ろくおん 通信 NO.189号 発行日 2011年12月1日発行 発行: 日本ライトハウス情報文化センター録音製作係 発行責任者  岡本 昇 〒550-0002 大阪市西区江戸堀1−13−2 電話 06-6441-1017(録音製作係直通) http://www.iccb.jp/ ★聴いてわかる録音図書をつくる為に(第2回) ( )の 処理 久保 洋子  墨字の本には様々な『カッコ』 『傍点』 『−− 』 『=』などいろいろな記号が使われています。それらの中から、今回はカッコ、その中でも(  )について考えてみようと思います。 (  )は、多く前の語を補足する時に使われます。読む時の方法としては次の三つが考えられます。 1.カッコ・・・・トジは読まないで(  )内を読む   間をとる、ピッチを下げるなど文意が伝わる読みを工夫する。  『平成23(2011)年』など( )内が短く、しかも“( )の前の語=( )内の語”のような場合にはこの方法で読むことができます。 2.「カッコ・・・・トジ」を入れて読む  (  )内がセンテンスになっている、長い、などの場合は「カッコ・・・トジ」を読んだ方が伝わりやすいことが多い。 3.1、2、の方法で( )内を読み、( )の前の語を繰り返して( )の後の文に続けて読む  (  )内が長く、前の語が(  )の後の文につながりにくい時、(  )前後の語が本来一つつながりであるような時にはこの方法が有効です。  どの方法で読むかは(  )を使って書かれた文章が正しく伝わるかどうかで選んで下さい。間違ってはいけないのは(  )があることを伝えるのではなく、(  )を使って書かれた文章が正しく伝わるかどうかで選んで下さい。この際、『堺市(大阪府)』などの(  )は大阪府堺市と読む方が伝わると思いますが、文章を作り替えたり、語順を変えるのは禁忌です。原文の語順を替えずに正しく伝わる読み方を工夫してください。 ★なるほど 納得 ! 『ウェブスタジオ・なにわ』使いこなし術 (第3回)  浜本裕子                       『ウェブスタジオ・なにわ』にアクセス・ログインされている方が増えてきています。と同時に、“うっかりミス”そして“ミスに気づかないミス”も増加してきました。わかっているつもりでも、ちゃんと確認したつもりでも、やっぱりありますね。「今日のランチ、何にしようかな?」と考えていた時だったか、「早く帰らなくては」とあせっていた時だったか・・・私もやってしまいました。修正済音訳データ送信ミス。「このシステム分かりづらいなぁ〜」なんてグチをこぼしていてもしょうがないので、今回は、音声訳者の手順を追いながら、ミスに気づく方法&トラブル解決法を考えてみることにします。 4 トップページに製作依頼が届いたら、〔承諾〕返信 ⇒ 録音開始 5 新規音訳データを送信する 6 送信履歴の確認    @ 音訳データ送信 クリック ⇒〔音訳データ一覧を参照する〕を選ぶ    A表示する製作図書を ▼ で選ぶ ◆トラブル1 一覧表に、送信したはずの音訳ファイル名がない  【原因】 送信画面〈書名〉で別の図書を選んだ  【結果】 間違って選んだ図書の校正者に、校正用データが届いてしまう       間違って選んだ図書の一覧表にファイル名が表示されているはず  【対処法】@正しいデータを送信する方法を相談する       B間違って選んだ図書の校正者に連絡する ◆トラブル2 一覧表に、異なったファイル名がある  【原因】 送信画面 音訳データの 参照 でデータを間違えた  【結果】 校正してもらう分でない音訳データが校正者に届く  【対処法】@正しいデータを送信する方法を相談する       C校正者に、データが間違っていることを連絡する   ※誤送信された他の音声訳者のファイル名が表示されている場合もあります 7 トップページに「校正票が届いています」のメッセージがあったら校正票ダウンロード   メッセージが消えてしまっていたら 校正票一覧 から表示させてダウンロード 8 訂正録音      ウェブスタジオ版Recdiaの 校正票画面 をクリックし、校正票を表示させて訂正録音   ◆トラブル「校正票を取得できませんでした」のコメントが出る(以下のいずれかの対処法)  【対処法1】 必ずウェブスタジオ版Recdiaで表示させる  【対処法2】 ダウンロードするデータの保存場所は必ず録音を保存したフォルダに行う  【対処法3】 『ウェブスタジオ・なにわ』ヘルプ画面から「7」「8」の作業を行う 9 修正済音訳データを送信する    D 表示する製作図書を ▼ で選ぶ    E〔修正済音訳データを送信する〕をクリック      〔新規音訳データを送信する〕と同じ画面が出るが、ページの入力は不要  ◆トラブル 訂正録音が済んでいないのに修正済音訳データを送信してしまった   【結果】 訂正前のデータが利用者・編集者に届く   【対処法】@<範囲外送信>などの方法を相談する        F編集者に連絡する 10 送信履歴の確認(手順3-@Aに同じ)   〔修正済音訳データを送信する〕をクリックすると、一覧表には同名のファイルが2つ並びます   ●トップページから〔音訳データ一覧〕を表示させる方法    G 音訳データ送信 クリック ⇒〔音訳データ一覧を参照する〕を選ぶ    H表示する製作図書を ▼ で選ぶ   ●トップページから〔校正票一覧〕を表示させる方法    I 校正票一覧 クリック      J製作図書で絞り込み ▼ で表示させたい図書を選ぶ ・・・とは言っても、これはほんの一例で、トラブルも様々、原因も対処法も色々あるようです。また、利用者さんに〈間違ったデータ〉が届くケースもあり、その対策も必要となってきます。とりあえずは、ミスに気づきましょう! そして、後は職員さんにお任せしましょう。 時々、音訳データ一覧や校正票一覧を眺めて、今の状況を把握しておくと安心です。 今回は『音声訳者の場合』でみてきましたが、校正・編集の立場の方も、「おかしいな?」とか「データが来ない」など気になることがあったら、ぜひ声を掛けて下さい。 今後、校正者、編集者の場合や、共同製作の場合についても考えて行きたいと思います。 ★『ウェブスタジオ・なにわ』が正常に使えなくなったら! 確認事項と復旧方法 録音製作係主任 岡本 昇  『ウェブスタジオ・なにわ』を使っていたところ、ある日突然ダウンロードができなくなったり、校正票が送れなくなることがあります。このようなことが起こる原因の大半は、お使いのパソコンの「Windowsアップデート」や「ソフトウエアのバージョンアップ」によるものです。やっかいなことに、アップデートやバージョンアップは自動的に実行されることが多く、ユーザーが気づきにくいのです。  何もしていないのに突然不具合が起こった  次の作業を行ってください。 Kお使いの「Internet Explorer(インターネットエクスプローラー)」が、「バージョン9」の ときは、Internet Explorerのメニュー(Windows Vista(ビスタ)・Windows7で、メニューが表 示されない場合は「Altキー」を1回押すと表示されます)の「ツール」→「インターネットオ プション」をクリックし、「セキュリティ」タブをクリックします。「保護モードを有効にする」 のチェックを外し(チェックボックスをクリックするとチェックが外れます)、「OK」をクリック します。「Internet Explorer」を終了させます。 ※ バージョンの確認は、メニューの「ヘルプ」→「バージョン情報」をクリックして ください。 ※ お使いの「Internet Explorer」が「バージョン8」以前の場合、この作業は不要です。 L『ウェブスタジオ・なにわ』にログインできるときは、IDとパスワードを入力してログインし、 「ヘルプページ」中の「8.インターネットオプション設定方法」に進みます。お使いのパソコ ンの設定が、そこに書かれている設定内容と異なっているときは、設定をやり直します。 M次に、「ヘルプページ」の中の「7.クライアントアプリケーションのインストール」に進み、 画面の説明にしたがってインストールを行います。2011年8月以降にこの作業を行っている 場合は、すでに最新版のアプリケーションがインストールされていますので、改めてこの作業を する必要はありません。 