ろくおん 通信 No.206号 発行日:2014年10月1日 発行:日本ライトハウス情報文化センター 録音製作係 発行責任者:竹下 亘  〒550-0002 大阪市西区江戸堀1−13−2  電話 06-6441-1017(録音製作係直通)  http://www.iccb.jp/ 主な見出し ★聴いてわかる録音図書をつくるために(第19回) ★きれいに録音する技術(16) ★編集のひろば ★Q&Aコーナー ★第44回朗読録音奉仕者表彰で久保さんが文科大臣賞、高梨さんが全国表彰 ★館からのお知らせ ★カリムのマイブーム 主な見出し、終わり。 ★ 聴いてわかる録音図書をつくるために(第19回) 訂正作業で大切なことは  久保洋子  今回は校正表を受け取った後の訂正作業について考えてみます。  本題に入る前に、録音図書製作の基本を確認しておきたいと思います。  音訳者は、原本の下読みをして、十分な調査をします。人名、地名、難読漢字、外国語などと共に、アクセントも十分調査することが基本です。他に図・表・写真などを、どこに挿入するか、どのような説明をするかも考えて、十分な準備をした上で読み始めます。  一方、校正者は読まれたものを聞いて、誤読、文意が伝わり難い点を指摘します。  校正表を受け取った音訳者は、指摘に沿って訂正します。  訂正作業で一番大切なことは、指摘された事項を十分納得して訂正することです。人間同士のすることですから、音訳者も校正者もお互いに見解の相違、感覚の違いなどを完全に避けることは不可能です。納得のいかない点については、校正者と話し合えばいいのですが、それができない時には、職員に相談するなど、第三者の意見も聞いてみてください。  納得して訂正されたら、必ず前後を通して、聴いてみてください。誤読はないか、音量、間(ま)など、不自然な点はないか、慎重に聞いてみてください。  もう一つ、更にアクセントについて考えてみたいと思います。これまでの私の書き方が、いろいろ誤解を生んでいるようで大変申し訳なく思います。  録音図書は、全国どこの利用者も快適に聞けるように、日本語アクセント辞典に沿って、正しい共通語のアクセントで読むことが求められます。  ただ、何十年も大阪弁の中で暮らしてきたボランティアが、初めから正しいアクセントで読むのは、なかなか大変なことです。音訳を始めて一年から二年の間は、アクセント辞典を引いて調べても、全部正しくとはなかなかいきません。  この一年から二年の間は、校正表にあがったアクセントを全部直しても、今度はあがっていなかった別の語のアクセントが違ってしまうこともあり、何よりつぎはぎの音になってしまいます。こんな時は、内容が正しく伝わるかどうかで判断したらいいと思います。初心者が読んだものについては、この判断を校正者にしていただきたいと思います。  校正者は誤りをすべて上げるのが原則ですから、一般的には、訂正についての判断は音訳者がすることになります。  何回も書きましたが、音訳者も校正者も目的は一つ、利用者にいい録音図書をできるだけ早く提供することです。共同作業を楽しくできるよう、皆で力を合わせていきたいと願っています。 ★きれいに録音する技術(16)  自宅で録音する際のノイズと反響音対策(1)  録音製作係 岡本 昇  録音時に注意しなくてはならないのがノイズ(雑音)と反響音です。ノイズには、「電気ノイズ」と「環境ノイズ」がありますが、今回は電気ノイズについて解説します。  電気ノイズは、マイク、オーディオキャプチャー、パソコンを接続するケーブルや機器そのものから発生するノイズです。実際に音が鳴らないため、録音した音を再生して初めて気づくことになります。「ジージー」「ザーザー」「パチパチ」「プツプツ」のような音の多くが電気ノイズです。発生原因と対処方法は以下になります。  @家電機器や配線の接続不良   ケーブルが完全に差し込まれているかを確認します。差し込みし直した際は、念のためパソコンを再起動してください。  Aケーブルの配置   マイクケーブルと他のケーブルを一緒に束ねていると、ノイズが発生します。また、マイクケーブルを丸くコイル状に束ねると、アンテナと同じような働きをして、空中の電波からノイズを集めることがあります。  B家電機器からのノイズ   録音機材(パソコン、オーディオキャプチャー、マイク)が、エアコン(室外機)や冷蔵庫などに近い場合や、電気毛布や電気膝掛けなど電熱ヒーターの近く、また、無線LANルーターや携帯電話(スマートフォン・タブレット)など電波を発する機器の近くでも、ノイズが発生することがあります。これらのノイズの特徴は、ノイズが持続せず、いつ発生するかわからないことです。