ろくおん通信第183号テキスト版ろくおん通信第183号テキスト版 2010年11月1日 発行 ※2010年度は奇数月のみの発行予定 日本ライトハウス情報文化センター 録音製作係 〒550-0002 大阪市西区江戸堀 1−13−2 (6階) TEL 06−6441−0015(代表) TEL 06−6441−1017(直通) FAX 06−6441−1027 (直通) ホームページ:http://www.iccb.jp/ 編集人 林田 茂 ◆◇ 主なトピックス ◇◆ ● 『サピエ』本格始動 ● 聴いてわかる図書(41) ● リスナーの窓(23) ● Q&A ● 『ボランティア研修会』のお知らせ ● 各例会および勉強会の日程 ☆『サピエ』本格始動  https://www.sapie.or.jp/ 当館の機関誌『ワンブック』でも何度かご紹介していましたので、ご存知の方もおられると思いますが4月1日より、視覚障害者情報総合ネットワークの『サピエ』がスタートしました。 これにより、目の見えない人・見えにくい人のみではなく、さまざまな理由で読書に困難のある人々の読書環境(情報環境)が劇的に変化することが期待されています。 【『サピエ』の4つの大きな特徴】 〇サピエ図書館 録音・点字図書のネットワーク配信 図書の目録検索 図書のダウンロード オンラインリクエスト(貸出予約)など ◇図書館の開館時間を気にしないで、読みたい図書を読みたい時に読書できます! 〇地域・生活情報 全国的な視覚障害関連情報や地域密着型の情報を提供していきます。 〇図書製作支援 「読み方調べ」「検索サイト一覧」 「辞書横断検索」 図書製作に役立つ情報が盛りだくさんです。 『ろくおん通信 180号』にも関連記事 〇お役立ちリンク集 視覚障害当事者やボランティアに役立ちそうな、視覚障害関連の情報ページを集めたリンク集です。福祉制度、用具、機器、盲導犬、娯楽に関するさまざなページが登録されています。 ●サピエモバイル 「サピエ」は携帯電話でも利用することができます。これは「サピエモバイル」というサービスで、携帯電話の機種にかかわらず、図書の検索やオンラインリクエストなどを利用することができます。 また、10月からは「サピエモバイル・デイジー館」のサービスも加わり、図書のダウンロードサービスが開始されました。 ※「サピエモバイル・デイジー館」の利用は、NTTドコモの“らくらくホン”の一部の機種が対象になります。 ☆聴いて分かる図書(41) 役立つボランティア活動について 〜 読み終わるまでの時間配分をしっかり考える 〜 久保 洋子 今回は原点にもどって役に立つボランティア活動について考えてみたいと思います。私達情文の録音製作では200人をこすボランティアが日々録音、校正、編集などの作業に励んでいます。 ボランティアとはいえ、録音図書製作にはかなり高度な知識と技術が必要で、思い立ってすぐ出来るというものではありません。一定の研修を経て実際の作業に入るのですが、一冊一冊ちがう本を利用者に役立つ録音図書に仕上げるには経験が必要です。 原本通り読むといっても、本はあくまで目で読むように作られています。これを音にして、目で読んだ時に得られるのと同じ情報が耳からきちんと伝わらなければなりません。図や表、写真、漢字の同音異義語、様々な注、引用文、カッコ、傍線、傍点、それに何人もの会話等々、目で見れば誰でもわかるのに音にして理解してもらうのは簡単ではありません。 情文では音訳者の皆さんに校正をお願いしています。他の人の読んだものを聞くことでどんな読みがわかり易いのかわかります。図や表その他の処理の仕方も新しい発見があるかもしれません。読んでいるだけの何倍もの経験を積むことが出来ます。どうか積極的に校正をしてください。新人の方にも挑戦していただきたいと思います。 今、スタジオ録音の方も自宅録音の方も曜日別に月1回程度、勉強会が行われています。録音図書製作の世界も日々変化しています。時代おくれにならないように、又、他の人の悩みや経験をきくことが大いに勉強になります。全員参加が原則です。もし内容がつまらないと感じられたら、会の持ち方、テーマをどんどん提案して下さい。いい勉強会ができるよう皆で盛り上げていきたいと思います。 最後に製作期間のことをお話したいと思います。録音は下調べからはじまって、とても時間のかかる作業です。自身の体調、家庭の事情など、どうしても作業のできないこともあると思います。でも一冊の本に一年以上もかかってしまったのでは読み上がっても利用価値がなくなっているものもあるでしょう。 このボランティアを長く続けるには自分の生活の中に録音する時間を例えば週何回、何時間と無理なくきちんと取れることが必要です。自宅録音ではこのことは大変むずかしいことです。暇な時に読もうと考えていたのでは、いつまでたっても出来ません。10時間程度の本なら長くても三ヶ月以内には出来るくらいの目安で時間配分を考えてみて下さい。