日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2023年10月号   <<表紙イラスト>> 読書のイラストです。 「読書週間」のポスターが張り出された図書室で、女性が机に腰掛けて本を読んでいます。 部屋の後方では男性や女の子が本棚から本を選んでいます。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●ボランティアの頁(2〜3頁)   ●利用者の頁(4頁)   ●感謝報告(5〜9頁、別ファイル)   ●報告の頁(10頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆秋の一日、盲導犬訓練所へ見学に!  今年のボランティア友の会施設見学会は、日本ライトハウス盲導犬訓練所を訪ねます。日頃見られない訓練所内の様子を見学し、訓練中の犬たちとふれあい、盲導犬の知識を学びます。施設のある千早赤坂村までは貸切バスで向かい、途中「道の駅 しらとりの郷」でお昼・買い物休憩をとる予定です(昼食は各自で用意)。ぜひご参加ください。  日時 11月29日(水)10:00〜16:00(予定)  集合場所 当館ビル入口前  参加費 2,000円  申込 当館総務係。定員先着20人(締切11月7日)。詳細は追ってお伝えします。  ◆「マルチメディアDAISY図書報告・体験会」を開催  日本障害者リハビリテーション協会主催、当館協力の標題行事が10月28日(土)13時30分から15時50分、当館4階会議室とオンラインで開催されます。同協会は、全国のボランティア団体等と協力して、読みの困難がある小中学校の児童生徒にマルチメディアデイジー(以下MMD)教科書を製作・提供。昨年度の利用者は2万名となり、さらに増え続けています。この報告・体験会では、図書館等での活用事例を通して成果や課題を学び、今後のMMD図書のあり方と普及について考えます。当館の久保田製作部長も発表。参加費無料。お申込みは、以下のサイトの申込みフォームから。https://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/book/20231028.html  ◆点字名刺の注文は日本ライトハウスさんさんに  当法人の就労継続支援B型事業所「日本ライトハウスワークセンター さんさん」では、点字名刺の製作を始めました。ぜひご注文いただくとともに広くご紹介下さい。お問合せは「さんさん」(電話06-6964-5080、平日10時〜16時)まで。  ◆10月の休館・休室について  10月10日(火)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は休室(9日月曜指定祝日の振替)。  10月12日(第2木曜)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は書庫・在庫整理日で休室。 ※10月7日(土)は製作部(点字、録音、電子書籍)の各係は開室します。    <<ボランティアの頁>>(2頁〜3頁)   ●ボランティア同士の交流・情報交換で有意義なひととき   友の会の「ガイド体験会」に参加して  ボランティア友の会では例年「ガイド体験会」を開催しています。今年は、「視覚障害の方への適切な声かけと手の貸し方」の基礎を学ぶことに加えて、点訳、音訳、対面、電子書籍、音声解説、図書貸出等、当館のボランティア活動の紹介と各係のボランティア同士の交流・情報交換を行いました。当日の様子を友の会世話人会の阪本美紀さん(録音製作係)にご報告いただきました。  ◆実体験を重ねることの大切さを実感  気候変動による影響下の暑い夏を迎えた7月18日(火)午後、4階会議室1・2を使い、ガイド体験会&ボランティア情報交換会が行われました。参加者は世話人含め20名、コの字型に並んだテーブルに着席しました。  まず最初に、講師の林田職員は「皆さん目を閉じて、私が良いと言うまで目をあけないでください」とおっしゃり、全員が目をつぶりました。目を閉じている間、林田職員がなにか作業をしている雰囲気や、室内を移動している音などは感じ取れましたが、具体的に何をしているかは分かりません。目を開ける許可が出るまでの時間は、暗く長く感じられて不安になりました(後で質問すると実際には2〜3分とのことでしたが!!)