日本ライトハウス情報文化センター        「ワンブックワンライフ」2013年8・9月号  <表紙イラスト:(武部はつ子画)> シュノーケルをつけて潜ってきた男の子がびっくり。巻貝の中から貝殻の髪飾りをつけた長い髪の人魚がこちらを向いて微笑んでいる。その様子を眺めるカニや亀や魚たち。「ゆ、夢ならさめないで・・・」 (目次) ◇掲示板 ◇センターのページ   ・当館初の「ビブリオバトル」を開催   ・【見学日和〜知れば、知るほどおもしろい】カムサハムニダ! 韓国の視覚障害者施設を訪ねて ◇報告のページ             《掲示板》 ○点訳技術講習会と、音訳基礎講習会を開講  当館のボランティアとして、点訳、録音に携わっていただく方を養成する「点訳技術講習会」と「音訳基礎講習会」を下記の通り開講します。詳しくは要項を請求の上、お申し込みください。 ◆点訳技術講習会  日時 10月11日〜来年3月14日まで毎週金曜日10時〜12時、全20回の予定  内容 前期は点字のルールなどの基礎講習。後期はパソコンを使っての実習。前期終了後に試験を行い、合格者のみ後期に進んでいただきます。後期はパソコンが必要になります。  申込締切 9月10日(火)  適性試験 9月20日(金)10時〜12時  申込 点字製作係(電話6441-1028)まで。 ◆音訳基礎講習会  日時 前期:10月1日〜来年3月25日まで毎週火曜日10時〜12時、後期:4月から8月まで毎月第1・3火曜日に実施  内容 読み方の基本、記号や図・表などの音声変換処理、録音技術、調査・録音順序など。  資格 発声・アクセントなどの基礎的な講習を修了した方、自宅録音が可能な方、録音機材を準備可能な方ほか。  申込締切 9月3日(火)  適性試験 9月10日(火)10時〜13時  申込 録音製作係(電話6441-1017)まで。 ○今年度も対面リーディング基礎講習会を開講  日時 9月5日(木)13時〜17時(全1回)  内容 視覚障害者の理解、対面のサービス内容とルール、利用者との対応の仕方などをロールプレイやQ&Aでわかりやすく学びます(「読み方」など技術的な講習ではありません)。今年度の1回目です。ぜひ一度はご参加ください。  申込 8月29日(木)までにサービス部(電話06-6441-0039)対面担当(木田、木村、谷口)まで。 ○8月から10月の休館日のお知らせ  今号は合併号のため次号の発行は9月末になります。10月までの休館日をお知らせします。 *8月11日(日)〜19日(月)=夏期休館(3階総務、4階会議室のみ16日(金)・17日(土)開室) *9月14日(土)振替休館(3・4・5階は開室) *10月5日(土)全館休館(日本ライトハウス展)             《センターのページ》 当館初の「ビブリオバトル」を開催 発表者5人が愛読書で熱戦を繰り広げる  当館では6月22日、点字図書館界ではたぶん初めての「ビブリオバトル」を「わろう座」の企画として開催しました。何人の方が集まるかという心配をよそに、当日は発表者5人を含め、45人もの利用者やボランティアがご参加くださり、会場は大いに盛り上がりました。(点字製作係 奥野真里)  ビブリオバトルは、ここ数年、公共図書館や大学図書館などで行われ、注目されています。発表者が制限時間内に自分のお薦め図書を紹介し、それを受けて参加者が質問をします。最後に、発表図書の中から参加者が一番読みたくなった図書に一票を投じ、一番票を集めた図書が「チャンプ本」に選ばれます。図書の内容もさることながら、発表者の思いやパフォーマンスも踏まえて、いかに観客の心にメッセージを届けられるかを競うイベントです。  今回発表していただいた図書はジャンルもさまざまで、発表者の個性も出ていました。思いが募って5分の発表時間を超過してしまった人、キャスターのように軽妙に話す人、持ち時間が余って図書とは関係のないことを話し出す人…。会場内の空気は最初は緊迫していましたが、徐々に笑いも沸き起こるようになりました。  では、当日発表された5タイトルの図書を紹介します。