日本ライトハウス情報文化センター        「ワンブックワンライフ」2015年1月号  <表紙イラスト:(武部はつ子画)>ハートマークに囲まれて困り顔の羊とわんこと笑顔の女の子が描かれている。女の子が羊の体から直接糸を引き出してセーターを編んでいる。羊「こんなのあり・・・!?」女の子「彼へのプレゼントだもん!」   (目次) ◇掲示板 ◇センターのページ ・未年の本年、穏やかに、群れをなして、強い力の発揮を 各係の担当者からボランティアの皆さまへ年頭のご挨拶 ・ボランティア友の会施設見学会 日本ライトハウスの2施設を訪問して ◇報告のページ  ≪掲示板≫ ○専門音訳講習会デイジー編集コースを開講  毎日新聞大阪社会事業団との共催で標記講習会・基礎編と応用編を下記のとおり開講します。 【基礎編】デイジー編集の基礎知識と演習。日時=3月5日(木)・6日(金)2日連続、10時〜17時。対象=これからデイジー編集を始める方。申込締切=2月3日(火) 【応用編】耳で聴いて分かる録音図書を作るための編集を学ぶ(PC編集の実践講習ではありません)。日時=3月12日(木)か13日(金)のいずれか1日、10時〜16時。対象=デイジー編集を行っている方。  申込締切=2月17日(火)。  参加費共に1,000円。 受講申込は録音製作係(電話06-6441-1017)へ要項をご請求の上どうぞ。 ○「楽にネット」でバリアフリーなお買い物を  インターネットで手軽にショッピングできる時代になりましたが、視覚障害の方々にとっては音声で読み上げない、商品情報が多すぎるなど、まだ使いやすいものではありません。そこで、NPO法人アクティブリハビリ・ネット・アクセシビリティ改善プロジェクトチームが昨年夏から「楽にネット」というサイトを開設し、視覚障害利用者の意見を聴きながら改良を続けています。特徴は、商品を簡単に比較検討でき、1クリックで数量指定、買い物カゴに入れられること。皆さんもアマゾンでお買い物の際には、「検索 楽にネット」をぜひ一度お試しください。 ○近畿点字研究会設立40周年記念講演会を開催  当日は、同会の疋田泰男顧問が「日本点字委員会誕生の背景と近畿点字研究会の発足」について講演。国立特別支援教育総合研究所の大内進先生が「3次元を触ることと2次元を触ること―立体教材及び触図活用の意義と配慮」と題し、点字教科書における図のあり方や、有名絵画の半立体模型等について講演します。  日時 1月24日(土)13時〜16時20分  会場 玉水記念館 3階中ホール  参加費 会員外、資料代300円   申込み(問い合せ) 近畿点字研究会事務局 Email: kintenkennews@lighthouse.or.jp (電話06-6784-4414) 窪田・福井まで。  締切 1月15日(木) ○新年のボランティア活動は6日(火)から  新年の仕事始めは1月5日(月)ですが、法人行事のため開館は午後2時まで。ボランティア活動とサービスは1月6日(火)から再開します。また、1月10日(土)はハッピーマンデーの振替休館日ですが、図書・情報係以外は開室します。 ≪センターのページ≫       未年の本年、穏やかに、群れをなして、強い力の発揮を 各係の担当者からボランティアの皆さまへ年頭のご挨拶  新年おめでとうございます。旧年中にボランティアや支援者の皆さまから頂戴したご支援とご協力に心から感謝申し上げるとともに、本年も変わらぬお力添えを賜りますようお願い申し上げます。年頭にあたり、各係の担当者から皆さまへのご挨拶をお届けします。(館長 竹下 亘) 「読みたい!」と言われる点字図書作りを  「この本を点字で読みたい!」と思った時、その本がすぐに読める。さらに関連した本も読める。そんな読書環境を目指していきたいと思っています。さまざまな製作依頼が舞い込むかもしれません。その際は、ぜひ皆さんと職員の力を結集し、読者に求められる点字図書を製作していきましょう。(点字製作係主任 奥野真里) 録音製作係とMSCの連携強化を目指して  いつも質の高い録音図書を多数作っていただき、ありがとうございます。録音製作係とメディア製作センター(MSC)では、今後さらに連携を強化して、蔵書の製作数増と製作期間の短縮を目指しています。沢山の仕事をお願いして恐縮ですが、今年もご協力のほど、お願いいたします。(録音製作係主任 岡本 昇・後藤恵里奈、メディア製作センター主任 岡村佳子) 図書貸出と対面リーディングは車の両輪  昨年、ビルの内装がリニューアルしたアルテ分館。図書の貸出は分館、対面リーディングは本館でと、サービス提供の場所は分かれていますが、心を一つにして、新たな気持ちで利用者の皆様へより良い図書情報サービスをお届けしたいと思います。