日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2024年1月号   <<表紙イラスト>> お正月のイラストです。 眼鏡をかけた男性と女性が並んでお餅の入ったお雑煮を食べています。 ふたりの間から見える部屋の壁には、今年の干支の「龍」の掛け軸がかけてあります。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2頁)   ●ボランティアの頁(3〜4頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆今年3月、ボランティア交流会・感謝式典を開催  当館とボランティア友の会では、毎年3月、普段顔を合わせることの少ないボランティアと職員が一堂に会する催しを行っています。今年は5年ぶりに一日開催し、昼食・懇談、バザーなども行う予定です。ぜひ今からご予定いただき、ご参加ください。  日時 2024年3月14日(木)10時〜16時  会場 玉水記念館大ホール  内容 感謝式典(活動歴20年・30年の方々への感謝状贈呈)、記念講演(竹下館長による「ボランティア活動90年の歩みとこれから」(仮題)、お楽しみ企画(世話人会が検討中)、ボランティア友の会総会、職員紹介、バザー。  正式なプログラムは本誌2月号で発表します。参加申込は1月16日(火)以降に各係か総務係(電話06-6441-0015)まで。友の会活動費のためのバザーへの物品提供もご協力をお願いします。  ◆音訳ボランティア養成講習会(1)を開講  今年4月から当館での音訳ボランティア活動を志す方を対象に音訳ボランティア養成講習会(1)を開講します。発声、発音、アクセントなどの基礎練習を中心に、ボランティア活動を行う上で必要な心構えや基礎知識を講習します。修了後は選考試験を経て、講習会(2)に進んでいただくことができます。  日時 4月10日〜7月31日(5月1日を除く)の水曜日13時〜14時50分、全16回。  定員 12人程度   受講料 7,000円  講師 安田知博氏 他  筆記試験・マイクテストを2月27日(火)〜2月29日(木)に行います(1時間30分程度)。  申込み 当館録音製作係(電話06-6441-1017、E-mail rec@iccb.jp)へ実施要項をご請求の上、お申し込みください。  申込締切 2024年2月1日(木)必着。  ◆「改訂 英語点字スーパー縮約辞典 UEB&EBAE対応版」発売  2級英語点字の縮約の正しい用法がつぶさに分かる辞典です(福井哲也著)。今回の改訂で、固有名詞を中心に1,300語余りを追加し、収録語は16,000語に。新表記法(UEB)で書き方が変わった語は旧表記も載せています。巻末付録に、略称の書き方の早見表を新規掲載。B5判、352頁、4,500円(税込)。ご注文はエンジョイ!グッズサロン(電話06-6441-0039)まで。点字版は点字情報技術センター(電話06-6784-4414)で販売。全3巻、20,160円。初めて点字データ版が付録に。価格差補償が使えます。  ◆川畠成道(かわばた なりみち)さんの「ミュージック・イン・ザ・ダーク」  視覚障害のヴァイオリニスト川畠成道さんが出演する関西初の「ミュージック・イン・ザ・ダーク」が2月3日(土)14時、堺市のフェニーチェ堺・小ホールで開かれます。「視覚障害のある音楽家とない音楽家が、あかりを完全に消した空間でともに演奏することで、演奏者も聴衆も、視覚以外の感覚をとぎすませて音楽を体感するコンサート」。出演は、川畠さんの他、ヴァイオリニストの南 紫音(みなみ しおん)さんと18人の特別編成合奏団で、バッハの「2つのヴァイオリンのための協奏曲」他を演奏。入場料は一般4,000円、障害者手帳等の所持者3,500円、手帳等所持者とガイド1名のペア券は7,000円。お問い合わせは、堺市文化振興財団(電話072-228-0880)まで。  ◆1月の休館・休室について 1月5日(金)=仕事始め 1月6日(土)=サービス再開、製作部は休室 1月9日(火)=製作部のボランティア活動開始  エンジョイ!グッズサロンと図書貸出休室 1月11日(第2木曜)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は書庫・在庫整理日で休室    <<センターの頁>>(2頁)   ●新年のご挨拶〜2024年に目指すこと  ◆「情報保障」の課題解決を目指して  館長 竹下 亘  連載中の「活動歴40年を超える」ボランティアの皆様の前では霞んでしまいますが、私もこの世界で働き始めて39年目となりました。  39年前、視覚障害者の情報提供・利用手段は手打ちの点訳とテープ図書と対面朗読、そして点字出版だけでした。それがこの年月で劇的に発展し、デジタルとインターネットを軸にした多種多様なメディアとシステムに広がりました。  加えてここ10年余りの間に、法制度も加速度的に整備されました。つまり、2008年の「教科書バリアフリー法」で地域の小中学校で学ぶ視覚障害生徒の教科書が保障され、2014年の「障害者権利条約」で障害者の情報保障が宣言。