日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2023年12月号   <<表紙イラスト>> クリスマスのイラストです。女性がクリスマスツリーに飾りをつけようとしています。部屋にはクリスマスの飾り付けがしてあり、ツリーから少し離れたところで眼鏡の男性がモール飾りの調整をしています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●ボランティアの頁(2〜3頁)   ●センターの頁(3〜4頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆専門音訳「音声デイジー編集」講習会を開講  毎日新聞大阪社会事業団と当館の共催で、専門音訳講習会「音声デイジー編集コース」を開講します。今日、録音図書の製作にはデイジー編集の技術が欠かせません。これから始める方、まだ自信の持てない方は、ぜひご受講ください。  日時 2024年2月1日、8日、15日(木)、全3回、各日10時〜15時  内容 デイジー編集の基礎知識、編集技術(実習)、編集校正技術  定員 10人   受講料 1,200円  申込 当館HP(https://www.lighthouse.or.jp/iccb/)で要項をご確認の上、1月13日(土)必着でお申し込み下さい。  お問合せ 当館録音製作係(06-6441-1017)  ◆情報ゾクゾク発信中!当館のSNS  当館では「X(旧ツイッター)」や「インスタグラム」で、ボランティアや支援者、利用者に向けて様々な情報を発信しています。当初はサービス部の情報が中心でしたが、この10月から製作部を含めた全係が持ち回りで投稿を担当。完成した点字・録音図書、電子書籍、シネマ・デイジーの紹介や、講習会・勉強会といったボランティア活動の情報なども随時発信されるようになりました。  当館のXやインスタグラムの記事をスマホやパソコンでご覧いただくには、専用アプリで「@iccb2020」と検索してください。 (写真=(左)完成したマルチメディアデイジー図書の紹介、(右)点訳校正勉強会の様子(Xより引用))  ◆年末年始の休館・休室について  12月14日(第2木曜)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は書庫・在庫整理日で休室  12月26日(火)=サービス最終日  12月27日(水)=ボランティア活動最終日(各係で異なりますので、ご確認ください。)  12月29日(金)〜1月4日(木)=全館休館  1月6日(土)=サービス再開、製作部は休室    <<ボランティアの頁>>(2頁〜3頁)   ●情報文化センターと共に歩んだ半生を振り返って   活動歴40年を超えるボランティアの方々のご紹介(5)  ボランティア活動歴40年を超えて、今も活躍しておられる方々にこれまでの歩みを振り返っていただくリレー企画の第5回。今回は、点字製作係の雀部喜久子さんと八木光子さんのご紹介です。  ◆たくさんの本との出会いに感謝  雀部 喜久子(ささべ きくこ)(点訳ボランティア)  息子が浪人生、娘が高校1年になった時に、阪急 川西駅前からバスで30分ほどの山を開発した住宅地に引っ越し、主人の通勤も朝は早く帰りも遅くなりました。私の自由に使える時間が多くなり、自分の為だけに使うのでなく何か御用がと思っていました時、朝日文化センターで点字の講座があるのを知り、半年間のつもりが1年受講し、終了後、点字図書館で本作りをするか地域で活動するかといわれ、盲人情報文化センターでの本作りに加えていただきました。  点筆で1点1点、間違えないように打ちます。が、マス空けを間違えると用紙がボツ。無駄を出さないよう神経を使いつつ、少しずつ仕上げていきました。点字タイプライターを貸していただけることになりましたが、台数が少なかったため、自分で買い、随分早く仕上げられるようになりました(タイプライターは今も本箱の隅に置いてあります)。  今までに出会った本の中で印象に残っているのは「呉・三国志 長江燃ゆ」(全10巻)や「愛犬のための食べもの栄養事典」(味付けすれば人間も美味しく頂けそうな献立がたくさん掲載されており、打ちながら楽しみました)など。初めから終わりまで全然内容がわからないままだったプライベート依頼の本は、分厚いので他 の方と半分ずつ点訳 しましたが、「急いでください」と言われたため、読みの分からないところは石橋教会の牧師先生に伺いながら仕上げました。その他、自分では手に取ることは無いだろうと思う本にたくさん出会うことができ、幸いな時間を頂いて感謝です。できるなら、もう少し続けさせていただきたいと願っております。 (写真=当館で作業中の雀部 喜久子さん)  ◆多くの皆さんに支えられて感謝  八木 光子(やぎ みつこ)(点訳ボランティア)  次男が3歳になり育児にも少し慣れてきた時、勤めに出るのは無理だが何かしたいと思っていた時に日本ライトハウスの点訳者養成講座を見つけて申し込みました。