日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2024年5月号   <<表紙イラスト>>  ジャム作りのイラストです。 女性と眼鏡をかけた男性がエプロンを着けて苺のジャムを作っています。 男性は舌なめずりをしながらボールにたくさん入った苺をシンクで水洗いしています。女性は男性の隣で苺の入った鍋を木べらで混ぜながら、空いた手の人差し指で鍋の中身をすくい、口に運んでいます。シンクの脇にビンが2つ置かれており、1つのビンには既にできあがったジャムが入っています。周囲には苺の香りが漂っています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2〜4頁)   ●感謝報告(5〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆専門音訳講習会「小説の読み方コース」を開講  毎日新聞大阪社会事業団と当館の共催で、「小説の読み方コース」を開講します。活動歴60年を超える音訳ボランティアの前田綾子さんを講師に、時代小説や児童書など会話文のある文章について聴き手に内容の伝わる読み方を学びます。  日時 6月21日(金)または6月26日(水)の10時〜15時。全1回(1日)を2回開講。  対象 音訳活動中で、音訳経験3年以上の方  定員 各回15人   受講料 1,200円  申込 当館ホームページ(https://www.lighthouse.or.jp/iccb/)で要項をご確認の上、5月25日(土)必着でお申し込み下さい。  問合せ 当館録音製作係(06-6441-1017)  ◆毎月開催の「オープンデー」をぜひご紹介ください  当館では、毎月第2または第3土曜日の午後、目の見えない・見えにくい方の状況や当館の活動を紹介する「オープンデー」を実施しています。ボランティア活動の概要、点字体験、館内見学も含め、約2時間30分かけてご案内します。事前予約制で参加費は無料。どなたでもお申し込みいただけますので、どうぞ、お知り合いの方々にご紹介ください。  今年度の実施予定日は以下の通り。お申し込みは、当館総務係(電話06-6441-0015、Eメールinfo@iccb.jp)までどうぞ。 【2024年度のオープンデー】  *いずれも土曜日、13時30分開始。  *5月11日、6月15日、7月20日、9月7日、10月19日、11月9日、12月14日、2025年1月18日、2月8日、3月8日。※8月はお休み  ◆今年も、友の会主催「ガイド体験会」を7月に開催  当館のボランティアの方を対象に、視覚障害の方への声の掛け方や手引きの仕方を学ぶ「ガイド体験会」。今年は7月11日(木)に開催します。今回は、アイマスクでの食事体験も企画中。ガイド体験会に参加されたことが無い方はもちろん、これまでに参加したことがある方も、どうぞご参加ください。詳細はワンブック6月号に掲載いたします。  ◆5月の休館・休室について 5月3日(金)〜7日(火)=祝日のため全館休館 5月9日(第2木曜)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は書庫・在庫整理日で休室    <<センターの頁>>(2〜4頁)   ●ボランティアの皆様と共に、利用者の「読みたい」に応えてまいります   〜製作部長就任のご挨拶〜  製作部長 数又 幸市  このたび製作部長を務めることとなりました 数又幸市と申します。珍しい名字ですが、全国 で150人前後はいるようです。「かつまた」と聞き間違えられることも多く、まれに名前と思われるのか「名字をお願いします」と言われたこともあります。  私が日本ライトハウスに入職したのは2013年のことで、1年弱の間、8階に席を置き、久保田館長と一緒に音訳教材の研究事業を担当しました。その後、早川福祉会館点字図書室に異動。10年ぶりの情報文化センター勤務となりました。  私がこの仕事に関わるようになったのは、以前住んでいた福島県の点字図書館職員となった2006年からです。7年ほど総務を担当していましたが、家庭の事情で関西へ転居するために退職。この仕事から離れ、新たな生活を始めていたある日、携帯に着信が……。竹下前館長からの電話で、「一度、情文へ遊びに来ませんか」というものでした。館に伺うと久保田館長もおられ、こちらでの仕事の話を受けました。  しかし、日本ライトハウスは業界のリーディングカンパニーであり、そこで仕事をする力量など自分にはないと思い、一旦はお断りしました。