(発表順)  「三人佐平次捕物帳」(小杉健治著)=発表者はたくさん時代小説を読んでおられ、「ぜひ読んでほしい」という思いがぎっしり詰まった発表でした。   「米朝ばなし 上方落語地図」(桂米朝著)=軽快な語り口で、落語がいかに面白いか。それが地図になぞらえて書かれていることの面白さがストレートに伝わってきました。   「もう、うつむかない 証言・ハンセン病」(村上絢子著)=本を読み、考えたことだけでなく、実際に療養所を訪問された体験談も印象深く聴かせていただきました。   「タイム・リープ」(高畑京一郎著)=タイムスリップの奇妙さだけでなく、人同士の繋がりも描いた小説というところや、時間のパーツを時系列に並べるとパズルのようにうまく当てはまるといった図書の特徴にも心を打たれました。  「神去なあなあ日常」(三浦しをん著)=「林業」が舞台となっている小説。慌ただしい日常とは違う世界に没入でき、読んだ後は爽やかな気持ちになれると、優しく語りかけるように発表されました。  一通り発表が終わると、参加者に一枚ずつ投票用紙が配られました。どの発表者からも図書への愛着が伝わってきて、その中から一冊・一人を選ぶことは難題でした。  開票を待つ間、特別ゲストとして、利用者でもある茶渋家呆っ人(ちゃしぶやぽっと)さんの落語の一席があり、会場は笑いの渦で包まれました。  そして会場が和んだころ、結果発表に。接戦の末、今回チャンプ本に選ばれたのは、藤野高明さんが発表した「米朝ばなし 上方落語地図」でした。また、パフォーマンスが優れていた人に贈られるスーパーシャイン賞には、「タイム・リープ」を発表した畑中優二さんが選ばれ、会場からお二人に大きな拍手が送られました。  熱弁を奮ってくださった発表者の皆さん、そして参加者の皆さんに、たいへん盛り上げていただき、感謝申し上げます。ぜひ体験してみたいという方は、10月の日本ライトハウス展でも開催予定ですので、どうぞご参加ください。         【見学日和〜知れば、知るほどおもしろい】        カムサハムニダ! 韓国の視覚障害者施設を訪ねて  6月30日から7月3日の4日間、木田陽子、松本一寛、私の3人で韓国へ出張し、姉妹施設の シロアム視覚障害福祉館とシロアム眼科病院をはじめ、チョンダルセ電話図書館、韓国点字図書館を訪問し、見学、交流をしてきましたのでご報告いたします。(総務係 林田 茂) チョンダルセ電話図書館  チョンダルセとは韓国語で「ヒバリ」。名称にあるとおり電話によるサービスがメインで、50種類の新聞や雑誌、聖書、図書などを録音して提供。視覚障害の利用者はそれらを24時間電話で聞くことができます。利用者は1日に5千人になるそうです。  お話を伺ったシン理事は、この電話図書館のテレフォンサービスが韓国国内だけにとどまらずに全世界の視覚障害者が利用できるサービスにしたい、そのために国への働きかけをしていきたいと熱く語ってくれました。  実は、チョンダルセ電話図書館では、通訳の方がおられず、韓国語を勉強中の木田職員も頑張りましたが、専門的な話しは通訳なしでは難しく、悪戦苦闘しました。結局は2台の電話を同時に使い、通訳の方を電話で挟んで三者会談をすることができました。 韓国点字図書館  韓国点字図書館は図書館部門のみの施設です。今、特に力を入れているのは知的障害者(児)も視野に入れたバリアフリー出版(樹脂インクまたは、フェルト布などで製作)事業とのことでした。館内は図書の製作現場や書庫のほか、1階には「視覚障害者サービス歴史資料館」があり、昔使われていた様々な機器、記録物など貴重な史料が公開されていました。  移動図書館(ブックバス)事業 視覚障害・読書障害だけでなく知的障害の子供たちにもお話を聞く機会(=読書をする機会)を持ってもらいたい、だからそんな子たちのところにもバス(移動図書館)で出かけてゆくのだ、とユック館長が仰っていました。「施設側が利用者のもとへ行く」という非常に積極的な姿勢は、翌日見学したシロアム眼科病院で実施している移動診療事業(バスに医療機器を積み込み、地方を巡回するもの)とも共通するものがありました。 