ろくおん 通信 NO.193号 発行日 2012年8月1日発行 発行: 日本ライトハウス情報文化センター録音製作係 発行責任者  岡本 昇 〒550-0002 大阪市西区江戸堀1−13−2 電話 06-6441-1017(録音製作係直通)  http://www.iccb.jp/ ★聴いてわかる録音図書をつくる為に(第6回)  第二校正者は編集やデイジー校正の校正表をチェックしよう  久保洋子 録音図書の校正とは ・原本通り読まれているか ・原本の内容が正しく伝わる読みになっているか をチェックする作業です。    今回は第二(家庭録音の場合は第一)校正をする時、気をつけたいことを取り上げます。  音声訳者が読んだものを校正、訂正した後、編集、デイジー校正を経て作品が完成しますが、最初の校正がきちんとできていれば、後の作業はスムースに進み、でき上がりも音むらもなくきれいなものになります。最初の校正は、完成図書、利用者に思いをはせて、丁寧にしたいものです。  以下、注意点を挙げてみます。 1.誤読を挙げる。  これは校正の基本で原本の文章を間違って読んでいるとき指摘します。漢字、かななど文字の読み違いは勿論ですが、意味が違って聞こえるアクセントなどもこれに入ります。 2.文字を見ればわかるが、音にするとわからなくなる箇所の処理が不適切であれば挙げる。  原本を目で見てわかることが、利用者に100%正しく伝わるかチェックしてください。漢字の同音異義語、造語の処理、記号の処理、引用文、図・表・写真など様々なものがありますが、基本は目で見てわかるのと同じ情報がきちんと伝わるかどうかで判断してください。 3.階層のつけ方など利用に便利なように作られているかをチェックすること。  音声訳者は、階層についても編集者任せにするのではなく、はじめからきちんと考えて読み進むことが大切です。目次の項目の大小関係がはっきりしているか、セクションで飛んだ時、迷いがないように番号づけされているか、など疑問があれば1枚目を聞いた時に職員に相談してください。 4.校正をした後、編集者、デイジー校正者からどのような指摘があったか、作品完成までの校正表をチェックすること。  これは、これまであまり行われていませんでしたが、自分の校正で何が漏れていたか、気がつかなかったどんな点が挙げられていたか、是非チェックしてみてください。  チェックの方法としては ・完成品がブックトラック(最終チェック)に並んだとき、ピンク色(編集者)と黄色(デイジー校正者)の校正表をチェックする。 ・作品発表後は音声訳者別に綴じられている校正表をチェックする(どこにあるかは職員に聞いてください)。 これによって自分の校正力を高めることもでき、次からの校正に生かすことができると思います。   ★職員との打ち合わせ後に音声訳を開始してください  録音製作係 2012年6月より、新しく本を読む前に、必ず職員と「音声訳開始前に行う処理票」に基づいて処理の相談を行い「OK」が出てから読み始めていただくようにしています。  これは、スタジオ録音・自宅録音を含めた全ての方が対象ですが、厚労省委託図書や国会図書館関係などは除外します。  音声訳開始までの手順は以下のとおりです。 @次に読む原本の申し込みは遅くとも1ヶ月前までに ・原本は、早めに職員や世話役の方(自宅録音チーム)に申し込んでください。 ・職員が「音声訳原本予約表」に、受付日・音声訳者・音声訳開始予定日などを記入します。 A原本が決まったら ・職員との「打ち合せ日」を申し込みます。 ・「音声訳開始前に行う処理票」と「書誌カード」をクリアファイルに入れてお渡ししますので「打ち合わせ日」までに、原本全体に目を通し、「音声訳開始前に行う処理票」に必要事項を記入しておいてください。 B「打ち合わせ」が終わったら ・「打ち合わせ」終了後、「ウェブスタジオ・なにわ」に音声訳の依頼が届きます。 ・職員が「作品ボックス用のカード」と「校正ファイル用の背表紙」をクリアファイルにいれて個人ボックス(自宅録音の場合は自宅録音チーム用のボックス・右写真参照)に入れます。 C作品ボックスの作製 ・「作品ボックス」は自分で作製して、それぞれのチームの棚に置きます。 ・自宅録音チームの方は今まで職員が作品ボックスを作製していましたが、スタジオ録音と同様、音声訳者が作製します。  ※原本は2冊しかありません。スタジオ録音の場合は、モニターはコピーした方を使用し、2冊目の本は第二校正者が使用します。   ★「音声訳開始前に行う処理票」の記入説明   「書誌カード」を参考に、書名・副書名・音声訳者・モニター(スタジオ録音の場合のみ)まで、記入してください。第二校正者(自宅録音の場合は、第一校正者)は職員が記入します。 ・この本の音声訳完了は ○○○○年○月 の予定です。 <説明>音声訳者の「読み」が完了する年月を西暦で記入します。デイジー図書が完成する年月ではありません。サピエの着手情報には記入された完成予定年月を参考に、3、4ヶ月後を完成予定年月として入力します。完成が遅くなると全国の利用者から「いつ完成するのか」といった問い合わせが入ることがあります。 1.この本の種類を判断してください。  □ 1.小説などのようなものでほとんど聞いていくだけの本  □ 2.実用書的なもので場合よっては移動して聞くことがある本  □ 3.どちらかというと順次に聞くより必要なところを移動して聞く本 <説明>これは、デイジー図書の階層の処理をしていく時の基礎になります。1.の小説などは階層化して読まないとわからないといったケースはほとんどありませんが、2.3.の場合はいろいろな目次があり、どのようにわかりやすく処理していくかを考えます。 2.利用に合わせた作り方 @目次の処理 ※ 数字などを振った目次をコピーして添付してください。  □・目次無し  □・目次通り   □・階層化して読む □・一部階層化して読む <説明>処理の相談で一番時間がかかるところです。職員は、予め原本に全て目を通すことはできませんので、目次の項目と本文の項目を注意深く確認してください。目次にない項目があるか、ないか。ある場合の読み方はどうするかなどを職員との「打ち合わせ」で決めていきます。音声訳者の事前の下調べが重要です。編集者から指摘されて、項目の読み方を変えるということのないようにしましょう。  目次に数字などをつけて階層化して読む場合は、数字などを付記した目次をコピーして、「音声訳開始前に行う処理票」に添付してください。 A目次にある項目以外に本文中に項目があるか □ ない  □ ある [目次はレベル(階層)は(   )、本文はレベル(  )まで] <説明>目次にない小項目をどう読むか(項目番号をつけるかつけないか、頁数をつけるかなど)、目次がない本でも本文中にある項目をどう処理するかなどを検討します。次号へつづく ★編集のひろば 音声訳開始前の打ち合わせは、完成品のイメージを膨らませて・・・ 全部読み上がったものを編集するのが編集者の仕事ですが、録音が完了してからの修正依頼はとても勇気のいることです。そのままで何とかできないかと、編集者はあれこれ考えてはみるものの、そのアイデアにも限界があり、やむなく大幅な手直し、読み替えをお願いするというケースも多々ありました。それがこの 6月から始まった事前打ち合わせで一挙に解決するのでは?と、編集者の期待も膨らんでいます。更に使いやすい、聴きやすいデイジー図書を考えていけそうな気がしています。 さて前回「ご質問の多い項目から」ということで、デイジー図書凡例について考えてみました。 次は「目次」をというところなのですが、今回はちょっとブレイクタイム、最近の編集者事情に触れてみたいと思います。(お願いばかりですが・・・) 必ず、音訳データのアップをお願いします 編集者は、「ウェブスタジオ・なにわ」にアップされた最終データをダウンロードして編集にとりかかります。 アップされていないと編集を始められない、あるいは編集での修正ができないということになります。アップの必要なデータは、@1回目の音訳データ、Aウェブ校正票を元に修正した音訳データ、B紙の校正表(白・ピンク・黄色)で修正した音訳データ、C別録音した修正データや枠アナです。 アップ(送信)の方法 @は、[新規音訳データを送信する] Aは、[修正済音訳データを送信する] BCは、[新規音訳データを送信する]の画面で「製作範囲外」の□にチェックを入れ送信 ※送信時は[書名]の確認を、送信後は[音訳データ一覧を参照する]での確認をお願いします。 ※何らかの事情で「ウェブスタジオ・なにわ」が使えない音声訳者の方は、CDに保存して録音製作係に送付してください。  また、修正を完了されたのに編集者が気づかないということもあります。6階の各自の棚に連絡票を入れる、ウェブ連絡票送信、電話で録音製作係に連絡、直接伝えるなど、ご一報をお願いします。  そして、「ここは編集処理でお願い」とか 「編集でなんとかならないか?」などなどもぜひご提案、ご相談ください。なお、デイジー校正(黄色い校正表)での修正完了も編集者にご連絡ください。 ◆編集者・デイジー校正者へお知らせ◆ *お手元の『PRS Pro』の再度のバージョンアップをお願いします(4月にバージョンアップした分) 方法やCDキーがわからない場合は職員にお尋ねください。 *編集及びデイジー校正に取りかかる前には、必ず「音声訳開始前に行う処理」の内容をご確認ください。 わかり難いことや編集上問題ありでは?