日本ライトハウス情報文化センター        「ワンブックワンライフ」2012年12月号  <表紙イラスト:(武部はつ子画)>コートに手袋、マフラー、毛糸帽を身にまとい、大根など野菜を詰めた買い物かごを下げた女の子、袈裟姿に風呂敷包みを握ったお坊さん、たくさんのトイレットペーパーを背中に背負った犬。みな、揃って汗をかきながら駆け足。「なんかせわしないですね・・・」と女の子、「師走じゃからのぅ・・・」とお坊さん。 (目次) ◇掲示板 ◇センターのページ ・ 90年間のご支援とご利用に感謝し、100年に向かってさらに前へ 「日本ライトハウス創業90周年記念式典」を中之島公会堂で挙行 ・確かな情報を点字で届け続けて90年 V友の会施設見学会で『点字毎日』を訪問 ◇報告のページ 《掲示板》 ○ボランティア交流会を来年3月8日に開催  毎年恒例の「ボランティア友の会交流会・総会」を来年3月8日(金)、玉水記念館で開催することが決まりました。今回のゲストは今夏、ロンドンパラリンピックに出場し、陸上男子5000m走で銅メダル、男子マラソンで5位に入賞した和田伸也さん(大阪府盲人福祉センター点字図書館職員)。仕事と練習の両立の工夫やメダル獲得の喜び、今後の目標を語っていただきます。ぜひ今からご予定に入れてください。また、当日はバザーも行います。売上はボランティア友の会の貴重な活動資金となります。ご提供いただける物(生ものを除く)がありましたら、3階総務係までお寄せください。 ○「90周年記念資料」をぜひご覧ください  本誌2頁掲載の「日本ライトハウス創業90周年記念式典」で配布した記念資料を館内で閲覧、貸出します。記念誌「90年の歩み」は各階で回覧、DVD「灯りを掲げて90年、100年に向かってGO」は3階総務係で貸出、「往復書簡」はV友の会文庫で貸し出すほか、販売(2,100円)もします。 ○年末年始のボランティア活動について  今年も、当館のボランティア活動に多大なお力添えをいただき、ありがとうございました。年末年始のボランティア活動日は、以下の通りですので、よろしくお願いいたします。 【年内のボランティア活動最終日】  ◆各係とも、原則として12月26日(水)まで  ◆点字製作係は、27日(木)まで 【新年のボランティア活動】  ◆全館活動再開 1月8日(火)  ◆1月12日(土) 振替休館(3階総務、4階会議室、5階サービス、6・7階の一部開室) 【年末年始の業務】  ◆用具・機器、図書貸出、対面リーディングサービス 12月26日(水)が最終日  ◆仕事納め 12月28日(金)  ◆仕事始め 1月7日(月) ○12月22日(土)は祝日の振替休館  図書貸出と製作部門は休業(23日(日)が祝日と重なるため)。サービス部門(5階サービスフロア、4階会議室、3階総務係)は開館します。 《センターのページ》      90年間のご支援とご利用に感謝し、100年に向かってさらに前へ      「日本ライトハウス創業90周年記念式典」を中之島公会堂で挙行    当法人では、「創業90周年記念式典」並びに「感謝のつどい」を11月18日(日)午後、中之島の大阪市中央公会堂3階中集会室で開催しました。出席者は、当法人をご支援、ご利用くださっている支援者やボランティア、利用者の皆様など超満員の540人余りに達し、約4時間、厳粛な中にも和やかに挙行されました。多くの方々から、岩橋武夫の創業以来、長年に亘る当法人の視覚障害者福祉への貢献を高く評価いただくとともに、今後のさらなる取り組みを期待するお言葉をいただき、職員一同、深い感謝とともに、重い責任に身の引き締まる記念日となりました。(館長 竹下 亘) この度の式典では、今年6月薨去された寛仁親王殿下の次女の瑶子女王殿下にご臨席を賜り、障害者の応援団長を自任されたお父上の思い出を通して、障害の有無に関わらず、誰もが等しく暮らせる社会の実現を期待するとのおことばを頂戴しました。また、厚労省自立支援振興室長や大阪府副知事、大阪市副市長などにご出席いただき、厚労大臣や知事、市長から祝賀と激励のメッセージを頂戴することができました。  利用者代表の鈴木昭二さんの祝辞や、てんやく絵本ふれあい文庫代表の岩田美津子さんの記念講演では、目の見えないお二人がライトハウスでの訓練や利用を通して、今、いかに楽しく、豊かな人生を送っておられるかをユーモアたっぷりに語られ、ライトハウスの果たすべき役割と使命を明解に示してくださいました。  さらに、岩橋武夫研究の第一人者である關宏之さんは、表面的な活躍の陰に隠された岩橋の心底の思いや願いを分かりやすく解き明かされ、今回記念出版し、当日配布したヘレン・ケラーと岩橋武夫の「往復書簡」と共に、ライトハウスの歩みを顧み、今後のヴィジョンを再確認するための礎を与えていただきました。 