日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2019年8・9月号   <<表紙イラスト>>  ある男の子の「きのうパパと見た夢」の夏らしいひと場面。 男の子は等身大の特大フルーツパフェの中でフォークを持って大はしゃぎ。 顔と同じサイズのキウイにパイナップル、イチゴ、ミカン、スイカ、たっぷりの生クリームに囲まれています。 隣のパパはシャツとパンツ姿で特大ジョッキのビールの中に入り、2人とも「しあわせ」気分。 そばでペットの犬が2人のことを「いいね」と指をくわえて見ています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2〜3頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆「点訳ボランティア養成講習会」を10月開講  当館の点訳ボランティアを養成する今年度の講習会を10月11日から毎週金曜日10時〜12時、当館4階会議室で開催します。9月13日(金)10時〜12時、オリエンテーションと事前試験を実施。試験に通った方を対象に12月20日まで初級コース(全11回)を行い、その後、中間試験に合格した方を対象に1月10日〜3月27日まで中級コース(全11回)を行います。受講料は無料ですが、テキストの購入(1,400円+税)が必要です。受講ご希望の方は要項を請求の上、所定用紙で8月30日(金)までにお申込みください。お問い合わせは、電話06-6441-1028の点字製作係まで。  ◆岩橋明子会長「お別れの会」を8月9日挙行  当法人の岩橋明子会長が6月17日、90歳で逝去したことは前号でお伝えしましたが、「日本ライトハウス会長 岩橋明子お別れの会」を8月9日(金)13時30分からホテルニューオータニ大阪(京橋駅か大阪城公園駅下車)2階鳳凰の間(ほーおーのま)で営むことになりました。どなたでもご参列いただければ幸いです。詳しくは、当館総務係(電話06-6441-0015)までお問い合わせください。  ◆10月19・20日は「日本ライトハウス展」へ  今年度の「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2019」(読売 光と愛の事業団共催)は10月19日(土)・20日(日)の2日間、難波御堂筋ホールで開催します。今回は47社・団体が出展するほか、特別ステージでは理化学研究所の仲泊聡氏、石川県しらお眼科の橋本伸子氏、iPhoneパワーユーザーの品川博之氏やUDCast開発者の川野浩二氏らが出演します。この展示会では、毎回当館のボランティアに展示場内のガイドをお願いしており、来場される視覚障害者の方々から大変ご好評を頂いています。視覚障害者のニーズや機器の最新情報に接することのできる絶好の機会でもあります。ぜひご協力をお願いします。お申し出は当館総務係まで。  ◆灯友会(とうゆうかい)バザールを9月6・7日、当館で開催  当法人の後援団体「灯友会」の毎年恒例・盲導犬チャリティバザーが9月6日(金)12時〜16時30分と7日(土)10時〜14時、当館4階会議室で開催。掘出物多数。お気軽にお立ち寄り下さい。  ◆8月〜9月の休館予定は8頁に掲載    <<センターの頁>>(2〜3頁)   ●「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」が成立   点字図書館、サピエ図書館の整備や、出版者の取り組みを謳う  成立が待たれていた「読書バリアフリー法」(正式名称「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」)が6月21日成立し、施行されました。この法律は、「障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現」を目指すもので、点字図書館やサピエ図書館などの整備を進めることなどが定められています。これにより、今年1月1日に施行されたマラケシュ条約や改正著作権法に合わせて、視覚障害者等の読書の権利を保障する法的基盤は整ったと言えますが、具体的な施策は今後の課題であり、私達も働きかけていかなければなりません。(以下、引用した法文は原文通りでなく筆者の解釈を加えてあります。)(館長 竹下 亘)  ◆対象は電子化された書籍と紙の書籍  この法律でまず重要なことは、第2条の定義で、対象者が「視覚障害、発達障害、肢体不自由等の障害により、雑誌、新聞等を含む書籍について、視覚による表現の認識が困難な者」と規定されたこと。そして、対象となる書籍が、「特定電子書籍等」(電子化された墨字、音声、点字等)と、「特定書籍」(点字、拡大図書等、電子化されない図書)の2種類に定められたことです。そして第3条の基本理念では、特定電子書籍等の普及と、特定書籍の提供継続、両書籍の量的拡充と質の向上、さらに障害の種類や程度に応じた配慮がなされることが謳われています。