日本ライトハウス情報文化センター        「ワンブックワンライフ」2013年3月号  <表紙イラスト:(武部はつ子画)>桜が満開の頃。袴に身を包み、卒業証書の入った筒を右手に、ちょっと照れながら笑みを浮かべてピースサインの女の子。紋付袴の猫は「めでたやな〜」とうれしそう。二人の男の子は影から「あ〜、マドンナが・・・」と涙を浮かべている。 (目次) ◇掲示板 ◇センターのページ   ・ 「毎日」専門講習会が通算25回・86コース・修了1,361人に 専門化・多様化する点訳・音訳ニーズに応えるために ◇報告のページ 《掲示板》 ○チャリティコンサートを4月14日に開催  今年の日本ライトハウスチャリティコンサートは、4月14日(日)午後1時30分からザ・シンフォニーホール(JR福島駅)で開催します。今回はヴァイオリンの和波孝よしさんを迎え、澤和樹指揮、千里フィルハーモニー・大阪の演奏で、ベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲二長調」他をお届けします。チケットは3,500円(当日指定券に引換え)、アミティ(視覚障害者招待用)は1枚1,000円。お申込みは当館総務係か、募金事業部(電話06-6968-1030)までどうぞ。 ○対面リーディング基礎講習会を開催  今年度2回目の基礎講習会を、以下のとおり開催します。これから活動を始めたいと思っている方はもちろん、すでに活動中の方も、ぜひ一度ご受講ください。  日時 3月12日(火)13時〜17時(全1回)  対象 既にに活動中の方、これから対面の活動をご希望の方。  定員 10人。  受講料 無料。  講師 当館職員ほか  内容 視覚障害者の理解、対面のサービス 内容とルール、利用者との対応の仕方などをロールプレイやQ&Aでわかりやすく学びます。 (「読み方」など技術的な講習ではありません)  申込 3月5日(火)までにサービス部(電話06-6441-0039)対面担当(木田、木村、谷口)まで。 ○3冊同時出版「てんじつき さわるえほん」   NPO法人てんやく絵本ふれあい文庫代表の岩田美津子さんは、「見えない両親が子どもに絵本を読んであげる喜びを味わえるように」と、1984年から点訳絵本の製作・貸出に取り組んできました。さらに、2002年から「目の見えない人と見える人が一緒に絵本を楽しめるようになること」をめざして、出版社、印刷会社、作家、点訳絵本製作団体などが、それぞれの体験を持ち寄ってよりよい点字つきの出版物が増えるようにと「点字つき絵本の出版と普及を考える会」を開いてきました。10周年を迎えるにあたり今回、「こぐまちゃんとどうぶつえん」(こぐま社)、「のんたん じどうしゃぶっぶー」(偕成社)、「さわるめいろ」(小学館)が同時に出版されました。ぜひ、手にとってご覧ください。 《センターのページ》 「毎日」専門講習会が通算25回・86コース・修了1,361人に 専門化・多様化する点訳・音訳ニーズに応えるために    公益財団法人毎日新聞大阪社会事業団と当館の共催で、1987年に始まった専門点訳・音訳講習会が今年度通算25回(26周年)に達しました。3頁の一覧表の通り、各分野の専門家の指導の下、外国語、理数、楽譜、東洋医学、図表、パソコン、音声解説など20近いテーマで合計86コースを実施。修了者の合計は1,361人に達し、当館内で11グループが専門活動を展開しているほか、関西各地のグループや図書館で活動を続けています。これだけの長期間に亘り、点訳と音訳を並行して行われている専門講習会と活動は全国でも例がありません。しかも利用者側からも、点訳では教科書・教材を中心に、音訳では中途視覚障害者や見えにくい方の増加により、多様な分野の専門書を製作するニーズは増える一方です。今後の専門点訳・音訳活動の発展を願って、現在当館を拠点に活動中の専門グループの状況と、過去25回の専門講習会の記録をご紹介します。 専門点訳5グループ、専門音訳6グループが当館を拠点に活動中 *専門点訳グループ* グループONE  1987年、故森泰雄職員の指導の下、第1回専門点訳外国語コースを受講した舟橋妙子さんをはじめ、現在も15人の点訳者が地域でのグループ活動と並行して、毎月情文で例会を開催。当館サービス部を通して寄せられた英文教材等のプライベート点訳を中心に活動しています。最近は「Kanji Power」や「ユアーズ演習ノート・英語T 改訂版」などを点訳しました。 グループα  1987年、第1回専門点訳理数講習会の受講者を中心に結成され、現在8人が毎月例会を開催。例会では、理数講習会の講師を務めた澤田祐子さんをアドバイザーに、数学関係の問題集を使った勉強会を行い、プライベート製作の依頼に対応しています。最近は「ゼミナール経済政策入門」を点訳しました。これからもプライベート製作の依頼に応えていきます。 