ろくおん 通信 NO.196号 発行日 2013年2月1日発行 発行: 日本ライトハウス情報文化センター録音製作係 発行責任者  岡本 昇 〒550-0002 大阪市西区江戸堀1−13−2 電話 06-6441-1017(録音製作係直通)  http://www.iccb.jp/ ★聴いてわかる録音図書をつくる為に(第9回)  表を読む時に    久保洋子  表の形にもさまざまなものがあります。単純に縦に何行目、横に何項目という説明で済ものもありますが、多くはその都度工夫が必要です。ここでは、一般的な注意点をいくつか挙げてみます。 (1) 文字情報としての表は、利用する人が自由に縦に見ていったり、横に見ていったり、時には大きな表の一行または、一列だけを見ていったり、自分の目的に適った見方をすることができます。これに対して、録音図書では、普通同じ表を何度も読むことはしませんので、本文をしっかり読んで縦か横か決めてください。 (2) 項目がたくさんある時には、はじめにその数を言い、項目に番号をつけて読むなどの工夫をします。どこまで続くのかわからないのは聴いていて不安なものです。 (3) たとえば、一項目ずつ横に読んでいく時、項目名を毎回入れていくかどうか、難しい問題です。読み上げる数値に単位がついていて区別ができれば、いちいち項目を読むのではなく、単位をつけて読む方法が考えられます。また、春夏秋冬、縦・横・高さなど、わかりやすい項目ではいちいち言わなくてもよいこともあります。項目の区切りがわかりにくくないよう気をつけて読んでください。 (4) 表の中の特定の情報が必要な時(私たちが本を読みながら、途中であらためて表を見る時)には、その情報を表から読み取って、本文中に読み込む方法も考えられます。表の説明をする時に、その旨ことわっておくとよいと思います。 ★原本奥付について(録音製作係)  今回は、原本奥付について、読み方の注意点と編集上の注意点について取り上げます。 ◇読み方について  原本奥付は、テープ図書でははじめに読んでいました。これは利用者や点字図書館職員が出版社や出版年などを確認する時に、最終巻のどこに入っているかがわからず確認に手間取るためでした。  デイジー図書では検索が容易なので、はじめに入れる必要がなくなりました。原本奥付を最後に入れることで、“必要最小限の項目にしぼる”といった配慮(本文をより早く聞くため)も必要なくなりました。しかし、当面は、これまで通り“省略してもよい項目”(E 参照)は入れなくても結構です。  以下、「原本奥付」を読むに当たっての注意点を挙げます。 @ 書かれている順序に関係なく、出版社のシリーズ名、著者のシリーズ名、書名、副書名、著者名は最初に読む。 ※ 奥付に著者名や書名の記載がなくても入れる。 ※ シリーズ名や副書名などは書誌カードで確認し、これに合わせて読む。 A 定価、本体価格は、記載通りに読む。 ※ 定価、本体価格は裏表紙などにあることが多いので注意してください。消費税の書き方は出版社によっていろいろです。記載されている通りに読んでください。 B「刷」の読みはスリ(サツと読まないように) <例> 第1刷=ダイイチズリ  ※ 刷が複数ある場合、第1刷と最後の刷を読んでください。全て読む必要はありません。 C 郵便番号、電話番号、振替番号の読み方にも注意すること ・〒550-0002   → ユウビンバンゴウ ゴーゴーレーノ レーレーレーニ ・電話(06)6464-7311   → デンワ レーロク ロクヨンロクヨンノ ナナサンイチイチ ・振替 東京 1-49701-101   → フリカエ トウキョウ イチノ ヨンキューナナレーイチノ イチレーイチ  ・国際標準図書番号(ISBN)の読み方  ISBN 978-4-404-03938-5    → アイエスビーエヌ キューナナハチ ハイフン ヨン ハイフン ヨンレーヨン ハイフン レーサンキューサンハチ ハイフン ゴ ※ 注意 X →「エックス」と読む Xは10とは読まない D メールアドレスとホームページアドレスの読み方 ・info@abc.   → アイエヌエフオー アットマーク エイビーシー ドット ・http://www.   → エイチティーティーピー コロン スラッシュ スラッシュ ダブリュ ダブリュ ダブリュ ドット ※ メールアドレスは、アドレスの前に「メールアドレス」と言い添えて読む。 ホームページアドレスは、言い添えずにそのまま読む。 ※ 大文字がある時には、その事をわかるように言い添えます。大文字と小文字が正しくないと、違うアドレスになるので注意してください。 <例> ABCabc → 大文字エイビーシー 小文字エイビーシー ※ 9(キュー)は「数字9」、q(キュー)は「アルファベットq」と言い添える。 ※ 固有名詞や意味のある単語の場合、最初に読んでから、綴りを読む。 <例> asahi → アサヒ  エイ エスエイ エイチアイ E 墨字原本の最後にある奥付を記載してある順に読む。但し、次のものは省略してもよい。 ・アルファベットで書かれた著作権者 ? ・落丁、乱丁のことわり ・発行者、印刷所、製本所 ・装幀者など ◇ 編集上の注意点 @ シリーズ名やタイトルなどの表記 書誌カードの表記に合わせる。書誌カードと違う表記にするとサピエで検索できないことがあります。 <例> 原本『○○○ X』 → 書誌カード『○○○ 5』 A 原本奥付と著者紹介のページ付け ・原本奥付のページは、本文の最終ページに+1ページ ・原本奥付と著者紹介が同じページの場合は、著者紹介と原本奥付は同じページ ・著者紹介が原本奥付の前ページにある時は、著者紹介は最終ページに+1ページ、原本奥付は著者紹介ページに+1ページ ・著者紹介が裏表紙など原本奥付の後ろにある場合は、原本奥付と同じページにする ※ 著者紹介、原本奥付の順 ★きれいに録音する技術 (10)  録音した声が水の中で話しているように聞こえる原因は?  録音製作係 清水賢造  最近、よく、「ブーン」といった雑音ではなく“録音した声が時々変になる”といった現象が起きています。ちょうど水の中で話しているような声になります。当初は原因がはっきりしませんでしたが、最近になって、パソコンの内蔵ソフトウェアによる可能性が高いことがわかってきました。  この内蔵ソフトウェアとは、Windowsにもとから入っているものではなく、パソコンメーカー独自のソフトウェアや、内蔵されているオーディオチップメーカーが提供しているサウンドコントローラーのソフトウェアのことです。  内蔵ソフトウェアは、録音(マイク)に関する初期設定でノイズをカットしたり抑制したりする機能が有効になっているものが多く、この設定を無効にすることで、水の中で話しているような音質が改善されます。 ※ノイズカット(抑制)機能が有効になっていると、次のような現象が起こります。 騒音測定をする時、録音ボリュームを大きくしていくと、本来は周りの雑音もよく拾うので、測定値は大きくなります。たとえば、録音ボリュームを大きくする前の測定値が「-50db」でしたら、普通は「-45db」といったように値が大きくなります。内蔵ソフトウェアの「ノイズをカットする」機能が働いていると、逆に値が小さくなります。『Recdia』では、録音ボリュームを上げた時に、騒音測定の値が小さくなることは絶対にありません。毎回、音量調整がうまくいかないケースは、内蔵ソフトウェアが知らないうちに働いているからです。  ノイズカット(抑制)機能を無効にする方法ですが、パソコンごとにソフトウェアの名前やアイコンが違い、設定の変更方法もそれぞれなので、残念ながら当センターではすべてを把握することができない状況です。パソコンのタスクバーの右端に、時刻や小さなアイコンが表示されているところがあり、ここに『○○オーディオマネージャー』などという名前のアイコンがあれば、クリックして設定を確認することもできるかもしれませんが、わからない場合はパソコンメーカーに、サウンドの内蔵ソフトウェアのノイズをカット(抑制)する機能を無効にする方法をお問い合わせください。 ★校正済みの原本は職員にお返しください  第2校正(自宅校正は第1校正)が終了したら、原本は職員にお返しください。