日本ライトハウス情報文化センター        「ワンブックワンライフ」2013年1月号  <表紙イラスト:(武部はつ子画)>凧揚げする女の子と犬。絵柄はトグロを巻いたヘビから1本の足・・・。「これがほんとの”蛇足”だよ〜♪」 (目次) ◇掲示板 ◇センターのページ ・新年のご挨拶〜“情報共有”社会の実現を目指して ・【千賀子のわくわく遊び隊】駅ホームでの安全歩行を考えよう ◇報告のページ 《掲示板》 ○専門音訳・音声表現処理技術コースを開講  毎日新聞大阪社会事業団と当館では、標題の講習会を開講します。対象は既に音訳活動している方。「処理」の技術を1日講習で学びます。  日時 2月6日(水)、13日(水)10時〜17時  ※両日とも同じ内容。いずれかを選択。  内容 カッコを含む文章、補足が必要な漢字、ルビ・記号、外国語・カタカナ語、注・引用文・文献、図・表・写真、などの読み方(処理)  講師 当センター音訳指導ボランティア 定員 各日40人 受講料 1,000円  申込 要項を請求の上、1月15日(火)〜26日(土)の間に当館録音製作係まで。 ○V交流会講師の和田伸也さんが日本新記録 3月8日、玉水記念館で開催するボランティア交流会講師の和田伸也さんが、11月23日に行われた福知山マラソン視覚障害者の部で2時間36分32秒の日本新記録で優勝(2連覇)されました。当日参加ご希望のボランティアの方はぜひ早めにお申し込み下さい。友の会バザーの物品も受付中です。詳しくは当館3階総務係まで。 ○NHKラジオで「日本ライトハウス」を特集  NHKラジオ第2で毎週日曜日に放送されている視覚障害者情報番組「聞いて 聞かせて〜 ブラインド・ロービジョン・ネット」で、新年早々、日本ライトハウスが特集されます。90年の歩みと、各施設の現状、今後の目標などが、木塚理事長をはじめ各施設長のインタビューを交えて紹介されます。ぜひお聴きください。  題名 「日本ライトハウス100周年に向けて」  日時 1月6日(日)19時30分〜20時、再放送1月13日(日)7時30分〜8時  ※1月13日からNHKのホームページにアップ。http://www.nhk.or.jp/fukushi/shikaku/ ○新年は1月8日再開、12日(土)は振替休館 1月8日(火)=新年のボランティア活動と利用者サービスを再開します。職員は7日(月)から出勤し、業務を行います。 1月12日(土)=製作部門と図書貸出は休館(14日月曜指定祝日の振替)。ただし、サービス部門(5階サービスフロア、4階会議室、3階総務係)、および7階の録音作業は開館します。 《センターのページ》 新年のご挨拶〜“情報共有”社会の実現を目指して 館長 竹下 亘  新年を迎え、旧年中に皆さまからいただいたご協力とご支援に心から感謝するとともに、本年が皆さまにとってより良い年となりますよう、お祈り申し上げます。  2012年は、序盤は書庫移転に追われ、中盤は大阪市の補助金削減に苦慮し、終盤は90周年事業の準備にてんてこまいするなど、本当に慌ただしい一年でした。しかし、去る11月18日、大阪市中央公会堂で行われた90周年記念式典を無事に終えて、それまでの疲れが吹き飛び、心が洗われる思いを味わうことができました。 中でも心に響いたのは、前号にも書きましたが、利用者からいただいたメッセージでした。お二人の方がライトハウスの訓練や利用、そこで得た人との出会いを通して、これまでいかに楽しく、豊かな人生を送って来られたかを語られ、そこからライトハウスの果たすべき役割と使命が明解に示された気がしました。  さらに嬉しかったのは、当日444人に上ったお客様が、皆さん口々にライトハウスの90周年を喜び、祝ってくださったことです。  