通信教育で講師は本田作江(ほんだ さくえ)先生。課題は終えたのですが、また事情があって10年のブランク。もう1度受講をと盲人情報文化センターを訪ねると、「テストしてみよう」と言われてそのままメンバーに。  点字板、タイプライターからパソコン点訳に変わり、PCの知識は全くなかったのに、「点字が出来れば大丈夫」と職員の森泰雄さんに勧められて始めたのが、IBMのBEという点訳ソフトでした。誤字も簡単に訂正可能になり感激しました。  ペア校正では、漢字を正しく読まなければならないことを痛感。宗教関係の本の校正を担当した際、「神道」という語が頻出したのですが、「シンドー」と点訳されていたので、濁点1字の為にすべて訂正することになり、パソコン点訳ではなくタイプ点訳だったので1冊全部をやり直し。「大変だけれどお願いね」と言ったこと、今も思い出します。思い込みの怖さを知り、以後、それまで以上に辞書と仲良くなりました。  一時体調を崩してから「2校正」を受け持っています。数年前から夫の介護もあって計画通りに進まず、ご迷惑をおかけして申し訳なく思っていますが、点字に向かっていると介護のストレスもいつの間にか忘れてしまっています。  森泰雄さん、水谷昌史さん、小原二三夫(おばら ふみお)さん、奥野真里さん、そしてすべての職員の皆さんにお世話になりつつも、これからも介護と両立できれば良いなと思っています。 (写真=八木光子さんの近影) 【館より】本田作江さんは当館のボランティアとして長年点訳指導を担当された方。雀部さんが参加された朝日文化センターの講座も指導されました。また、森泰雄さんと水谷昌史さんは当館点字製作係の点字指導と触読校正の2本柱でしたが、森さんは30年勤められた後、2005年に61歳でご逝去。水谷さんは当館から東京の点字雑誌の編集者に転職して、活躍されましたが、現在は全視情協のボランティアとして当館に通い、『点字毎日』復刻版の校正に打ち込んでおられます。小原さんは点字出版所勤務の後、お二人の後を継いで点字指導と校正に当たられましたが、2020年の退職後は“触”の達人として彫刻三昧の日々を送っておられます。    <<センターの頁>>(3頁〜4頁)   ●視覚障害リハビリテーションセンターの全面改修工事に着工   「リフレッシュ募金」にご協力ください  視覚に障害のある方々の豊かな日常・社会生活や就労を支援している鶴見区の「日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター」では、11月から東西館のリフレッシュ(全面改修)工事に着工しました。  同センターの東西館は1992年に竣工。鉄筋コンクリート一部5階建て、延床面積約3191平方mで、多数の居室、教室、会議室、食堂、体操場、職員室等があります。障害者支援施設「日本ライトハウスきらきら」と障害福祉サービス事業所「日本ライトハウスわくわく」、職業訓練部などが事業を行っており、入所・通所を合わせて、毎日100人近い視覚障害等の方々が利用されています。(東西館の向かい側には南館があり、居宅支援センター「てくてく」と「鶴見区障がい者基幹相談支援センター」などが事業を行っています。)  東西館は竣工以来31年が経過し、設備機器と建物の劣化が激しく、毎年多額の修繕費がかかるようになっています。また近年、利用者の高齢化や障害の重度化、重複化が進んでいますが、浴室やトイレなどがバリアフリー仕様でなく、利用者に大変なご不便をおかけしています。そこで、利用者の方々が安心して、生き生きとした生活を送ることができるように、老朽化した施設・設備を全面改修することにしました。 (写真=改修前のリハビリテーションセンター東西館)  主な改修工事としては、@居室の個室化とトイレ・浴室のバリアフリー化、Aエレベータの更新、B冷暖房と厨房設備の更新、C消火設備・スプリンクラーの更新、D外壁・屋上防水工事など。完成は2024年3月末を目指しています。  この改修工事の総工費は4億7千万円余りの予定です。厚生労働省と大阪市から2億1千万円余の補助金を頂けることになりましたが、残りは自主財源で賄わなければなりません。そのため目下、リフレッシュ募金を行っています。本誌に趣意書を同封しますので、ご協力いただければまことに幸いです。 (総務係より点字版、テキストデータ版読者の皆様へ。リフレッシュ募金の趣意書をご希望の方は、総務係へお申し込み下さい。)   ●銀幕の視覚障害者(4)〜「暗くなるまで待って」  録音製作係 宇田 佑香  古今東西、視覚障害者が登場する映画は数多あります。そんな中から、映画好きが高じて当館の音声解説担当になった宇田職員が観て、心に残った作品を不定期連載でご紹介します。  「暗くなるまで待って」=テレンス・ヤング監督、1967年、アメリカ映画、108分  交通事故で視力を失った女性・スージーの夫は、気づかぬうちにヘロインが隠された人形を自宅に持って帰ってしまい、やがて人形を探す詐欺師たちが自宅に忍び込んでくる。