校正記録カードに完了日を記入した後、原本を編集依頼棚に置きます。これにより、編集依頼を早く出すことができます。 ★Q&Aコーナー <Q> 今まで使用していたダイナミックマイクを使ってパソコン 録音をしたいのですが、あまり音量が上がりません。何かよい方法はありませんか。 <A> パソコン録音ではダイナミックマイクはあまりお勧めしていませんでした。 理由は、いままでの外付けオーディオインターフェイス(UA-3FX UA-4FX UA-1Gなど)ではダイナミックマイクはあまり音量が上がらず、『Recdia』の方で録音ボリュームを上げても「シャー」という音が目立ち、音質が悪くなっていたからです。そのため、マイクは乾電池を使用するコンデンサーマイクをお勧めしていました。  しかし、ローランド社の「DUO-CAPTURE UA-11」(ろくおん通信191号で紹介)では、 マイク用にスイッチを切り替えることで音量が上がるようになっており、ダイナミックマイクでも十分使えるようになっています。切り替えスイッチは図1のように「INPUT GAIN」ボタンを「HI」に切り替えることでマイク専用になります。また、「Hi-Z」ボタンは「ON」ではなく「OFF」に、「INPUT MONITOR」ボタンは「ON」にセットします。現在、この外付けインターフェイスを使っている方も確認してください。  「DUO-CAPTURE UA-11」は8,000円前後で購入することができます。   ※ 注意:録音中はヘッドホンから声が漏れますのでモニター音量を絞ってください。 そのままで録音すると、音声訳者の声とヘッドホンから漏れる声が二重に録音されてしまいます。特に、開放型のヘッドホンを使用されている方はご注意ください。 ★編集のひろば ◇「音声訳開始前に行う処理票」活用法  音声訳前の打ち合わせのシステムが始まって半年余りたちました。「音声訳開始前に行う処理票」は、音声訳者・校正者・編集者をつなぐ大事なパイプ役です。太いパイプにするにはどうすればいいか?この コーナーでも順次考えていきたいと思います。今回は、「こんなことに注目してほしい」「こんなことを相談してほしい」などなど、デイジー編集者の声から打ち合わせのポイントを集めてみました。 @ 目次の項目と本文の項目の照合のポイント ・項目の内容が異なっていないか ・ページが異なっていないか ・項目の順序が異なっていないか(例−目次ではコラムがまとめて書かれているなど) ・本文に、目次にない項目はないか A 項目番号は原本のままで混乱しないかどうかを検討するポイント ・階層番号(1−1、1−1−1)をつけた方が利用しやすいと思われる場合  ・原本には1、2・・・と番号がついているが、1章、2章・・・あるいは@Aなどとした方がいいと思われる場合 ・通し番号がついている場合 ・本文中に、目次にない小項目がある場合 B 写真・図・表・注・引用文・索引などを利用しやすくする方法を考えるポイント ・説明のしかたや読む場所はどうか?  ・グループチェックや階層化が必要かどうか? また、打ち合わせをした貴重な事柄の数々は、「処理票に詳しく記入してほしい」「目次を変更した場合はコピーを添えてほしい」「理由や根拠も書き添えて ほしい」との声もありました。 ◇「最終チェック」 「ブックトラック」って何?  編集が終了したデイジー図書は、「最終チェック」を経て完成となります。どんなものなの?何をしているの?に応えて、詳細をまとめました。なお、よく耳にする「ブックトラック」は、「最終チェック」 の“通称”です。 @ 編集が終了したデイジー図書は、原本などと共にBOXに入れ、最終チェック用ブック トラック(棚)に置かれます。 A 最終チェック用ブックトラックには、「順番待ちの棚」と「チェック中の棚」があります。 B チェック中のデイジー図書のBOXには、ブルーの「最終チェック表」というカードが立てられています。 C 最終チェック担当者は、「チェック項目」を基にチェックし、修正が必要な箇所があったら修正依頼をします。 D 修正依頼を受けた音声訳者・編集者は、「チェック中の棚」からBOXを取り出して修正。