日本ライトハウス情報文化センター        「ワンブックワンライフ」2015年2月号  <表紙イラスト:(武部はつ子画)>湯けむりあがる露天風呂。女性と頭にタオルを乗せたサルが肩までゆったりと浸かっている。岩影からクマやキツネが覗いて「ぼくらも入りたいな・・・」。一緒に入っていたリスが水面から突き出た岩にしがみついて「のぼせた〜」。   (目次) ◇掲示板 ◇センターのページ ・貸出サービスに「満足」か「まあまあ満足している」方は87% 「利用者アンケート」の結果と当館の回答 ・すべての人が尊重される社会の創造を目指して 日本ライトハウスの基本理念、倫理綱領、職員行動規範を制定 ◇報告のページ  ≪掲示板≫ ○3月19日はボランティア交流会にご参加を  今年度のボランティア友の会交流会は、盲ろうの梅木久代さんと手話通訳もされている好彦さんご夫妻の記念講演をはじめ、ボランティア活動歴30年・20年以上の方々への感謝状贈呈、バザーなどを行います。ぜひご参加ください。  日時 3月19日(木)午前10時〜午後3時  会場 玉水記念館(肥後橋駅8番出口すぐ)  会費 1,000円  10:00 感謝式典  10:30 記念講演:梅木久代さん、好彦さん  12:00 ボランティア友の会総会  12:15 昼食・歓談、梅木ご夫妻と交流、受賞者インタビュー 13:40 館より(岩井和彦元館長を偲んで)  14:00 バザー(物品の提供をお願いします)  参加申込は3階総務係(電話06-6441-0015)で受付中です。当日は全館休館になります。 ○お勧め!広瀬氏の新刊「知のバリアフリー」  国立民族学博物館の広瀬浩二郎氏、昨年日本ライトハウス展やバリアフリー映画会「天地明察」でご協力いただいた嶺重(みねしげ)慎氏、お二人の編著による「知のバリアフリー 〜『障害』で学びを拡げる」が出版されました。本書は2013年6月に開催された「京都大学バリアフリーシンポジウム」の報告をわかりやすいタッチでまとめたもの。これまで「健常者」を基準にして考えられてきた学問を、「障害」に視点をおいて、大学での障害者支援の実践例などをもとに、各分野で活躍中の13人が「障害を通じて学び合う」ことを考察、提案。視覚障害関係者のコラムも掲載。京都大学学術出版会発行、2,592円。当館サービス部(06-6441-0039)で販売中です。 ○アクセシブルな電子書籍をテーマに講演会  近畿視情協職員研修会「どうなる!電子書籍のアクセシビリティ〜だれにも使える『本』の実現をめざして」が2月19日(木)午後、大阪府立中央図書館で開催。専修大学教授植村八潮氏、日本電子出版協会理事岡山将史(のぶや)氏、府立中央図書館職員杉田正幸氏が講演。一般来聴歓迎。参加無料。参加申込は2月12日までに氏名と希望媒体をE-mail info@lnetk.jpの近畿視情協まで。 ≪センターのページ≫ 貸出サービスに「満足」か「まあまあ満足している」方は87% 「利用者アンケート」の結果と当館の回答  当館では昨年9月、「利用者アンケート」を行いました。これは、当館のサービス、特に今回は図書・情報サービスに対する利用者の方々の評価を知るために行ったもので、501人もの方から回答をいただきました。集計結果では、貸出サービスに「満足」か「まあまあ満足している」方が合計87%に達するなど、全般的に高い評価をいただきましたが、同時に「サービスを利用していないか、満足していない理由」「サービス全般に対する意見や要望」に対して、270件もの回答が寄せられました。当館では、特に具体的なご意見やご要望を重く受けとめ、検討を重ねた末、回答をまとめ、利用者にお伝えしました。その概要を皆さまにもご報告します。(館長 竹下 亘) 主なアンケートの内容と集計結果 1.回答者の年齢・性別 ※これは利用者の年齢・性別の実態とは異なります。 