申し込み下さい。 尚、本講座は内部向けの講習会です。外部の音声訳ボランティアは受講できません。 日時:2008年11月12日(水)、19日(水)、26日(水) 全3回 10時〜12時 会場:盲人情報文化センター6階 講師:久保 洋子氏 定員:20人程度 4.2008年度 専門音訳講座「図表コース」のご案内 専門音訳講座の「図表コース」を9月からと前回ご案内していましたが、下記の通り日程が決まりました。この講座の受講を希望されます方は係までお申し込み下さい。 日時:2008年11月4日(火)〜12月2日(火)    毎週火曜日午前10時〜12時 全5回 講師:久保 洋子氏 5.連絡表を入れるときは、同じ名字の方にご注意ください 来館ボランティアへの連絡は、個人ボックスに入れて連絡をしていますが、時々は、同じ名字で違う人に連絡表をいれトラブルが起きています。(デイジーの校正依頼したが、なかなか上がってこない。訂正依頼したがなかなか訂正してもらえない。・・・・)こうしたトラブルは名字が同じボランティアに間違って連絡表を入れて起きています。改めて来館ボランティアで同じ名字のボランティアを上げますのでご注意ください。 植田さん 小山さん/川端さん/多田さん 那須さん/前田さん/山口さん ※連絡表はフルネームまで確認して入れるようにしましょう。また、連絡表は名前のある上の棚に入れてください。時々、名前のある下側の棚に入れられる方があります。 以上 ろくおん通信No.162号おわり 戻る