そうして気づいたことは、90周年記念式典の真の目的が、ライトハウスの自画自賛ではなく、岩橋武夫やヘレン・ケラーに代表される有名無名の無数の視覚障害者と支援者が、視覚障害者の尊厳と社会参加を求めて闘ってきた90年の歩みを振り返り、今後さらに前進させるための 一里塚を設けることにあったということです。  当センターでは、今後も当法人のサービスと事業において“情報共有”の実現に努めるとともに、10年後の100周年に向かって、目の見えない方・見えにくい方をはじめ、文字の読み書きに困難のある方々が、目の見える人と等しく情報を利用し、社会参加できる社会の実現を目指して努力して参ります。  その里程標として、手前味噌ながら、式典当日に配布したパンフレット『90年の歩み』の「日本ライトハウス年表」から“情報共有”に向けた事項を以下に再編集してお届けします。  皆さまもこの理想に参加する一員として、今後とも当センターに変わらぬご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。 日本ライトハウスにおける “情報共有”に向けた取り組みの歴史 1922(大正11) 岩橋武夫が点字製版機と印刷機 を購入し、自宅で「点字日エス辞典」を出版 1929(昭和4) 「フレンド点訳奉仕会」を組織 1932(昭和7) 岩橋武夫宅で点字図書の貸出開始 1935(昭和10) 大阪市住吉区(現・阿倍野区)に「ライト・ハウス」会館を建設=点字出版事業・点字図書貸出事業を本格的に開始 1937(昭和12) ヘレン・ケラーを招き、ヘレン・ケラー運動(第1回)を全国で展開 1938(昭和13) 点字月刊雑誌『黎明』創刊 1948(昭和23) ヘレン・ケラーを招き、ヘレン・ケラー・キャンペーン(第2回)を全国で展開 1951(昭和26) トーキングブック・レコード(米国製)の貸出開始 1954(昭和29) 盲学校点字教科書(高等部)出版 1956(昭和31) 盲学校理療科点字教科書出版 1958(昭和33) 盲学校小中学部点字教科書出版 1959(昭和34) 「声の図書館」を開設し、録音図書の製作・貸出を開始 1960(昭和35) 大阪市鶴見区に新築移転し、社会福祉法人日本ライトハウスと名称変更 1961(昭和36) 厚生省委託・声の図書製作・貸出事業を開始 1963(昭和38) 「コンサイス英和辞典」全71巻を点字出版(第1回大阪文化賞受賞)、厚生省委託・点字図書製作・貸出事業を開始 1968(昭和43) 自治体点字広報誌の製作開始 1970(昭和45) サーモフォーム熱成型印刷を開始し、カラー版「万博点字会場案内図」を製作 1974(昭和49)点字運賃表の製作開始 1979(昭和54) 「盲人情報文化センター」を大阪市西区に新築開館=対面朗読サービスを開始、「ボランティア友の会」結成 1983(昭和58) 「新コンサイス英和辞典」全100巻、「仏基本語5000辞典」全14巻を点字出版 1984(昭和59) 電気、ガス等公共料金点字サービス業務を開始 1987(昭和62) 専門点訳・音訳講習会を開講 (毎日新聞大阪社会事業団助成) 1988(昭和63) 「てんやく広場」に加入し、パソコン点訳を開始、スチューデント(プライベート)点訳サービス開始 1991(平成3) 出版部門が東大阪市に新築移転し、点字情報技術センターと改称 1997(平成9) PCサポート「ボイスネット」発足 1998(平成10) 「てんやく広場」が「ないーぶネット」に発展、事務局を担当。「情報機器展 98」(現在の日本ライトハウス展)開催 1999(平成11) デイジー図書製作・貸出開始 2001(平成13) デイジースタジオ、エンジョイ!グッズサロン、ITワークセンターを開設 2004(平成16) 録音図書インターネット配信システム「びぶりおネット」開始。