年 代 80代 9.8% 70代 30.5% 60代 33.4% 50代 13.6% 10〜40代 12.7% 性 別 男性 63.4% 女性 36.6% 2.サービス別の「利用度」  ※表はサービス種別、回答者数、A〜D(単位は%)の順 A=よく利用している、B=時々利用している、C=あまり利用していない、D=利用したことがない サービス種別 回答 A B C D 図書・雑誌を借りる 485人 42.7% 24.9% 19.4% 13%   対面リーディング   468人  1.5% 3.6% 6.4% 88.5% プライベート製作 427人 2.5% 9.4% 9.4% 78.7% 月刊情報誌『読書』 478人 73.6% 14.2% 4.3% 7.9% ※対面リーディングの利用者は来館可能な方、プライベート製作の対象者は大阪府在住・在勤・在学の方のため、利用者は限定されます。 3.サービス別の「満足度」 ※表はサービス種別、回答者数、A〜D(単位は%)の順 A=満足している、B=まあまあ満足している、C=普通、D=少し不満がある、E=満足していない サービス種別    回答  A B C D E 貸出サービス    381人 66% 21% 10% 2.2% 0.8%  対面リーディング   50人 40% 12% 16% 22% 10% プライベート製作   86人 45% 18% 16% 14% 7% 月刊情報誌『読書』  428人 48% 33% 17% 1.4% 0.2% 電話・来館時の対応  457人 68% 15% 15% 1.3% 0.2% 利用者のご意見・ご要望と、当館の回答  利用者のご意見の中で、最も重く受けとめ、反省したのは、職員の心構えと業務努力に関するものでした。具体的には、「電話応対が冷たいことがある・不勉強で機転が利かない」「自分の名前を名乗らない・声をかけてくれない」「説明が分かりにくい・職員によって言うことが違う」「貸出依頼した本が送られてこなかった・違う本が送られてきた」といったご指摘が20件近くありました。これらは職員の普段の心構えと努力により改めることが可能なものですので、今後、「利用者お一人お一人に心をこめて対応する」「職員から名乗る・声をかける」「丁寧で分かりやすい説明に努める」「迅速で正確な業務に努める」ことを徹底、励行することにしました。  また録音図書の中に「録音状態の悪いものがある」、プライベート製作の「完成が遅い」、対面リーディングにおいて「マナーの悪い対応をされた」といったご意見も10件近くありました。特にプライベート製作と対面リーディングについては、上の表の「満足度」の低さに関連するものと思われます。今後、職員も業務の見直しや改善に努めますが、ボランティアの皆さまも、より速く、より質の高い図書製作に努めるとともに、利用者の尊厳とプライバシーの尊重を心がけてくださるようにお願いいたします。  次に反省したのは、「プライベート製作サービスの利用方法が分からない」など、私どもの説明・広報が不十分なため、既に行っているサービスや規定を知らずに、書かれた要望が目立ったことです。当館では、「サービス案内」を製作し、すべての利用者に配付していますが、今後は色々なサービスを繰り返し紹介し、分かりやすい説明に努めていきたいと思います。  今回、最も多かったのは、色々なジャンルの本の製作の要望、あるいは個々に関心のあるジャンルの本の少なさへの不満でした。  現在、当館を含め全国の情報提供施設は、「サピエ図書館」を柱に、全国で大きな点字・録音図書館を形成することを目指し、製作の分担を進めています。その中で当館は、@まだ他施設・グループが製作していない本、A図・表などの処理が複雑で、製作が困難な本、B大阪に関する本、を中心に選書。点訳・録音合わせて400人余りのボランティアの皆さんに、年間約400タイトルの蔵書と約200タイトルのプライベート図書を製作していただいています。当館では、この方針の上で、できるだけ幅広いジャンルの本を提供していきたいと考えています。  