「Internet Explorer 9」をお使いの方で、@〜Bの設定を行っても正常に動作しない場合、次の設定を行ってください。 N「Internet Explorer」で『ウェブスタジオ・なにわ』を表示させた状態で、メニューの「ツール」 →「互換表示設定」をクリックします。「追加するwebサイト」に「iccb.jp」と入力されている ことを確認し、「追加」ボタンをクリックします。次に「閉じる」ボタンをクリックします。 以上のことを行っても正常に動作しなかったり、『ウェブスタジオ・なにわ』にログインできないときは、別の原因が考えられます。詳細な状況確認が必要になりますので、職員にご相談ください。 ★  きれいに録音する技術 (3)  マイクの設置について 録音製作係 清水 賢造 マイクは正面にセット  マイクをどう設置するかは「きれいに録音する」上では大変重要です。一般的にはマイクスタンドを使用する方が多いと思いますが、自宅録音においてはマイクスタンドは不便な面があります。というのは、マイクはできるだけ顔の正面にセットすることで、きれいに録音されます。しかし、自宅録音では、マイクと口までの距離は「20センチ前後に」と指導しています。一般のマイクスタンドで、マイクを顔の正面にくるようにセットし、かつ20センチ前後の距離で読むのは実際は不可能です。本と口との間にマイクを置いて読まなければならないからです。その為にマイクスタンドを横に置いて斜めからマイクを向けて読むことになります。   録音した音量が周期的に変わる  しかし、マイクは指向性のマイクを使いますので、マイクに向かう口の位置で音量が変わります。これは初心者に多く見られることですが、本の右端の行を読むときと、左端の端の行を読むときとで顔が左右に動く為、音量が大きく変わります。マイクを左側にセットした場合、右端を読むときは小さく、左の端にいくにつれ段々大きくなり、ページが変わって右端の行に戻ると、急に小さくなり、また段々大きくなる。これを繰り返すケースです。利用者は再生ボリュームを大きいところに合わせると小さいところが聞きにくいし、小さいところに合わせると大きいところが聞きづらくなります。   マイクを吊す  このような問題を解決する方法として、マイクスタンドを使わずに、天井からマイクを吊すことをお勧めします。紐は市販の太めのナイロンロープで十分です。天井に固定して、適度な高さにマイクをセットします。角度は、マイクが自分に向かって下向きになるように斜めにセットします(写真・図参照)。マイクを天井から吊すことで、マイクを正面にセットできて、かつ20センチ前後の距離を確保しながら録音できるようになります。是非、試してみてください。 ★編集のひろば   ◎初めて出会う、デイジー図書用語の数々☆ セクション、フレーズ、グループチェック、ページチェック・・・。デイジー編集には、耳慣れない言葉が溢れています。階層(レベル)、移動検索、見出し、グループ化など、普段の言葉とはややニュアンスの違う単語、更には、「飛ぶ」「移動」「階層が深い」「切ったり、貼ったり」などなど少々謎めいた言葉も!?  そんな言葉を集め、編集上でどのように使われているのか?利用にはどんな風に便利なのか?を 再確認しながら、よりよいデイジー図書を目指してみんなで考えて行きたいと思います。 合わせて、編集&デイジー校正者への連絡事項も随時ピックアップします。まずは用語解説から。 ◎「フレーズ」「セクション」「グループ」「ページ」の4つのツールの 組み合わせがポイント☆ ◇フレーズ(ひとかたまりの音声)   音声の間から次の間までの1区間(数秒〜十数秒)   編集作業の基本単位   音声をフレーズ毎に送って聴くことができる ◇セクション(原本の各項目)   フレーズが集まってできている   目次を目安にしながら、本文の内容のまとまりに注意して、セクション分けを考えます   セクション毎(各項目毎)に移動して(ジャンプして)、聴くことができる ◇タイトルフレーズ(見出し)   各セクションの先頭フレーズ(先頭の音声)のこと   「はじめに 3ページ」「第一章○○○ 