ろくおん 通信 NO.192号 発行日 2012年6月1日発行 発行: 日本ライトハウス情報文化センター録音製作係 発行責任者  岡本 昇 〒550-0002 大阪市西区江戸堀1−13−2 電話 06-6441-1017(録音製作係直通)  http://www.iccb.jp/ ★聴いてわかる録音図書をつくる為に(第5回)  図・表のページの入れ方が変わりました   久保洋子  新しい録音の順序と共に図表を読むときの入れ方についてお知らせしました。今回は「図」を例にもう少し詳しく書いてみます。 「○○ページ原本△△頁 図」 この場合の「○○ページ」は図表を読んでいるページ、「△△ページ」は原本の、その図があるページです。これまでは原本中のどこで読んでも、その図があるページを読み込んでいましたが、デイジー図書の利用者の便を考えて変更されました。  原本のページを入れるのは、その図について近くの人に見てもらう、又は図書館にリファレンスするなどの時に原本のどこにある図かを特定するために必要だからです。  では、読んでいるページを入れるのは何の為でしょうか。デイジー図書ではページを指定して聞くことが簡単にできます。その為、利用者がさっきの図をもう一度聞きたい時、ページを覚えていればすぐに戻ることができます。又、本文中に(図○○参照)などとあった時には、「○○ページ原本△△ページ、図○○参照」と読むことで、利用者はすぐその図を探すことができます。 @読むページと原本のページが同じであれば(原本10ページにある図を10ページの途中で入れるのであれば)「○○ページ図」とします。(原本○○ページ不要) A11ページにある図を、10ページの最後に読むときは「11ページ図」とします。デイジー図書ではページの最初のフレーズにページチェックをします。この場合「11ページ図」のフレーズにページチェックをすれば図のある原本のページと読んでいるページは一致します。 B2枚以上の図を続けて読むときは「○○ページ原本△△ページ 図2枚(3枚・・・)図1○○ 説明・・・、図2○○ 説明・・・図オワリ」とします。 図は1枚ずつグループで区切ることによって1枚ずつ聞く、あるいは飛ばすことができます。  この場合、グループで送っていくと、「○○ページ原本△△ページ図○枚」「図1・・・」「図2・・・」・・・「図オワリ」の順に出てきます。  原本の何ページかにまたがった何枚かの図をまとめて読むときは、「○○ページ、原本△△ページ〜△△ページ 図○枚」とします。 C原本の何ページかにわたって飛び飛びにある図を一度にまとめて入れる時には、図1・図2などの原本のページを一つひとつ入れた方がいいと思います。入れ方については相談してください。  次号につづく   ★編集のひろば 『デイジー図書編集ルール』『デイジー図書録音の順序』の使い心地はいかが? ○新しくなって2ヶ月近くが経ちました。 「あれ?これどういう意味だっけ」「ここ、おかしいんじゃない?」「もっとこうすれば・・・」などなど、 ご意見、お気づきのこと、グッドなアイデア、たくさんあることと思います。 聴きやすいデイジー図書、操作しやすいデイジー図書づくりを共通の目標として、ストレスなく録音製作に携わることができるよう、ご質問の多い項目を順次考えてみたいと思います。 ○デイジー図書凡例は、編集者が考えてくれる?  デイジー図書凡例はデイジー図書の道標となるものですが、階層化のコメントの他に、グループチェックのことや、「章末にまとめて書かれている文献は本文中の該当箇所で読んでいます」 などのコメントを入れることもあるので、「編集者でないと分からないのでは?」と思っていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。そこを少し発想転換して、音声訳者が図書を手にした時に、「もし私が利用者だったら?」と、ちょっとイメージを膨らませ、その道標を考えてみませんか。 イメージがそれほど膨らまないわ・・・となったら、膨らみそうな人に相談してみて、完成品のイメージを膨らませてから読み始めると、後からの修正も少なくて済み、きっと「聴きやすいデイジー図書」になること請け合いです。もちろん、最終的には編集者が再度検討します。そして、もっとこうしたら・・・というアイデアが浮かんだら、そのときは凡例の読み替えをお願い、ということになりますが。 ○図・表・写真の読み方が変わりましたが・・・なぜ?  図などを原本と違うページで読むと、本来の図のページには何も音声がなくなってしまう、ということがまま起こります。デイジー図書では、原本に合わせて音声にページの印を入れていくのですが、音声がないところには印を入れられず、そのページをデイジー図書で検索すると、「ページがありません」と聴こえます。でも「○○ページ、原本△△ページ」とあれば、あぁ別のところで読まれていたなと納得がいき、しかも、読んでいるページと原本のページもちゃんとお知らせすることができるという、一挙両得の読み方です。ただいろいろなケースがあって一筋縄ではいかないので、グループ例会や曜日別勉強会などで実践練習の必要あり。