最後に、ご要望の中には、当館の予算と職員数などの事情により、現時点では、どうしても対応が困難なものがありました。  たとえばサービス受付時間の延長や日曜開館等のご要望を多くいただきましたが、職員数が限られている上に増やすことができないため、開館日時を拡大すると、職員数の少ない時間帯や日が生じ、かえってサービス低下が避けられません。また「貸出の電話が月初めにつながりにくい」「新刊図書の予約待ちが多い」という声もいただきましたが、前者は職員と電話回線を増やす必要があり、後者は録音図書の複製をこれまで以上に増やす必要があるため、予算上から改善は困難です。こうしたご要望については、今後の課題として残すということで、ご了解いただくようお願いしました。  以上に挙げた利用者の声はごく一部で、当館のサービスに対するありがたい感謝のお言葉とともに、耳を傾けるべきご意見やご要望を多数いただきました。私どもはボランティアの方々のお力を借りて、少しでも利用者の方々のニーズに応えていきたいと思いますので、今後とも皆さまのご協力をお願い申し上げます。 「Plextalk Producer」発売〜当館をはじめ各地で講習会     読書障害者向け電子書籍の製作・普及に拍車 当館では、一ツ橋綜合財団のご助成を支えに全国の先頭に立って読書障害者向け電子書籍の製作・提供を行っていますが、この普及を大きく進めるソフトウェア「Plextalk Producer」がシナノケンシ株式会社より発売されました。  Plextalk Producerは、テキストデイジー、合成音声と肉声の両方を使ったマルチメディアデイジー、アクセシブルなEPUB(電子書籍の国際標準規格)をスムースに作ることができるソフトで、長く発売が待たれていました。  当館では、一ツ橋綜合財団の助成金を元に55ライセンスを購入し、関係職員とボランティア全員で活用するほか、全国の情報提供施設向け講習会(1月30日、玉水で開催)でも久保田部長が講師になり、全国への普及を進めていきます。 すべての人が尊重される社会の創造を目指して 日本ライトハウスの基本理念、倫理綱領、職員行動規範を制定  当法人では、橋本照夫理事長の就任を機に当法人の「基本理念」を改定し、それに基づいて「職員倫理綱領」、続いて「職員行動規範」の検討・制定を進めてきました。先頃、そのすべてが定まりましたので本誌でもご紹介します。当館の職員はこの理念・綱領・規範に立ち、絶えずわが身を振り返りながらより良いサービスと業務を目指していきますので、皆さまもご確認ください。(館長 竹下 亘) 日本ライトハウスの基本理念  社会福祉法人日本ライトハウスは、「創業100周年」に向けて事業を推進するにあたり、定款の定めに従い、使命(ミッション)と政策理念(ポリシー)を掲げ、その遵守につとめます。  1.社会の公器であることを自覚し、公正・健全・透明な事業活動を推進します。  日本ライトハウスは、利用者の方々を支援し、支援サービスを作り、それを提供するためにボランティアの方々や援助者の方々、地域の方々、行政機関や企業・団体の方々など多くの方々に支えられており、その方々に対する社会的責任を果たします。  2.信頼され、信任を得るサービスの充実をはかります。  日本ライトハウスは、視覚に障害がある方々への総合的な機関として、創業以来の伝統である“パイオニア精神”をもって果敢に問題解決にあたり、生活者原理に立った包括的なサービスの提供に努め、視覚に障害がある方々からの信頼を高め、社会の信認を得るよう努めます。  3.誠実で包容力のある温かいサービスの提供につとめます。  日本ライトハウスは、視覚に障害がある人が直面する「生きにくさ」に向き合い、誠実で包容力のある温かい福祉サービスを提供します。  4.時代や環境の変化に応じた組織づくりにつとめます。  