さらに、式典では、長年ご支援くださっている99人・団体の方々に感謝状をお贈りしたほか、アジア・太平洋地域で視覚障害者福祉に貢献された方に贈る第34回岩橋武夫賞の贈呈式も挙行。フィナーレは、白井崇陽さんがドラマチックな ヴァイオリン演奏で盛り上げてくださいました。 ====  90周年記念式典のプログラム ◆第1部 記念式典 主催者あいさつ 理事長木塚泰弘 おことば 瑶子女王殿下 祝辞 厚生労働大臣 三井辨雄様、大阪府知事 松井一郎様、大阪市長 橋下徹様、日本盲人社会福祉施設協議会理事長 高橋秀治様、日本盲人会連合会長 竹下義樹様、日本盲人福祉委員会理事長 笹川吉彦様、利用者代表 鈴木昭二様 感謝状贈呈 各事業所から代表6人の方々 第34回岩橋武夫賞贈呈 社会福祉法人シロアム視覚障害者福祉館創設者金善泰牧師 感謝状贈呈者紹介 当館贈呈者は4頁掲載 金善泰牧師授賞スピーチ 休憩 DVD「灯りを掲げて90年 100年に向かってGO」上映 ◆第2部 感謝のつどい 講演「今に生きる 岩橋武夫の精神」(当法人理事、広島国際大学客員教授關宏之氏) 講演「子育てから生まれた人との出会い・ふれあい」(てんやく絵本ふれあい文庫代表 岩田美津子氏) ヴァイオリンとトーク(白井崇陽氏) 閉会挨拶 専務理事橋本 照夫 ==== 情報バリアフリーの式典を実施 今回の式典では、多数の印刷・出版物を墨字、点字、音声デイジー、テキストデータ、大活字で製作し、お配りするとともに、式典の一部始終に音声解説、手話通訳、パソコン要約筆記を付け、誰もが等しく式典に参加できる態勢を取りました。これを先例に、今後も当法人の事業と催事で“情報共有”の実現を図っていきます。 ==== 当館から感謝状を差し上げた方々  (50音順、敬称略をご容赦ください) ◆ボランティア 金井典子(友の会代表、録音V)、久保洋子(元友の会代表、録音V)、 橋本勝利(長年の朗読指導とご支援)、本田作江(長年の点訳指導とご支援)、前田綾子(長年の音訳活動)、山崎彰(前友の会代表、対面V)、渡辺典子(元友の会代表、当館V) ◆団体・企業 大阪中部ライオンズクラブ(会長赤坂秀樹)、 大阪東ライオンズクラブ(会長田積司)、 関西音声サポート(代表 喜久田由利子)、 (株)ジェイ・ティー・アール(代表取締役岡村原正)、シナノケンシ(株)(代表取締役社長 金子元昭)、グループN-BUN(代表 林曠子)、公益財団法人一ツ橋綜合財団(理事長相賀昌宏)、NPO法人奈良デイジーの会(代表濱田滋子)、公益財団法人毎日新聞大阪社会事業団 (理事長 河野俊史)、社会福祉法人読売光と愛の事業団(理事長 長尾立子)、ライオンズクラブ国際協会335-B地区(ガバナー 菅春水)、一般社団法人POOLE(理事長 鈴木光子)、アポロ印刷株式会社(代表取締役 齋藤誠吾)、大阪放送 (株)(代表取締役社長 徳永正明)、(株)高知システム開発(代表取締役 大田博志)、水野紙工(有)(代表取締役 高島勇治) │ ==== 確かな情報を点字で届け続けて90年 V友の会施設見学会で『点字毎日』を訪問 図書・情報係ボランティア 片岡 忠克  今年のボランティア友の会施設見学会は、10月16日、新聞週間の秋晴れの昼下り、梅田の毎日新聞大阪本社にある点字毎日部を23人で訪れました。受付で岡田満里子編集長の出迎えを受け、16階のオフィスに案内されました。編集長のご挨拶、創刊時の話、担当記者からの取材の話、点字新聞製作工程を見学し、約2時間に亘る見聞は大きな満足と元気をいただいた施設見学会になりました。 『点字毎日』創刊の秘話  現在、新聞社が発行する唯一の「点字新聞」がなぜ発行されたのでしょう。大正時代、ロンドンに留学中の大阪毎日新聞社記者の河野三通士氏、貿易商で日本の視覚障害者の支援をしていた弱視の好本督氏、好本氏の支援で留学中の全盲の中村京太郎氏が出会いました。1912年、好本氏が河野氏に「何かと罪作りをしている新聞記者の罪滅ぼし」として「点字新聞」創刊の提案をします。その10年後の1922年(大正11年)、毎日新聞が創刊50周年を迎えた際、河野氏が点字新聞の発行の提案をしましたが、採算が取れない、と社内の猛反対をうけました。しかし、当時の社長本山彦一氏の「新聞は商品である。読みたい読者がいるなら“売れる商品”を作り、届ければ良い」という決断で、『点字毎日』の発行が決まったのです。そして、初代編集長に中村京太郎氏が招聘され、今年2012年5月11日に創刊90周年を迎えました。  現在5人の記者が取材・編集をし、毎日新聞の記事を点字にするのではなく、視覚障害者に関係ある福祉、教育、文化等を独自に取材、編集して発行されています。発行部数は12,000部。表紙は墨字ですが、中身は全部点字でA4判・64頁。1頁27行で、1枚の両面に点字印刷されています。 