日本ライトハウス情報文化センター        「ワンブックワンライフ」2015年3月号  <表紙イラスト:(武部はつ子画)>ひな祭り。和服を着た男女が改まった様子で向かい合い座っている。女性がとっくりを差し出し「おひとつどうぞ・・・」、男性は「照れるなぁ」。雛壇のお内裏様とおひな様が体を揺らしながら「良きかな〜」「良きかな〜」と口ずさんでいる。   (目次) ◇掲示板 ◇センターのページ ・点字表記検索システム「点訳ナビゲーター」開設 点訳の迷いをインターネットで解決! ・【千賀子のわくわく遊び隊】 世界に一つだけの手織り物 in 京都ライトハウス ◇報告のページ  ≪掲示板≫ ○盲導犬育成チャリティコンサートのご案内  日本ライトハウスでは、恒例の第33回チャリティコンサートを4月12日(日)13時30分から大阪市北区のザ・シンフォニーホールで開催します。出演はヴァイオリニストの和波孝@さんと澤和樹さん指揮、千里フィルハーモニア・大阪で、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番、チャイコフスキーの交響曲第4番他をお届けします。チケット3,500円(当日、指定券に引換)。アミティ(視覚障害者招待協力券、1,000円)にもご協力ください。お申込みは当館総務係か、募金事業部(電話06-6968-1030)までどうぞ。 ○ボランティア交流会にぜひご参加を ボランティア友の会交流会を3月19日(木)10時から玉水記念館大ホールで行います。活動歴30年・20年のボランティア12人への感謝状贈呈、盲ろうの梅木久代さんご夫妻の講演、バザーなど盛りだくさん。おいしいお弁当も人気です。 年に一度、皆で一堂に会する貴重な機会ですので、ぜひ共に楽しいひとときをお過ごしください。参加申込は3階総務係(06-6441-0015)まで。3月12日まで受付中。当日は全館休館になります。 ラオスからダスキン研修生チゴンさん来館  ダスキン愛の輪基金の第16期アジア・太平洋障害者リーダー育成事業で来日中の視覚障害研修生が来阪し、3月3日(火)から28日(土)まで当館のコーディネイトで研修を行います。研修生は愛称チゴンさん(28歳、男性、ラオス出身、本名ヴィリヤ・チャンチャルン)。視覚障害者の職業や教育、スポーツ等に強い関心をお持ちで、ライトハウスの各施設をはじめ、関西で活躍する視覚障害者との面談や職場の見学など、さまざまなプログラムを行います(ボランティア交流会にも参加)。館内で出会われた時は、ぜひお気軽に「日本語で」声をかけてあげて下さい。 ○5階サービスフロア3月31日(火)臨時休室 年度末の棚卸し作業のため、5階サービスフロア(用具販売、対面リーディング等)は3月31日(火)、臨時休室させていただきます。 ≪センターのページ≫ 点字表記検索システム「点訳ナビゲーター」開設 点訳の迷いをインターネットで解決! 全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)では、独立行政法人福祉医療機構の助成により点訳委員会が中心となり、インターネット上に「点字表記検索システム“点訳ナビゲーター”」を立ち上げ、2月6日から公開しました。  「点訳ナビゲーター」は、主に点訳活動をされている方が点訳・校正をする際、疑問に思われることの多い分かち書き、点字の書き方、用語の読み方などをインターネット上で手軽に検索できるようにしたものです。  点字は活字と異なり、すべて仮名で表記される表音文字です。そのため、漢字の読み方が分からないと、点字にすることができません。また、日本語には同音異義語が多数あり、同じ漢字の言葉でも文脈によって読み方が異なります。例えば、「遺言」は、一般的には「ゆいごん」と読みますが、法律用語では「いごん」と読みます。  さらに、日本語の点字でもっとも難しいのは、点字特有の規則である「分かち書き」です。先にも書いたように、点字は表音文字であるため、活字のように漢字はなく、すべて仮名書きの表記になります。そのため、意味に従って区切り目を入れないと、文意を読み取ることができません。例えば、みなさんは、次の短文に区切り目を入れるとしたら、どこで区切りますか?  「ここではきものをぬいでください。」  主に二通り考えられ、  「ここで□履き物を□脱いで□下さい」  「ここでは□着物を□脱いで□下さい」  区切り方によって、意味が全く異なります。  このように意味のあるところで区切る「分かち書き」には、詳細な規則が決められています。 点訳者は、この「分かち書き」の規則に従い、いつもどこで区切るかを覚え、調べながら点字を打っていますが、迷うこともしばしばです。  そこで、点字の書き方に迷った時の判断の助けとして、インターネットで解決してもらおうと作ったのが「点訳ナビゲーター」です。点字表記の用例は、全視情協が発行している「点訳のてびき第3版」や「初めての点訳第2版」などの書籍から引用し、現在約13,000語を収録しています。  このほか、「点訳ナビゲーター」では、仮名だけでなく、数字やアルファベットを用いた書き方についても検索することができます。まだすべての語例をカバーしているわけではありませんので、今後も語例を追加していく予定です。  インターネットを使えば、どなたでも検索できますので、ぜひ一度アクセスしてください。http://ten-navi.naiiv.net/                                  (点字製作係主任 奥野真里) 【千賀子のわくわく遊び隊】 世界に一つだけの手織り物 in 京都ライトハウス  大阪市鶴見区には当法人の視覚障害リハビリテーションセンターがありますが、京都市北区の京都ライトハウスにも同様の鳥居寮があります。