と思われるようなことは職員にご相談ください。 *リムーバブルハードディスクドライブでの編集作業は、データ損失の恐れもあるというお話がありました。 各自リムーバブルハードディスクから6階のパソコンにデータを移して作業される場合、作業後は再びリムーバブルハードディスクに戻 し、パソコン上のデータは必ず削除をお願いします(パソコン内にたくさんのデータが残されていると、トラブルの原因になる可能性があります)。 (『ろくおん通信』編集委員会) ★きれいに録音する技術 (7)  繋いだ箇所・訂正の前後に「カチッ」という音が入る 〜パソコン操作時の不注意による雑音〜  家庭録音で、後追いで繋いでいく頭の部分や訂正箇所の頭に、あるいは「はじめ」と「おわり」に「カチッ」という雑音が入ることがあります。原因は、キーボードを押した時や離す時に出る音を操作ミスからマイクが拾うからです。スタジオ録音の場合でも入ることがあります。これを防ぐ方法は、以下の通りです。 『Recdia』での後追い録音や訂正作業の手順 ・家庭録音の場合  @訂正箇所の前でプレイボタン(キーボード「D」キー)を押したまま再生する  A録音する箇所にきたら録音ボタン(「F」キー)を押す  B押し込んだ2本の指(「D」キーと「F」キー)を離す時は、声を出し始めてからゆっくりと離す つまり、声を出し始めてから指を離すことで「カチッ」という雑音を目立たなくするわけです。頭に「カチッ」という音が入る人は、録音箇所にきたら録音ボタンを押して、すぐに離してしまう為、離した時に出る「カチッ」という音が録音されてしまうのです。また、キーに触るときに音が出るキーボードは、録音を停止する時にも「タッチ音」が録音されてしまいます。ソフトタッチを心がけ、音を立てないよう操作してください。    <注意> プレイボタン(「D」キー)を押したままにせず、録音箇所にきたら再度プレイボタン(「D」キー)と録音ボタン(「F」キー)の両方を同時に押す人がいますが、少しでもタイミングがずれると録音できませんので、必ずプレイボタン(「D」キー)は押したままにして、録音ボタン(「F」キー)を押すようにしてください。 ・スタジオ録音の場合  @上記と同様  A必ず切り換えスイッチを「OFF」にしてから録音ボタンを押す  スタジオでは中と外で話をする時に、切り換えスイッチを「ON」にします。後追い録音や訂正作業の操作で、切り換えスイッチを「OFF」にする前に、録音ボタンを押すと、キーボードを離すときに出る「カチッ」という音がモニター者のヘッドホンマイクを通して中のスピーカーに流れ、その音をマイクが拾ってしまいます。切り換えスイッチは、必ず、録音ボタンを押す前に「OFF」にしてください。 ★Q&Aコーナー Q 『PRS Pro』のバージョンアップの方法を教えてください。 A ダウンロードしたけれどバージョンアップがうまくいかないというケースがありました。失敗の多くは、バージョンアップのデータを間違ってダウンロードしていることです。以下、手順を紹介します。 @インターネットで http://www.plextalk.com/jp/download/software.html でプレクストーク/ダウンロード画面にいきます。 A「 PRS Proアップグレード専用インストーラ NEW バージョン 2.05.02.00」を選択してダウンロードしてください。  但し、以下のような注意書きがあります。 『(注意) Ver.2.05.02.00の対応OSは、Windows XP(SP3)、Vista、7のみです。 Windows 98SE、Me、2000、Windows XP(SP3を適用していないもの)では正常に動作しません。』 ※ ご自分のパソコンのOSを確認してからバージョンアップをしてください。OSは、『スタート』ボタン → 『コントロールパネル』 → 『システム』で確認できます。不明な点は職員にお尋ねください。 ★ヴィオラのひとりごと  ‘知床’ へ行ってきました ! 6月24日、中標津空港に着くと気温12度。「寒い!」。ここからレンタカーで「ウトロ」へ向かいます。 私は車に乗るとき、後部座席の足下に寝るのですが、「狭い!」。座るのも無理なくらいです。 「ヴィオラ太ったか?」と失礼なことを言うお父ちゃんをにらんでいると、「大きい車に乗り換えますか?」と店員さん。お陰様で快適になりました。 翌日は「ウトロ」から船に乗って、知床岬へ。往復3時間の船旅の後、知床五湖の高架木道を歩きました。蝦夷鹿さんと初対面!「大きくて怖い!」。 3日目は「フレペの滝」の遊歩道を歩くはずが、くまさんがいると怖いので「知床自然センター」の事務所でお昼寝。職員さんはみんな優しくしてくれました!ありがとう!  