ろくおん 通信 No.199号 発行日 2013年8月1日発行 発行: 日本ライトハウス情報文化センター録音製作係 発行責任者  岡本 昇 〒550-0002 大阪市西区江戸堀1−13−2 電話 06-6441-1017(録音製作係直通)  http://www.iccb.jp/ ★聴いてわかる録音図書をつくるために(第12回)  写真の入れ方  久保洋子  録音図書がデイジー図書として作られるようになって、図・表・写真などの利用はテープの時に比べて格段に便利になりました。ただ、利用者が快適に読み進めるためには、製作上のいろいろな工夫が必要です。  今回は、写真の入れ方について考えてみます。  現在、例えば10ページの写真を9ページに読み込む時には、「9ページ・原本10ページ写真…写真終わり」と読むことになっています。以前は、どこで読む時も原本のページを入れていましたが、これではデイジー図書の検索には役立ちません。  何ページにもわたっている複数枚の写真を一ヶ所でまとめて読むこともよくあります。この場合には「○○ページ(デイジー図書のページ)原本○ページから○ページ、写真○枚。写真1…写真2…写真終わり」とします。2枚目以下の写真は、どのページにあるかはっきりしませんが、あまり煩雑になるのもよくないので、このようにします。  原本中の写真を、本文中のどこでどのように入れるのか。例えば1枚ずつ別々のところで入れるのか、何枚かまとめて入れるのかは、入れ方によっては、説明の文章が違ってくることもあるでしょう。  写真や図・表などを挿入する時には、説明文を考えたら、前後の本文を続けて読んでみてください。説明が長過ぎて、前後の本文のつながりが悪くなったりすることも、これで気づくことができます。また、説明が本文と矛盾していることに気がつくこともあります。この作業は、ぜひ毎回やってみてください。  今回は、写真を例に書きましたが、図や表も同じように考えればいいと思います。  図・表・写真などのある本に積極的に挑戦してください。何冊も読むことでわかってくることもたくさんあると思います。 ★音訳されたものから「処理」を考える(2) 録音製作係  今回は、漢字の処理について考えてみましょう。「処理」とは、何らかの補足をしないと意味が正しく伝わらないところに必要な補足をすることです。  下記の例文は「処理」をしていません。このように、すべてかなで書いてあれば、処理が必要な箇所がわかると思いますが、原文は漢字で書かれているため、つい見過ごしてしまうことがあります。けれども音だけで聞く利用者には、補足がないと不完全な音訳図書になります。  漢字の処理といっても、どのように補足するかは文章によっていろいろ違ってきますが、今回の例文では、“どんな漢字かを特定する”必要があります。原文の漢字は最後に書いてありますので、補足の仕方を考えてみてください。 ** 音源データより **  気 に な る 一 手  いごきし よしはらゆかり  せんじつ、しながわくジュニアいごフェスタがあり、にゅうもんきょうしつのこうしをつとめてまいりました。だい6かいをむかえるこのたいかいにはまいとしおやこでたくさんのにゅうもんしゃがさんかしてくれて、とってもやりがいがあります。  さいごにさんかきし6めいによるサインしきしのプレゼントがありました。このサイン、はたしてなにをかこうかといつもまよいます。タレントさんであればじぶんのなまえをすこしかっこよくデザインするパターンがおおいですが、きしのサインはむかしからざゆうのめいともいえることばをかいてからしょめいするのがしゅりゅうです。  たのんでくださるかたによりかくもじをかえますが、こんかいわたしは「たいむじつげん」とかきました。こどもがたいしょうのときはわりとこのじをえらびます。でもまいかいのことですが、できあがったしきしをみるとあまりのへたさにがっくり…かといってなんどかいてもたいしてかわらない。けっきょく「わたしはしょかではないし…」とちいさくいいわけをしてあきらめます。  ほかのきしは「こうじょうしん」「てんしん」「こうじん」などすてきなことばでした。