日本ライトハウス情報文化センター        「ワンブックワンライフ」2015年5月号  <表紙イラスト:(武部はつ子画)>竹藪の中。男の子が大きなタケノコをズボッと掘り起こした。そばにいたおじさんも「おお、BIGじゃ・・・」。男の子を後ろから支えていた犬も「わっ、すごいねっ」。土の中からサングラスをかけたもぐらも口ずさむ。   (目次) ◇掲示板 ◇センターのページ ・サービスと製作の両面から、事業の強化・発展を図ります 情報文化センター・2015年度事業計画のご紹介  ・【千賀子のわくわく遊び隊】 さわって楽しむ生け花〜むらさきつゆくさの会 ◇報告のページ  ≪掲示板≫ ○ボランティア友の会主催のワークショップ「視覚障害体験で見えること」にご参加を!  毎年恒例になっているボランティア友の会主催のガイド体験会の内容をリニューアルし、見えない方、見えにくい方々と接するポイントを学びます。視覚障害の方と接するための基本を学んだ後、実際に視覚以外の感覚を使っていくつかの体験やコミュニケーション法を学びます。そこから見えてくるものは? ぜひご参加ください。(今回は館外の歩行体験はありません。)  日時 6月4日(木)13時〜16時  場所 当館4階会議室  定員 20人(先着順)  申込 3階総務係(電話06-6441-0015)  申込締切 5月30日(土) ○企業・団体職員向けオープンデーを開催 当館では、企業や公共団体の方に、視覚障害のお客様へのサービスやサポートのポイントを理解していただくためのワークショップを企画。第1回を5月29日(金)14時〜16時、当館4階で開催します。参加無料。定員10人(先着順)。お問い合わせは電話06-6441-0015の当館総務係へ。 ○世界点字作文コンクール・サポート賞募集  点字毎日主催の第13回オンキヨー世界点字作文コンクールでは、ボランティアを含め「家庭、学校、職場、地域で視覚障害者と接する方」を対象にしたサポート賞の作品も募集しています。テーマは、点字を通して「生き方が変わった」「心豊かな生活につながった」など幅広い体験やエピソードなど。優秀賞と佳作各1編に賞金とミニコンポが贈られます。詳しくは応募要項を、当館3階カウンターか点字毎日「作文コンクール係」(電話06-6346-8386)でご覧ください。 ○楊(よう)雪元(せつげん)、踊(よう)正太郎(しょうたろう)、北山眞路子(まちこ)さんが共演  当館となじみの深い視覚障害音楽家、中国笛とテノールの楊雪元さんと、シャンソンの北山眞路子さん、そして津軽三味線で日本一に輝き、全国で活躍する踊正太郎さんが共演するコンサートが6月13日(土)15時30分から大阪市西区の玉水記念館3階中ホールで開かれます。入場料前売2,500円(当日3,000円)、ペア3,000円(前売のみ)。問い合わせは主催者の視覚障害者支援総合センター(電話03-5310-5051)まで。 ≪センターのページ≫ サービスと製作の両面から、事業の強化・発展を図ります 情報文化センター・2015年度事業計画のご紹介  当館はサービス部、製作部、総務部の3部門から成り、メディア製作センターも加えて合計約45人の職員が勤務しています。今年度の事業計画では、特にサービス部と製作部で新たな目標を立て、事業を進めていくことにしました。ぜひご理解とご支援をお願いいたします。(館長 竹下 亘) サービス部=職員増員・相談対応を強化  サービス部は、本館5階のサービスフロア(用具・機器係)と、別館(アルテビル9階、図書・情報係)に分かれ、合計17人の職員が連携を密に取りながら、サービスを行っています。  この内、サービスフロアでは、用具や機器の紹介・販売・講習等を行う一方、視覚障害に関する種々のご相談に応じています。近年、眼科や福祉事務所等で当館を紹介していただくケースが増えており、相談内容は用具や機器の選択はもちろん、手帳の制度や就労継続に関するご相談、各種支援団体や趣味のグループ探しなど多岐にわたります。そこで、今年度からサービスフロアの職員を増員し、こうした相談への対応にさらに力を注ぐことにしました。  また、これに合わせて、サービスフロアを大幅に模様替えしました。これまで3階に勤務していたパソコン設定担当職員の席を5階に移し、5階にあった書庫を3階に移設しました。用具・機器係の全職員と図書・情報係の対面リーディング等担当職員が5階に勢揃いし、これまで以上に迅速・円滑なサービス提供を目指します。  なお、これまで製作部に属し、点字製作係と同じ8階で業務を行っていた整理・情報係(原本の受入や点字・録音図書の装備、サピエへの登録等を担当)をサービス部の図書・情報係に組み入れ、別館に移動しました。書誌情報作りから図書貸出までの一貫した流れを整え、図書貸出サービスと業務の円滑化を図ります。  