家で一人で読んでいると自分の読みに満足できなくて何度も読み直したくなります。でも、今読み直してもそんなに上手にはなりません。十分下読みをして録音したら、間違いでなければ今回はそのまま先へ進んで下さい。どんどん読めばどんどん上達します。正確できき易い図書と同じように、早く出来上がることも大切です。 自分を棚に上げて言いにくいことを言いました。録音図書製作は共同作業です。一人一人がスキルアップすると同時に皆で力を合わせて利用者のために役立つ録音図書を少しでも多く作っていきたいと願っています。 ☆― 大阪市地域福祉推進功労表彰 ― 受賞おめでとうございます!! 当館の録音ボランティアでもあり、『聴いてわかる図書』でも原稿をお願いしている久保 洋子さんが、この度、大阪市地域福祉推進功労表彰を受賞されました。 同じく点訳ボランティアでは澤田祐子さんが受賞されています。 今回の表彰は、ボランティアとして、過去15年以上にわたり活動を行い、現在なお活動されていて、功績が顕著である方に贈られるものです。授賞式は以下の日程で行われました。 平成22年度 大阪市社会福祉大会 授賞式:平成22年10月20日 場所:大阪国際交流センター 主催:社会福祉法人 大阪市社会福祉協議会 日ごろのご精進の成果と、関係者一同心からお喜びするとともに、今後ますますのご活躍とご健勝をお祈りいたします。 ☆リスナーの窓(23) フレーズの効用 福井 哲也 DAISYにおいてフレーズとは、小さなひとまとまりの音声のことです。DAISY編集をする人は、フレーズを音声の削除や入れ替えの単位ととらえていると思います。一方、聞き手から見ると、このフレーズがDAISY資料の中を動く最小単位です。ちょっと戻したり飛ばしたりするときに、言葉の切れ目から再生してくれるので便利です。DAISY編集ソフトでは、録音の際、声の間(ま)を検出し自動的にフレーズに分けてくれます。これは文の意味のかたまりとは必ずしもぴったり一致しませんが、普通の文章ならそれでも実用上なんの問題もありません。しかし、どの範囲を1フレーズにするかを編集者がしっかり意識しなければならない場面がいくつかあります。その中で今回は目次と索引を中心に、フレーズの効用について考えます。 目次は、「第1章○○ △ページ」という1つの見出しとページ数を1フレーズにまとめます。目次は、その本の構成を知るために通して聞くこともありますが、目的の箇所を探すため飛ばし聞きをすることもよくあります。その際、1項目1フレーズにしてあると、前後の見出しにワンタッチで行ける(移動操作をしたとき必ず見出しの頭から再生される)ので、とても効率的です。 索引は、「索引」という見出しをレベル1の見出し、その中の区切り―たいてい「ア行・カ行……」をレベル2の見出しとした上で、各項目とページ数を1フレーズにします。例えば料理の本の索引で「椎茸の肉詰め」を引くときは、「索引」の頭からまずレベル2の見出し移動で「サ行」まで行き、そこからフレーズ移動で進みます。最初は「薩摩汁・里芋の煮っ転がし……」と「サ」で始まる項目が並んでいますので、フレーズ移動のキーを軽快に何度か押し、文字通り「サ/サ/サ」と飛ばして、「シ」と聞こえる所まで来たらスピードを緩め、目的の項目を探します。このような検索をてきぱき行うために、フレーズ編集はとても大切なのです。 一方、フレーズでまとめるのには不向きなものもあります。例えば、本文中に読み込む注がそうです。注部分を1フレーズにまとめますと、それをスキップしたい人には有効かもしれませんが、注の中を少し戻したり少し進めるという動きができなくなってしまいます。一息で読めてしまうような短い注ばかりならそれは問題になりませんが、そもそもそんなに短い注にスキップの仕掛けは不要といえます。注の処理にはいくつかの手法がありますが、本文中に読み込む注にスキップの仕掛けをするなら、グループを使うべきです。表の各セル(升目)を1フレーズにするのも、セルごとの語句やデータが短ければ有効な方法ですが、一つのセルに複数の要素が入っている場合などは、かえって使いにくくなってしまいます。フレーズをまとめるとフレーズ単位にしか動けなくなるということを念頭に、編集方法を決めてください。 フレーズ移動の操作はプレイヤーの機種により違いますし、全ての聞き手がこれを意識的に活用しているわけではないでしょう。ですが、先に述べた目次・索引などは、1項目1フレーズにすることで使い勝手が大いに向上するのです。 ☆自己校正チェック表が新しくなりました。 1.デイジー編集チェック表、   (裏)画面校正チェック表 2.デイジー校正チェック表 ※前号でもお伝えしていましたが、チェック表も製作ボックスへファイリングをお願いします。 ☆完成後はデイジー図書(MP3)と元データ(PCM)を提出してください。 