きしのサインではこれまで「せきしん」(おおたけひでお九だん)、「ゆうしん」(たけみやまさき九だん)、ししょうであるかとうまさおせんせいの「ふどうしん」などがつよくいんしょうにのこっています。それぞれじぶんじしんがきもにめいじることばであったり、プレゼントするかたによろこんでもらえたりすることばをえらんでいるようです。  たっぴつなかたがおおいですが、なかには“したしみ”をかんじるかたも…。「はき」というじにぜんぜんはきのないりゅうしくん九だん、しきしからもじがはみでていたよだのりもと九だん…それはそれでそれぞれあじがあります。 ***********    ※「大夢実現」「向上心」「天真」「幸甚」「石心」「遊神」「不動心」「覇気」 ★Q&Aコーナー [Q]ある日突然、『ウェブスタジオ・なにわ』が正常に使えなくなるのはなぜ? 「A]自宅のパソコンで、『ウェブスタジオ・なにわ』が前日まで問題なく使えたのに、ダウンロードや校正表の送信が、急にできなくなることがあります。今年6月頃から現在まで、10例ほど、同じ原因でこのようなことが起こりました。その原因は、『ウェブスタジオ・なにわ』を表示するためのソフトウエアであるInternetExplorerが自動的にバージョンアップし、バージョン10になったことです。バージョン10では、標準設定のままだと『ウェブスタジオ・なにわ』を正常に使うことができません。  InternetExplorer10で『ウェブスタジオ・なにわ』を使えるようにするためには、次のように設定してください。  互換表示機能を設定する  手順1…『ウェブスタジオ・なにわ』のログインページを表示させます。キーボードの[Alt]キーを押して、画面上部に表示されるメニューの[ツール]をクリックし、下に開いたメニューの[互換表示設定]をクリックします。  手順2…「互換表示設定」ウインドウが表示されます「追加するWebサイト」欄に「iccb.jp」が入力されていることを確認し、「追加」ボタンを押します。「互換表示に追加したWebサイト」欄に、「iccb.jp」が追加されたことを確認します。「閉じる」ボタンを押します。  手順3…「InternetExplorer」を終了します。その後、再度「InternetExplorer」を起動し、『ウェブスタジオ・なにわ』を表示させます。これで、正常に使えるようになります。  ※ InternetExplorerのバージョンを9に戻す方法もありますが、設定項目が多く複雑ですので、上記の方法をお薦めします。                ★チーム紹介  いもうと金糸雀(カナリア)         私達は、2011年度音声訳基礎講習会を修了した11人のグループです。先輩の「金糸雀」チームに合流し「いもうと金糸雀」に。  その名に寄せて歩み始めた私達の囀りを綴ります。  いい録音図書作りは果てしない道。素晴らしい本や人との出会いは私の心の宝物♪(澤田和代)  「もう一度聴きたい」作品を作りたい、でもそれは、気負わない自然体の読みから生まれると思います。(首藤和恵)  うしろを向かず、一歩ずつメンバーと共に向上する。(新庄和代)  とてつもなく大きな言葉の海へ、小さな船に勇気の櫂で漕ぎ出しました。(鈴木恵子)   カナリアは常にさえずる鳥です。私達もさえずりを止めることなく、一冊一冊の本に対する理解を深めて活動していきたいと思います。(辻野玲子)  ナん人もの人が関わって、一冊の本を読みあげていく。仲間の一人として協力出来たらうれしいです。(寺下千秋)  リ用者に本の内容が確実に伝わる読み。それが私たちの目指すところです。(板東由美子)  「ア〜い〜う〜」ひとりで声を出していても、大勢の方が同じように・・・と思うと心強いです。頑張ります!(平田佳子)  で会いがあり、集いがあり、反省しつつ、そして大きな目標に向けて羽ばたきましょう!(吉川順子)  すんだ声に憧れます。るるりるり♪ ラ行も難関・・・。先輩の指導は象牙の船。仲間の励まし合いは銀の櫂。(吉田典子)  親鳥から離れて歩き始めた妹カナリア達、姉さんカナリアの後を追いかけます。