佐木理人氏の“記者魂”に感銘  佐木氏は2005年に入社された全盲の記者で、情報文化センターの熱心な利用者でもあります。西は長崎県から東は栃木県まで取材は一人でされています。同行者がいると、自分だけの取材が困難になり、また一人で訪問する道中もいろいろなコラムのネタにもなるそうです。写真撮影は先方の方に撮ってもらいますが、かえって一緒に記事を作っているという、良い関係になるようです。  入社当時は、「視覚障害者ならではの記事を取材しなければならないのか疑問や迷い」があったそうですが、今は「点字毎日のスタッフには視覚障害の記者がいて記事を作っていることを思っていただければ」と考えるようになったそうです。 人の手の「ぬくもり」が伝わる点字新聞  ビルの地下1階に点字印刷室があります。エレベーターを下りた瞬間、インクや油の匂いが鼻につきました。重いドアを開けると多くの機械が所狭しと据え付けてあります。スタッフは4人。とても親切で、優しい、粋な社員さん達でした。  点字印刷の行程は @フロッピーで点字原稿を入手、A自動製版機でアルミ原版(2枚1組)に点字を刻印、B点字輪転印刷機で連続用紙に印刷し、カット(1時間に3000枚)、C自動丁合機で丁合、D1冊ごとに中央をホチキス綴じ、E手で二つ折り、F梱包、発送。これらの工程が、全て人の手で一冊一冊と仕上がっていることに感動し、「温かく、ぬくもり」が伝わる新聞だと感じました。 《報告のページ》 ○西林洋二さんを迎えて対面Vの集い  今年度の「対面リーディングボランティアの集い」が11月8日に開催され、約30人が参加しました。1部は長年、当館や公共図書館で対面リーディングを利用されている西林洋二さんをお招きして、利用者の立場からお話を伺いました。西林さんは企業で機器設計を担当していた時期に失明し、ライトハウスで生活訓練を受けた後、大阪市立盲学校に入学。鍼・灸・あんまマッサージ師の免許を取得後、会社に復職してヘルスキーパーとして活躍され、定年後は鍼灸指圧院を開業。当日は、盲学校入学のための勉強や、仕事に関係する専門書などの対面、そして現在利用中の地元の図書館の様子や、難しい熟語の説明方法など具体的な話をしていただきました。また2部は、情報交換と親睦を行い、年に一度の貴重な機会に、顔を合わせて皆さんの意見や要望を伺い、技術的な情報を交換しました。 ○大阪ガスともしびクラブからPCご寄贈  この度、大阪ガスともしびクラブ様から従業員の福利厚生を利用した寄付金を元にリユースパソコン5台をご寄贈いただきました。これは、大阪ガスグループの株式会社オージス総研様の「はじまるくんパソコン寄贈プログラム」により、一定期間使われたものの、まだ十分使えるパソコンを大阪府下の福祉作業所で再生し、当館などへご寄贈。環境貢献、障害者の就労支援、そしてIT支援の3つのメリットを併せ持った社会貢献事業です。当館では、8階の点字製作係に設置し、データの製作作業に活用させていただきます。 ○盲導犬ヴィオラが引退 録音製作係岡本主任の盲導犬として、館内の皆様に温かく見守っていただいた盲導犬のヴィオラが12月1日で引退することになりました。引退後は、優しい引退犬ボランティアの許で豊かな老後を送ります。皆様のこれまでのご理解に心から感謝します。 あゆみ 【11月】 1日 ボランティア友の会世話人会 8日 対面リーディングVの集い 10日 オープンデー(館内見学日) 15日 見学:大阪市地域女性団体協議会 18日 日本ライトハウス創業90周年記念式典(13:00〜17:00、中之島公会堂) 予定 【12月】 8日 オープンデー(館内見学日、要予約) 11日 見学:京都ライトハウス情報ステーション録音ボランティア 13日 対面リーディング勉強会 22日 振替休館(3、4、5階開館) 26日 ボランティア活動・サービス年内最終日(点字製作係のみ27日まで) 28日 仕事納め 【1月】 7日 仕事始め(15時から法人行事で休館) 8日 ボランティア活動・サービス開始 12日 振替休館(3、4、5階開館) 編集後記  90周年記念出版でヘレン・ケラー と岩橋武夫が20年間にわたり交わした70通近い往復書簡を読み、まるで二人の謦咳に接するような感動を覚えました。岩橋の「愛盲」の情熱から生まれ、ヘレンの日本への愛に育てられたライトハウスで働けることに感謝し、少しでも二人の理想を受け継いでいきたいと思います。(竹) =ONE BOOK ONE LIFE 2012年12月号= 発行  社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター 発行人 竹下 亘 住所  大阪市西区江戸堀1丁目13−2(〒550−0002)     TEL 06−6441−0015 FAX 06−6441−0095 発行日 2012年12月1日