。視覚障害者の方にはこれが日常で、少しの声かけやその場の状況説明だけでも助けになると教わりました。  講義の後は、2人一組で室内でのガイド体験。1人がアイマスクを着けて、ペアのガイド役の方に手引きして頂きました。自席から歩き始めて、2つの会議室を繋げた大きな部屋を半周、会議室2の扉から退室して、廊下を歩き会議室1の扉から入室、自席までの残りの半周を歩きました。室内には移動式の小さな階段も用意されていて、昇降も体験しました。  私はまず手引きを受けましたが、ガイド役の方の丁寧な声かけのおかげで安心して左手を委ねることができ、着席時にはテーブルと椅子の背を軽くたたいて、位置を知らせて頂きました。次に交代してガイド役をしました。相手の半歩先で「ひじ」をつかんでもらい、相手の意向を尊重して、安心安全なサポートを心掛ける事!しかし的確にその場の様子を表現するのが難しい!焦らず気付いた事を素直に言葉にすれば良いのかな。実体験を重ねることは大切だと実感しました。その後の質疑応答の時間には、以前にも体験会に参加されたことのある 方が、今回改めて参加して忘れていたことを思い出したり、新たな気づきがあったりしたと感想をおっしゃっていました。機会があれば是非体験されることをお薦めします。“百聞は一見にしかず”です!!  ◆ボランティアそれぞれの苦労と達成感に共感  次にボランティア情報交換会。現在ボランティア数は製作部、サービス部、総務部の係を合わせて約540人とのことです。部屋前方のスクリーンに映し出された各部門の作業風景の写真とともに、世話人からお仕事内容の紹介、その後ボランティア同士で質疑応答。各部門の方々と相互に理解が進み、有意義で和やかな楽しい時間でした。 (写真=ボランティア情報交換会の様子。部屋の前方のプロジェクターに電子書籍ボランティアの作業画面が映し出され、ボランティアが作業の解説をしている。)  それぞれのボランティアにそれぞれの苦労と達成感がありますね。会場には、製作部で作られた電子書籍や点字図書、録音図書と再生機器の展示コーナーもあり、私は初めて手に持った点字本の厚みに、すごいなと感じ入りました!“1/540”人のボランティアとして、また、自身のためにも活動を続けられるように努力したいと思いました。仏教用語で「和顔施(わがんせ)」という言葉がありますが、マスク下でも笑顔を忘れずに!   ●情報文化センターと共に歩んだ半生を振り返って   活動歴40年を超えるボランティアの方々のご紹介(3)  ボランティア活動歴40年を超えて、今も活躍しておられる方々にこれまでの歩みを振り返っていただくリレー企画の第3回。今回は、点字の宗像 真李子(むなかた まりこ)さんと録音の右藤 惠子(うとう けいこ)さんのご紹介です。  ◆点字にご縁をいただいて  宗像 真李子(点訳ボランティア)  点字を始めたのは下の子が幼稚園に入った年で、講習は久しぶりの「社会参加」、とても楽しい時間でした。点字には独特のルールがあり、それに従いながら点訳していくことの面白さにひたりました。講師は職員の水谷昌史(まさふみ)さんで、毎回始めの15分程、盲人の方の生活についていろいろお話してくださいました。先生のご著書「見えない人の『ちょっと世間話』」を拝読し、当時のことを懐かしく思い出しました。  初めて点訳したのは新書で、点字板を使い1年がかりでやっと完成。次はタイプライターで少し早くなりましたが、やはり一字一字 打ち、間違えると紙を換えてやり直し、完成本の3倍の紙を無駄にしたものです。  パソコン点訳になった頃は40代で時間があり、小説などをせっせと点訳していました。パソコンは格段に作業が捗り、ボランティアによる二校正も始まりました。私は、指を痛めてからは二校正を主にさせていただいています。 (写真=宗像 真李子さんの近影)  最近は複雑な本が多く、点訳・校正も難しくなりましたが、マスあけやレイアウトなどで迷ったときは、パソコン上でもカナでなく点字で見たり、指を滑らせながら疑似的に点字を読むまねをしてみたり、本来の点字の感覚を少しでもイメージできるように心がけています。  忙しいときのすきま時間でも、足を怪我して歩けなくなったときでも、どんなときにも「仕事」があることは本当にありがたく、ご縁をいただいた幸せを実感しております。  ◆ぼちぼちボランティア  右藤 惠子(録音ボランティア)  今年の芥川賞受賞作品では紙の本の読書を「マチズモ」と呼んでいます。