しかし、続けて声をかけていただいたことで職員としての日々が始まりました。  当館の製作業務は非常に多岐にわたりますが、各係の職員と力を合わせ、ボランティアの皆さま方のご協力を仰ぎながら、利用者の「読みたい・知りたい・学びたい」に応えてまいります。どうぞ、よろしくお願いいたします。 (写真=数又製作部長の近影。)   ●2024年度の当館の職員配置のご案内  今年度、当館では職員の異動を行い、4月から下記のような職員配置で業務にあたっています。異動した職員については前号でお知らせしましたが、改めて、係ごとに所属職員を掲載いたします。  ◆職員の採用について  臨時職員として2名を採用いたしました。  総務部総務係=河上泰子  サービス部機器・用具係=川口千代(ちよ)  ◆3階 総務部  久保田 文(あや)(館長・総務部長)、  谷口由紀(主任)、 曽禰一子(いつこ)、  コ嶋 薫、河上泰子 【製作部】  ◆6階 録音製作係  数又幸市(製作部長)、  内藤流津(るつ)、中川 史、根本和広(ねもと かずひろ)、  宇田佑香(音声解説担当)  ◆7階 メディア製作センター(MSC) デイジーユニット  白坂マナミ(主任)、小西美希、林 登、  久住拓子(ひさずみ ひろこ)、廣政史佳(ひろまさ ふみか)  ◆8階 点字製作係・MSC点字ユニット  奥野真里(主幹)、木田陽子(主任)、稲田久美、  大川靖子、岡田直美、西岡貴美子  ◆8階 MSC電子書籍ユニット  長本 幹、太田和美(かずみ) 【サービス部】  ◆5階 エンジョイ!グッズサロン(機器・用具係)  林田 茂(サービス部長)、松本一寛(主幹)、  原田美貴(はらた みき)(主任)、岡本 昇、今村竹志、仲川 葵、  江島英夫、前北純弥(まえきた じゅんや)、竹田幸代(ゆきよ)、  橋美加(たかはし みか)、須貝直美、石原加奈子、金田美優、  宮崎裕子、西野知世、吉田恵子、川口千代  ◆アルテビル9階 図書・情報係  山岡幸雄、伊藤信乃、片岡美有、  福田直樹、長尾郁子、小川真奈美、  伊藤淳子、樋口あゆみ   ●SNSの発信に全館で取り組み、サービス・製作をコロナ前の状態に   〜2023年度の事業のご報告(1)〜  2023年度も、ボランティアの皆様のご支援とご協力を賜りながら、目の見えない・見えにくい方々や、読み書きに困難のある方々の、「暮らし」「学び」「読書」を支える情報提供事業を行うことができました。特に2023年度は、より多くの人々に当館を知っていただくために、SNSによる広報活動・情報発信に力を入れました。サービス部の情報を中心に発信していたX(旧ツイッター)、インスタグラムの投稿を、製作部を含めた全係が持ち回りで担当し、完成した点字・録音図書、電子書籍、シネマ・デイジーの紹介や、講習会・勉強会などボランティア活動の情報を随時発信した他、YouTube「ニポラチャンネル」の配信番組数は70を超えました。  また、新型コロナウイルスの5類移行に伴い、基本的な感染症予防対策を継続しつつ、サービスやボランティア活動の制限を徐々に緩和したことで、来館者数、図書の製作数などが、ほぼコロナ前の状態に戻り、対面リーディングサービスの件数も増加しました。  今月号では、製作部の2023年度の主な実績についてご報告します。(館長 久保田 文)  ◆ボランティアの皆様の尽力で図書製作を実施  製作部では、引き続き、400人を超えるボランティアの皆様にご協力いただきながら、図・表・写真・イラスト等の視覚的資料が含まれる一般書や専門書、絵本の点字・録音・電子書籍化、および耳で聴く映画「シネマ・デイジー」を製作しました。完成したこれらの図書は、当館から利用者の方に直接貸し出される他、インターネット図書館「サピエ図書館」を通じて、全国の視覚障害者等の方々に広く利用されています。  また、隔月で発行している児童向け点字雑誌『アミ・ドゥ・ブライユ』は、昨年12月に創刊50号を迎え、記念特別企画として、スペシャルクイズの掲載や「読みたいマンガ選挙」を行い、多くの読者の投稿を得ました。  この他、プライベート製作として、利用者の方から個別に依頼のあった資料についても、できる限り点訳、音訳、テキスト化を行いました。近年、プライベート製作は、大部の専門書や視覚的資料が多用されている資料の依頼が増えており、製作期間が長期にわたるものも少なくありません。また、「テキストデータの提供を要望したが応えてもらえなかった」とおっしゃる利用者の方から、500頁を超える専門学校の教材や、自治体の広報誌が持ち込まれることもありました。