修正後は再び「チェック中の棚」にBOXを戻し、最終チェック担当者に修正済みの連絡をします。 E 担当者が再びチェックした後、デイジー図書は完成します。 ※「チェック項目」のプリントはブックトラック(棚)上段に置かれています。 ◇ 「校正はこれで良かったのか」など、校正表に関して心配になったことはありませんか?  最終チェック用ブックトラックに並べられているBOXの中には、ウェブ校正票以外の校正表が揃っています。ぜひ、担当した図書の足跡を、校正表でたどってみてください。次へのヒントがたくさんあると思い ます。なお、ウェブ校正票については、「ウェブスタジオ・なにわ」にログインし、トップページの「校正票一覧」をクリックし、校正を担当した図書を選択すると、校正票の修正状況を確認することができ ます。  ◇ デイジー編集者へお願い *最終チェック用ブックトラックに編集済みデイジー図書のBOXを並べる際、校正表の整理・ファイリングをお願いします。 *作業の迅速化を図るために、校正表をFAX送信して修正依頼した場合でも、最終的には音声訳者が修正済みのチェックを入れたピンク・黄色の校正表を、音声訳者からもらってください。 (『ろくおん通信 』編集委員会)     ★校正表から    昨年末の総選挙で、「日本」とつくさまざまな政党が誕生し、週刊新潮の記事にもこれらの政党の名前がよく出てきました。「にほん」か「にっぽん」かの確認をせずに読まれ、読者から間違いを指摘された ものもありました。インターネットなどで確認できますので必ず調査して読むようにしましょう。 ・“にほん”と読む政党 ・・・日本共産党 ・“にっぽん”と読む政党 ・・・減税日本 新党日本 たちあがれ日本  日本維新の会 日本未来の党   ◇ 語句 誤読 正しい読みの順 一夕 いちゆう いっせき 疾病 しつびょう しっぺい 客死 きゃくし かくし 備中 びちゅう びっちゅう 堅固 けんこ けんご 夭逝 ようせつ ようせい 新参者 しんさんしゃ しんざんもの 隣国 りんこく りんごく ★ 館からのお知らせ ◇ アンケートへの回答をお願いします  昨年末に、録音製作ボランティアの方を対象にアンケート用紙をお配りしました。まだ回答いただいていない方は、用紙にご記入の上、録音製作係までご提出ください。 ◇ 紙の校正表について  音声訳者の方にお願いします。紙の校正表(白、ピンク、黄)を用いて音を訂正したら、 校正表をお返しください。その際、コピーではなく原紙をお返しください。郵送に使用した切手は、後日お返しします。ご請求ください。 ◇ 講習会のご案内 お申し込み・お問い合わせは、 情報文化センター 録音製作係へ電話 06-6441-1017  FAX 06-6441-1027) ○ 2013年度 橋本勝利の「フォローアップ講座」   前期・後期(各6回)に分けて実施しますが、前・後期通しの申し込みも受け付けます。第2水曜日と第2金曜日(いずれも午後1時 〜 午後3時)の2コースあります。 日程:前期<水・金曜コース 4月10日(水)・12日(金〜9月11日(水)・13日(金>     後期<水・金曜コース 10月9日(水)・11日(金)〜2014年3月12日(水)・14日(金)> 内容:テキストを使用しての読みの勉強 講師:橋本勝利 氏 定員:12人(先着順)  費用:前期・後期各5,000円  前・後期通し8,000円(初回に納めていただきます) 会場:情報文化センター4階会議室 ○ 専門音訳講習会「デイジー編集コース」   近畿在住の音訳ボランティアを対象に、様々な音訳の依頼に応えられるよう、デイジー編集の知識と技術の講習を行います。 日程:3月21日(木)・3月22日(金)  *午前10時 〜 午後5時 内容:デイジー編集の基礎知識、編集技術(演習) 講師:当センター音訳ボランティア・職員 定員:15人 費用:1,000円(初回に納めていただきます) 会場:情報文化センター4階会議室 申込締切:2月19日(火)必着 選考試験:2月28日(木)午後1時30分 〜  ※ 試験内容:パソコン操作スキル(文書入力、ファイル・フォルダ操作)