日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2023年11月号   <<表紙イラスト>> 紅葉狩りのイラストです。 山の中で、木から垂れ下がっているたくさんのもみじを女性と男性が微笑んで眺めています。 女性は首からカメラをかけており、もみじを撮影しようとしています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2〜3頁)   ●ボランティアの頁(4頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆「盲導犬カレンダー」2024年版発売!  日本ライトハウス盲導犬訓練所の愛らしいワンちゃん達の写真を満載したカレンダーを今年も3階総務係で販売します。壁掛け型(見開きA3判)、卓上型(B6判)の2種類。税込1,000円。 (写真=盲導犬カレンダー2種)  新しい盲導犬チャリティグッズも多数入荷しています。ご来館のついでにぜひ3階にお立ち寄りください。通販ご希望の方は、盲導犬訓練所(電話0721-72-0914)へ直接お申込みください。  ◆盲導犬チャリティグッズの新商品  トートバッグ 1,000円(2種:ネイビー、ベージュ)  革キーホルダー 500円(2種:きなり、ブルー)  マグネット 300円(2種:盲導犬柄、子犬柄)  ◆マルチメディアデイジー図書講演会を共催   当館では、NPO法人NaD(ナディ)との共催で第16回マルチメディアデイジー図書講演会「誰もが読めるかたちで〜読書バリアフリー法の現状とデイジー教科書の使用事例」を開催します。  読書バリアフリー法の紹介とディスレクシアの子どもの親御さんからの事例報告の他、久保田製作部長が「サピエ図書館と視覚障害者等向けマルチメディアデイジー図書」を紹介します。  日時 12月3日(日)13時〜15時30分  場所 当館4階会議室+オンライン  参加費 無料  定員 会場50人、オンライン200人  参加申込は、NaDのHP(https://www.npo-nad.org/)からお願いします。  ◆11月の休館・休室について  11月3日(金)=全館休館(祝日)  11月9日(第2木曜)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は書庫・在庫整理日で休室。  11月23日(木)=全館休館(祝日)    <<センターの頁>>(2頁〜3頁)   ●「日本ライトハウス展2023」に1,529人のお客様が来場   最新・話題の用具・機器、サービスを一堂に紹介  西日本最大の視覚障害者用具・機器展示会「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2023」(読売 光と愛の事業団共催)を9月29日(金)と30日(土)、昨年に続き大阪天満橋のOMMビル2階展示場で開催しました。2日間で合計1,529名のお客様がご来場下さり、最新機器や話題の出展品のブースを中心に、終日満員の盛況となりました。(サービス部長 林田 茂、館長 竹下 亘)  ◆多くの新製品やサービスが出展  1998年、旧盲人情報文化センターで「情報機器展98」を開催して以来、26回目となる今回は、初出展6社を含め44社・団体が出展。歩行支援のアプリや機器、家庭電化製品、音声・拡大読書器、録音・再生機器、スマホアプリやPC、白杖、点字ディスプレイなど、視覚障害の方の個別の関心やニーズに応えるさまざまな用具・機器を展示・紹介しました。  視覚障害者の方の歩行に欠くことの出来ない白杖は、7社からいろいろなタイプの杖が出展されました。中でも多くの人が集まり、関心を集めていたのはキザキの「KIZAKI CANE(キザキ・ケーン)」でした。軽量カーボンシャフトを採用した伸縮式の折りたたみの白杖で、とても軽く、手首に負担をかけない自然な握りができるようにした独自のグリップが特徴で、身長に合わせて長さを簡単に調節することができます。  また、目の前の文字を読み上げたり、障害物や道案内をサポートしたりするスマホアプリや専用機器、遠隔ガイドサービスも各種出展され、比較するお客様で賑わいました。初出展のプライムアシスタンスによる「アイコサポート」は、遠隔のサポーターが、利用者のスマホカメラに映った映像や位置情報を声で伝える有料のサービスです。当館の館内は、アイコサポートのフリーエリアに設定されているので、無料で体験することもできます。また、自動車メーカーのダイハツ工業がカメラを使った歩行安全支援機器の試作品を出展したのも注目されました。  この他、三菱電機が製造・販売している音声ガイダンス付きの家庭電化製品、レンジグリルやジャー炊飯器、クッキングヒーター。当館エンジョイ!グッズサロンが出展した日常生活に役立つ各種用具も人気を集めていました。 (写真=日本ライトハウス展会場の様子。多くの人で賑わっている。)  また、日本ライトハウスからは、視覚障害リハビリテーションセンターや、当館サービス部の図書と機器の相談コーナー、盲導犬訓練所の体験コーナーも出展し、視覚障害当事者やご家族、関係者のご相談に応えることが出来ました。  ◆さまざまなテーマの「特別ステージ」を開催  今回は4年ぶりに特別ステージを設け、パラリンピック柔道元日本代表 初瀬勇輔(はつせ ゆうすけ)氏の講演のほか、当館職員によるスマホアプリや図書サービス、リハビリテーションセンターのサービス紹介を行いました。特に人気を集めたのは「ナビゲーションシステムの動向と展望」でした。出演は、QRコードで目的地までの経路を誘導してくれる「ShikAI(シカイ)」、靴に取り付ける機器とスマホを使って歩行をサポートする「あしらせ」、歩行支援アプリ「EyeNavi」の3社で、パワーユーザーや職員も交え、さまざまな視点で話が盛り上がりました。  このステージの録画は、YouTubeの「ニポラチャンネル」(https://youtu.be/qLfENd5RrdA)で公開していますので、ぜひご覧ください。  今回は多くのボランティアの方にもご協力いただきました(感謝報告にお名前を掲載)。来年もさらに充実した展示会を開催したいと思いますので、ご来場とご協力をよろしくお願いいたします。   ●点訳、音訳、図書館サービスなどの課題を研修・協議   全視情協大会が、山形市で4年ぶりにリアル開催  全視情協(特定非営利活動法人・全国視覚障害者情報提供施設協会)の全国大会が10月10日〜11日、山形市で4年ぶりにリアル開催されました。全国74施設・団体から184人が参加し、当館からも7人の職員が参加。全体会でアクセシブルな電子書籍の現状を学んだ他、分科会に分かれて、図書館サービス、施設のPRと地域連携、点訳者養成、録音図書の質の向上について研修・協議を行いました。点訳と音訳・録音の分科会に参加した大下職員と木田職員の報告を掲載します。  ◆“自動点訳”活用の可能性と課題  点字製作係 大下 歩(おおした あゆみ)  山形大会2日目の点訳分科会。グループディスカッションの話題は、近頃存在感を増している「自動点訳」のことでした。テキストデータ化した文章をソフトにかけて、短時間で点字にする技術です。それにどこまで頼るのか、について情報や意見交換が行われました。  当館では、図書の点訳においてはこの技術に頼らず、ボランティアさんに1字1字パソコンで打ち込んでいただいています。一方、私と同じグループだった3施設は、積極的に取り入れているそうです。ボランティアや職員が注力するのは、ソフトにかけた後のデータの校正。「単純な誤字・脱字のチェックより、漢字の読みは適切か、レイアウトはどうかなど、『読みやすくする作業』に人力を割けるので効率がいい」とのことでした。  レイアウトに関しては、点訳ソフトにかける前のテキストデータの段階で整えておくのが良いとのこと。施設によっては、テキストデイジーの製作チームとそのノウハウやデータを共有していることも知りました。  当館で自動点訳を取り入れていない理由は、写真や図表がふんだんに盛り込まれた本が多く、ボランティアさんの技術や経験が点訳に欠かせないからです。とはいえ、2段階の校正を経てもなお単純な誤字・脱字がなかなか無くならないことを考えると、自動点訳を少しずつ試してみるのは決して悪くないと私は感じます。大切なのは、利用者さんにとって読みやすい点字の本を作ること。そのために、両方のいいとこどりをしていけたらすばらしいと思いました。  ◆録音図書の質の向上について報告・確認  録音製作係 木田陽子  音訳・録音分科会では、「みんなで考えよう『サピエ図書館』の録音図書の質について〜審査を改善のチャンスに!課題・解決策を共有して今後の力に変える」というテーマで事例報告が行われました。  現在、全視情協の「『サピエ図書館』登録音声デイジーデータ審査プロジェクト」では、サピエにアップされている音声デイジー図書の品質チェックをしています(私も2021年から審査に参加中)。対象となる87施設中、27施設分が終了しました。この審査の内容を広く伝えることで、まだ審査を受けていない施設にも、すぐに品質の改善にとりかかってもらいたい、という意図で開催されました。  前半では、「ここは必ずチェック!質の高い音声デイジーデータ製作の決め手」と題して、審査結果をもとに、製作時の注意事項や最終確認のチェックポイントを5つ(図書の構成・録音技術・音声表現技術・処理技術・デイジー編集技術)に分けて確認しました(「図書の構成」は私が発表を行いました。)。詳しい内容については、今後の定例勉強会や『ろくおん通信』でお知らせしていく予定です。  後半は、「悩みはみんな同じ!事例をヒントに製作の見直しを考えてみよう」として、審査結果を受け取った施設から、その後の取り組みの事例が発表されました。締め括りは、「自分で考えることのできる製作者になる」「自施設の職員・ボランティアであるだけでなく、『サピエ図書館』の一員でもある」という意識が大切だ、ということで参加者の意見が一致しました。    <<ボランティアの頁>>(4頁)   ●情報文化センターと共に歩んだ半生を振り返って   活動歴40年を超えるボランティアの方々のご紹介(4)  ボランティア活動歴40年を超えて、今も活躍しておられる方々にこれまでの歩みを振り返っていただくリレー企画の第4回。今回は、録音製作係の谷口伊都子さんのご紹介です。  ◆皆さま、ありがとうございます  谷口 伊都子(録音ボランティア)  ワンブック10月号を拝見して、録音ボランティアの右藤惠子(うとう けいこ)さんというお方を初めて知りました。私は木曜日に講習を受けた同期でした。