日本盲人福祉委員会選挙公報プロジェクトを組織し、参院選公報(点字・録音)の発行業務を担当。 2008(平成20) マルチメディアデイジー製作事業、テレビ・映画への音声解説事業開始 2009(平成21) 「情報文化センター」新築開館 2010(平成22) 「サピエ」が誕生(「ないーぶネット」と「びぶりおネット」が統合)し、サポートセンターを担当。大阪市立早川福祉会館点字図書室の運営を受託 2012(平成24) 情報文化センター分館(点字・録音書庫)を開設 【千賀子のわくわく遊び隊】駅ホームでの安全歩行を考えよう  昨年も視覚障害の方が鉄道事故に見舞われるニュースをよく耳にしました。ちょうど2年前、ブラインドテニスの開発者としてこの誌面でご紹介した武井実良さんがホームから転落、電車に轢かれて亡くなりました。大きな衝撃でした。事故後、視覚障害者団体や関係者が現場検証し、交通機関に要望を申し入れてきましたが、ホームからの転落・電車との接触事故は後を絶ちません。駅ホームの構造はどうなっているのか?安全に利用する方法は?当事者団体の「きんきビジョンサポート」(KVS)が企画した“お出かけサロン”に参加し、一緒に安全について考えました。(加治川千賀子)  当日は弁天町の交通科学博物館に40人余りが参加、JR西日本の方3人を交えて行われた。安全対策等の説明、敷地内の仮設ホームに移動して、線路内の状況やホームの高さの確認、歩行訓練士でKVSスタッフの原田敦史さんから白杖を使った安全な電車乗降のポイントを学んだ。  2011年8月、国土交通省は1日の利用客が10万人以上の駅で、ホームドアの設置を優先させるというめやすを初めて定めたが、その後新たに設置や計画がされたのは全国で11駅に留まっているそうだ。日本盲人会連合の調査では、ホームから転落した経験のある視覚障害者は4割近くあり、一般駅利用者の4%に比べ、はるかに上回る。そこで、視覚障害の方たちは、誰にでも安全なホームドア(可動式ホーム柵を含む)の設置を強く希望しているが、なかなか進まない理由として、@多額の費用がかかるA列車のドアの位置や数が車両の種類によって違うBホームドアそのものの重さに耐えられるよう、ホーム自体を補強する必要がある、などが挙げられる。ホームに点字ブロックが敷設されるところも増えてはいるが、それだけでは不十分で、ホームの端にある点状ブロックの内側に1本だけ線状ブロックが敷かれた内方線があるだけでも、自分の立ち位置が確認でき、危険を回避できる。大掛かりなものと小回りの効く安全策が平行して実施され、事故防止につながればと思う。  参加者の体験談として、「まだホームに点字ブロックもなく、今のようにホロもかかっていない連結部とドアを勘違いした」、「向かいの線路に入ってきた電車を自分が乗る電車だと思い踏み出した」。線路に正面から転落した場合は、足から着地可能で無傷や軽症の人もいたが、横向きに落ちると骨折を伴う大ケガに至っている。 JRの方は万一、線路に落ちた時は、「助けて!と大声で周りの人に伝え、"非常ボタン"を押してもらい、電車を止めることが先決。ホーム下の待避スペースは駅によって狭かったり、足下が不安定で危険な時がある。まれに線路に寝そべって助かるケースもあるが、大変危険なので絶対やめてほしい」とおっしゃっていた。  最後は実体験。線路に降り立ち、待避スペースに潜ってみたり、ホームの高さを確認した。仮設ホームは昔の京都駅から移築されたもので高さは腰ぐらいだったが、現在のものは130センチ程あるという。身長によって胸や肩の高さに達し、自力でホームに飛び上がるのは難しい。転落経験者は当時の恐怖が甦ったようで、改めて引き上げてくれた人に感謝していた。また、原田さんは駅のハード・ソフト面に期待するだけでなく、転落防止策として、乗り込む前に必ず白杖で電車の床を確認し、乗り込むことが大切と伝え、参加者は安全な乗降法を体験した。  