ITの進歩で電子書籍が現れ、AIが合成音声で文章を読み上げ、Audio Bookも身近になってきました。読書のバリアフリーは確実に拡がっています。でもその一端を担うボランティアはずっと圧倒的に女性で、ジェンダーバランスは改善されていません。高齢化も問題です。  きっかけは、ボランティアが足りないという朝日新聞の記事でした。漢字とマイクテストをうけ、土曜の午後、講師の河合和美先生から「音(声)訳は朗読とは違う」と教わりました。音訳の田主子(たぬし しょうこ)さん、デイジー編集の森和子さん、対面リーディングの井上満子さんは同期です。当時はオープンリールで録音し、カセットテープに、それがデイジーになり、今やPCで録音しネット配信です。サピエ図書館では利用できる資料がわかり、重複作成が避けられるようになりました。作家さんが、自作を録音図書化したいと求められた著作権許諾を拒否したことがあったのは、今や昔話です。阪神・淡路大震災後のセンター建て替えの際は、ミナミの国立文楽劇場裏に建つ古いビルに通いました。オフィス街の肥後橋とは違う、ディープな大阪でした。ここ数年のコロナでは、スタジオに行くことができなくなり、ほぼ活動休止になりました。家庭録音をできるようにしておけばよかったと思ったこともありました。  ぼちぼちでもボランティアを続けてこられたのは、モニター、校正、編集の皆さんがおられたからです。一冊の録音図書もこの協同なしにはできません。    <<利用者の頁>>(4頁)   ●ダスキン研修生は今(3)〜中国の庄麗さん   点字製作係 大下 歩(おおした あゆみ)  ダスキン愛の輪基金の「アジア太平洋障害者リーダー育成事業」で来館した視覚障害研修生の“今”を尋ねる企画の3回目。今回は23年前に中国から来日し、埼玉県で暮らす庄 麗さんです。  Q.プロフィールをお聞かせください。  A.私の名前は庄麗、中国・上海出身です。全盲で点字を使っています。ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業の第2期生として、2000年に初めて来日しました。今は日本人の夫と一緒に、埼玉県の川越に住んでいます。  Q.来日前はどんな生活をしていましたか?  A.高校生になったばかりの頃、「なんか、視野が狭いな…」と思うようになり、その後、緑内障と診断されました。高3で視力が一気に落ち、大学は断念。代わりに上海盲学校にあるピアノの調律師の養成コースに進み、そこで中国語の点字も学びました。ダスキン研修のことを教えてくれたのも盲学校の先生でした。  Q.研修ではどんなことをしましたか?  A.最初の3か月は、日本語や日本の点字を習いました。日本語を学んだのはこのときが初めてです。その後は日本ライトハウスをはじめ、神奈川県の福祉施設を見学したり、日本の障害者運動や法律について勉強したりしました。  Q.翌年、もう一度来日されたんですよね?  A.はい。東京にある筑波大学附属視覚特別支援学校の鍼灸科に入学するためです。中国では、視覚障害者はあんまの勉強はできても、鍼灸の勉強はできません。それで両親と相談し、「まだ若いんだし、勉強のチャンスがあるなら!」と。勉強は大変でした。生理学も解剖学も学ぶのは初めてだったし、専門用語ばかりだし。とにかく教科書を何度も読んだり、寄宿舎の友達や先生に聴いたりしたのを覚えています。 (写真=庄 麗さんの近影)  Q.今はどんなお仕事をしていますか?  A.国際視覚障害者援護協会と、日本障害者リハビリテーション協会で、半分ずつ働いています。援護協会でこの3、4年やっているのは、海外にいる視覚障害者に日本語や日本の点字をオンラインで教えること。みんな普段は晴眼者と一緒に勉強しているのですが、教科書が読めなかったり、点字がわからずノートが取れなかったりして、助けを求めてくるんです。今受け持っているのはスリランカ人、香港人、メキシコ人の3人。教えるときには、昔の自分がどこでつまずいたかを思い出しています。「わかった!」と言ってもらえるとうれしいですね。  Q.休みの日は何をしていますか?  A.ジョギングが好きです。走ると体が軽くなるので。ハーフマラソンも3回出ました。コロナ禍前までは、アキレス・インターナショナル・ジャパンという視覚障害ランナーの会に入り、代々木公園で走っていました。夫は伴走ボランティアでした。