本年も変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 (図書・情報係主任 谷口由紀) さらに充実したパソコンサポート活動を  パソコンサポート「ボイスネット」の皆さんには、昨年は訪問サポートをはじめ、SVP実験や日本ライトハウス展でのご協力などさまざまなご支援を賜り、誠にありがとうございました。本年はさらに充実したボランティア活動を送っていただけるように取り組んでいきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。(サービス部ボイスネット担当 松本一寛) 電子書籍の多々利用、盛大活用を願って  新年慶賀 活発活動 盛大助力 感謝礼賛。 本年製作 多々利用 盛大活用 多々幸福。 例年活躍 益々活躍 皆様健康 何卒祈願。 新年挨拶 言葉多数 字数制限 何卒容赦。大器晩成 満身創痍 筋骨隆々 強仕不惑。  (製作部電子書籍担当“晴耕雨読 中道主義”長本 幹) ※編者注=厳しい字数制限を強いたため、担当者が苦肉の策で捻り出したご挨拶ですので、どうかご笑覧ください。 皆さんの声に耳を傾け、より良い活動へ  ボランティア友の会世話人会では、見学先を下見に行くなど、とても熱心かつ丁寧な取り組みに頭が下がります。皆さんの生の声に耳を傾け、より良いボランティア活動を目指して、ご一緒に利用者サービスの向上につなげていきたいと思います。この他、毎月の広報誌の発送のほか、イベントのお手伝いや視覚障害者のガイド、臨時の大量の発送など、たくさんの皆さまのお力の大きさを感じています。今年は未年にちなんで、穏やかに、群れをなして強い力を発揮していきましょう。(総務部主幹 林田 茂) 音声解説で生きる喜びをプラスするために  映画は生きるのに絶対必要とまでは言えませんが、誰かの生きる力になることもあります。「ボイスぷらす」の活動は、作品に音声解説をプラスするだけでなく、この世界にまた一つ喜びをプラスするものだと思います。日頃の皆さんの温かいお力添えに心からの感謝を!(製作部音声解説担当 工藤ゆう) 読書に困難のあるすべての人と情報共有を  ボランティアの皆さんが日夜製作してくださっている点字・録音・電子図書は今後、下図のように、障害者手帳を持つ視覚障害者(盲ろう者を含む)だけでなく、ロービジョンをはじめ目の病気や高齢化等で読書に困難のある人、「知覚や読みの障害者」(ディスレクシアや学習障害等)、さらには「身体障害により書籍の保持や操作、目の焦点を合わせたり、目を動かすことが困難な人」(上肢・全身障害、神経難病等)に拡がっていきます。そしてぜひとも拡げていかなければなりません。これは、目下、文化庁が批准の準備を進めている国際条約「マラケシュ条約」が掲げる目標であり、決して絵空事ではありません。読書に困難のあるすべての人と情報共有できる社会を目指して、今年もさらにお力添えをお願いします。(館長 竹下 亘) ===  (説明:以下は4つの大小の円を並べた説明図です) @大きな円が上にあり、中ぐらいの円が2個、下側にあります。   大きな円の中には小さな円が一つあります。  A小さな円は「身体障害者手帳を持つ視覚障害者」(厚労省、2013年発表)で合計315,500人  その内訳として  ・1・2級(全盲・光覚)が64.6%、3〜6級(弱視)が35.3%  ・65歳以上が69%(60歳以上79%)  ・中高年以降の中途視覚障害者が過半数 ・18歳未満が4,900人  ・盲ろう者が13,952人(全国盲ろう者協会、2014年発表)  B大きな円は「日本眼科医会発表(2009年)の視覚障害者」で164万人。  その内訳として  ・ロービジョン144.9万人、視力0.1以下18.8万人  ・緑内障24%、糖尿病性網膜症21%、変性近視12%、加齢黄斑変性症11%、白内障7%ほか。  C左下の中ぐらいの円は、「知覚や読みの生涯」(ディスレクシア、学習障害等)  小中学生の2.5%、25万人(文科省、2012年発表)  →全人口比では100万人以上か?  ※以上の、B日本眼科医会の視覚障害者と、C知覚や読みの障害者が「著作権法37条3項における視覚障害者」です。  D右下の中ぐらいの円は、身体障害により書籍の保持や操作、目の焦点を合わせたり、目を動かすことが困難な人(上肢・全身障害や、神経難病等)で100万人以上?   このDが、マラケシュ条約における「受益者」です。 === ≪ボランティアのページ≫ ボランティア友の会施設見学会 日本ライトハウスの2施設を訪問して  今年度のボランティア施設見学会は当法人4施設の内、大阪市鶴見区の視覚障害リハビリテーションセンター(リハセン)と東大阪市の点字情報技術センター(テクティ)でした。