これらの施設では、趣味や創作、スポーツなど多彩なプログラムが行われています。今回は「織物」を初体験しました。(総務係 加治川千賀子) 簡易な織機で初心者向けの袋作りに挑戦  用意するものは段ボール、たこ糸、毛糸の綴じ針かゴム通し。織り込む材料は毛糸、裂いた布、紐など何でもOK。  早速、袋物作りに挑戦。段ボールの片側に入れた切り込みに、奇数になるように縦糸を巻き付けます。横糸が通しやすいように縦糸1本おきに割り箸を通します。好みの糸(初心者は太めの糸が仕上がりも早くお勧め)を、両手を広げたぐらいの長さに切り、針に通して、さあ開始。縦糸1本おきに針をくぐらせるのですが、割り箸が通っていない方の糸をすくうのはなかなか大変。端に来たら糸を斜め上に引き上げ、右端から押さえると均等に綺麗な織り目が現れます。  次は裏返して、同じ手順でクルクルと上まで編み上げます。ここはひたすら根気勝負。編み上がったら、段ボールを抜き、編み始めと編み終わりの糸を裏側で始末すると袋が完成します。袋の口の始末もいらないので、見える人の手を借りなくても作り上げることができるそうです。  台紙の大きさを変えれば、小物からランチョンマットもできますし、途中で色や材質を変えると模様も描けます。さらにティッシュカバーのような立体のものでも縦糸の組み方を工夫すれば、作れてしまうとか。週1回2時間程度のプログラム、見学当日は6人の方が目の見えない先生の指導を受けながら、ゆったりとした時間の中で、製作を楽しんでおられました。 工夫を重ねて拡がる創作意欲  参加者の中に「フラミンゴ」という手織り機を使う方がおられ、お話を伺いました。これは手織り機を回転させながら縦糸が張れるので楽ですが、狭い隙間に糸を挟むのが難しいそうです。しかし、先生に「最初は大まかに糸をかけておき、土台から織機を外して机の上におき、端からゆっくりと順序よくかけていけばよい、とアドバイスを受けてから、作業がはかどるようになった」と。晴眼者が指導すると、こんな発想は生まれないかもしれません。フラミンゴについて調べてみると、「準備に手間がかかると、初心者は敬遠するから展示販売場で縦糸を張る場面は見せない」とか「持ち帰ってすぐに織りが始められるよう縦糸を張った状態で販売することもある」とありました。見えていても大変なんですね。  彼女はさらに「見えない人が新しいことを始める時、先駆者があれこれ試行錯誤を繰り返し、一番やりやすい方法を編み出してくれるから、私たちはそのあとに付いていくだけで楽しめる。だけど、それはとっても大変なことですよ」と話してくれました。  私たちは、視覚障害の方々についつい見える側のやり方を押しつけてしまいがちです。けれど、視力に頼らない方法は、実は晴眼者にとってもわかりやすい場合があります。最良の方法を一緒に楽しむ中で見つけていけたらいいなぁ、そんな思いを胸に体験を終えました。 ≪報告のページ≫ ○電子書籍をテーマに近畿視情協研修会  近畿視覚障害者情報サービス研究協議会の今年度職員研修会「どうなる!電子書籍のアクセシビリティ〜だれにも使える「本」の実現をめざして」が2月19日、大阪府立中央図書館で開催。専修大学教授・植村八潮(やしお)氏による電子書籍提供業者の調査結果、日本電子出版協会理事・岡山将也(のぶや)氏によるEPUBの自動音声化の研究報告、大阪府立中央図書館職員・杉田正幸氏による視覚障害者への電子書籍のアクセシビリティの現状などが報告され、図書館や出版関係者、研究者、当事者など70人余りの参加者が耳を傾け、活発な質疑と意見交換を行いました。 ○整理・情報係に杉原佳子職員を採用  整理・情報係は点訳・録音用原本の受入に始まり、図書の装丁やサピエ図書館への書誌登録、目録の作成などを行っています。この度、拠点を8階製作部から別館サービス部へ移し、図書・情報係と連携を強めて作業することにしました。 その担当として2月16日付で杉原佳子職員を採用しました。どうぞよろしくお願いします。 あゆみ 【2月】 14日 オープンデー(館内見学日) 19日 近畿視情協職員研修会(府立中央図) 26日 見学:釜山広域市視覚障害者福祉館 27日 わろう座体験会「鍵泥棒のメソッド」、研修:京都ライトハウス新任職員 予定 【3月】 3日 見学:長岡京市視覚障害者協会 5日 専門音訳デイジー編集・基礎編(〜6日) 12日 専門音訳デイジー編集・応用編(〜13日) 13日 対面リーディングV向け勉強会 14日 オープンデー(館内見学日、要予約) 17日 ボランティア友の会世話人会、見学:シロアム視覚障害者福祉会 19日 ボランティア交流会(全館休館) 20日 5階書架3階移設工事(〜22日) 26日 V世話人会(新旧世話人引継ぎ式) 31日 5階サービスフロア休業(棚卸し) 編集後記 2月に今年度関わっている全視情協10年ビジョン委員会で帯広へ行ってきました。関西では味わえない透き通った寒さが心地よく、会議のあとに案内いただいた然別湖の氷の露天風呂は「わぉ!」と叫びたくなるほどの別世界。分厚く凍ってしまった極寒の湖が、人のアイディアと努力で至極の場所に変えることができるマイナスをプラスに変えてしまう素晴らしさと、なにものも圧倒する大自然に感動^^。なにより小さなことを忘れさせてくれる北海道でした。(茂) =ONE BOOK ONE LIFE 2015年3月号= 発 行 社会福祉法人日本ライトハウス      情報文化センター(館長 竹下 亘) 住 所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp 表紙絵 武部はつ子 発行日 2015年3月1日 定 価 1部100円 年間購読料1,000円