今後も、一人でも多くの視覚障害者の方が当館のサービスを利用し、楽しく、豊かな生活を実現されることを目指し、サービス提供に励んで参ります。   (サービス部長 岡田 弥) 製作部=専門音訳と電子書籍の融合を  当館が製作・提供している情報は、基本となる点字・音声デイジー図書をはじめ、教科書、選挙公報、政府刊行物、映画やテレビ番組の音声解説、シネマ・デイジーなど実に多種です。デジタル化社会に伴い、利用者のニーズは年々多様化しており、製作部でも多くのボランティアの方々の協力を得ながら新しい技術の研究・導入に努め、全国の関係施設を牽引してきました。  一方、当館には長年にわたって培ってきた専門点訳、専門音訳の知識と技術が財産として蓄積されています。図・表・写真・グラフなどの視覚的資料や、教科書、学術文献図書などの専門的な資料を点訳、音訳する専門技術は、IT機器や合成音声の発達の陰で、ともすると影が薄くなりつつありますが、視覚障害児・者への情報保障において欠くことのできないものです。  そこで、製作部では、新しい情報技術の研究とともに、“人”でなければ成しえない専門技術を広め、継承していくことが当館の重要な責務だと考え、本年度から3ヶ年を目標に、音訳者による専門音訳の技術と、最先端の電子書籍の技術を融合させ、質の高い音声情報を、効率よく提供できる仕組みを作っていきます。 当館が新しい試みに挑戦し続けられるのも、多くのボランティアの方々のご理解とご協力があればこそ、です。今年度も、どうか私たちにお力をお貸しください。(製作部部長 久保田文) 【千賀子のわくわく遊び隊】 さわって楽しむ生け花〜むらさきつゆくさの会  1994年6月に視覚障害者のための生け花講座が始まり、現在14人の受講者が楽しんでおられます。「むらさきつゆくさの会」は、大阪市北区の未生流中山文甫会で月1回2時間程度、副会長の中山高昌さん、山野一甫(いっぽ)さんのご指導の下、大阪YWCAのボランティアさんが講座の運営、さらに駅からの送迎、受講生の生け込みのサポートをなさっています。開講以来、20年以上も続く生け花の魅力とは?出会ったことがない花をどのように感じ、どんなふうにイメージを描いて生け花を楽しまれているのでしょうか。お話を伺ってきました。(総務係 加治川千賀子) そっと触れ、花との対話を楽しむ  鋏を入れる度に、水の粒子を含んだ香りが弾けているのでしょうか。室内に足を踏み入れると瑞々しい香りに迎えられました。受講生にガイドやボランティアも合わせると30人近く。準備が整った会場はすでに熱気に溢れていました。  お花は3種類。リアトリス、バラ、孔雀草。花器の準備ができると、受講生は見本として生けられたお花の前に行き、先生の説明を聞きながら、剣山に挿された根元から茎、葉、花弁と一つ一つをなぞり、最初に挿す花から、拡がる角度、高低の対比、全体のバランスなど丁寧に見ていきます。何度もさわってイメージが描けたら開始です。  この生け花は「色彩盛花」といい、その花の背後にある風景から離れて、直接的に色を惹(ひ)き出そうとするもの。色の美しさ、形の美しさに加えて材質感を重んじ、造形的に表現するのだそうです。リアトリスを最初に挿し、孔雀草を後ろにバラを前に添えるように生けていきます。  生け込み中の方々に伺ってみると、今回が2回目の方は何度も花の位置を挿し替えながら「友人に誘われて始めたけれど、生けるのは難しい……」と不安そうに先生に見てもらう順番を待っておられました。数年通っておられる方は「1本目に挿す花の生け場所を間違えると他の花を挿すことができなくなるの」と失敗談を披露。10年を迎えた方は「知らないお花に出会えるのが楽しい」と笑顔。そばで進み具合を見守っておられたボランティアの方も「最初はお花の名前もわからなかったけれど、一緒に楽しんでいます」。剣山に1本ずつ挿していきながら全体のバランスを考えるってたしかに難しそうだけど、それぞれの段階で楽しみ方があるのかな?そんな思いがよぎりました。 20年余ボランティアで講師を務めるお二人  中山さんに講習会を開いた当初のお話を伺ってみると、「時計の文字盤で花を挿す配置を イメージしてもらったり、角度も細かく丁寧に説明していましたが、今は簡単な説明になっています。初めての方は「鋏を入れるのが怖いと言われ、少しずつ慎重に切っておられますね。」  「アドバイスは最後にされていますね」と尋ねると、「よほど大きな間違いがない限り、生け終わるまで見守り、うまくできたところを見つけながらよりよい形になるように直します。」  生け終わった方々のお花を見ていくと、最初にさわったイメージがうまく再現されています。 花の先を優しくさわりながら、高さを見比べ、全体のバランスを考えて鋏を入れ、仕上げに入ります。