できるだけ機器から遠ざけるのが最も有効な対策です。携帯電話やスマートフォンは、マナーモードでも電波を出します。電源を切るか、機内モードに切り替えると、電波は出ません。  Cマイクの電池切れ   乾電池を使用するマイクは、定期的に電池交換が必要です。使用頻度や機種により異なりますが、約1年が交換の目安です。電池の消耗が進むと、録音した音に「ザーザー」「ゴーゴー」というノイズが入ります。マイクの電源スイッチを「OFF」にすると、ノイズがなくなり、「ON」にすると発生する場合は、すぐに電池を交換してください。交換は、充電可能なニッケル水素電池などではなく、使い切りのアルカリ乾電池などにしてください。  (次回へ続く) ★編集のひろば  「ウェブスタジオ・なにわ」こんな便利な機能もあります!  今回は、あまり利用されていない『下調べ票』のご紹介です。また、最もご質問の多い『修正データの送信』の方法についてもまとめてみました。    ◆下調べ票 『下調べ票』とは、ウェブスタジオ・なにわでやり取りできる調査表のことです。音訳者が作成した下調べ票は、その図書担当の校正者も編集者も見ることができ、更に、新たな調査結果を順次追加できるというとても便利な機能なのですが、ほとんど使われていないのが現状のようです。以下の手順を参考に、体験してみませんか?  【音訳者の場合】  @トップページのメニューから『下調べ票』ボタンをクリックし、「下調べ票一覧」ページに移動。メニューボタンのすぐ下にある[新規下調べ票作成]をクリック  A『下調べ行追加』ボタンをクリックし、「下調べ票編集画面」に調査結果を入力し、『OK』ボタンをクリック  B順次行を追加していき、全部入力し終わったら、『下調べ票送信』ボタンをクリック   ※調査がつかない語句については「下調べ票編集画面」の『状態』欄を「調査依頼」にしておく   ※何度でも追記が可能なので、作成したらその都度アップする  【校正者の場合】  @音訳者の作成した『下調べ票』が送信されると、校正者のウェブスタジオ・なにわのトップページにメッセージが届く  Aメッセージをクリック、またはメニューボタンの『下調べ票』をクリック  B「下調べ票」の画面が表示されるので、各行をクリックし内容を確認する  C『状態』が「調査依頼」になっていたら、『下調べ行編集』ボタンをクリックし、調査して結果を入力。『状態』欄を「調査結果」に変更し、『OK』ボタンをクリック  D追加したい語句があれば、『下調べ行追加』ボタンをクリックし調査結果を入力して『OK』ボタンをクリック   ※新たな調査結果を入力した場合は『下調べ票送信』ボタンをクリック   ※見るだけの場合は、何もしないで閉じる  ◆修正データ送信の方法  @ウェブ校正票をダウンロードして修正録音した音訳データの場合 ⇒[修正済音訳データを送信する]で送信 〔ポイント〕 『表示する製作図書』を間違わないように!  A紙の校正表(白・ピンク・黄色)を基に修正録音した音訳データの場合 ⇒[新規音訳データを送信する]の画面で『製作範囲外』の□にチェックを入れ送信 〔ポイント〕 ファイル名を「訂正1○○○」などのように変更して送信します B枠アナや、訂正のみの音訳データの場合 ⇒[新規音訳データを送信する]の画面で『製作範囲外』の□にチェックを入れ送信   ※最終音訳データアップの際には、『製作範囲完了』の□に必ずチェックを入れる   (チェックを入れ忘れた場合は、メニューボタンの『音訳データ送信』から[音訳データ送信一覧を参照する]をクリックし、最終ファイルの欄の『詳細』ボタンをクリックし、『製作範囲完了』の□にチェックを入れる)  ★手順がわからない場合は、職員にご連絡ください。 ★Q&Aコーナー  今回はよく寄せられる質問をQとAでご紹介します。  不明な点がありましたら、職員までお尋ねください。 Q1.蔵書を読み終え、訂正が終了し、編集へまわっていると思っていたのですが、まだ編集者が決まっていないようです。どうなっていますか。  A.訂正が終了したら、職員に必ずご連絡ください。家庭録音の方はお電話で、来館で録音されている方は、ボックスを職員にお渡しください。 Q2.ウェブスタジオ・なにわの「連絡票」にシステムアカウントから、「製作状況変更のお知らせ」が入っていました。これは何ですか。  A.「製作状況変更のお知らせ」と「製作情報削除のお知らせ」は、製作が終了しウェブスタジオ・なにわからデータを削除した時に送られます。その他、ご不明な点は職員までお問い合わせください。 Q3.蔵書の録音が終了し、データをウェブスタジオにアップしたのですが、どこにチェックを入れたらいいですか。  