シロアム眼科病院・視覚障害者福祉館  この法人は当法人の姉妹施設です。眼科病院を皮切りに、当法人をモデルとして1990年代に福祉館(情報提供施設、用具販売相談、リハビリテーション、就労支援、あん摩センター)、老人ホームなどを展開している総合施設です。  特に印象に残ったことは、昨年の当法人創業90周年で岩橋武夫賞を受賞されたキム・ソンテ理事長が目標として掲げられた、視覚障害者の老人ホームを建設するという願いから、「老人ホームだけでは不十分→視覚に障害が出ないようにするために病院が必要→視覚に障害がある場合は、障害者を支援する福祉館」と、視覚障害者総合施設としての具体的なビジョンを持っておられ、とてもすばらしいと思いました。加えて、働かれている職員の皆さんの情熱も同じぐらい感じることができました。  今回の韓国施設出張では、見習うべきこと、参考にすることがたくさんあり貴重な経験をさせていただきました。  <番外編> 参鶏湯(サムゲタン)、おかゆ、ビビンバ、カンジャン・ケジャン(ワタリガニの醤油漬け)、トンタク(鳥の丸焼き)、マッコリをおいしくいただきました。             《報告のページ》 ○朗読録音奉仕者表彰をお三方が受賞  財団法人鉄道弘済会の今年度第43回朗読録音奉仕者表彰(西日本地区)で、当館のボランティア3人の受賞が決まりました。受賞者は、朗読=鈴木栄子さん(活動歴27年、824時間)、校正=井上満子さん(活動歴33年、2345時間)、DAISY編集=吉田弘子さん(活動歴12年、3093時間)。お三方のご受賞を心からお祝いするとともに、長年にわたる録音ボランティア活動に心から感謝いたします。表彰式は9月12日、JR大阪駅のホテルグランヴィア大阪で行われます。 ○専門音訳「英語コース」の実施を中止 応募者が極めて少なかったため中止し、今年度は後日、別の講習会を開催することになりました。「英語」を含んだ音訳は重要ですので、改めて企画したいと思います。 ○「警報」時のボランティア活動について  台風やゲリラ豪雨など、警報が出た場合、以下のとおりボランティア活動を休止します。(職員は可能な限り出勤します。)  @大阪府下に「大雨、洪水、暴風、暴風雨、大雪警報」が出た場合、来館サービスやボランティア活動は以下の通り休止する。 *午前7時現在、警報が出ている場合=午後1時まで休止  *午前10時現在、警報が出ている場合=午後1時以降休止 A開館後に台風等が接近した場合は、警報が出た時点で休止する。 ○「ワンブック」の印刷が変わります  印刷機の更新に伴い、11月号から本誌の印刷を外注から自前に変えます。見出しや罫線が素人っぽくなりますが、印刷の質は落ちない上、経費が大幅に軽減されます。ご理解くださるようにお願いいたします。 あゆみ 【7月】 4日 専門点訳講習会「試験問題」コース開講 5日 見学:香港教育大学学生 11日 ボランティア友の会世話人会 19日 専門音訳講習会「音声解説」コース開講 20日 オープンデー(館内見学日) 23日 わろう座〜関西視覚障害者囲碁大会 予定 【8月】 10日 オープンデー(館内見学日、要予約) 13日 全館休館(〜15日)※詳しくは1頁を 30日 わろう座映画会 【9月】 5日 ボランティア友の会世話人会 13日 灯友会バザール(〜14日、当館) 14日 振替休館(3、4、5階のみ開館) 21日 オープンデー(館内見学日、要予約) 編集後記  全国の視覚障害者の最新の実態調査結果が発表。総数は31万5500人で前回(5年前)とほぼ変わりませんが、65歳以上が前回の60%から69%へと顕著に増加。私たちの情報サービスも対応を求められています。詳しくは次号で。(竹) =ONE BOOK ONE LIFE 2013年8・9月号= 発行  社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター 発行人 竹下 亘 住所  大阪市西区江戸堀1丁目13−2(〒550−0002)     TEL 06−6441−0015 FAX 06−6441−0095 発行日 2013年8月1日