今後、電子媒体が主流になる中、それ以外のメディアと利用者を守ることも重要です。  ◆公立図書館と点字図書館の支援を明記  第4条以降は、国と地方公共団体による施策の策定と実施、政府による財政措置、文科大臣と厚労大臣による「基本計画」の策定などを定めています。特に注目されるのは、第9条で、国と地方公共団体の責務として、「公立図書館、大学・学校図書館、国立国会図書館等について、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実、その円滑な利用のための支援の充実」などを進めるとともに、点字図書館についても同様の「取組の促進」を求めていること。そして第10条で、「インターネットにより視覚障害者等に提供する全国的なネットワーク」、つまりサピエ図書館の運営支援が盛り込まれたことも重要です。  ◆アクセシブルな電子書籍の出版を促進?  第11条では、「特定書籍と特定電子書籍等の製作の支援」が掲げられていますが、この内容は非常に曖昧です。国と地方公共団体の責務として、「製作に係る基準の作成等と質の向上を図るための取組」を求めているのは良いのですが、国の役割として、両書籍の「製作を行う者に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するための環境の整備に必要な支援その他の必要な施策を講ずる」とあるのは隔靴掻痒です。  さらに第12条では、国に「視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等の促進」を求めていますが、その条文を見ると、「技術の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進、著作権者と出版者との契約に関する情報提供その他の必要な施策を講ずる」とあり、これも非常に迂遠です。また、「書籍を購入した視覚障害者等からの求めに応じて出版者がその電磁的記録を提供する」ことも掲げられていますが、国の役割は、そのための「環境整備の検討を進める支援と施策を講ずる」とされているに止まっています。  出版者に原本の電子データの提供や出版を促すこれらの条文が絵に描いた餅にならないように、今後、働きかけていく必要があります。  ◆端末機器等の入手と操作の習得支援  この他、注目されるのは、第14〜16条で、利用者に対する「端末機器等とその情報の入手支援、情報通信技術の習得支援、研究開発の推進」が謳われていること。第18条で、国が「関係者による協議の場を設け、連携協力に必要な措置を講ずる」ことが定められていることなどです。  当館でも全視情協と連携して、この法律の理念が実際に、豊かな実を結ぶように取り組んで行きたいと思います。   ●ボランティアのご協力で、参院選「選挙公報」の音声版を製作   視覚障害者の参政権の保障と、公的地位の確立を目指して  7月に行われた参議院議員選挙で、全国の視覚障害者の方々に「選挙公報」音声版を届けるため、当館は全国組織の要の役割を担うとともに、ボランティアの皆さまのご協力により多数の音声版の製作・提供を行いました。視覚障害者の方が参政権を行使する上で欠くことのできない「選挙公報」音声版等の発行の現状と、当館の果たしている役割をご紹介します。(製作部長 久保田 文(あや))  「選挙公報」の全文点訳版を発行するため、2004年に「日本盲人福祉委員会・視覚障害者選挙情報支援プロジェクト」(以下、「選挙PJ」)が発足して15年が経ちます。2005年の参院選、2006年の衆院選を経て、2007年の参院選からは音声版と拡大文字版の発行も実現しました。この時に、選挙PJ内に点字版部会、音声版部会、拡大文字版部会の3媒体の部会が設けられ、現在に至っています。  その内、音声版部会は全国の視覚障害者情報提供施設(点字図書館)で構成されており、2007年から今回の参院選まで9回の国政選挙を経験しました。現在56施設が音声版部会に参加しており、今回の参院選では、比例区は47都道府県、選挙区は24道府県の「選挙公報」の全文音訳版を製作・納品しました(下表参照)。  当館では、2013年から音声版部会の事務局を担当し、日本盲人福祉委員会、各都道府県の選挙管理委員会、参加56施設との連絡・調整をはじめ、CDやカセットテープ等の資材の調達・配送手配、比例区のマスターデータをやりとりするためのウェブサーバの管理、納品後の事務処理などを行っています。  また、製作施設としても、メディア製作センターのデイジーユニットが比例区のマスターデータや選挙区の製作を請け負っています。今回の参院選では、比例区の音声デイジー版・カセットテープ版のマスターデータ製作の基盤となる諸作業と、山形県、栃木県、埼玉県、兵庫県の選挙区のマスター製作からコピー・検聴・納品まですべての作業を担当しました。  当館の音声版選挙公報の製作は、綿密な校正が特長です。音声のみで3回以上、デイジー編集後に1回、マスターデータ完成後に1回と、すべて人を変えて行います。