ろくおん 通信 No.205号 発行日:2014年8月1日 発行:日本ライトハウス情報文化センター 録音製作係 発行責任者:竹下 亘  〒550-0002 大阪市西区江戸堀1−13−2  電話 06-6441-1017(録音製作係直通)  http://www.iccb.jp/ 主な見出し ★聴いてわかる録音図書をつくるために(第18回) ★録音操作で困ったことはありませんか! ★きれいに録音する技術(15) ★チーム紹介 『グループ汐(ゆうしお)』 ★編集のひろば ★Q&Aコーナー ★蔵書を読み始めるにあたって ★館からのお知らせ ★カリムのお父ちゃんより 主な見出し、終わり。 ★ 聴いてわかる録音図書をつくるために(第18回) 正しく伝えるには  久保洋子  「校正」という語を大辞林で調べてみました。「比べて正すこと」と書かれています。  印刷の現場では、文字通り・執筆者の原稿と校正刷りを比べて、誤りを正すことを校正と言っています。  これに対して、録音図書の校正はどうでしょうか。  勿論、原本の語句を一字一字正しく読んでいるかどうかのチェックが第一です。でも、録音図書では正しく読んでいても、正しく伝わらないことがたくさんあります。  例えば、「私はコウチに立っています」。大辞林では、「こうち」という語は16あります。「狡知」とか「後置」とか、この文には当てはまらない語も、色々ありますが、あてはまる語も「高地」・「耕地」・「荒地」・「校地」など、色々あります。「この読みで原本の内容が正しく伝わるかどうか」、これをチェックするのが録音図書の大切な点です。  原本を見ていると原本通り正しく読んでいれば、何の問題もないと思ってしまいます。原本を見ない利用者と同じ立場で聞いてみて、正しく伝わるかどうか、チェックすることが大切です。  一言で正しく伝わるかどうかと言っても、問題は色々あります。  ・読み方の問題、文章の切り方、立て方に問題はないか。  ・アクセント:「洗われた」のか、「現われた」のか、わからないようなことはないか。  ・同音異義語・造語:目で見ればわかるけれど、音にしてしまうと他の語に聞こえるこ   とはないか。  ・カッコ、傍線などの記号の読みがわかりにくくないか。  ・注や参考文献の挿入箇所は適切か。本文との区別がはっきりわかるか。  ・図や表、写真などの説明は適切か。  ちょっと考えただけでも色々あります。    文学書では、文章そのものの美しさを伝えることも大切なことです。時には、文章を伝える補足が原文の美しさを損なってしまうこともあると思います。こういう場合も、どちらかを優先するのではなく、両方が満足できる読み方を工夫しなければなりません。  問題は色々ありますが、録音図書を読んだ読者が墨字原本の読者と同じ情報を取得することができるかどうか、録音図書製作に携わる一人一人がいつもこのことを忘れないことが大切だと思います。   ★録音操作で困ったことはありませんか!  ろくおん通信編集者会議より    操作ミスでデータが消えてしまった!そんな経験はありませんか?  録音の修正作業を行う際、レクディアの[IN]ボタン[OUT]ボタンは大変便利です。  修正をしたいフレーズを[IN]ボタンと[OUT]ボタンで指定して録音すると、修正したい部分に埋め込み録音ができます。ところが、[OUT]ボタンの設定をしていないと、残したかった部分まで消えてしまうことがあります。  さらに注意が必要なのは、[IN]ボタン[OUT]ボタンを使用して、フレーズの切り取り作業を行う時です。切り取りたいフレーズを[IN]ボタンと[OUT]ボタンで指定し、[フレーズ操作]メニューから[切り取り]をクリックすると、「○〜○フレーズを切り取ります。よろしいですか?」と確認画面が表示されます。「はい」を選択すると、設定したフレーズが切り取られます。この作業で[OUT]ボタンの設定をしていないと、「○〜ファイル末尾を切り取ります。よろしいですか?」と確認画面が表示されます。ここでうっかり「はい」を選択してしまうと、[IN]ボタンで設定したフレーズから後ろが全て消えてしまいます。  こうして消えてしまったデータは元に戻すことはできません。何時間もかけて録音してきたデータが一瞬にして消えてしまうこともあり、大変ショックです。ミスを防ぐために確認画面が表示されるのですが、長く作業を続けているとついうっかりしがちです。「注意一秒、データ一生!?」ご注意ください。このような時に備えて、作業中のデータはこまめにバックアップを取っておくことをお勧めします。  また、万が一消えてしまった時も、気を落とさないでください。録音し直すことにはなりますが、その時は、一度目よりずっとスムーズに、また、より良い録音ができるものです。怪我の功名と前向きにとらえましょう。 ★きれいに録音する技術(15)  訂正録音で頭や終わりの箇所に音が入るのは?  録音製作係 清水賢造  時々、訂正録音をした箇所の頭の部分や最後の部分に「プツ」といった雑音が入っていることがあります。この雑音の正体はキーボードの操作音です。  