何処かでお会いしていたのでしょうか。お書きになった文章を読んで、ああそうだった、そんなこともあったと思い出すことしきりです。  私は初め、地域の公民館で広報などを読んでいましたが、社協等の会合が苦手で盲人情報文化センター[現情報文化センター]にきました。  現在は緑内障が進んでパソコン操作が辛くなり、読むことだけをさせていただいています。一冊の本ができあがるまでに、音訳、モニター、校正、編集の各自が自分の仕事として取り組んできたそのうちの一人として、ちょっぴり世間と繋がっていることを嬉しく思っています。  分からない事はお尋ねすれば、ボランティアの方々も職員の方も皆さん何でも親切に教えてくださいます。アクセントやカタカナ表記につっかえては何度もやり直すなど、モニターの澤田由紀さんに我儘を許してもらっています。毎回、感謝感謝です。 (写真=谷口伊都子さん(左)とペアの澤田由紀さん)  水曜日の朝、写真の主人に「じゃあ、行ってまいります」と声をかけて、今日行くところがある幸せをかみしめています。   ●報告の頁(8頁)  ◆福島博子さんが朗読録音全国表彰を受賞  公益財団法人鉄道弘済会の「第53回朗読録音奉仕者感謝の集い」が9月28日、東京で行われ、当館ボランティアの福島博子さんが全国表彰を受賞されました。福島さんは活動歴31年。専門音訳「理数チーム」に所属し、図表が頻出する自然科学系の図書など1,027時間の録音図書を製作されたことが高く評価されたものです。  続いて、鉄道弘済会西日本地区の朗読録音奉仕奨励賞の贈呈式が10月3日、当館で行われ、当館から岡田栄子さん、北山真知子さん、平田惠美子さん、弘津千加子さんの4名が受賞されました。奨励賞は活動歴5年未満で、積極的に音訳活動に取り組んでいる 方が対象です。  大ベテランの福島さんと、その 後を追う4名の皆さんのご受賞をお祝いするとともに、今後も健康を守られ、質の高い録音図書を送り出してださることを期待したいと思います。  ◆民間企業の視覚障害者の就労者数が明らかに  「雇用・就労」は、生活を維持するとともに、生きがいある人生を送る上で非常に重要な社会活動ですが、視覚障害者の就労は高く、厚い壁に阻まれています。そんな中、厚生労働省の「令和4年障害者雇用状況の集計結果」で、初めて「民間企業(43.5人以上の規模)」における「視覚障害者」の雇用状況が発表されました。  それによると、『民間企業に雇用される身体障害者(肢体不自由、内部障害、聴覚・言語障害、視覚障害他)』は、全体では、在宅の障害者総数357万8千人中24万9120人(約7%)に対し、「視覚障害」では、総数31万5千人中1万3697人(4.3%)に止まっています。ちなみに、「聴覚・言語障害」では、総数36万人中3万2059人(8.9%)です。  また、『民間企業における視覚障害者の産業別雇用状況』では、多い順に「医療・福祉」3616人(26.4%)、「製造業」2503人(18.3%)、「卸・小売り」1602人(11.7%)、「サービス業」1384人(10.1%)、「情報通信業」1158人(8.5%)、「金融・保険」706人(5.2%)、「学術研究・専門サービス」687人(5.0%)などとなっています。  こうした視覚障害者の一般雇用・就労を進め、支援するためにも、私たちの点字・録音・電子書籍の製作・提供、ICT機器の利用支援に求められる役割は高まる一方ですので、さらに力を入れていきたいと思います。  なお、上記の調査には国や自治体や公共機関、小規模の事業所や自営業は含まれていません。古い調査ですが、2006年の厚労省「身体障害児・者実体調査」によれば、視覚障害者の就業者数は6万6千人、内約2万人があん摩・鍼・灸・マッサージに従事しているとされています。(竹下) あゆみ 【10月】 10日〜11日 全国視覚障害者情報提供施設大会(山形市:久保田、松本、谷口、木田、山岡、前北、大下) 14日 オープンデー(館内見学日・5人) 予定 【11月】 3日 全館休館(祝日) 9日 サービス部休室(在庫・書庫整理日) 11日 オープンデー(館内見学日・要予約) 15・16日 日本ライトハウス理事会・評議員会(当館4階会議室) 23日 全館休館(祝日) 29日 V友の会施設見学会(盲導犬訓練所) 編集後記 我が家にはぬいぐるみがいくつかありますが、それぞれ名前がついています。ゲームセンターのUFOキャッチャーでゲットしたトラは、300円かかったので“サンビャク”。抱き枕やクッション等、オールマイティに活躍してくれるカワウソは“オール”。机とお腹の間に挟むことで、姿勢を正してくれるというオランウータンのぬいぐるみは“シーセイ”。他にも、ダックスフントの“トンちゃん”や雷鳥の“ゆこはり”などもいます。この子たちにも、名前の由来がちゃーんとあります。この度、骨付き肉をくわえたホワイトタイガーが仲間入りしました。新入りのこの子の名前は…“シンリィ”!(点) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2023年11月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 かたおか朋子  発行日 2023年11月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円