ろくおん 通信 NO.190号 発行日 2012年2月1日発行 発行: 日本ライトハウス情報文化センター録音製作係 発行責任者  岡本 昇 〒550-0002 大阪市西区江戸堀1−13−2 電話 06-6441-1017(録音製作係直通) http://www.iccb.jp/ ★聴いてわかる録音図書をつくる為に(第3回) ( )の 処理  その2 久保 洋子  前回、カッコのある文を読む時の三つの方法をあげました。しかし、カッコを使った文章にも様々あり、この三つの方法では文意を正しく伝えられない場合もあります。以下にいくつか例を上げてみます。 ○あの運命的な夏(五月)場所八日目の対北尾戦である。  この文章は本来夏場所(五月場所)とするべき所を「場所」の重複をさけてこのように書かれているものです。読むときは、夏場所(五月場所)と読むべきだと思います。 ○前にあげたマーチソン隕石には、各種のアミノ酸のほかに、RNAやDNAに 使われているA、T(DNAだけの塩基)、C、G、U(RNAだけの塩基)の五種類の塩基もみつかっています。(一般教養書の場合)  この文章を(  )の位置で、前回ご紹介した1、又は2の方法(『ろくおん通信』No.189参照』)で読むとAもTもDNAだけの塩基、CもGもUもRNAだけの塩基になります。読点を見ると わかるようにDNAだけの塩基はT、RNAだけの塩基はUだけです。 ○レモンは戦前から割合に日本人にも親しまれてきた果物で、文学などにも登場していますが、その一つとして、梶井基次郎の『檸檬』(レモン)の一部をご紹介します。  この(  )は「檸檬」の読み方を示すものでルビと同じです。前回ご紹介した1〜3の方法では文意を伝えることができません。 ○この人々は強い社会党支持ではないから、もちろん社会党政権など望んでいない。小林助教授の研究室の調査によると、社会党に政権担当能力があると思っている人は、わずか5.5パーセント(自民党は73.3パーセント)しかない。  この(  )を、1〜3の方法で読むと「しかない」は、「自民党は73.3%しかない。」ときこえてしまう恐れがあります。  以上のように様々な(  )をどのように読むかをいくつかの方法に限定するのは無理があります。どんな方法でも原本通りに文章が正しく伝わる読みをその都度考えることが必要です。                                                     ★『ウェブスタジオ・なにわ』がバージョンアップしました。全員バージョンアップの作業をお願いします。わからない方は職員にお尋ね下さい。     録音製作係 『ウェブスタジオ・なにわ』が2011年12月20日にバージョンアップしました。『ウェブスタジオ・なにわ』を使用している方で、12月20日以降に、まだバージョンアップをされていない方は、以下の手順でバージョンアップを行って下さい。 <バージョンアップの手順> @『ウェブスタジオ・なにわ』の「ヘルプ」を開き「7」をクリックする。 A〈ウェブスタジオ・なにわ版クライアントアプリケーションインストーラー〉をクリック B「実行」をクリツクし、「実行」→「実行する」→「次へ」→「次へ」をクリックしていきます。最後に「完了」画面が出たら「完了」をクリックして終了してください。 ★Recdia(レクディア)のエラーメッセージについて 『ウェブスタジオ・なにわ』のヘルプ7番からインストールし、『Recdia』を起動して音声ファイルを決定すると、次のようなエラーメッセージがでる場合があります。エラーメッセージが出た場合は、キャンセルせずに、そのまま、OKで進んでください。詳しくは次の通りです。 「校正票語句リストの読み込みに失敗しました。」   ↓ OKをクリック   ↓ 「校正票語句リストファイルを削除してもよろしいですか?」   ↓ OKをクリック   ↓ 「校正票語句リストが見つかりません。Recdia標準の語句を使用します。」のエラーメッセージが出て、OKすると、「修正完了」「修正パス」の付いた校正票が表示されます。エラーメッセージが出て驚かれると思いますが、よろしくお願いいたします。 ★デイジー編集者へのお知らせ 編集者が音訳者に依頼する「最終枠アナ」などのデータや、デイジー校正からの訂正データは「編集者」のパスワードではダウンロードできなくなりました。ダウンロードに必要なパスワードは職員にお尋ねください。  バージョンアップ後、校正作業を経ていないデータは今までのように「ダウンロード」できなくなりました。当面、編集者が依頼したデータや、デイジー校正であがった訂正データなどをダウンロードする時には職員にお尋ねください。必要なパスワードをお知らせします。 <ダウンロード手順> @職員にパスワードを聞く。 