リハセンでは生活・職業訓練室等を見学、利用者とスポーツ体験を通して交流しました。テクティでは、点字図書(特に図)製作の専門的技術に見入り、点訳・製版・印刷から製本までの出版工程や触地図の資料などを見学して、興味が尽きませんでした。  (点字製作係ボランティア 山本 普実雄)  11月25日(火)、今年度のボランティア友の会施設見学会は、大学在学中に失明し、関西学院に学んでいた岩橋武夫氏が、1922年(大正11年)、点字図書の製作を開始したことに始まった、日本ライトハウスの視覚障害リハビリテーションセンターと点字情報技術センターの2施設に行きました。参加人数30人(ボランティア28人、職員2人)。歩くにはやや遠いので、タクシー相乗りで、今津公園東側に位置するリハセンに向かいました(あっという間に到着)。 視覚障害リハビリテーションセンター  日本で初めて体系的に実施した歩行訓練、点字・カナタイプ等の訓練、身辺処理や調理等のいわゆる「社会適応訓練」を柱に利用者のニーズに合わせたプログラムを提供しています。内山副所長より、今、100人ぐらいの方が通所で利用、20数名が入所等の説明がありました。館内見学はPC、電話交換手等の訓練室、タオルをたたんだりビスやナットを仕分けたりする作業場もあり、真剣に取り組んでいました。報酬の分配は成果主義ではなく、時間で支払われるとのこと。何かホッとした気持ちにもなりました。その額は月平均4000円位だそうです。移動中、廊下から階段踊り場への境目に「暖簾」をぶら下げているのに気付き尋ねると、「場所の変化」と「落下防止」のためとの事、感心しました。また、ストレス解消のためスポーツも取り入れ、私たちも目を閉じて参加し、一緒に楽しみました。 点字情報技術センター  リハセンから第二寝屋川を挟んで徒歩約20分、センターへ到着。疋田(ひきだ)職員から、「当センターはプロフェッショナルならではの点字製作を目指し、全員が職員。点字製作が主となり、点字教科書、触る図形、英和・仏和辞典や単行本等の製作発行を手がけています(全部有料)」等の説明があり、館内見学。さすがに皆さん「プロ」!点字原版の間に紙を挟み込む作業の女性の手際よさ。うっとり見とれて尋ねると、「20年」。さすがです……。1階では見事な図形を原版に描いています。また見とれていると、「やってみますか?」「もちろん!」。やってみると、点を打ち込む時、凹点と凹点の間隔が均等に揃う仕掛けはわかりましたが、綺麗な円、直線にはなりません。その他、製本等、素晴らしい技術の方たちでした。教科書をはじめ見本の製作が増え、相談ばかりで依頼が少ないとお聴きし、複雑な気持ちになりました。  色々な障害を持った方がおられますが、何らかの形で、少しだけでもお役に立てれば良いなと、改めて思った1日でした。 ≪報告のページ≫ ○岩井和彦さんの夢を受け継ぐ会に300人 12月16日、堺市で開かれた標記集まりに、当法人の職員・ボランティアをはじめ全国各地から300人余りが参加。生涯の各時期に深く交わった10数人が思い出を語り、その人柄を偲ぶとともに、岩井さんの夢や理想を受け継いでいくことを誓いました。 あゆみ 【12月】 13日 オープンデー(館内見学日) 16日 岩井和彦さんの夢を受け継ぐ会(堺市) 18日 近畿視情協ボランティア研修会(玉水) 24日 利用者サービス最終日 26日 仕事納め 予定 【1月】 5日 仕事始め(15時から法人行事で休館) 6日 ボランティア活動・サービス開始 8日 ボランティア友の会世話人会 10日 振替休館日(図書貸出以外は開室) 17日 オープンデー(館内見学日、要予約) 24日 近点研設立40周年記念講演会(玉水) 29日 見学:日本盲人会連合点字図書館 編集後記 半同居する93歳の両親がこれまで健康を守られてきたため、留守は妻に任せて、好き勝手に仕事をしてきたのですが、昨年末、父が転んで肋骨を折り、母が熱を出して天手古舞に。最近、ご家族の介護に苦労しておられるボランティアの方が増えていますが、それがいかに大変であるかを初めて実感しました。それにしてもこれからが本番。覚悟しなければ。(竹) =ONE(ワン) BOOK(ブツク) ONE(ワン) LIFE(ライフ) 2015年1月号= 発 行 社会福祉法人日本ライトハウス      情報文化センター(館長 竹下 亘) 住 所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp 表紙絵 武部はつ子 発行日 2015年1月1日 定 価 1部100円 年間購読料1,000円