見本を再現しながら、ちょっとした長さや角度の違いで生けた人の個性も表れ、見える私たちを楽しませてくださいました。  もう一人の講師、山野さんに「長く続く秘訣は何でしょうか」とお尋ねすると、「花が持つ魅力でしょうか。花をさわって癒やされ、自分も花と同化していく満足感。できあがったものを人に見てもらうことで、自分の成長を見いだし、来月も頑張ろうと思えるのでしょう。晴眼者は習得が早いけれど、年月が経ち、同じ花が巡ってくるとやめていく人が多いです。わかったような気になるからでしょうか。」 細やかなサポート体制  長く続く秘訣はサポートにもありそうです。講習中に山野さんが生け方のポイントを、中山さんが総評をテープに吹き込んでおかれます。講習会終了後、YWCAの音訳ボランティアさんが、連絡事項や話題を盛り込んでダビングし、後日、参加者全員に郵送されます。さらに、一人で参加しても駅からの送迎や会場内のサポートまで安心して受けられることがまた行きたい気持ちにさせてくれると思いました。  「むらさきつゆくさの会」ではこれまで5年ごとに記念イベントを開いてきました。受講生の発表の場となるだけでなく、晴眼者がアイマスクをして生けてみる体験も盛り込まれ大盛況だそうです。次回は2019年の予定ですが、ぜひ行ってみたくなりました。 ≪報告のページ≫ ○肥後橋交差点の地上と地下通路で工事  肥後橋交差点の北西角と南西角を結ぶ横断歩道が閉鎖され、従来より10m西へ移設されました。また、肥後橋駅コンコースと建替中の朝日新聞社ビルを結ぶ地下通路も近く閉鎖されます。これは地下通路にエレベーターとエスカレーターを設置するための工事で2年間続きます。梅田方面と当館の間を歩いておられる方はご注意ください。 ○友の会の新しい世話人会がスタート  ボランティア友の会の新しい世話人会が発足しました。代表は片岡忠克(図書・情報)、書記は藤井倫子(音声解説)、会計は山本普実雄(点字)。世話人は飯村康志(図書・情報)、伊東晴子(対面)、井上惠子(対面)、加藤珠子(MMD)、鳥山正彦(録音)、前田裕子(点字)、山見順子(録音)の皆さん(敬称略)です。ご協力をよろしくお願いいたします。 ○瀧沢彰子(あきこ)を製作部電子書籍担当に採用 当館では5月から製作部電子書籍担当として瀧沢彰子を採用します。8階に在席し、久保田部長の下で、「音訳教材」研究事業をはじめ、当館の専門音訳技術を電子書籍の発展に繋ぐ業務を担当します。これまで海外の視覚障害者や手話通訳者の研修事業に従事してきました。どうぞよろしくお願いいたします。 【お詫び】 ◆前号に掲載したボランティアのお名前が3人も誤っていました。申し訳ございません。改めて掲載いたします。 30年表彰=西川淑子さん(録音V) 20年表彰=木畑紀子さん(館内作業V) 点訳講習会講師補助=雪岡加奈子(点訳V) ◆小原二三夫職員の木彫作品展(5月31日まで)の会場「六甲山の上美術館・さわるミュージアム」の電話番号が誤っていました。正しくは電話078-894-2400です。ご来場の際は開館をご確認の上お出かけください。 ○チャリティコンサートのご協力に感謝 4月12日の当法人チャリティコンサートには1千人を超えるお客様が来場され、演奏を楽しんでいただけました。ご来場下さった方々とチケット販売にご協力いただいた方々に心から御礼申し上げます。 あゆみ 【4月】 11日 オープンデー(館内見学日、参加4人) 12日 当法人チャリティコンサート 16日 バリアフリー2015「目のコーナー」 21日 見学:フィリピン国立図書館職員   予定 【5月】 7日 ボランティア友の会世話人会 9日 視覚障害者ICTサポート講習会開講、オープンデー(館内見学日、要予約) 12日 専門点訳講習会「東洋医学コース」開講 29日 企業・団体職員向けオープンデー 30日 わろう座映画会「雨あがる」 【6月】 4日 ボランティア友の会ガイド体験会 編集後記 知っていますか?囲碁は視覚障害者の人たちにも人気があるんですよ。私も趣味と頭の体操も兼ねて時々やってます。囲碁には、いろんな格言があって「敵の急所はわが急所」急所を見つけても安心してはいけない、そこは自分の急所でもある。「岡目(おかめ)八目(はちもく)」当人たちよりも傍で見ている人の方が8目読める。情勢や利害得失を正しく判断できることなど教えがとても興味深いです。(茂) =ONE BOOK ONE LIFE 2015年5月号= 発 行 社会福祉法人日本ライトハウス      情報文化センター(館長 竹下 亘) 住 所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp 表紙絵 武部はつ子 発行日 2015年5月1日 定 価 1部100円 年間購読料1,000円