A.1冊読み終えた最終データをアップするときに、製作範囲完了にチェックを入れてください。 Q4.編集者から紙の校正用紙が届き、訂正作業をしてデータアップしましたが、編集者から何も連絡がありません。  A.編集者に、訂正した後の校正用紙をお返しください。校正用紙がないと、修正した内容が確認できません。郵送代がかかった場合は、職員までお知らせください。 Q5.校正が終わったのですが、原本はどうしたらいいですか。  A.原本は職員にお返しください。特に音訳者が家庭録音の方の場合、校正者の原本が戻らないと、編集者にまわすことができません。  *この他にも疑問やろくおん通信に掲載して欲しいことがありましたら、ろくおん通信編集会議の担当者か職員までお知らせください。 ★第44回朗読録音奉仕者表彰で久保さんが文科大臣賞、高梨さんが全国表彰  公益財団法人鉄道弘済会主催の第44回朗読録音奉仕者表彰で、久保洋子さんが文部科学大臣表彰、高梨智子さんが全国表彰を受賞。9月26日、東京の弘済会館で、来賓や関係者、利用者代表など70人が参列する中、贈呈式が行われました。  文部科学大臣賞は全国表彰の受賞経験者から選ばれるもので、久保さんは2002年の全国表彰受賞後も継続して「専門分野の録音図書の普及・充実を図り、視覚障害者の教育環境の充実に」尽くして来られたことが顕彰されました。  また、全国表彰は全国8地区の地区表彰の受賞経験者から選ばれるもの。今回の受賞者7人の中に選ばれた高梨さんは31年にわたり、専門書を含め184タイトル(1,786時間)の録音をされた実績と、聴きやすい音訳が高く評価されました。  式後の懇談会で、久保さんは「録音作業は一人でできるものではありません。いろいろな方々のお力を借りて、協同作業で一つのものを作る喜びは主婦では到底味わえないものです。去年から教科書の音訳((当館の文科省委託・音訳教材研究事業))も始めており、これからも勉強をしながら、この“お遊び”を続けていきたいと思っています」と話されました。  また、高梨さんは「機械音痴のアナログ人 間ですが、本当に多くの皆さんに助けていただいたおかげで今日まで来られました。今も館に通い、皆さんと学生のように話し合ったり、教えてもらったりする楽しみを味わえるのが幸せです。これからは年の功で、若い方々のためにお役に立てれば嬉しいと思います」と語られました。  当館では最近毎年、全国表彰や文科大臣賞の受賞が相次ぎ、しかも当館のように1施設から2人も受賞しているところはほとんどありません。それだけでも鼻が高いことですが、贈呈式で披露されたお二人の音訳録音のサンプルも非常にレベルの高いもので、参列した私もとても誇らしく思いました。  この度の受賞はお二人にとってだけでなく、当館の録音製作係のボランティア全員にとっての誉れですので、共に喜びを分かち合いたいと思います。(館長 竹下 亘)  過去10年間における当館の全国表彰の受賞者は以下の方々です。  2009年=河野晃愛さん  2010年=大林緑さん  2011年=佐久間かず子さん(2012年に文科大臣賞)  2012年=田主子さん(2013年に文科大臣賞) ★館からのお知らせ  ◇10月・11月の休室日について   10月11日(土)、11月22日(土)は、振替休日のため、休室します。  ◇スタジオをきれいに使いましょう!   最近、スタジオに忘れ物がある、マグカップやペットボトルが置きっぱなし、消しゴムのかすや付箋が散らばったまま……ということがあります。次の方が気持ちよく使えるよう、録音終了後はスタジオ内を見回し、少し片づけてからお帰りください。皆さまのご協力をお願いいたします。  ◇ウェブスタジオ・なにわを使って校正しませんか   紙の校正票を使われている方で、ウェブスタジオ・なにわの校正票を使ってみたいと思われる方は、職員にご連絡ください。  ◇ 名札着用のお願い   館内で活動される際には、名札の着用をお願いします。名札のない方は、職員までお申し出ください。 ★カリムのお父ちゃんより  最近ぼくは、角(つの)にはまっております!何の角かというと、蝦夷鹿の角なんです!それを晩ご飯の後に1時間くらい、噛み噛みするのがマイブームなんです!  お父ちゃんが訓練所から買ってきてくれて、「めちゃめちゃ堅いで!噛めるかな?」と挑戦的なことを言うんです。「こんなん3分で粉々や!」と思いっきり噛んだら、歯が折れるかというくらい堅かった!作戦を変更して、噛み砕くのではなく、端から削っていくことにしたら、いい感じで噛めました!顎がだるい!  お父ちゃん!次は水牛の角をお願いします!