置いてけぼりにしないでね!先輩たちを見習って一日も早く情文の輝く☆☆☆になりま〜す。 ★校正表から ◇語句 誤読 正しい読み   多岐  たし  たき   荷役  にえき  にやく   間断  まだん  かんだん   裸形 らけい らぎょう 鈍重  どんちょう  どんじゅう   一矢  いちや  いっし   羨み  ねたみ  うらやみ   禁治産  きんじさん  きんちさん   歪曲  ひきょく  わいきょく   温石 おんせき  おんじゃく   掲げる  あげる  かかげる   喧伝  せんでん  けんでん   脆弱  きじゃく  ぜいじゃく   側妻  そくさい  そばめ   四分五裂  しぶごれつ  しぶんごれつ   四斗樽  よんとうだる  しとだる ★カリムからご挨拶!  みなさんこんにちは!盲導犬のカリムです!ご挨拶が遅くなってすみません。  5月にデビューして、あっという間に3ヶ月が経ちました。ボランティアのみなさんと遊びたいのに、お父ちゃんから禁止令が出ていて、ぼくがしっぽを振って挨拶しているのに、目を合わせてくれないんです! 残念! でも、お父ちゃんからの禁止令も解けて、最近はベッドまでいろんな人が遊びに来てくれるようになりました! やったー! これで、ヴィオラ姉さんのようにみんなから可愛がってもらえるかな? どうぞよろしくお願いします!  7月11日が誕生日で、2歳になりました。1歳まで河内長野のパピーウォーカーさんの家で育ちました。“カリム”という名前は、古代アラビアの王様の名前に使われ、“価値あるもの”という意味だそうです!なんかすごい!   あ、そうそう、先月ヴィオラ姉さんに会ってきました。「お父ちゃんを頼んだで!」と言われ、それから、「夫婦げんかのときはお母ちゃんに味方すること」、「お父ちゃんは週末だけ、発泡酒ではなくビールを買うので、売り場への誘導を間違えないこと」など、たくさんアドバイスしてくれました! ヴィオラ姉さん、あとはぼくに任せといて! ★編集のひろば  よく寄せられる質問・・・「原本奥付」について  最近よく寄せられる、デイジー編集者・校正者からの質問に、「原本奥付」に関するものがあります。「『デイジー図書録音の順序』の記載通りに読まれていない・・・」とか、「原本に書かれている順序とは違う読み方をされている・・・」などに対し、「このままで編集していいのでしょうか?」という質問です。『ろくおん通信No.196(2013年2月)』2〜3ページに、読み方の注意点、編集上の注意点が取り上げられていますが、わかりにくい点もあるようです。録音製作係に確認した事例をご紹介します。  @「出版社のシリーズ名、著者のシリーズ名、書名、副書名、著者名は最初に読む」    注意点1:書かれている場所、順序に関係なく、この順序で読む    注意点2:書誌カードで必ず確認する  A「定価、本体価格は記載通りに読む」    注意点1:原本に書かれている順序の通りに読む    注意点2:裏表紙など「奥付」以外に書かれている場合は、最後に読む  ※ 原本はさまざまです。ルール通りにいかない例もたくさんあります。どんどん質問・相談しましょう。   また最近、『ウェブスタジオ・なにわ』を使った新しい製作の流れに関しての疑問・質問もたくさん耳にします。その中の代表的なものの今後の見通しをご紹介します。 ◆ 校正表に関して  Q. 紙の校正表(校正者・白 / 編集者・ピンク)では校正できなくなるのですか?  A. 今まで通り、紙の校正表も使用できます。紙の校正表の良さを保ちつつ、『ウェブスタジオ・なにわ』の校正票(以下「ウェブ校正票」)の特徴を最大限生かして、録音製作の流れがスムーズに行くような方法を検討中です。実施時期や方法については、職員から個別に説明があります。 ◆ デイジー編集上の変更点に関して  Q.「枠アナ未完成の状態」でデイジー校正を依頼するのはなぜですか?  A. この変更は、終りの枠の「製作完了日」と実際の完了日にタイムラグがある、デイジー校正が同時に複数冊同じデイジー校正者に依頼されてしまう、などのトラブルを防ぐことが狙いです。