お世話役の皆さまよろしくお願いします。 ◆編集者のみなさまへのお知らせ◆ *≪書誌情報≫は、エクスポートのあと、再度ご確認ください。確認のあとビルドです。 *現在編集依頼は、「編集者として依頼」「校正者として依頼」の2種類があります。ウェブデータがうまくダウンロードできるように、その時々に応じて依頼の形態が変わります。ご注意ください。 *3月に行われた編集講習会を経て、新たに9人の方が編集者のメンバーとなりました。すでに多くの方が編集に取り組んでいらっしゃいます。強力な戦力となるよう、技術面はもちろん精神面でも、ぜひぜひ先輩 として、サポートよろしくお願いいたします。  (『ろくおん通信』編集委員会) ★きれいに録音する技術 (6)  音量調整ミスによる雑音 〜バックに「ザー」という雑音が入る〜   録音製作係 清水 賢造 前回、『ろくおん通信』191号でバックに「ブーン」という雑音が発生するのは、多くはパソコン内部で発生する雑音が原因で、これを防ぐには「インターフェイスが必要です」と書きましたが、今回は、インターフェイスを使用しているのに、バックに「ザー」という雑音が入るケースです。  こうした「雑音」は、Recdiaで録音している初心者によく見られる失敗です。この場合、雑音も気になりますが、音質も良くありません。この原因は、Recdiaでの最初の音量調整が適正にされていないからです。Recdiaは音声補正機能があり、録音した音量がかなり小さくても、それを大きく増幅してくれます。その為、録音している時の音量が実際はかなり小さいのに、音声訳者が適正な録音ボリュームで録音していると勘違いしているケースです。  元の音量が小さいと雑音も含めて大きく増幅しますので、増幅された音はせっかく専用のマイクを使用していても、安物のマイクで録音したような音質の悪い音(例えば電話から聞こえるような声)になります。本来なら聞こえないはずのノイズなども増幅される為に「ザー」といった雑音となって聞こえてくるのです。  騒音測定時の数字が「−50」〜「−55」前後であればほとんど問題はないといえますが、「−60」〜「−65」といった数字の場合は録音ボリュームを絞り過ぎていると思われますので、音量調整して再度やり直してください。  音量の調整は、   @録音ボリュームを上げる   Aマイクとの距離を短くする    Bマイクが口元にしっかり向くように調整する   等です。   ※ (「ブーン」という雑音の場合は『ろくおん通信191号』を参照してください。) ★2011年度事業報告から 1.録音製作係 ○蔵書製作 280人のボランティアに音訳・校正・編集作業を行っていただき、自然科学、外国語、東洋医学などの専門書や図表の多い本を中心に、多数のDAISY図書を製作した(テープ図書の製作は前年度で完全に終了した)。製作に当たっては、館内の録音スタジオと録音設備の他、ボランティアの自宅のパソコンと当センターをインターネット回線で結んだ録音編集システム「ウェブスタジオ・なにわ」(三菱財団助成事業)を活用した。完成図書は、CDで貸し出した他、「サピエ図書館」を通して全国の利用者に提供した。また、大阪市委託の緊急雇用創出基金事業と、社会福祉法人つむぎ福祉会への委託により、過去に製作したテープ図書のDAISY化(遡及製作)を進め、905タイトルの録音図書をDAISY化することができた。 ・2011年度製作統計( )は昨年度  @蔵書製作 323タイトル(276タイトル)内訳@DAISY 323タイトル(276タイトル)A厚生労働省委託 21タイトル(12タイトル)  A遡及製作(DAISY) 905タイトル(495タイトル) ○プライベート依頼製作 利用者の個別の依頼に応え、前年度比60%増の録音図書を製作・提供した。 ・統計 プライベート製作 126件(78件) 2.サービス部 ○貸出サービス 新館開館後も道頓堀の賃貸ビルに残っていた書庫と貸出窓口を安全、経費、本館との連携の改善のため、肥後橋のアルテビル肥後橋に移転することになり、年度末に2ヶ月半の間、貸出休止せざるを得なかったため、貸出総数は減少した。ただし、録音図書は、テープ図書の製作を止め、テープのDAISY変換を進めているため、テープ図書の貸出数は激減したが、DAISY図書の貸出数は4.5%減にとどまり、DAISY図書の利用は増加傾向にあると言える。なお、今回から録音雑誌の貸出数も計上した。 ・貸し出し統計( )は昨年 @種別 A貸出冊(巻/枚)数B内訳 @点字図書A7,293冊B8,777冊 @DAISY図書A40,889枚(32,332枚〜)B図書30,883枚( 32,332枚)雑誌10,006枚(未統計) @テープ図書A6,846巻(25,275巻〜)B図書 5,934巻 (25,275巻)雑誌 912巻(未統計) @フロッピー図書A14枚(38枚) 合  計55,042(66,422〜) 閲覧者数93人 (102人) ★Q&Aコーナー Q パソコンを買い換えたら、インターフェイスを使っているのに録音ができなくなったのですが。 