2016年の「障害者差別解消法」で障害者の情報利用に関する「合理的配慮」が行政機関等と事業者に義務化され(事業者は2024年4月から)、2019年の「マラケシュ条約」と「著作権法改正」で視覚障害者以外の読書困難者の録音図書や電子書籍の読書が公認。「読書バリアフリー法」で点字・公共図書館、サピエの整備とともに、出版者によるアクセシブルな書籍データの提供が目標とされ、2022年の「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」では日常・社会生活上の情報保障が謳われました。  しかし、こうした理念とは裏腹に、その実態は前途遼遠。教科書保障、無償の奉仕活動への全面依存、電子書籍のアクセシブル化、ICTの利用支援、行政機関等の広報物の情報保障など、課題は山積しています。  「誰もが情報を等しく共有できる社会」の実現を目指し、今年もこうした課題の解決に一つ一つ取り組んでいきたいと思います。  ◆正確、適切、過不足の無い情報提供  副館長・製作部長 久保田 文(くぼた あや)  昨年も、視覚障害者等の方々が自分らしく働く・学ぶ・暮らすための一助となる様々な活動にご尽力くださり、誠にありがとうございます。  Chat GPT-4Vの画像の文章化機能や画像を解析してくれるICT機器など、便利に使えるお役立ちAIが登場していますが、書籍や雑誌を正確に伝え、視覚的資料を適切に説明させるには、あと一歩、二歩、いや十歩届かずといったところでしょうか。ということで、ボランティアの皆様、まだまだ楽はできそうにありません。  本年も皆様のご協力の元、「正確、適切、過不足の無い情報提供」をモットーに、質の高い点字・録音図書、電子書籍、シネマ・デイジーを全国の視覚障害等の方々に提供して参りますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  ◆「やりたいことをやっちゃおう!」  サービス部長 林田 茂  あるとき、テレビを見ていると、ふと耳に入ってきた言葉がカッコ良かったので、ご紹介します。  矢沢永吉「夢を語る人、たくさん会ってきた。本当に何かを変える人は口より先に動いている。2種類の人間がいる。やりたいことをやっちゃう人と、やらない人(中略)。でもね、やりたいことをやっちゃう人生のほうが間違いなく面白い。俺はこれからもやっちゃうよ。あんたはどうする?」  夢を語り、利用者の皆さんに寄り添いながら、しっかり行動を起こしていく。今年も、サービス部のみんなと一緒に、目の見えない方・見えにくい方の、今より少しでも良い未来(環境)を作っていきたい、です。 (写真=左から竹下、久保田、林田、橋口勇男専務理事。当館3階にて。)    <<ボランティアの頁>>(3頁〜4頁)   ●「盲導犬を白杖のように扱ってください」   今年のボランティア友の会施設見学会は「盲導犬訓練所」へ  当センターのボランティア友の会では、毎年秋に「施設見学会」を行い、研修と交流を深めています。今年は日本ライトハウス盲導犬訓練所を参加者23人(内職員2人)で訪問し、施設の取り組みや盲導犬の一生を学び、犬との触れ合いを楽しみました。当日の様子を、友の会世話人の梶原由美子さん(点訳ボランティア)に報告していただきます。  今年の施設見学会は大阪府千早赤阪村にある日本ライトハウス盲導犬訓練所に行きました。  11月29日(水)、チャーターしたマイクロバスで10時ちょうどに肥後橋を出発。途中「道の駅 しらとりの郷 羽曳野」で買い物・昼食をし、13時前に訓練所に到着しました。施設へ向かう途中、急な山道をバスでは行けず、訓練所のワゴンでピストン輸送していただきました。  この日はキャリアチェンジ犬(盲導犬にむいていない犬)、2匹のデモ犬(イベントや体験歩行などで活躍する犬)に迎えられ、犬好きの参加者たちは大喜び。たくさん褒められ、たくさん撫でられて育ってきた彼らは触られるのが大好きだそうです。  研修室で広報担当の鶴保(つるぼ)さんからいろいろ教わりました。とにかく説明がわかりやすく、楽しくて、「なるほど!」と納得の連続でした。  生後2か月まではお母さんやきょうだい と一緒に過ごし、犬同士のコミュニケーションをまなび、その後パピーウォーカーのもとへ。そこでトイレトレーニングや社会性を学び、1歳頃、訓練所へ来ます。ここではいろいろ訓練を受けながら、愛情たっぷりに育ち、2歳前後でユーザーさんとの共同訓練が始まります。訓練所で4週間ほど生活を共にし、信頼関係を築いていくのですが、簡単にはいかないことと思います。また実生活に役立つよう街中に繰り出しての訓練もあるそうです。  このように、手間をかけて訓練しても、盲導犬になれるのは3割くらいだそうです。しかし繁殖犬やデモ犬としての活躍の場もあります。1頭の盲導犬を育成するためには500万円以上かかり、その半分以上は寄付に依っているそうです。ユーザーさんには無償で貸与されます。  もっとも印象的だったのは「白杖」の話。@白杖は視覚障害者のシンボル。A歩行の手助けをする(障害物の回避、段差の確認、交差点・壁・溝の切れ目などを知る、道なりに歩ける)。B白杖を持っている人を見かけると視覚に障害のある方なんだなとわかる。なるほどシンボルとは言い得て妙と思いました。だから私たちも、必要に応じて声をかけることができるのですね。  