ろくおん通信第175号テキスト版ろくおん通信第175号 2009年11月発行 製作 日本ライトハウス情報文化センター 録音製作係 ★“聞いてわかる図書を作るために” 第36回 久保 洋子 漢字の補足を考える ○ 観世元雅作の「隅田川」(金春流は「角田川」)のあらすじである。 この文章の隅と角の字の違いを説明する時、普通に使われている「隅」の字は説明しないで、「角」の方だけ説明していることがよくあります。日常、漢字にふれる機会の多い私たちには「隅田川」は普通の書き方で、普通でない方を説明すればいいと思ってしまいがちです。勿論、利用者の中にも漢字に強い方もたくさんいらっしゃいますが、中にはそうでない方もいらっしゃいます。片方だけ説明されると、もう一方はどんな字か気になります。両方の説明をしてください。 ○ 融の諱をもって太融寺と号した。 これも目で見ればトオルとユウが同字であることはすぐわかりますが、耳できくと何のことかわかりません。目で見ればわかるけれど、音になるとわからなくなることについては、注意深く、補足を入れてください。 ○ 楳茂都流の名は梅(楳)の茂る都から来ている。 これも、ウメモトの「モはシゲル」「トはミヤコ」を補足しないと文意が伝わりません。 漢字の文意を音訳すると、すべてかなで書かれた文章と同じものになります。アクセント・イントネーションで伝わることもありますが、文字(漢字)を見ているから伝わるということもたくさんあります。 補足の入れ方はケースバイケースで様々ですが、どこに補足が必要かは音声訳者自身が気付かなければなりません。このためにはやはり、利用者と同じ立場で、録音図書をきく経験が役に立つと思います。校正の時、はじめの45分だけでも、本を見ないできいてみて下さい。活字と向き合っている時とはちがった発見があり、それが自分の音声訳に役立つのではないかと思います。 ★12月 録音製作予定 『自宅録音チーム』 8日(火) 『マトリョーシカ』1時〜3時 16日(水) 『はなみずき』1時半〜3時半 17日(木) 『二十四の瞳』11時〜12時 『スタジオ曜日別チーム』 15日(火)『火曜チーム』12時45分〜        『水曜チーム』お休み 17日(木)『木曜チーム』12時45分〜 18日(金)『金曜チーム』12時45分〜 19日(土)『土曜チーム』12時45分〜 『プライベートチーム』 2日(水)定例勉強会  1時半〜3時 ※ 講師 中井 はつみ 氏 『専門図書音訳チーム』 4日(金)『音声解説チーム 』1時半〜3時半18日(金) 『東洋医学チーム』3時〜5時 27日(金)『英語チーム』10時半〜3時 19日(土)『パソコンチーム 』1時半〜4時       『 理数チーム』お休み       『古典チーム』12月はお休み 『橋本勝利のフォローアップ講座』9日(水)1時〜3時 ※随時受け入れ中 11日(金)1時〜3時 12月の月曜当番 12月7日、21日 林田 12月14日 清水 ボランティア活動は 12月19日(土)迄です。 但し、週刊新潮の録音は、12月21日(月)、22(火)まで スタジオは使用できます。 ★画面校正について その7 大林 緑 画面校正 N〜O Nフレーズの切れ方 :インポートのノイズレベルは「−32dB」を基本とする。 :1枚目をインポートしてフレーズの切れ方の状態を見る。 20秒、30秒などの長いフレーズが多く見られる場合はインポートの設定を変更したのち、再度インポートをやり直す。 フレーズが長いと、少しだけ戻って聞きたい場合に支障を来すと共に、ページ付けも1〜2行の違いが出て来る。 :無音フレーズが多く出る場合もインポートの設定を変更したのち、再度インポートする。 どこまで1フレーズにするか ◎原本中にある、箇条書きになっている部分や、文献や参考目録や年表などを編集するとき、どこまで1フレーズにすればいいか迷うことがある。 判断の仕方は利用の便利さにある。フレーズで前後に移動して聞きなおす場合を考慮する。 ◎索引などの場合はフレーズで次々送るほうが便利。しかしたとえばURLのスペルなどを確認するため1フレーズ戻ると、その度に1行ほども戻ったのでは大変不便を感じる。 見た目で整えてしまわず利用しやすい形を考える必要がある。 ◎ただし原本中の処理の都合で1フレーズにする必要がある場合や、またそのほうが便利な場合はその処理に準じる。 Oその他 :CDケースの表紙は指示された項目通りに記入して下さい。 :編集者から音声訳者に依頼する「新デイジー図書用の連絡表」の中の「デイジー図書凡例を入れて下さい」では、録音の順序の中の「デイジー図書凡例について」を参考に作成して依頼して下さい。 音声訳者も編集者から依頼があったら、書かれたままを読まず、誤りがないか確認してから入れて下さい。 :編集者は編集終了後ブックトラックにのせる時は以下のものを付けて下さい。 ・CDと原本 ・音声訳開始前に行なう処理(青色) ・デイジー編集者の処理(青色) ・新デイジー図書用の連絡表(白色) ・第2校正表(白色) ・編集者の校正表(ピンク) ・デイジーマスター校正表(黄色) 以上 ★リスナーの窓(16) 福井哲也 インフルエンザと「/」 今年は新型インフルエンザが世間をさわがせていて、新聞・雑誌の記事にも頻繁に登場しています。そんな中で、今回は次のような例文を考えてみます。 例1:この研究では、02/03年冬のインフルエンザ・ワクチンの有効率は70%だったとされる。(02/03年に下線) 例2:新型インフルエンザA/H1N1の流行が最初に確認されたのはメキシコである。(A/H1N1に下線) もし、この下線部分を「ゼロニ・パー・ゼロサンネン」「エイ・パー・エイチイチエヌイチ」と読んだとしたら、どうですか。