後追い録音で訂正をする場合、「D」キーを押し続けながら録音する箇所に来たら「F」キーを押します。この時点ではまだ雑音は録音されません。問題はその後です。「D」キーと「F」キーをすぐ離してしまうと、キーボードが上がる時に出る音が、雑音として録音されます。また、録音停止する時も強くキーボードに触れると、触れた時に出る雑音が録音されます(触れた時点ではまだ録音中の為)。  こうした雑音を録音しないようにするには、録音開始で「D」キーと「F」キーをすぐに離さず、声を出し始めてからゆっくり離します。自分の声がキーの出す音を消してくれるからです。録音を止める時もそっとキーに触れてください。特にデスクトップパソコンのキーボードのようにキーが深いものは注意してください。  また、録音に使うパソコンは、出来るだけマイクの近くやマイクの向いている方向に置かないことです。近いほど操作音を大きく拾いますし、マイクは指向性なのでマイクの方向に置くだけで音を拾ってしまいます。  家庭録音だけでなく、時々スタジオでも同様の雑音が入ることがあります。これはモニター者の操作ミスが原因です。スタジオの場合は、音訳者とモニター者が会話をするための切り換えスイッチを「ON」にした状態で、「D」キーを押し続け、録音する箇所に来たら、必ず切り換えスイッチを「OFF」にしてから「F」キーを押してください。「F」キーを押してから切り換えスイッチを「OFF」にすると、キーが上がる時に出る音が、モニター者のマイクを通してスタジオのスピーカに流れ、スタジオのマイクがその音を拾ってしまいます。  こうした雑音は、音訳者やモニター者が気をつけて作業することで防ぐことができます。操作ミスのないよう、ご注意ください。   ★チーム紹介 『グループ汐(ゆうしお)』     グループ汐(ゆうしお)は、ほぼ30年前に美しい日本語を学ぼうという理念で始まったサークルです。朗読を学びながら、それが社会に少しでもお役立てれば・・・という思いでボランティア活動も始めました。  現在は会員17名で、それぞれの地域でボランティア活動をしていますが、日本ライトハウスの依頼を受けて、そのうちの8名がチームを組み、2006年3月号から月刊誌「子供の科学」を抜粋音訳・編集し、約4時間半のデイジー版を製作しています。  毎月、雑誌が発行されますと、担当者が読む分担を決め、それを各自が下読みしてから月例の勉強会をします。「子供の科学」という名のとおり、写真や図表の多い誌面ですから、それをどのように音訳するかが一番の大きな問題となります。図表の読み方、写真の入れ方などは特に経験が大きくものを言いますので、日本ライトハウスで経験の豊かな人を中心に、さまざまな表現方法を皆で工夫し、分担する箇所の読みをまず考えるところから始まります。はるか昔の学生時代を思い出しながら取り組んでいますが、科学の進歩は目覚ましく、最近ではゲームプログラミングの連載も始まり、我々の世代にとっては、まさに四苦八苦と言ったところもあります。  しかし、私たちが感謝しているのは、この音訳に取り組んでいるおかげで、宇宙から深海、ロボット工学、iPS細胞まで、最新の科学知識の基本的なところをわかりやすく理解できるということです。「子供の・・・」とありますが、大人の方にも興味のある記事がたくさんありますので、ぜひ利用していただきたいと願っています。 ★編集のひろば  ◆もっともっと知ろう!「ウェブスタジオ・なにわ」  何回「ウェブスタジオ・なにわ」にアクセスされたでしょうか?誰もが不安なく活用でき利用が広まることを願って、このコーナーでも順次、仕組みやトラブル対処法などを紹介していきます。  今回は、トップページに並んでいる代表的な メニュー の使い方です。    ◆録音・校正・編集Q&A  「製作依頼受信」・・・「承諾」を送信することで、データの送信、ダウンロードが可能になる。また、『はやみみかわら版』で利用者に配信されるかどうかや、担当者が確認できる。 「音訳データ送信」・・・「新規・修正済音訳データ」の送信および、送信済みのデータを「音訳データ一覧」で確認できる。 「進捗状況」・・・校正・編集用の音訳データをダウンロードするときにはここをクリック。 「校正票一覧」・・・校正票をダウンロードしたり、送信された校正票を見たりするときにクリック。校正票の送信後、訂正録音されたかどうかもここで確認できる。 「連絡票」・・・ボランティア同士の連絡や録音製作係からのお知らせの送受信。 「ヘルプ」・・・「ウェブスタジオ・なにわ」の作業の手順、バージョンアップの方法などを見ることができる。  トップページのメッセージは1回クリックすると消えてしまいますが、これらのメニューは、どれを何回クリックしても、データが失われることはありません。安心して色々クリックしてみてはいかがでしょうか。 ★Q&Aコーナー Q:パソコンの買い換えを検討しています。自宅での録音や編集、「ウェブスタジオ・なにわ」を使いますが、Windows8パソコンを購入しても大丈夫でしょうか? A:現在のところ、Windows8と8.1パソコンで、問題なく動作しています。