そして、私が今回いちばん心に残ったことば。  「盲導犬を白杖のように扱ってください。」 そうか!だれも白杖に話しかけたり、撫でたりしない。盲導犬もそのようであれば、ユーザーさんが仕事をしている間もじっと足元で静かに待つことができます。  解説のあとは施設内見学です。研修室・犬舎(床暖房付き!)・処置室(分娩など)など、どこもきれいに、気持ちよく整えられていました。  訓練所の庭にはライトハウス出身の犬たちが眠るお墓があり、その横には無事に産まれてこられなかったり、産まれてすぐになくなったりして土葬されたあかちゃんのお墓もありました。金剛山のふもとの静かな所です。  他にも、全国の訓練所の数(12施設14ヶ所)や、1年間の盲導犬育成数(16頭)、日本ライトハウスがどんなに頑張っているかなど、楽しくたくさん伺ったことを全部お伝えできないのが残念です。  偶数月の第2日曜日午後に見学日がありますので、機会があればぜひ行ってみてください。 (写真=施設見学会の様子。2匹のデモ犬が室内を自由に歩き回り、参加者に撫でられている。)   ●情報文化センターと共に歩んだ半生を振り返って   活動歴40年を超えるボランティアの方々のご紹介(6)  ボランティア活動歴40年を超えて、今も活躍しておられる方々にこれまでの歩みを振り返っていただくリレー企画の第6回。今回は、録音の東 佳子(ひがし よしこ)さんのご紹介です。  ◆これからも“楽しい”を見つけながら  東 佳子(録音ボランティア)  ライトハウスとご縁ができて、いつのまにか40年余りになります。放出(はなてん)のライトハウスで講習会を受けながら作業ボランティアをし、講習会修了後は旧盲人情報文化センターで録音ボランティアとして活動を始めました。当時はまだオープンリールで、一人で録音していました。その後、飯村紀子さんとペアになり、35年以上にわたって二人三脚で活動を続けています。  オープンリールは、テープが伸びたり切れたりして大変でした。それからカセットテープ、MO、パソコン録音と変わっていきましたが、とにかくずっと機器との格闘です。操作が覚えられなくて落ち込んだこともありましたが、職員の方々、仲間のボランティアの方々のおかげで、今日まで続けることができました。感謝の他ありません。  小説は私には難しくて読めないのですが、それ以外の本をお断りしたことはありません。新しい本を開けたときのドキドキ感(読めるかしらといった不安も)、下調べのむつかしさ、知らない事の多さに驚きながら呆れながら、すべてが楽しい時間となりました。ペアの飯村さん、校正者、編集者、ほかたくさんの方たちのおかげで一冊の本が出来上がり、ワンブックに本の題名と名前を見つけたときの安堵感は何ものにも代えがたいものです。  これからも、いろいろな“楽しい”を見つけながら、ボランティア活動を続けていきたいと思っています。皆さまに感謝しながら。   ●報告の頁(8頁)  ◆点訳ボランティア養成講習会で7人が修了  今年度の点訳ボランティア養成講習会が12月8日に終了。今回は7人が修了され、点訳活動に入られます。今後のご活躍をお祈りします。 (写真=修了者の皆さん(50音順、敬称略)。前列左から鈴木晶子、中島敬子、西口隆司、三浦朗子、山尾由紀。後列左から吉川久美(よしかわ ひさみ)、吉田裕美子、講師の大下歩(おおした あゆみ)、鴻上真理(こうがみ まり)、西岡貴美子、奧野真里。)  ◆人事異動のお知らせ  当館では12月1日付で職員の採用、異動を行いました。よろしくお願いいたします。  サービス部機器・用具係(エンジョイ!グッズサロン)=宮崎裕子(週2日)、金田美優(週2日から常勤へ) あゆみ 【12月】 8日 点訳ボランティア養成講習会修了式 9日 オープンデー(館内見学日、1人) 20日 音訳ボランティア養成講習会修了式 26日 サービス年内最終日 27日 ボランティア活動年内最終日 28日 仕事納め 予定 【1月】 5日 仕事始め、法人新年互礼会 6日 製作部休室(8日月曜指定祝日振替)  サービス再開 9日 サービス部休室(8日月曜指定祝日振替) 11日 サービス部休室(在庫・書庫整理日) 13日 オープンデー(館内見学日、要予約) 編集後記 日本では穏やかな新年が明けたことと思いますが、案じられるのは戦火の只中にあるウクライナやパレスチナです。中でも、一人では避難も衣食住もままならない視覚障害の人々はどんな過酷な日々を送っているでしょうか。ウクライナには視覚障害者協会や盲学校があり、開戦直後から日本からも支援を行っていますが、パレスチナの状況は全く分かりません。ガザ地区のろう学校を支援しているNPOに以前から僅かな寄附をしているのですが、視覚障害児者の情報は皆無です。一刻も早く戦争が収まり、視覚障害者をはじめ弱い立場にある人々が平穏に暮らせるように祈り願います。(竹) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2024年1月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 かたおか朋子  発行日 2024年1月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円