日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2023年7月号   <<表紙イラスト>> ハイキングのイラストです。 晴天の空の下、女性と男性が山にハイキングに来ています。男性は女性から少し離れたところで風景を眺めています。山には緑が生い茂り、女性のそばで一羽の蝶が飛んでいます。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●ボランティアの頁(2〜3頁)   ●センターの頁(4頁)   ●感謝報告(5〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆専門音訳講習会「小説の読み方コース」を開講  今年度の専門音訳講習会(毎日新聞大阪社会事業団共催)の第1弾として、毎年人気の「小説の読み方コース」を開講します。全国で最も活動歴の長い音訳ボランティア前田綾子さんを講師に、時代小説や児童書など会話文のある文章について、内容を伝える読み方を学びます。  日時 8月29日(火)か11月7日(火)の10時〜15時。全1回(4時間)を2回開講。  対象 音訳活動中で、音訳経験3年以上の方  定員 各回15人  受講料 1,200円  申込 当館HP(http://www.lighthouse.or.jp/iccb/)で要項をご確認の上、7月25日(火)必着でお申し込み下さい。  問合せ 当館録音製作係(06-6441-1017)  ◆7月9日(日)はチャリティコンサートに!  日本ライトハウス・チャリティコンサートの開催が7月9日(日)に迫ってきました。開演は13時30分、会場は大阪市福島区のザ・シンフォニーホール。出演は澤和樹指揮、千里フィルハーモニア・大阪とヴァイオリンの川畠成道(かわばた なりみち)で、チャイコフスキーの「交響曲第5番」、プロコフィエフの「ヴァイオリン協奏曲第2番」他を演奏。入場料3,500円。まだ間に合いますので、当館総務係(電話06-6441-0015)にお申し込みください。  ◆肥後橋駅の可動式ホーム柵が12月22日稼働  大阪メトロ肥後橋駅の「可動式ホーム柵」の設置予定が決まりました。設置工事は11月12日(日)から12月21日(木)の夜間に行われ、12月22日(金)から稼働予定です。また、6月からホーム柵の設置場所に、薄い鉄の円形の蓋が設置されますので、足元にご注意ください。なお、肥後橋駅では目下、ホーム階の壁と天井、北改札と南改札の連絡通路の床の改修工事中で、来年11月下旬まで続く予定です。ホーム中央に資材置き場が仮設され、連絡通路も時期によって狭くなりますので、ご来館の際はご注意ください。  ◆7月の休館・休室について 【ボランティア活動】  7月15日(土)=17日(月曜指定祝日)の振替休室 【エンジョイ!グッズサロンと図書貸出】  7月13日(第2木曜)=書庫・在庫整理日  7月18日(火)=17日(月曜指定祝日)の振替休室 ※3階総務係と4階会議室は、上記の日も開室    <<ボランティアの頁>>(2頁〜3頁)   ●情報文化センターと共に歩んだ半生を振り返って   活動歴40年を超えるボランティアの方々のご紹介(1)  当館では毎年、ボランティア交流会で活動歴20年、30年を超えた方々に感謝状を贈呈していますが、近年、活動歴40年、50年を超えて、今も活躍を続けている 方が増えてきました。そこで、そうした皆さんにこれまでの歩みを振り返っていただき、貴重な記録として残させていただくことにしました。ボランティア活動の大先輩であるお一人お一人の経験や思い、苦労や喜びを知り、少しでも分かち合うことが出来れば嬉しく思います。(副館長 久保田 文(あや))  ◆元気に過ごせたのはボランティアのおかげ  板波キミ(いたなみ きみ)(図書・情報ボランティア)  今から40年前、奈良から大阪へ住まいを変え、自分のこれからを考えていた時、新聞の点訳ボランティア募集の記事が目に入りました。本を点訳することなら80歳になっても、多少歩行が難しくなっても続けられるのではと思い応募しました。漢字、文法のテストがあり、それから1年間の講習。1学期ごとにテストがあって学生時代を思い出します。点字担当の視覚障害の水谷昌史・森泰雄 両先生の博識にはびっくり。点訳した本を読んでくださった利用者の方から感想のお手紙を頂き、点訳した実感を味わえました。 (写真=笑顔で作業をされている板波キミさん)  当時は、家が近かったのでほぼ毎日短時間、館内のお手伝いを。