スージーの目が見えないことに気づいた詐欺師たちは、芝居を打ってスージーを騙し、人形の在り処を突き止めようとする──。  この映画が製作された1960年代後半は、それまで確立されてきた映画文法を覆し、社会批判的なメッセージを含ませた「アメリカン・ニューシネマ」なるムーブメントが起こり始めていた時代。ですが、本作は、かの有名なヒッチコック作品に引けを取らない古典的サスペンス映画。主演はオードリー・ヘプバーンともあって、ご覧になったことがある方も多いと思います。  見どころは、やはりクライマックス、スージーと詐欺師のバトルでしょう。ナイフを持った詐欺師によって部屋に閉じ込められ、絶体絶命のスージー。目が見えない彼女はどのようにして戦ったのか…。答えは「部屋中の灯りを消した」です。  全盲の視覚障害者にとっては、部屋の灯りがついていようがいまいが、何ら支障はないのですが、一方で、晴眼者が視覚に頼れない“暗闇”下におかれると、戦闘能力が著しく落ちてしまいます。“暗闇”を味方につけるというスージーの戦法には「なるほど!その手があったか」と意表を突かれました。  闇の中に差す「マッチの火」や「冷蔵庫内のライト」の使われ方も秀逸です。手に汗を握りながらの鑑賞後、「よくできたストーリーだな…」としみじみ思いました。   ●報告の頁(8頁)  ◆専門音訳講習会が大盛況  毎日新聞大阪社会事業団と当館が主催している専門点訳・音訳講習会は37年(36回)目を迎え、受講者は2,500名を越えました。今年度も多様なテーマで開講していますが、11月に終了した専門音訳講習会2コースはいずれも大盛況。「小説の読み方コース」は、42団体から113人もの応募があったため、34団体34人(1回目16人、2回目18人)に絞らせていただき、前田綾子さんの指導で8月29日と11月7日の2回各4時間行いました。また、「雑誌の製作コース」にも19団体から25名の応募があり、9月14日から11月9日まで6回開講。当館の木田陽子主任の他、録音雑誌製作に造詣の深い視覚障害者総合支援センターちばの石渡きよみ氏、グループN-BUN、早川福祉会館点字図書室、奈良県の草笛会にも講師をお願いしました。今後も関心・必要のあるテーマがありましたら、ぜひご受講ください。  ◆識字に関する国際会議に奥野主任が出張  11月29日から12月3日、米フロリダ州で開かれる「Getting In Touch With Literacy 2023」に点字製作係の奥野真里主任が出張しました。この会議は点字、触図など視覚障害者の「識字」に関する取り組みや研究を発表する国際会議。1993年から米国各地で隔年開催され、今回が最終15回目で、4日間に亘り、約60題の発表が行われます。奥野は、日本の「教科書点訳連絡会」事務局長として発表者に選ばれたもので、「The Current Status and Issues of Braille Acquisition by School-Aged Children and Students in Japan」と題して発表します。会議の内容は後日、本誌で紹介する予定です。 あゆみ 【11月】 9日 ボランティア世話人会 11日 オープンデー(館内見学日・4人) 15・16日 日本ライトハウス理事・評議員会(当館) 29日 V友の会施設見学会(盲導犬訓練所) 予定 【12月】 8日 点訳ボランティア養成講習会修了式 9日 オープンデー(館内見学日、要予約) 14日 サービス部休室(書庫・在庫整理日) 26日 サービス年内最終日 27日 ボランティア活動年内最終日 28日 仕事納め 【1月】 5日 仕事始め  法人新年互礼会 6日 製作部休室(8日月曜指定祝日振替)  サービス再開 編集後記 各地でクリスマスのイルミネーションやツリーの点灯が始まる季節となり、日に日に寒さが増しています。私も早速ですが、家でクリスマスのものを出してきて飾りました。パッチワークのタペストリー、松ぼっくりのリース、小さなツリー、ジングルベルのオーナメントや赤い靴下の置物、サンタとトナカイとツリーの色紙や雪の結晶の切り紙など。子どもの頃のクリスマスには、サンタクロースが来てくれる夢をみたものですが、昨夜は懐かしい人の夢をみて、目が覚めました。友人とお店に入ったところ、焼魚定食を食べようとしている亡き父に偶然出会ったというものでした。私はあまり夢をみないのですが、久しぶりの父に逢えて今日は一日その余韻に浸っています。(一) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2023年12月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 かたおか朋子  発行日 2023年12月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円