日本ライトハウスは、多様化し、変化している経営環境に対応するために、経営の効率化を追求して事業の健全な成長を図るとともに、職員相互が独創性溢れる人間集団として「働きがい・生きがい」を実感できる職場環境を確立するとともに、次世代を担う人材育成につとめます。 日本ライトハウス職員倫理綱領  わたしたちは、すべての人がかけがえのない個人として尊重され、排除されることのない社会の創造(ソーシャルインクルージョン)を目指します。  わたしたちは、すべての人が主体者として周囲の環境と心地よい関係を保ち続けることができる包括的なサービスを提供します。  ここにわたしたちは、「日本ライトハウス職員倫理綱領」を定め、これを規範として遵守します。  ◆人権の尊重 わたしたちは、すべての人の尊厳や権利を尊重します。  ◆秘密の保持 わたしたちは、業務上知り得た情報を適切に管理し、プライバシーを守ります。  ◆説明責任 わたしたちは、プライバシーに配慮した、適切な情報開示・提供に努め、説明責任を果たします。  ◆社会関係の調整 わたしたちは、業務の遂行にあたり、関係機関・地域と連携・協働し、社会関係の調整に努めます。  ◆自己実現 わたしたちは、すべての人がその人らしい人生を実現できるよう、個人の価値観や生き方、自己決定を尊重します。  ◆業務遂行への責任 わたしたちは、自らの専門的知識・技術の向上に努め、常に最良の業務を実践します。 日本ライトハウス職員行動規範  「行動規範」は、「基本理念」と「職員倫理綱領」に基づき、職員が日常業務において従うべき行動を具体的に示したものです。紙数の都合上、詳細はホームページ(http://www.lighthouse.or.jp/mission.html) でご覧ください。 ≪報告のページ≫ ○火災時は北端か南東隅の非常口から避難を 1月16日に消防避難訓練を行いました。火災時は館内放送に従い、廊下北端の非常階段か、ビル南東隅の非常口から避難してください。南東の非常口では梯子を下りず、ベランダで救助を待つだけでも安全です。 ○サービス部に中山勝巳職員を採用  サービス部では、視覚障害者のパソコン利用支援業務担当として、中山勝巳職員を1月16日付で採用しました。5階と3階で勤務しますのでどうぞよろしくお願いいたします。 あゆみ 【1月】 5日 仕事始め 6日 ボランティア活動・サービス開始 7日 見学:韓国釜山大学生 8日 ボランティア友の会世話人会 10日 振替休館日(図書貸出以外は開室) 13日 見学:韓国チュンチョ東部教会 16日 消防避難訓練 17日 オープンデー(館内見学日) 20日 見学:文部科学省教科書課職員 24日 近点研設立40周年記念講演会(玉水) 29日 近畿視情協サービス委員会研修会、見学:日本盲人会連合点字図書館 30日 全視情協テキストデイジー研修会 予定 【2月】 14日 オープンデー(館内見学日、要予約) 19日 近畿視情協職員研修会(府立中央図) 27日 わろう座体験会「鍵泥棒のメソッド」 編集後記 京都北東、比叡山麓のわが家では元旦昼過ぎから、あれよあれよという間に雪が降り積もり、屋根の上は積雪40cmにも。ラオスから来日し、正月を拙宅で過ごしたチゴンさんは初体験で、「雪は食べられるのか?」と大喜び。ところが3日、落雪で庇が壊れ、私は雪下ろしを初体験することになり、へとへとに。聞けば、故郷山形県最上地方でも大雪。しかも水気が多くて重いため、除雪が大変だと。異常気象の背景にある環境汚染に、「雪やこんこ」と暢気に歌ってもいられません。(竹) =ONE(ワン) BOOK(ブツク) ONE(ワン) LIFE(ライフ) 2015年2月号= 発 行 社会福祉法人日本ライトハウス      情報文化センター(館長 竹下 亘) 住 所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp 表紙絵 武部はつ子 発行日 2015年2月1日 定 価 1部100円 年間購読料1,000円