ローラー式点字印刷機での点字印刷は毎月末、必死に頑張りました。二人一組の息が合えば数多くできますが、徐々に誌面が充実し、亜鉛板が増えてきて重かったです。  録音のカセットテープは、返却されてきたら中身を消したり、ラベルを新しいものに貼り替えたりと作業が多く、数も必要で、テープや郵送ケースに貼る点字は、家でパーキンスタイプライターで大きな音をたてながら打ちました。テープコピーも大変な作業で、多くのボランティアさんの手が必要です。A面・B面の4カ所(冒頭と最後)のチェック、ケースを準備し、点字を貼ってセッティング完了です。1日にコピーする数は膨大でした。  8年程、職員としても携わらせて頂きました。今は図書貸出のお手伝いと点字のラベル打ちを。この歳まで元気に過ごせたのは、情文で43年ボランティアをさせていただいたおかげです。感謝です。  ◆冷や汗の新人時代から専門点訳へ  福山美佐子(点訳ボランティア)  大阪放出(はなてん)のライトハウスへ何かの用事で行った時、「点訳ボランティアの募集があります。どうですか」と。これが点訳のきっかけです。  応募、テスト、講習会。点字板・点筆(てんぴつ)は見たことがあっても初めての体験。六つの点で組まれる字、わかち書き等々、初めてのものばかり。覚える生活の始まりです。点筆に力を入れると紙に穴が開き、力不足だと点が出ない。慣れるまで大変でした。  講習も進んで、読みのテスト。1分にどれだけ読めるかです。点訳したものを講師に読んでもらうこともありました。1週間に15枚位は点訳したように覚えています。ミスがあれば修正。これがまた大変。糊を薄めてミスのところにぬり、乾いてから打つ。1語のミスで1枚すべての打ち直しも、何回も経験しました。紙の無駄使いもたくさん。失敗だらけでしたが、講習会も終了しました。  ペアの人も決まり、二人で校正。ペア校正最初の日、「お願いします」と始めましたが、進みません。時間ばかりが過ぎていきます。午後3時頃には、皆さん終わって帰って行かれます。二人だけが残ってやっていたら、「まだ終わりませんか」と。冷や汗たらたらの校正1日目。  それでも数学に関心を持ち、数学点訳の講習を受け、教科書点訳もしました。図を書くために洋裁用ルレット、さし、三角定規、コンパス、携帯用点字器などを用意しました。  何年か点字板を使い、本当の点字で点訳、そして点字タイプライターへ。1990年代に入ってから、ぼつぼつパソコン点訳へ。今では考えられない最初のころの思い出です。  40年、長いような短いような年月でした。我が身にも世の中にもいろいろありました。その中で点訳が続けられたということは、幸せな事と思っています。あらゆる人に支えられての40年。これから先どうなるかわかりませんが、もうしばらく続けられたらと思っております。 【東京にお住まいのためお写真を撮影出来ず、近影はご紹介出来ませんでした。】   ●「算数・数学の点訳(実例集)」出版   点訳ボランティアの澤田祐子さんが執筆・編集  当館で50年以上点訳ボランティア活動を続けられ、特に算数・数学の教科書点訳と指導にご尽力くださっている澤田祐子さんの執筆・編集による「算数・数学の点訳(実例集)」(162頁・墨字版のみ)がこのほど出版されました。澤田さんが長年に亘る豊富な点訳経験を注ぎ込んで書き上げられたもので、数式、グラフ、数直線、図形などの点訳ポイントが多くの実例を元に解説されています。  当館では年々、地域の学校に通う視覚障害の生徒・学生の点字教科書・教材の依頼が増えています。中でも算数・数学は、専門点訳技術に加え、視覚的に表された立体図を点図で表現するための想像力や応用力が求められるため、多くの点訳者が悩み、苦労している分野です。  この本は、著作権処理などに時間がかかり、10年越しの発行となったため最新の点字表記でない部分もありますが、澤田さんによると、「『このように書きましょう』ではなく、『このように考えましょう』という内容の本です。ぜひ、たくさんの方に参考にしていただきたいと願っています」とのことです。 <「目次」の一部分を紹介> 第1部 算数の点訳  1.数と式の書き方  2.単位の書き方  3.文中にある式の書き方  4.筆算の書き方  5.表の書き方  6.図の書き方 (1)点字で書ける図 (2)平面の図形 (3)立体の図形 (4)いろいろなグラフ (5)絵 (6)そろばん (7)算数でよく使う道具  7.文字を使った式  8.