A この原因は、パソコンのWindousのバージョンが変わったのに、インターフェイスを今まで通りパソコンと接続している為です。新しいパソコンがWindows VistaやWindows7の場合は、ドライバーをインターネットからダウンロードしてインストールし、インターフェイス側の「DRIVER」スイッチを「ON」にして使用する必要があります。この作業をせずにそのまま使用してもインターフェイスをパソコンが認識しませんのでご注意ください。 ★ヴィオラのひとりごと  お父ちゃんと録音製作係に来て、あっという間に1年と2ヶ月が過ぎました。ボランティアさんにいっぱい話しかけてもらって、毎日ハッピーです! 日頃ボランティアさんから、私のお仕事やプライベート(?)について、いろいろな質問をいただきます。今回は、乙女のプライバシーの範囲内でお答えします。 Q 歩行中、どのようにして階段の場所をお父ちゃんに知らせるの? A 「階段」とお父ちゃんが言うと、私は階段を探します。下り階段では、階段の1歩手前まで行って止まります。上り階段では、1段目に両前足を乗せて止まります。私の体の動きと角度の変化で、上りか下りかがわかるんです。 Q エスカレーターには乗れるの? A 乗れますとも! 息を合わせて、ポンと乗ります! でも、美容と健康のため、あまり乗りません! Q お仕事は楽しい? A はい!プロフェッショナルですから!お父ちゃんに「グーッド!」と褒められると、るんるんです! でも雨の日はお休みです! 都会の酸性雨はキューティクルを傷めますので! Q いつも何を食べてるの? A 朝と夜、ドッグフードとクッキーを食べます! ドッグフードにはお肉の他に野菜もたっぷり含まれているらしいです。クッキーにはオリゴ糖やカテキンが入っていて、美容によいですよ! Q お仕事していないときは、遊んだりする? A 広場で走ったり、タオルで綱引きしたり、お父ちゃんと相撲を取ったりします! その後、お母ちゃんの膝枕でお昼寝するんです! Q お父ちゃんがいなくても、一人で家に帰れる? A 電車は無理ですが、駅から家までは大丈夫です。でも、それって盲導犬としてどうなんでしょう? いつもはお父ちゃんの指示通りに歩きますが、酔っ払ってるときは私が連れて帰りますよ! Q お父ちゃんが出勤しない時でも、ヴィオラだけ情文に出勤 しては? A 出勤したいのですが…。情文に着いたら、何方かハーネスを外してもらえますか?        ★ 館からのお知らせ 1.2011年度の録音図書製作と、利用状況について  ○製作数が大きく伸びました  2011年4月から2012年3月までの期間内に製作した蔵書は、323タイトル(前年度276タイトル)でした。また、プライベート製作による録音図書は、126タイトル(前年度78タイトル)でした。さらに、逐次刊行物等も加え、621タイトルを「サピエ図書館」に提供しました。  同期間中に当センターから利用者への貸出は、DAISY図書が40,889枚、テープ図書が6,846巻でした。また、「サピエ図書館」で当センター製作図書をダウンロードした全国の利用者は4,273人で、延べ74,209タイトルが利用されました。  昨年度は、前年度に比べ製作数が大きく増加しました。ボランティアのみなさまから、日々の製作活動に多大なご尽力をいただいた結果であり、大変感謝しております。今年度も引き続き、よろしくお願いいたします。 2.編集作業の体制について ○「追っかけ編集」を始めます  デイジー編集は音訳が完了し、校正者からの訂正作業もすべて完了した作品から編集にかかっています。しかし、最近、デイジー編集作業が順調に進んおり、読みが完了する作品を待っていたのでは編集する作品がない状況です。その為、今後は「追っかけ編集」を順次進めていきます。  「追っかけ編集」とは、音訳が完了していなくても、訂正作業が完了したデータを、編集者がその都度ダウンロードして次々編集していくことです。音訳の完了とデイジー編集の完了との差が縮まることで、より早く利用者に提供することができます。  編集者用の原本はコピーします。来館編集でモニター者用の原本が使える場合はそれを使用します。  「ウェブスタジオ・なにわ」では訂正が完了していないデータをうっかり編集してしまわないように、校正が終了しないと編集者はダウンロードができなくなっています。音訳者が修正したデータをアップして、はじめてダウンロードができるようになります。「ダウンロードボタン」が表示されているデータのみダウンロードして編集作業を進めてください。 3.音訳済み原本の取り扱いについて ○音訳済みの原本は係にご返却ください  音訳に使用する原本は、原則2冊購入しています。音訳が完了して図書の貸出が開始されると、サービス部の貸出担当部署と録音製作係で、原本を1冊ずつ保管し、利用者からの問い合わせに備えています。音訳が完了したら、そのままお持ちにならず、原本を返却していただくようお願いします。   ★以上で『ろくおん通信』No.192号(2012年6月1日発行)を終わり