10ページ」「1−1△△△ 11ページ」など   編集作業では『ワンフレーズ化』(「はじめに 3ページ」の音声をひとかたまりに結合) します ◇セクションの階層化(レベル化)   見出しの大きさに合わせてセクション毎に階層(段階)をつけること   例えば、章をレベル1に、節をレベル2に、その下の項目をレベル3にするなど   原本の見出しの成り立ちがわかり、レベル1のセクションだけを移動して検索できるなど便利 ◇グループチェック(デイジー図書上では該当のフレーズにチェックを付ける)    図・表・写真・注などの始めと終り、セクションにしない項目の始め、などに付けています   本文中のチェックの付いているフレーズに飛んで、飛んで〜〜聴くことができる ◇ページチェック(デイジー図書上ではページの印をフレーズに付ける)   ページの変わり目の直近フレーズ(音声)に付けています   ページをめくるように聴くことができ、目次で聴いたページにページ指定で飛ぶこともできる 【連絡事項】 白紙ページの『P』は、原則、すべて付けないことに決定しました       (詳しくは編集マニュアルにてお知らせします) (『ろくおん通信』編集委員会) ★ 師走を迎えて 岡本 昇   2011年も残すところ1ヶ月となりました。皆さまのご協力により、今年もたくさんの録音図書を製作し、全国の利用者に聴いていただくことができました。本当にありがとうございました。 今春、録音製作係は清水職員が定年を迎え、また主任が交代するなど、環境の変化に伴いご不便をおかけしたことと思います。皆さまの貴重な活動日を使わせていただき、備品の整理や機器の整備をいたしました。また、作業ボランティアの方々のご協力により、作業室だけでなく、倉庫の中が整理整頓され、大変使いやすくなりました。そのほかにもたくさんご協力いただきましたが、ここには書ききれません。 現在、録音製作係にボランティア登録していただいている方が、約250人いらっしゃいます。音訳・校正・編集・作業など、それぞれの得意分野を活かし、力を合わせて活動してくださっています。専門音訳チームのメンバーもいらっしゃいます。正に、‘職人’の集まり!最高の‘もの作り集団’と私は思います! このようにすばらしい方々の力をお借りしながら、聴きやすく判りやすい録音図書ができるよう、職員一同努力して参ります。来年も引き続き、よろしくお願い申し上げます。 ★係からのお知らせ 年末年始の休館日・作業休止日について  年内の録音製作のボランティア活動は、12月24日(土)までです。但し、週刊新潮のスタジオ録音に限り、12月26日(月)まで開館します。年始は1月6日(金)からです。尚、1月9日(月)は祝日で休館ですが、週刊新潮の録音の為に録音製作(6F)のみ開館します。 ★ ヴィオラのひとりごと もうすぐ嬉しいことがあるんです! それは、美容院! 2ヶ月に1度、全身をシャンプーしてもらうんです。その後耳掃除と爪切り、むだ毛カットまでしてくれるんです。最後に、サンタクロースのかわいい飾りを首輪に付けてもらって完了!  ほとんどの盲導犬は、ユーザーが家でシャンプーするそうですが、お父ちゃんはしてくれません!「プロにやってもらう方が気持ちええやろ?」ですって!多分そうだと思いますが!  「2ヶ月に1度しかシャンプーしないの?」と思う人もいるでしょう。でも、シャンプーを頻繁にすると病気になるんですよ! 犬の体の周りは‘皮脂’という脂で覆われていて、雑菌の侵入を防ぐんです。シャンプーすると皮脂がなくなりますから、そんな状態で河川敷の草野上を歩くと、ダニやノミ、バイ菌などが毛の奥にまで入ってしまいます。だから、シャンプーをしたら、3日間くらいは草の上を歩かない方がいいみたいです。冬は特に風邪ひきますよ!  ひゃー! お父ちゃん!寒くなってきたので、私のダウンベストを箪笥から出して、準備しといて! 私、寒がりなんです! 冬はストーブの前で寝るのが大好き! こたつの中に入ろうとしたら、お父ちゃんに「無理やろ!やめとけ!」と言われました!  「独りでお留守番のときに入っとこ!」 ★以上で『ろくおん通信』No.189号(2011年12月1日発行)を終わり