その他、注意を要すること 第2部 数学の点訳  1.数式について (1)数式指示符 (2)分数囲み記号 (3)ブロック化カッコ (4)コンマと読点について (5)文中の数式の扱い (6)単位の書き方 (7)連立方程式について (8)行移しについて (9)図形に関する記号と文字 ……  2.表とグラフ、図形について (写真=実例集の内容の一例。立方体を点訳でどのように説明するか解説が載っている。)  ◆本書は、算数・数学の教科書・教材の点訳に関わっている方、これから関わる方に無料で差し上げます。点字製作係(電話06-6441-1028)にご連絡の上、ご来館ください。数量限定のため先着順とさせていただきます。    <<センターの頁>>(4頁)   ●自伝、エッセイ、研究書からボランティア活動の参考文献まで   当館3階「ボランティア友の会文庫」をご利用ください  当館3階総務フロアには「ボランティア友の会文庫」があり、約1,500冊の視覚障害関係資料を所蔵しています。ヘレン・ケラーや岩橋武夫など歴史的人物から今日活躍する視覚障害者の評伝や研究書、点訳・音訳・録音等に関するさまざまなマニュアル、視覚障害に関する専門文献、最近はマンガまで、内容は多種多様。一般貸出はしていませんが、当館のボランティア(と職員)には貸出を行っています。いつでも気軽に覗いて、ご自由にご利用ください。(館長 竹下 亘) ◆「友の会文庫」にはこんな本があります♪  ◆視覚障害者の自伝・手記・評伝  「愛と光への旅〜ヘレン・ケラーとアン・サリヴァン」(J・P・ラッシュ著、新潮社)=“奇跡の人”の実像を追究した評伝の決定版。(来日と岩橋武夫との交流が綴られた最終章は割愛されましたが、英語原本の仮訳をお見せできます。)  「あの夏の朝から〜手と光を失って30年」(藤野高明(たかあき)著、点字民報社)=今年のボランティア交流会の講師、藤野さんの劇的な半生が綴られた第1作。最近作「楽しく生きる」などもあります。  「感じて歩く」(三宮麻由子著、岩波書店)=処女出版「鳥が教えてくれた空」(日本放送出版協会)で、視覚以外の感覚で知る世界の奥深さを表現し、一世を風靡した著者の“ルポエッセイ”。  「世界を手で見る、耳で見る〜目で見ない族からのメッセージ」(堀越喜晴著、毎日新聞出版)=視覚障害に関する先入観をさまざまな視点から覆す、ウィットに富んだエッセイ集。  「瞽女 キクイとハル〜強く生きた盲女性たち」(川野楠己著、みやざき文庫)=生涯をかけて最後の瞽女を取材・紹介し続けた元NHKラジオ「盲人の時間」ディレクターの集大成の書。  「ぼくの命は言葉とともにある」(福島智著、致知出版社)=全盲ろうで世界初の大学教授となった著者による、人間と命についての深い思索が綴られた書。他にも多数の著書を所蔵。  「Let it be〜夢は、情報バリアフリー(視覚障がい あるがままに)」(岩井和彦著、文理閣)=当館館長、全視情協理事長として今日の「情報バリアフリー」の道を切り開いた著者の自伝。  「僕は、涙の出ない目で泣いた。」(川畠成道著、扶桑社)=日本ライトハウスのコンサートでお馴染みの、世界的ヴァイオリニストの自伝。  「いつくしみの視野〜全盲ママの愛と感動の育児記録」(曽根富美子著、ベネッセ)=視覚障害のある母親も子育てが出来る!母親の愛と苦労と工夫と周囲の支援をマンガにした画期的な本。  「全盲のクライマー、エヴェレストに立つ」(エリック・ヴァイエンマイヤー著、文藝春秋)=世界七大陸の最高峰を完全制覇した全盲の登山家の手記。登山の詳細な叙述と、「頂上は、私たちの心の中にある」といった至言が秀逸。 ◆ボランティア活動、点字図書館に関する本  「手で読む 心でさわる やさしい点字」(日本点字委員会監修、全6巻、国土社)=絵や図や写真を駆使して、児童から成人まで「点字」に親しめる本。第3巻「点字をささえる人びと」には当館点字製作係の職員とボランティアも登場。  「耳で読む読書の世界〜音訳者とともに歩む」(二村晃著、東方出版)=著者は当館の熱心な利用者(故人)。録音図書と対面について、聴く側からの貴重な意見や示唆が盛り込まれた本。  「さわって楽しむ博物館〜ユニバーサル・ミュージアムの可能性」(広瀬浩二郎著、青弓社)=国立民族学博物館教授で、当館とも関わりの深い著者のライフワークの書。文庫に著者の本多数。  「見えない地球の暮らし方」(メルマガ色鉛筆チーム編著)=見えない・見えにくい人たち数十人の手記集。ロービジョン理解の資料も多数掲載。  ◆「ボランティア友の会文庫」の利用方法  *対象 当館の登録ボランティアと職員、その他の方は館内での閲覧のみ  *貸出冊数 お一人1回3冊まで  *貸出期間 貸出日から2週間  *貸出窓口 3階総務係(電話06-6441-0015)  *貸出方法 貸出簿に氏名と連絡先を記入   ●報告の頁(8頁)  ◆タンデム自転車の公道走行が全国で可能に!  タンデム自転車の公道での走行が7月から東京で認可され、ついに国内全47都道府県で走行できることになりました。タンデム自転車は、前の席で晴眼者がハンドルを操作し、後ろの席で視覚障害者がペダルを漕ぎ、二人の力で快走することができるため、視覚障害者の方も風を切って、爽快感を味わえる絶好の乗り物です。かつてタンデム自転車の公道走行が認められていたのは長野県だけでしたが、当館の岩井和彦元館長が大阪府で認可を求める運動を始めたのを皮切りに全国に波及し、今日に至りました。  ◆韓国の読者、李宇寛(い うかん)さんから嬉しいお便り  先頃、韓国の李宇寛さんという方から日本語で大要以下のお手紙を頂きました。「私は生徒の時から貴館の会員です。お陰様で盲学校の約30年の教師生活を終えて無事退職致しました。以前の韓国は図書が不足していましたが、そんな時代、私に貴重な本を何冊も郵便で貸出してもらいました。この頃はサピエを活用して居ります。いつもこのようなご支援と配慮にありがたさを感じて居ります。」今日ではマラケシュ条約により、世界中の条約加盟国間でサピエ図書館が利用出来るようになりました。当館の蔵書がさらに世界中の読者に読まれることを願います。  ◆大阪ライオンズクラブ様から貴重なご厚志  大阪で最も歴史の長い大阪ライオンズクラブ(齋藤昌宏会長)ではこの度、創立70周年を記念し、当館に多額のご寄附と多数の視覚障害者用具・機器をご寄贈くださいました。また、これに先立ち、70周年記念アクティビティ「日本ライトハウスワークショップ」を開催。大阪地域のライオンズメンバー70人余りが当館の利用者8人と交流し、視覚障害者の理解を深め、支援の仕方を実習されました。今回の事業は当館録音ボランティアの遠藤敬子さんを中心とする同クラブの実行委員が企画されたものです。心から感謝し、ご厚志を活かしていきたいと思います。 【お詫び】前号の2頁『アミ・ドゥ・ブライユ』の紹介記事中、「当館の点訳ボランティア3名が記事の選択・点訳・校正を行い」と記載しましたが、正しくは、10名の方々が担当してくださっています。お詫びして訂正いたします。 あゆみ 【6月】 10日 オープンデー(館内見学日・1人) 14日 見学:全視情協新任管理者研修会 22日 見学:福島アイクリニック、米アップル社A.ゴンザレス氏 23日 わろう座映画体験会「ステージ・マザー」 29日 消防訓練(12:30〜、AED体験) 予定 【7月】 6〜7日 サピエ研修会(玉水記念館・当館) 8日 オープンデー(館内見学日・要予約) 9日 日本ライトハウスチャリティコンサート 13日 サービス部休室(書庫・在庫整理日)  専門点訳講習会「マンガ点訳コース」開講  出張:京都ライトハウス見学会(職員15人) 15日 製作部休室(17日月曜指定祝日の振替) 18日 サービス部休室(17日月曜指定祝日の振替)  ガイド体験&ボランティア情報交換会  ボランティア世話人会 22日 ライトハウス人権研修1回目(本部) 27日 テキストデータ製作講習会開講 編集後記 大相撲を見ていたジイジ。応援している力士が負けて、「あーあ、今日は悪い夢見そうや」とつぶやくと、「勝ち続けてる夢を見たらいいやん」と少年。また別の日の朝、少年の髪の毛が寝ぐせで大爆発していた。それを見て思わず笑ったジイジが「すごい寝ぐせやな、朝から笑わせんといて」と言うと、「朝は笑った方がいいねんで」と応える少年。さらに、「ジイジの病気な、手術して治すことになってん」と聞いた少年は、「手術って体力いるんやろ?ジイジないやん。明日から筋トレやな」と。ジイジ81歳、少年11歳。70歳差の二人の会話です。(点) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2023年7月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 かたおか朋子  発行日 2023年7月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円