このようなケースには、当館から教育機関や行政機関に、合理的配慮の義務があることや読書バリアフリー法の説明をした上で、対応の改善を強く求めていますが、すぐに事態が好転することはめったにありません。ボランティアの皆様のご尽力により、利用者の方の求めに、直接、確実に応えられていることに、心より感謝申し上げます。  国・自治体・企業からの依頼を受けて製作を行うメディア製作センターでは、地域で学ぶ児童・生徒の点字教科書・教材、厚労省委託録音図書、音声版選挙公報、「大阪市くらしの便利帳」を始めとする自治体広報誌等を製作しました。いずれも、視覚障害者等の方々の自立と社会参加を支えるため、無くてはならない大事な情報提供ですが、未だに製作費が適切に予算化されていない事業もあります。当館では、自己資金による職員の配置と、ボランティアの皆様のお力を借りながら、各種資料を点訳・音訳しています。  ◆2023年度の主な製作実績 (tl=タイトル) 【点字】  *図書 164tl、雑誌(JR時刻表) 12tl  *『アミ・ドゥ・ブライユ』46〜51号  *プライベート製作 45件  *地域で学ぶ児童・生徒の点字教科書・教材  小学校 18校・64tl、中学校 3校・165tl、高校 1校・117tl 【録音(音声デイジー)】  *図書 151tl  *雑誌(週刊誌、月刊誌等9種類) 167tl  *厚生労働省委託録音図書(課題図書、視覚的資料が多用されている専門書等) 26tl  *プライベート製作 29件 【電子書籍】  *マルチメディアデイジー図書・教科書 12tl  *テキストデイジー 34tl  *テキストデータ化(プライベート製作) 18tl 【音声解説】  「シネマ・デイジー」 10tl  わろう座 映画体験会 4回開催  この他、ボランティア養成事業として、各種講習会を開催しました。( )内は修了人数。 【ボランティア養成講習会】  *点訳(7人)  *音訳1(13人)、音訳2(12人)、音訳3(8人)  *音声解説(4人)  *テキスト化(4人) 【専門講習会】(毎日新聞大阪社会事業団共催)  *点訳=触知(31人)、教科書・教材(17人)、マンガ(15人)の3コース  *音訳=雑誌製作(25人)、デイジー編集(12人)、小説の読み方(34人)の3コース   ●銀幕の視覚障害者(5)〜「光」  録音製作係 宇田 佑香  古今東西、視覚障害者が登場する映画は数多あります。そんな中から、映画好きが高じて当館の音声解説担当になった宇田職員が観て、心に残った作品を不定期連載でご紹介します。  「光」=河P直美監督、2017年、日本映画、102分  映画の音声ガイドを執筆する「ディスクライバー」の若い女性(水崎綾女(みさき あやめ))と、視力を失いゆくカメラマン(永瀬正敏)との切ないラブストーリー。  撮影当時、当館の林田茂サービス部長が現場へ赴き、撮影に協力した本作は、音声ガイドをテーマにした映画としてあまりにも有名です。私も、この映画については入職時から知っていましたが、なかなか観るに至らず、気付けば月日が過ぎていました。しかし、昨年末に、JVTA(日本映像翻訳アカデミー)の音声ガイドディスクライバー養成講座を受講し、無事修了することができたタイミングで、「今だ」と思い、初めて鑑賞しました。  作中で特に印象的だったのは、モニター会のシーンです。駆け出しディスクライバーの主人公が、モニターの視覚障害者から辛辣かつ的確な指摘を受けている姿、それはまるで講座受講中の私のよう。考えに考えて書き上げた原稿なのに、思いもよらない方向からの指摘に、ぐうの音も出なくなる……。受講前にこの映画を観ていたら、受けるのを尻込みしていたかもしれません。受講後だからこそ、「わかるよ、その気持ち」と共感しながら観ることができました。  モニターの女性のこんなセリフがあります。「映画を観ているとき、スクリーンを見ているような感覚よりも、もっともっと大きな世界に入り込む感覚で作品を楽しんでいます。(中略)その大きな世界を言葉が小さくしてしまうほど残念なことはないんです」  視覚障害の方にとっては、スクリーンという枠が存在しない「聴く鑑賞」。その醍醐味を私たちが損なってしまわないよう、これからも、一作一作、ボランティアの方々と共に、悩み、熟考しながら音声ガイド作りに励んでいきたいと思いました。   ●報告の頁(8頁)  ◆「ニポラジオ」開設へのたくさんのご支援に感謝!  当館では、視覚障害の方のための様々な情報を音声で発信する「ニポラジオ」の開設に向けて、クラウドファンディングでご支援を募り、目標額を達成することができました。ご寄付くださいました皆様、誠にありがとうございました。  