A職員から聞いたパスワードで『ウェブスタジオ・なにわ』に入る。  B音訳データ送信をクリック。 C「書名欄」をクリックして該当の作品を選択する。 D[音訳データ一覧を参照する]をクリックする。 E該当のデータをダウンロードする。 ※ スタジオで録音したもので2校を経ていない作品につきましては、「編集依頼」としてではなく、 「校正依頼」として依頼を出します。編集者は「校正依頼」が来ましたら、「承諾」を選んで送信 し、データほダウンロードしてください。「校正依頼」の場合は「範囲外のデータ」もダウンロー   ドできます。   <校正依頼データのダウンロードの手順>    編集者のパスワードで入り @進捗状況 A該当の作品を選ぶ B該当のデータを選んでダウン ロード してください。  以上です。いろいろ混乱も予想されます。不明な点はご遠慮なく職員にお尋ねください。 ★きれいに録音する技術 (4)             適切な録音ボリュームについて 録音製作係 清水 賢造  適切な録音ボリュームで録音することは、きれいに録音する上で大変重要な作業になります。 情報文化センターでは録音専用ソフトの「Recdia」で録音していますので、このソフトでの適切な録音ボリュームの設定について説明します。  「Recdia」は自動で音声を補正する機能を持っています。まず、この機能について説明します。 「Recdia」のメニューから、「設定」→「フィルタ設定」で(図2)のような画面が出ます。 <機能の説明> @ターゲット 目標となる音圧を入力します。初期設定は「−6」です。 Aノイズゲート 無音部分の雑音を小さくします。「0」は雑音をそのまま録音し、「50」で雑音を半分ほど小さくします。「100」にすると全くの無音状態(真空音)になり、逆に聞きづらい録音図書になります。 Bダイナミクス 初期値は「100」です。これは録音した音量が小さい場合に目標の「−6」に届くように音量を大きくします。「200」は目標値以上に音量を大きくします。この機能の為に、元の録音音量が、異常に小さ過ぎても大き過ぎて も気がつかず、音質がわるくなる事があります。最初のボリューム設定が大切です。 Cリミッター ターゲットで目標にしている「−6」よりも大きい音を「−6」まで下げます。この機能の為に、元の録音音量が大き過ぎても気がつかないことがあります。この場合も音質が悪くなります。  以上が、音声補正機能の説明ですが、情報文化センターの録音スタジオでの設定は、@は「−6」Aは「0」Bは「30」Cは「0」です。音量だけを少し増幅するようにしていますが、それ以外は原音のままになります。スタジオの場合、外部の雑音が入りませんので雑音を下げる必要が無いからです。スタジオ録音の場合は、複数の人が同じスタジオを使用しますが、その都度設定を変えることはしていません。家庭録音の場合は、音訳者個々人によって声量も録音環境も違いますので、それぞれの状況に合わせて変えるようにします。 <家庭録音でのフィルタ設定>  家庭録音の設定変更は、以下を基本に変更をしてください。音訳者の状況で設定は変わってきますので、職員とも相談しながら行うようにしてください。  ○ターゲット :変更しない 「−6」   ○ノイズゲート:変更しない 「50」    ○ダイナミクス:変更する  「50〜100」 ※ あまり声量のない人は「100」で、声量のある人は「50」前後に設定してもよいでしょう。又、マイクがダイナミックマイク(電池なし)かコンデンサーマイク(電池あり)かによっても音量は大きく違ってきます。ダイナミックマイクの場合、あまり音量が上がりませんので「100」を超えて設定することもあります。 ○リミッター :変更する 「0」   ※ 録音音量が大き過ぎる場合、そのまま録音されますので音訳者は「−6」を超えないように録音ボリュームを調整してください。(以下、『音量調整』を参照) <音量調整> @メニューの「設定」→「マイク音量設定」→「はい」を選んで音量を調整します。マイクの距離は20センチ前後を基本にして、音声が下段の白い部分に届く程度(白い部分に入らなくてもよい)に録音ボリュームを調整します。 A次に停止ボタン(H)を押してから「設定」→「騒音測定」→「はい」で騒音測定が始まります。この時に音をたてないようにします。「−50」〜「−60」前後の範囲なら問題ありません。「−40」前後の場合、パソコン内部に雑音が発生している可能性があります。「インターフェイス」を使用してください。また、逆に「−70」といった場合も正常ではありません。極端にボリュームを絞っている可能性があります。音量設定時のボリュームが小さいので再度@からやり直す必要があります。 B次に、「設定」→「テスト録音」→「はい」でテスト録音を開始します。1分以内に16フレーズを認識すると完了します。