当日は、JR職員と当事者間で有意義な意見交換がされ、互いのコミュニケーションが重要なことも見えてきた。今回の企画は当事者の関心も高く、各地で何度も開催されることが望ましい。さらに、周りにいる私たちも視覚障害の方をホームで見かけたら、声をかけ、安全に乗車できるよう心がけていきたい。 《報告のページ》 ○テノール楊雪元さんのCD「情熱」が発売  テノールと中国笛の演奏で、当館の行事にも度々ご出演いただいている楊雪元さんが待望の歌曲のCD「情熱」を制作しました。楊さんは中国天津生まれ。中国で笛を学び、視覚障害者の日本語学校を経て、日本の盲学校に留学後、声楽を志し、京都市立芸術大学大学院を修了。このCDはイタリアなどでレッスンを受けながら2年間かけて録音したもので、「誰も寝てはならぬ」「オー・ソレ・ミオ」「千の風になって」など6カ国語の17曲を収録。楊さんのドラマチックなテノールを満喫することができます。1枚2,800円(送料80円)。お申し込みは、電話075-332-5532の楊さんまで。 ○「かけはし座」の演劇で音声解説を担当 当館の音声解説ボランティア「ボイスぷらす」では、12月9日午前と午後の2回、住吉区民センターで行われた大阪市民劇団かけはし座の公演「あのひまわりの花のように。」の音声解説を担当しました。これは大阪市教委などが主催。人権をテーマに原作を公募し、大阪市長賞を授賞した作品を脚色して公演するもので、音声解説は昨年に続いて2回目。当日は1千数百人中、約50人のお客様が音声解説付きで観劇されました。担当者は以下の方々です(敬称略)。加藤由美子、北川富美代、那須由美子、藤井倫子、的場操代、横井和子。 ○四ツ橋ライオンズクラブから多額のご厚志  大阪四ツ橋ライオンズクラブ(山下正博会長)からこの度、創立30周年を記念して多額のご寄附を賜り、当館では、「大阪四ツ橋ライオンズクラブ・デイジー文庫」(15タイトル)を創設するとともに、デイジー録音機器を購入しました。同クラブは、以前から当館の事業に深いご理解を寄せられ、1997・1998・1999・2001年の4回にわたり、延べ75タイトル分の録音図書を同クラブ文庫としてご寄贈下さっています。ご厚志に心から感謝して、活用させていただきます。 あゆみ 【12月】 8日 オープンデー(館内見学日)参加24人 かけはし座演劇公演(ボイスぷらす) 11日 見学:京都ライトハウス録音V 13日 対面リーディング勉強会 22日 振替休館(3、4、5階開館) 26日 ボランティア活動・サービス年内最終日(点字製作係のみ27日まで) 28日 仕事納め 予定 【1月】 7日 仕事始め(15時から法人行事で休館) 8日 ボランティア活動・サービス開始 12日 振替休館(3、4、5階開館) 15日 音声訳中級講習会(23日、31日。当館録音製作係活動5年以上の方が対象) 25日 わろう座映画会  編集後記  9月下旬、日本ライトハウス展の直後に急病で入院した林田茂主任が全快!11月のリハビリ、12月の慣らし勤務を経て、いよいよ新年から全面復帰を果たします。彼の入院中、特に3階総務係は灯が消えたように静かでしたが、彼が出勤するとパーッと明るくなり、何かにつけて笑いが起こります。この「編集後記」も次号から彼がまた担当する予定ですので、お楽しみに。ただし、以前のように爆走猛進はさせないように心がけます。(竹) =ONE BOOK ONE LIFE 2013年1月号= 発行  社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター 発行人 竹下 亘 住所  大阪市西区江戸堀1丁目13−2(〒550−0002)     TEL 06−6441−0015 FAX 06−6441−0095 発行日 2013年1月1日