MP3の圧縮データに比べて、元データ(PCM)はデータ量が多いので、ほとんどの場合CDには収まりきれません。(CDに入る場合は、CDでかまいません) DVDを用意していますので、DVDにまとめて保存して提出ください。 ※メモに、「書名」「PCM22.05」「発表年月」をご記入ください。 ※元データの提出後は、ご自分のHDDのデータは削除していただいてかまいません。 ☆Q&A 質問 いろいろな形で、デイジー図書が聴けるようになっていますが、利用者の方はどのような機器を使われていますか? 答え いくつか代表的な再生機器(再生方法)をご紹介します。 【PTR2】 録音ができるデイジー再生機 ・音楽CDも再生可能な録音再生機 【PTN2】 デイジー再生専用機 ・カバーを装着して簡単操作ができる 【PTP1・ブックセンス】 手の中に収まるデイジー再生機(録音可) ・持ち歩きにとても便利! 【携帯電話】 サピエモバイル ・携帯でも「サピエ」が利用可能! 【ICレコーダー】 ・デイジーに対応した機種もある 【iPod などのMP3再生機】 ・デイジー形式ではなく、セクションを一つのファイル(曲)として再生することができる。 【パソコン】 ・再生ソフト 『ネット・プレクストーク』 『マイ・ブック』 『LPプレイヤー』 『AMIS』 など 質問 「ウェブスタジオ・なにわ」で録音したものをアップしていますが、編集者からの校正や枠アナなどのデータはどのようにしてアップしますか? 答え 「ウェブスタジオ・なにわ」の中で校正表をやりとりして修正したデータは「修正済音訳データを送信する」で送信できます。 しかし、「ウェブスタジオ・なにわ」の校正表を使わず、従来の紙の校正表などで、校正表のやりとりをネットワークを使わず修正したデータは「修正済音訳データを送信する」では送信できません。 この場合、“音訳データ送信”の「製作範囲外」で音訳データを送信してください。  「製作範囲外」でデータをアップする時  @「音訳データ送信」→「参照」をクリック ※図書のタイトル確認  Aファイル名の変更: 訂正した音源ファイルの頭に「訂正」と入れる。  Bファイル名を変更したデータを指定して「開く」で参照に取り込む。  C 製作範囲外にチェックを入れ、ページ欄には何も記入しないで送信する。 ☆近畿視情協 ボランティア・職員研修会のお知らせ ◆プログラム◆ 日時:平成22年12月2日(木)9:00〜17:00 会場:玉水記念館 【午前の部】 9:00 受付開始 9:30 開会 9:35 全体会1「音訳・点訳のためのインターネット活用講座 〜 インターネットを利用した“読み”の調査とコツ〜      講師:平松陽子氏(「音訳の部屋-読み方辞典」制作者) 【午後の部】 13:30 全体会2「サピエが拡げる情報の世界」(仮題)       講師:加藤俊和 氏       (京都ライトハウス参与、サピエ事務局長、日本点字委員会委員)       内容:「てんやく広場」から「サピエ」への歩み       :サピエ全体のはなし       :利用者にとってのサピエ       :図書館の職員やボランティアにとってのサピエ 15:30 録音分科会       内容:「音訳マニュアル活用方法」       講師:小林妙子 氏(デイジー枚方) ※ 希望される方は、職員までお申込みください。 ☆各例会および勉強会の日程 <スタジオ>火曜日チーム  第3火曜日 12時45分から 水曜日チーム  第2水曜日 12時45分から 木曜日チーム  第3木曜日 12時45分から 金曜日チーム  第3金曜日 12時45分から 土曜日チーム  第1土曜日 12時45分から <自宅録音チーム>マトリョーシカ   第2火 10時〜12時 はなみずき     第3水 13時〜15時 二十四の瞳     第4木 10時〜12時 金糸雀(カナリア) 第2金 10時〜12時 古典チーム 第2土 13時〜15時 東洋医学チーム  第3金 14時30分〜16時30分 英語チーム     第4金 10時30分〜15時30分 理数チーム     隔月の水10時30分〜12時 パソコンチーム   最終 土 13時30分〜15時30分 音声解説チーム   第1金(偶数月)10時〜12時              第1金(奇数月)13時30分〜15時30分 中井はつみの勉強会 第1水 13時〜15時 橋本勝利のフォローアップ講座 第2水 金 13時〜15時 安田知博の読み方勉強会 第1,3 月 13時〜15時 ※日程は変更になる場合がありますのでご注意下さい 以下、ホームページよりご覧いただけます http://www.iccb.jp/ ◆講習会情報 ⇒ 『耳より情報(講習会のお知らせ)』http://www.iccb.jp/info/mimiyori.html ◆ろくおん通信 ダウンロード版(テキスト版あり) ⇒『録音製作係 ろくおん通信』 ろくおん通信 183号 終わり