ただし、ソフトウェアのメーカーからは、以下のように発表されています。    ・PRS−PRO    Windows8で問題なく動作することを確認。Windows8.1での動作確認については未発表。  ・Recdia    Windows7まで対応。Windows8以降は未対応。  「ウェブスタジオ・なにわ」へのアクセスについては、最新のInternet Explorer Ver.11でも問題なくデータの送受信が可能です。     ★蔵書を読み始めるにあたって  2014年8月1日から、蔵書を読み始める際の手順が変わります。今までのようなじっくりとした打ち合わせではなく、「音訳開始時の打ち合わせ事項(青い用紙)」を記入して持参いただき、簡単な打ち合わせを職員と行うようにします。どうぞ、よろしくお願いします。 ○ 蔵書を読もうと思ったら・・・  次の本をご希望の場合は、今読んでいる本を読み終える1か月前に「音訳終了1カ月前申込書」にお名前・チーム・音訳終了予定・音訳開始予定を記入してください。  「蔵書本」の中から読んでみようと思う本を選ぶ   ↓●「蔵書本」の中から読んでみようと思う本があれば、貸出簿にタイトル・名前・貸出日・返却日を記入して、下読みする旨を職員までお知らせください。返却日までに製作するかどうかを決めて、職員に連絡してください。)  読む本が決まったら、「音訳開始時の打ち合わせ事項(青い用紙)」と「書誌カード」を受け取り、下読みして必要事項を記入する   ↓●下読みをしている際に気が付いた点や疑問に思った点などは、メモをしてください。「音訳開始時の打ち合わせ事項(青い用紙)」の記入が終了する日程を職員に伝え、提出日を決めてください。  「音訳開始時の打ち合わせ事項(青い用紙)」の記入が終わったら、提出日に職員に渡し、内容を一緒に確認する   ↓●内容を確認後、職員が「音訳を開始してください」にチェックを入れたら、音訳開始になります。  確認後、「ウェブスタジオ・なにわ」より音訳依頼が送信される   ↓    音訳データ送信可能!    ◎「音訳開始時の打ち合わせ事項(青い用紙)」を提出した後でも、疑問に思ったことなどがありましたら、ご相談ください! ★館からのお知らせ  ◇8月の休室日について   8月12日(火)〜 16日(土) 6階・7階ともに休室    ※ 8月14日(木)〜 16日(土)は、全館休館となります。  ◇9月13日(土)は開室、9月27日(土)は休館します   9月27日(土)は、『日本ライトハウス展』開催のため、全館休館です。   9月13日(土)は、15日(月・敬老の日)が指定休日のため、通常は振替休日になりますが、9月の土曜日の休みが2回になるため、開室することにいたしました。   7階も開室します。  ◇ 音訳基礎講習会の開催について   以下の日程で、2014年度 音訳基礎講習会を開催します。   ○ 前期講習(講義)    2014年10月1日(水)〜 2015年3月11日(水)     年末年始を除く毎週水曜日 10:00 〜 12:00 全20回     ○ 後期講習(実習)     2015年3月25日(水)〜 8月5日(水)    月2回 10:00 〜 12:00 全10回  ◇ 名札着用のお願い   館内で活動される際には、名札の着用をお願いします。名札のない方は、職員までお申し出ください。 ★カリムのお父ちゃんより  6月8日、日曜日なのに早起きをして、朝食を済ませたらカリムのグルーミングです。その後は部屋の掃除。わが家は大忙しです。いつもの休日と違い、妻も私もそわそわしているので、カリムは「今日何があるん?」と言いたげです。「カリムを育ててくれたお父さんとお母さんが、河内長野から会いに来てくれるよ!」「…?!」わかっているのかいないのか、しっぽを振っています。  午後、カリムのパピーウォーカーさんが到着。庭でご対面です。カリムはお二人の姿を見たとたん、ものすごい速さで走り出し、お父さんとお母さんに交互に飛びつき、それから庭中を駈け回って喜びました。子犬の頃に戻ったようでした。  カリムが落ち着いたら家の中へ。カリムの甥っ子ラシッドくんも一緒です。体重5sのパピーちゃんはよたよたしながらカリムの後を追っかけます。カリムは上手に遊んであげています。さすが叔父さん! それから約4時間、カリムの親ばか話に花が咲きました。とてもすてきなご夫婦で、カリムを大切に育ててくれていたことがよくわかりました。1年間の思い出を、アルバムにしておられました。子犬の頃のカリムもとてもかわいかったですよ! 「カリムの幸せそうな顔を見て嬉しい! 会えてよかったです!」と言っていただき、わが家へお招きしてよかったと私も嬉しくなりました。再会を約束し、カリムとお見送りしました。カリムが寂しがるかなと思いましたが、しっぽを振りながら「まーたねー!」そして車が見えなくなると、さっさと家の中へ。「お父ちゃん!晩ご飯まだ?!」たくさん遊んで、お腹が空いたのでしょう。ということにしてあげる。