これだけの作業をデイジーユニットの職員だけで行うことは不可能なため、今回の選挙では音訳者を含め総勢18人のボランティアの方々に、公示日を挟んで丸3日間ご協力いただきました。  また、音訳者、校正者だけでなく、読み方に迷った時の「相談役」や、進捗状況の把握、最新の原稿の共有、待機している校正者への仕事の割り振りなどを行う「仲介役」を配置するのも当館独自の体制です。この事業の意義と重要性をご理解くださり、朝から晩まで職員と一緒に惜しみなく働いてくださった皆さまのおかげで、今回も無事にすべてのミッションを果たすことができました。誠にありがとうございます。  選挙公報は、視覚障害者の方々が参政権を行使するために不可欠なものです。選挙公報の点字版・音声版・拡大文字版は、まだ法的に「選挙公報」とは位置付けられておらず、「選挙のお知らせ」という名称で発行されていますが、当館は今後も選挙PJの一員として、視覚障害者向け選挙公報の安定的な発行と公的な地位の確立に努めてまいります。  「日盲委(にちもーい)選挙PJ」による2019年参院選「選挙のお知らせ」発行部数(D=デイジー版、テ=テープ版)  点字版 比例区28,881部(47都道府県) 選挙区18,586部(27都道府県)  音声版 比例区26,242部(47都道府県・D:18,056、テ:8,186) 選挙区13,034部(24道府県・D:8,942、テ:4,092)  拡大文字版 比例区3,938部(26都道府県) 選挙区2,299部(16道府県)   ●報告の頁(8頁)  ◆拡大掲示板 8月〜9月の休館予定  8月8日(第2木曜)=5階サービスフロアと図書・情報係はサービス休止。  8月10日(土)〜15日(木)=全館夏期休館。5階サービスフロアと図書・情報係は19日(月)まで休室。製作部のボランティア活動と3階総務、4階会議室は16日から再開。  9月12日(第2木曜)=5階サービスフロアと図書・情報係はサービス休止。  9月17日(火)=5階サービスフロアと図書・情報係は振替休室(16日月曜指定祝日の振替)。  今月号は8・9月の合併号です。次号の発送は9月末になりますのでご了承下さい。  ◆視覚障害の高校生が職場体験実習  8月1〜2日、大阪府立大阪南視覚支援学校高校2年の男女生徒2人が「職場体験」として当館の各係で見学・研修を行います。社会の見聞を広げ、将来の進路を考える貴重な機会ですので、館内で出会われた時はご遠慮なくお声かけをお願いいたします。  ◆「サピエ研修会」が大阪で開催  全国のサピエ利用施設・団体の職員やボランティアが集まり、サピエ図書館の最新情報を学ぶ「サピエ研修会」が7月11・12日、大阪天満橋のエルおおさかで開かれ、全国から140人余りが参加しました。今回は、今年度厚労省予算で改修されるサピエ図書館の書誌入力の変更点を学んだほか、サービス・録音・電子書籍の分科会研修、視覚障害利用者のサピエの利用方法の実演など多彩なプログラムが行われました。サピエ図書館は、この1年間で総目録書誌数が702,147点から728,459点、施設・団体会員が368ヶ所から382ヶ所、視覚障害等の個人会員が16,015人から16,942人、音声デイジーのダウンロード数が299万タイトルから343万タイトルと伸び続けており、今後も量と質、サービスの向上が求められています。  あゆみ【7月】 2日〜4日 図書・情報係サービス休止(サピエ改修のため) 4日 ボランティア世話人会 11日・12日 サピエ研修会(エルおおさか) 20日 オープンデー(3人)・法人人権研修(鶴見事業所) 23日 見学:山口県点訳すずかけの会  予定【8月】 1日〜2日 大阪南視覚支援学校生・職場体験 6日 日本ライトハウス杯視覚障害者囲碁大会 9日 岩橋会長お別れの会(ニューオータニ) 10日〜15日 全館夏期休館(サービスフロアと図書・情報係は19日まで休室) 22日 見学:神戸市立盲学校 30日 わろう座映画会「ミスター・ルーキー」 【9月】 5日 ボランティア世話人会 21日 オープンデー(館内見学日、要予約) 編集後記 この夏の関心事の一つが日本で初めて開催されるラグビー世界杯です。ラグビーと言えば有名な言葉に『One for all, All for one』がありますが、この意味は、『一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために』だそうです。ちょっと誤解していました。一人ひとりが自分の役割を果たし互いに支え合いながらトライ(勝利)に繋げる!が本当の意味だそうです。せっかくなんでルールも覚えて全力で日本を応援したいです。頑張れ!ニッポン(茂) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2019年8・9月合併号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2019年8月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円