チェック表の見直し、最終チェック者の人数を増やすなど、チェック体制の強化が検討されています。  Q. 編集者にはどの音訳データが届くのですか?  A. 校正者の紙の校正表(白)が「ウェブ校正票」に移行し、音訳者が最終データアップ時に[製作範囲完了]欄にチェックを入れるようになると、編集者が修正データをダウンロードできるようになります。 ◆デイジー校正に関して  Q.「枠アナ未完成の状態」でデイジー校正を依頼されたら・・・?  A. デイジー校正表(黄色)を編集者に届ける際に、その旨を編集者へお伝えください。編集者が音訳者に「枠アナの録音」を依頼します。 (『ろくおん通信』編集係) ★『Mの会』発足について    これまで、『Gの会(グループリーダーの会)』として、家庭録音チームの世話役を中心としたメンバーの方々で、2ヶ月に1回の会議を開いてきました。9月より、名称を『Mの会』とし、「音訳マニュアル」作成や講習会の企画・開催、録音製作活動に関するさまざまな課題などを、職員と一緒に検討していくことになります。 参加していただくメンバーは、主に講習会の講師を担当していただく方々です。  [Mの会参加メンバー](敬称略 五十音順)  桂公子 ・金井典子 ・北川温子 ・木村純子 ・久保洋子 ・小林幸子   志水節子 ・多田礼子 ・寺田美枝子 ・西田芳美 ・M名あきよ  浜本裕子 ・福島博子 ・前川祐子 ・水野順子 ・山中真理子 ・山見順子 ★製作サポーターについて  スタジオチームの製作サポーターをお知らせします。製作サポーターの主な役割は、進捗状況の把握です。しばらく製作がストップしているなど、館が把握できていないことを伝えていただきます(チームリーダーではありません)。  [スタジオチーム製作サポーター](敬称略)  ・火曜チーム:M名あきよ 山見順子   ・水曜チーム:北川温子 浜本裕子 福島博子  ・木曜チーム:木村純子 寺田美枝子   ・金曜チーム:金井典子 小林幸子 多田礼子   ・土曜チーム:西田芳美 岡本昇(職員)  なお、家庭録音チームは、定例会を活用して、世話役の方々と職員で進捗を把握していきます。 ★館からのお知らせ ◇『読み方検索 音(おと)調べ』公開のお知らせ  これまで館内でのみ閲覧可能だった『読み方調べ』を、名称を『読み方検索 音調べ』に改め、ウェブ上で公開します。ログインには、IDとパスワードが必要です。ご希望の方は職員にお尋ねください。(登録数:約120万件)  ※『読み方検索 音調べ』URL: http://info.iccb.jp/yomikata/ ◇8月の休室日について  以下の日程で休室いたします。  ・8月2日(金) 6階フロア内 機器整備・清掃作業  ・8月13日(火)〜 17日(土) 6階・7階ともに休室  ※ 8月13日(火)〜 15日(木)は、全館休館となります。 ◇ 10月5日(土)は休館、10月12日(土)は開室します  ・10月5日(土)は、『日本ライトハウス展』開催のため、全館休館です。  ・10月12日(土)は、14日(月・体育の日)が指定休日のため、通常は振替休日になりますが、土曜日の休みが2週続くため、開室することになりました。   7階も開室します。 ◇音訳基礎講習会の開催について  以下の日程で、2013年度 音訳基礎講習会を開催します。  ○ 前期講習(講義)    2013年10月1日(火)〜 2014年3月25日(火)    年末年始を除く毎週火曜日 10:00 〜 12:00 全20回  ○ 後期講習(実習)     2014年4月1日(火)〜 8月19日(火)    月2回 10:00 〜 12:00    第1火曜「製作講習」  第3火曜「読み方講習」 ◇ パソコンの入れ替えについて  6階で使用しているWindowsXPパソコンを、Windows7パソコンに入れ替えます。スタジオ録音用、編集用、下調べ用のパソコンがすべて新しくなります。操作方法が少し変わりますが、ご理解、ご協力のほどお願いいたします。使い方がわからない時は、すぐに職員にお尋ねください。 --------------