新宿御苑などにお散歩に行って、季節ごとのお花を見るのも好きですね。  Q.これからやってみたいことは?  A.コロナ禍が落ち着いたので、上海にいる両親や友達にもっと会いに行きたいですね。後は、母国に戻ったダスキン研修の修了生たちにも会いに行きたい。そして、チャンスがあればサポートしたいと思っています。  ◆歩(あゆみ)のつぶやき  優しく落ち着いた雰囲気の庄さん。実はここに書ききれないくらいいろいろな学歴・職歴の持ち主で、人生の先輩としてプライベートでももっと話を聴きたい!と思いました。「東京に来ることがあったらご飯を食べましょう」と言ってくださったので、今から楽しみです。(歩)   ●報告の頁(8頁)  ◆金井さんと伊東さんが朗読録音・地区表彰受賞  公益財団法人鉄道弘済会の今年度・第53回朗読録音奉仕者西日本地区表彰式が9月15日に行われ、朗読録音の部で当館録音ボランティアの金井典子さん、校正の部で伊東晴子さんが受賞されました。金井さんは活動歴29年2112時間287タイトル(内、専門書911時間112タイトル)、伊東さんは校正歴14年984時間の実績が高く評価されたものです。ご受賞をお祝いするとともに、今後ますますのご活躍をお願いいたします。  ◆わろう座「触って“観よう・知ろう・楽しもう”」開催  8月26日、当館4階で、40点余りの模型や地形図、彫刻作品などを展示し、視覚障害の方々に手や指で触って観ていただく展示会を開催しました。500分の1スケールで比較する通天閣やあべのハルカス。ツタンカーメンや縄文土偶、奈良の大仏。東事業所製作の地形模型、小原二三夫(おばら ふみお)さんの木彫作品などを1回90分定員8人で全3回実施。説明は小原さんや当館の5人の点訳ボランティア、東事業所の職員と竹下が担当しました。来場された皆さんは「こんな形とは知らなかった」「面白かった」「また開いてほしい」と大変喜んで下さいました。今後もこのような展示会の開催を検討したいと思います。  ◆花田潤子職員が退職し、仲川葵職員を採用  当館サービス部機器・用具係の花田潤子職員が8月末日付けで退職しました。これに伴い、法人で正職員を公募した結果、9月16日付けで仲川葵職員を採用し、機器・用具係(5階のエンジョイ!グッズサロン)に配属しました。これからどうぞよろしくお願いいたします。  【訂正】「ボイスぷらす」のメンバー加入について  前号で、音声解説「ボイスぷらす」の新メンバー4人の参加を報告した際、「久しぶりに参加希望者を公募した結果」と書きましたが、これは誤りで、「以前から参加を希望されていた方にご案内した結果」でした。お詫びして訂正いたします。 あゆみ 【8月】 25日 わろう座映画体験会「幸福のスイッチ」 26日 わろう座「触って“観よう・知ろう・楽しもう!”」 29日 専門音訳講習会「小説の読み方コース」開講 【9月】 1日 点訳ボランティア養成講習会(中級)開講 8〜9日 灯友会(とうゆうかい)(当法人後援会)バザー(4階) 9日 オープンデー(館内見学日・5人) 14日 専門音訳講習会「雑誌の製作コース」開講  ボランティア世話人会 29日〜30日 日本ライトハウス展 予定 【10月】 10日〜11日 全国視覚障害者情報提供施設大会(山形市:久保田、松本、谷口、木田、山岡、前北、大下) 14日 オープンデー(館内見学日・要予約) 編集後記 先日、灯友会のバザールが情報文化センターの会議室で開催され、パパイヤが売られていました。パパイヤといえばフルーツなのかと思いますが、「サラダや炒め物にどうぞ」と貼り紙がされていました。それは青パパイヤというもので、完熟する前に収穫されたので、果肉や種は白色で、味わいもさっぱり。私は、生だと結構硬かったので、薄くスライスして豚肉と炒めたり、きんぴらにしたりしました。皮は苦みがあるので剥いた方がよいこと、切り口から出てくる白い液は手が荒れることもあるなど、ワクワクと学びがありました。(一) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2023年10月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 かたおか朋子  発行日 2023年10月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円