実は、これらの「/」を「パー」と読むのは誤りなのです。なぜでしょうか。 パー(per)とは、「〜につき」「〜あたり」という意味の言葉です。ですので、「3m/sの速さ」は「サンメートル・パーセコンド」(1秒につき3mの意)と読みますし、「印刷速度40枚/分」も「ヨンジュウマイ・パーフン」と読めます(後者は「毎分40枚」も可ですが)。 ところが、例1の「02/03年」は、02年から03年にかけてという意味で、けっして「03年につき」ではありません。これは文意から判断できるでしょう。「/」はごく短い間にして「ゼロニ・ゼロサンネン」と読むのがよさそうです。 例2の「A/H1N1」については、私も知らなかったので、インターネットで調べました。その結果、インフルエンザには大きくA型、B型、C型があり、A型の中がさらに細かく亜型に分類されていて、それがH1、H2……とN1、N2……の組み合わせで表されるようです。つまり「A/H1N1」とはA型のうちのH1N1亜型の意味で、この「/」も「〜につき」ではありません。インターネットでは、「A(H1N1)」という表記もたくさんヒットしました。ですので、この「/」も間で表現し、「エイ・エイチイチエヌイチ」と読むか、もし記号を明確に表現したければ「エイ・スラッシュ・エイチイチエヌイチ」とするのが適当だと思います(「スラッシュ」は、意味にかかわらず記号「/」の形そのものを表す名称です)。 ★Q&A 質問 デイジー図書の編集で書名を1フレーズしていますが、副書名は1フレーズに含めてはだめでしょうか? 答え これまで、書名のみ1フレーズにし、副書名などは外していましたが、これは、デイジー図書からカセットテープのマスターを作成していた為です。書名のみを1フレーズにお願いしていました。しかし、今年の9月からカセットテープの製作はやめていますので、書名のみを1フレーズにする必要はなくなりました。今後は副書名まで含めて1フレーズにしていくようにします。 これは利用者が希望したタイトルを書名ではなく副書名で覚えている人もいるからです。 副書名まで1フレーズにした場合は、セクションの表記も副書名まで書くようにしてください。尚、「書誌情報」の書名もこれまでは書名のみとしていましたが、巻、副書名なども入れるようにしましょう。最後の枠アナで「以上で、○○を終わります。・・・」とコメントする書名は今まで通り書名のみで結構です。これはすぐ前の奥付で読んでいるのでくどいからです。最後の枠アナ全体を1フレーズにする必要はありません。「以上で○○を終わります。」は、1フレーズにしてください。 ★係からのお知らせとお願い ○スタジオや編集PCの予約について キャンセルする時は「×」印を忘れず スタジオや編集の予約表は月末に2ヶ月先の分を出すようにしています。予約表は早めに記入してください。予め休むことがわかっている場合は、予約表に×印を入れるようにしてください。1日休む場合は午前、午後どちらの欄にも×印を入れるようにしてください。 ○通常の来館曜日と違う曜日の予約はご注意ください スタジオは各曜日ごとに使用者が固定しています。時々予約表に記入忘れの方がいて、他の曜日の方が予約をいれ、トラブルがおきることがあります。×印の入っていないところに予約をいれる時には、係に確認してから入れるようにしてください。 ★モニター者へ ○再生のボリュームは常に最大にしておいてください スタジオのスピーカーの音量、及びモニター者のヘッドフォンの音量は、外付けインターフェイス(UA−3FX)の再生ボリューム を最大にした状態で調整してあります。時々ここのボリュームを小さくする方がありますが、ここを小さくするとヘッドフォンの音量もスタジオのスピーカーの音量も小さくなります。中のスピーカーのボリュームをあげると雑音が発生する原因になりますし、又、モニター者のヘッドフォンの音量も小さくなる為、モニター者が大きな声を出す原因にもなります。その為、インターフェイスの再生ダイヤルを固定させて頂きました。再生ダイヤルはさわらないようにしてください。モニター者の音量調整はヘッドフォンに付いている方で調整し、スタジオの音量は中のスピーカーで調整してください。 ○雑音が発生しているかどうかを確認しましょう パソコンの接続不良などによる雑音はなかなか気がつきにくいものです。録音する前に、ポーズ状態にし、何も声を出していない段階で、下段のボリューム表示メーターが「−40」まで出ているような時はパソコン内部で何らかの雑音が発生しています。録音ボリュームを小さくしたら一応聞こえなくなりますが、雑音が消えているわけではありませんので、かならず係に連絡してください。「−50」の場合は問題ありません。確認の方法が分からない方は係までお尋ねください。 ★次回原本の依頼棚と編集依頼棚を設置しました 次に読む原本の申し込みは1ヶ月前までにお願いしています。次回に読んで頂く原本と校正者が決まりましたら、作品ボックスに入れて原本依頼棚(清水の左の棚)に置くようにしました。原本を見て頂き、返事は「ウエブスタジオなにわ」で行ってください。直接、係に返事をしていただいた方も、お手数ですが、「ウエブスタジオなにわ」で依頼を出していますので、「許諾」か「辞退」の返事をしていただくようお願いします。 また、編集者も同様に編集依頼棚を清水の左の棚に作りましたので、係で決めた作品を置くようにしています。編集者は依頼ボックスから自分の次回編集作品を見て頂き、係に返事をしてください。OKならデイジー編集処理表に記入の上、係に提出してから編集を開始してください。 以上で「ろくおん通信第175号」おわり 戻る