16フレーズにならないとテスト録音は失敗ですので、再度この作業を行ってください。「完了」という表示がでたら「OK」をクリックして終了してください。 ★編集のひろば ○忘れた頃にやってくる訂正依頼、次々と押し寄せてくるデイジー校正の依頼   編集者から訂正依頼が来た時、「あぁそんな本も読んだなぁ」とか、「どんな風に読んだか忘れちゃったわね」なんてモニターさんと話しながら、ちょっと記憶を手繰り寄せつつ訂正録音する、というようなご経験ありませんか? また、「続けて2冊も訂正依頼が来た!」とか、「続けて2冊もデイジー校正の依頼が来た!」とか、「なんでこんなに次々来るの?」という不思議に出会うこともあります。  当センターでは、校正をしながらの編集作業なので、編集にかなり時間がかかります。そしてそこに何人もが関係しているので、ペースの違いや色々な事情も絡まり合って、タイムラグが生じます。全体の流れがちょっと頭の隅にあれば、そういったことも理解しやすくなるのではないでしょうか? なお、デイジー校正依頼が同時に2冊以上来た場合は、職員にご相談ください。 ○編集者はこんな手順で作業を進めています  ☆編集開始からデイジー校正用CDの作製まで☆ 1 編集用原本を受け取る 2 『ウェブスタジオ・なにわ』で「編集依頼受信」 ⇒ 「承諾送信」 3 外付けHDD(ハードディスクドライブ)に音訳データをダウンロード(又は、CDでデータをもらう) 4 レベルやグループチェックなどの処理を考え「デイジー編集者の処理」提出 5 編集作業をしながら校正をして、校正表(ピンク)に記入 6 デイジー校正者を決めてもらう 7 音声訳者に訂正と枠アナ(デイジー図書凡例や終わりの枠)の録音を依頼 8 訂正データを受け取り、再び編集 9 デイジー校正用CDを作製し、再生機でチェック 10 デイジー校正を依頼  ☆デイジー校正依頼後から完成品CDの作製まで☆ 1 デイジー校正者から校正表(黄色)を受け取る 2 校正表の内容を検討し、音声訳者に訂正依頼 3 訂正データを受け取り、再び編集 4 完成品CDを作製し、再生機でチェック 5 ブックトラック(最終点検棚)に並べる(完成品CD、原本、校正表、など) 6 ブックトラックから修正依頼があったら、再編集し、再び『4』の作業 7 再びブックトラックの点検を受けて完成 ○『見出し入力項目』の校正は、デイジー校正者がすることになりました  デイジー図書の『顔』に当たる部分です。何度もチェックし、美男美女で送り出しましょう ★ 館からのお知らせとお願い 1.デイジー編集ソフト『 PRS Pro』のバージョンアップについて  1月17日、『PRS Pro』が新しいバージョン2.05へバージョンアップしました。‘Windows7’や‘WindowsVista’環境での機能制限が修正された他、不具合の修正もされています。また、書誌情報の項目が次のように変更されました。 <名称変更> ・ 発行者 → DAISY発行者 ・ 朗読者 → 音訳者 <新規追加> ・ 原本発行者 ・ 原本発行年月日 ・ DAISY発行年月日  当センター6階の編集用パソコンは1月末までにバージョンアップを完了します。ご自宅でデイジー編集をされている方もすぐにバージョンアップをしていただくようお願いいたします。  バージョンアップには『PRS Pro』のCDキーが必要です。バージョンアップ方法およびCDキーについては職員にお尋ねください。  なお、最新の取扱説明書(PDF形式)は下記ホームページからダウンロードしてください。   http://www.plextalk.com/jp/download/usersguide.html 2.『ウェブスタジオ・なにわ』でのデータ送信エラーについて  昨年秋頃から、『ウェブスタジオ・なにわ』へ音声データを送信した際、送信が終わる直前に「保存に失敗しました。」というメッセージが表示される事例が時々発生しています。この原因は、『ウェブスタジオ・なにわ』の音声データを保存するサーバーの容量が足りなくなったために起こっています。上記のメッセージが表示されましたら、職員までご連絡ください。過去の完成済みデータを削除し、保存容量を確保します。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。現在、サーバー容量の増量を検討しています。ご理解いただきますようお願いします。 3.第4種郵便(特定録音物等郵便物)の規定遵守について  当センターへ録音物を郵送する際、文書を同梱しないようお願いします。校正表などの文書は、別途郵送してください。郵送に必要な切手は、職員に請求してください。 (以上) (『ろくおん通信』編集委員会) ★以上で『ろくおん通信』No.190号(2012年2月1日発行)を終わり