去年札幌に行ったときと同じく、ホテルやレストランで私を歓迎してくれました。北海道は盲導犬のことをよく理解されていますね! 「北海道盲導犬協会さん、啓発活動ありがとう!」        ★ 講習会のご案内 1.2012年度 音訳講座「音訳初心者講習会」(第2期)のご案内  内容は1期と同じです。受講をご希望の方は、録音製作係までお申込みください(先着順)。  講習会は下記の日程で行われます。毎週の月曜日ではありませんのでご注意ください。  日程:   10月1日/10月22日/10月29日/11月19日/11月26日/12月3日/1月21日/1月28日/2月4日/2月25日 (全10回)  時間: 午後1時〜3時  費用: 3,000円(初回に納めていただきます)  講師: 安田知博(情報文化センター)  定員:   15人  会場:  情報文化センター4階会議室  申込方法:申込用紙に記入の上、郵送(Fax 06-6441-1027も可)またはご持参ください。   メールでも受け付けます。→ rec@iccb.jp 2.2012年度 音訳講座 安田知博の「読み方勉強会」(後期)   内容は1期と同じです。受講をご希望の方は、録音製作係までお申込みください(先着順)。  日程:  10月1日/10月22日/10月29日/11月19日/11月26日/12月3日/1月21日/1月28日/2月4日/2月25日 (全10回)  時間:  月曜日、午後3時〜4時30分  費用:  5,000円(初回に納めていただきます)  対象:  音声訳基礎講習会、初心者講習会の受講者および現在音声訳の活動をされている方  内容:   読みの実践練習。個人レッスンと意見交換を組み合わせて進行します  定員: 15人  会場: 情報文化センター4階会議室  申込方法:申込用紙に記入の上、郵送(Fax 06-6441-1027も可)またはご持参ください。     メールでも受け付けます。 → rec@iccb.jp 3.2012年度 橋本勝利の『フォローアップ講座』(後期講座)   橋本勝利さんによる、現在活動中の音声訳者を対象にした「フォローアップ講座(後期)」 (全6回)を実施します。この講座は、音声訳活動中の方の技術アップを図る講座です。 日程は、2コース(第2水曜日と第2金曜日の午後)あります。先着順に受付、事前試験はは行いません。定員になり次第締め切らせていただきます。   *申し込みは情報文化センター 録音製作係へ(電話 06-6441-1017 Fax 06-6441-1027) <実施要項> 時 期:水曜日コース:2012年10月10日 〜 2013年3月13日(全6回)  金曜日コース:2012年10月12日 〜 2013年3月8日(全6回)      ※ いずれも 13:00〜15:00 内 容:テキストを使用しての読みの勉強 講 師:橋本勝利 氏 定 員:12人 費 用:5,000円(初回に納めていただきます)      ※ 途中で講習を辞退されても返金はできません。 ★館からのお知らせ 1.録音製作係夏季休暇のお知らせ  8月12日(日)〜20日(月)まで  8月の休館及び活動休止日は、以下のとおりです。ボランティア活動の休止につきましては、8階の点字製作係とあわせて実施します。これは、電力供給不足への節電対応のため行うものです。 ご理解とご協力をお願いいたします。  全館休館:8月14日(火)〜16日(木)     ボランティア活動休止:8月17日(金)・18日(土) 2.“ウェブスタジオ・なにわ”の停止について   データ保存容量追加工事のため、夏季休館にあわせて“ウェブスタジオ・なにわ”を停止します。停止中は、データや校正表の送受信などすべての機能が使用できません。ご不便をおかけしますが、ご了承いただきますようお願いいたします。  停止期間(予定) 8月10日(金)13時〜18日(土)10時 3.「ゆう」への連絡は「連絡票」をお使いください   「青年の自立支援センターゆう」は、『ろくおん通信 No.191号』で紹介させていただきましたが、情報文化センターの蔵書やプライベート依頼図書などの編集をお願いしています。 「ゆう」の編集者から枠アナなどの訂正依頼があり、枠アナや訂正データをアップした場合、「ウェブスタジオ・なにわ」の「連絡票」を使って「ゆう」宛に連絡を入れるようにしてください。   4.校正済みの原本は職員にご返却ください  第二校正(自宅録音は第一校正)が終了したら、原本は職員にお返しください。職員は、校正記録カードに完了日を記録し、原本を編集依頼棚に置きます。これにより、編集依頼をこれまでより早く出すことができます。 ★以上で『ろくおん通信』No.193号(2012年8月1日発行)を終わり