「ニポラジオ」は、インターネットで音声を配信する「ポッドキャスト」という仕組みを使い、音声で、視覚障害に関する情報を無料でお届けするサービスです。リアルタイムのライブ配信ではありませんが、ラジオ番組のようにリスナーからお便りを募集し、ご質問や気になる話題に答えていく双方向での情報発信を目指しています。「ニポラジオ」の開設は、当館のエンジョイ!グッズサロンの開室記念日でもある5月23日(木)に決まりました。ボランティアの皆様も、ぜひお聴きください。(開設後はいつでも配信番組を聞くことができます)  ◆「ニポラジオ」を聴くには  スマートフォンの場合は、ポッドキャストアプリ「Apple Podcasts」、「Google Podcasts」で『ニポラジオ』と検索してください。当館ホームページの「ニポラジオ」のページでも、配信された音源を聴くことができます。  ◆対面ボランティアの星子さんがご逝去  当館の対面リーディングボランティアの星子鐵郎さんが、今年2月にご逝去されました。星子さんは2009年から活動を始められ、2016年までは、第5土曜日に対面リーディングの常駐ボランティアとして、当館5階のサービスフロアに来てくださっていました。星子さんの生前のご貢献に感謝と敬意を表し、ご冥福をお祈りします。  ◆中央区バリアフリー上映会「海よりもまだ深く」のご案内  是枝裕和監督作品「海よりもまだ深く」を音声解説・字幕付きで上映します。  日時 6月8日(土)12時開場、13時開会。  会場 大阪市立中央会館1階ホール(大阪メトロ「長堀橋駅」6号出口から南東へ徒歩6分)  参加費 無料   定員 200人(先着順)  事前申込 不要。当日直接会場にお越しください。  主催 HANSちゅうおう  お問合せ 中央区社会福祉協議会 ふれあいセンターもも(電話06-6763-8139)  ◆すべての事業者に「合理的配慮の提供」が義務化  4月1日、障害者差別解消法が改正され、行政機関等に加えて、すべての事業者(個人事業主や自治会、ボランティアグループも含む)に、障害のある人に対する合理的配慮の提供が義務化されました。合理的配慮とは、「行政機関等と事業者が、事務・事業を行うに当たり、個々の場面で、障害者から『社会的なバリアを取り除いてほしい』旨の意思の表明があった場合、その実施に伴う負担が過重でないときに、社会的なバリアを取り除くために必要かつ合理的な配慮を講ずること」とされています。これを基に視覚障害者等の情報保障も「合理的配慮」として進むように取り組んでいきたいと思います。  ◆今年度の新世話人会が始動  今年度の世話人会がスタートしました。奇数月の第2木曜日に世話人会を開催。館との情報・意見交換やボランティア交流会、ガイド体験会、施設見学会などの企画・実施を担当します。 ◆2024年度世話人の皆様(五十音順・敬称略) 梶原由美子(かじわら ゆみこ)(点字・監査)、鎌田 潤(かまだ じゅん)(対面)、小寺高子(図書情報)、 阪本美紀(録音・会計)、嶋林茂子(しまばやし しげこ)(録音・代表)、中安龍夫(点字・書記)、 平田佳子(録音)、廣野美代子(音声解説)、向井民子(対面)、山田理子(電子書籍) あゆみ 【4月】 3日 音訳ボランティア養成講習会(3)開講 10日 音訳ボランティア養成講習会(1)開講 11日 ボランティア世話人会(新旧世話人引継)  法人新任職員研修 13日 オープンデー(館内見学日、4人) 17〜19日 バリアフリー展(インテックス大阪) 予定 【5月】 3〜7日 全館休館(祝日) 9日 サービス部休室(在庫・書庫整理日)  ボランティア世話人会 11日 オープンデー(館内見学日、要予約) 14日 点訳ボランティア養成講習会開講 16日 専門点訳講習会「英語コース」開講 22〜23日 法人理事会・評議員会 編集後記 父が疎開していた寺を探すため有馬に行きました。一、二寺目とハズレ、これはもう温泉とビールに一直線だなとほくそ笑みながら三寺目の石段を上った瞬間、まさかの「ココだ!」。ビールは4時間後でした。(文) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2024年5月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 久保田 文)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 かたおか朋子  発行日 2024年5月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円