アンダンテ  1998年、故森岡章氏の指導の下、第11回専門点訳楽譜講習会を受講した吉村真智子さんを中心に、現在13人が毎月例会を開催。プライベート依頼の楽譜を製作し、オカリナ、アコーディオンや五線譜でない箏曲・三線などの楽譜の依頼にも果敢にチャレンジしています。最近は「サン・トワ・マミー」「ペルシャの市場にて」を点訳しました。 グループ東医  1997年、第10回専門点訳東洋医学コースの受講者を中心に8人が活動中。毎月2回勉強会を開催し、ここ数年は点図を取り入れた漢方薬、鍼灸書の製作にも力を入れています。最近のプライベート製作では「股関節痛を自分で治す本」「ひざ痛を自分で治す本」などを点訳しました。 MAZE(メイズ)  1995年、第8回の専門点訳「図」コースを受講した森田茂二さんを中心に、現在3人が自主的なグループとして活動中。大阪市営地下鉄の全線全駅を説明したガイドブックなど、図を言葉で説明する点訳活動に取り組み、希望される視覚障害の方に提供しています。最新の成果は「京阪電車沿線案内図」です。 *専門音訳グループ* 英語チーム  1991年、第4回専門音訳英語コースの講師古谷穹子さんを中心に結成。古谷さんの逝去後、上田道子さんが中心になり、現在21人が活動中。毎月例会を開き、英語に関連する新聞や雑誌、文庫本、エッセイ、ポエム、音楽など記事を独自編集した録音雑誌『英語よもやま通信』を毎月発行し、数十人の読者に愛読されています。 理数チーム  1991年、第4回専門音訳理数コースで講師を務めた久保洋子さんを中心に、現在も25人が活動中。隔月で例会を開き、新聞5紙からサイエンス関連記事を抜粋編集し、『サイエンスかわら版』として毎月発行しています。(最近では、その専門性を活かして、「物理」の教科書の対面リーディングも引き受けていただきました。) 東洋医学チーム  1994年、第7回専門音訳東洋医学コースを受講後、講師の片山一夫先生の指導を仰ぎながら、森和子さんを世話役として10人で活動開始。「素問」、「霊枢」、「難經」ハンドブックシリーズ、岡本一包子著「医学三臓辨解」などを手がけ、現在メンバーは23人に増えています。 古典チーム  工藤和子さんをリーダーに、2001年にグループが誕生し、2008年に第20回専門音訳古典コースの講師を佐久間かず子さんが務められ、現在は山中真理子さんと水野順子さんを中心に毎月例会を開催し、22人が活動しています。専門書の中でも人気の高い古典や漢文、歴史書などの製作に取り組んでいるほか、録音図書の推薦や蔵書製作にも取り組んでいます。最近は「日本藝能史六講」「申楽談儀」を音訳しました。 パソコンチーム  1999年、第12回専門音訳パソコンコースを受講した中本和代さんを中心に11人が毎月例会を開催。毎月2回発刊される『日経パソコン』を抜粋編集し、デイジー図書として製作しています。登録された利用者へ毎月貸し出され、サピエ図書館でもとても人気の高い雑誌です。 ボイスぷらす  2009年、第22回音声解説講習会を受講した那須由美子さんを中心に15人が活動し、毎月例会を開催しています。年に3回の「わろう座映画会」の音声解説CDをはじめ、貸出用の映画DVDの音声解説CDを製作しているほか、外部で開かれる上映会や演劇などの企画・製作にも取り組んでいます。最近の作品は「釣りバカ日誌6」「レナードの朝」です。 =========================== (表)毎日新聞大阪社会事業団「専門点訳・音訳講習会」25回の歩み  2013年2月末現在。 以下は、点訳・音訳の別・コース名=主な講師、修了者数の順  修了者数合計(Vセミナーを除く) 1,361人   第1回(1987年度)  点訳・外国語コース=森 泰雄、15人  点訳・理数コース=加藤俊和、15人   第2回(1988年度)  点訳・楽譜コース=岩鼻啓三、8人  点訳・外国語コース=森 泰雄、15人   第3回(1989年度)  点訳・数学コース=澤田祐子、9人  点訳・図表作成コース=清水ミエ子、20人   第4回(1991年度)  点訳・数学コース=澤田祐子、8人  点訳・図表作成 コース=清水ミエ子、10人  音訳・基礎コース=新井洋子、不明  音訳・英語コース=古谷穹子、15人  音訳・理数コース=久保洋子、13人   第5回(1992年度)  点訳・外国語コース=戸井美智子、14人  点訳・理数コース=澤田祐子、9人  音訳・図表コース=久保洋子 、24人   第6回(1993年度)  点訳・楽譜コース=岩鼻啓三、12人  音訳・英語コース=古谷穹子、9人  音訳・理数コース=久保洋子、11人   第7回(1994年度)  点訳・数学コース=澤田祐子、13人  音訳・図表コース=久保洋子、9人  音訳・東洋医学コース=片山一夫、20人   第8回(1995年度)  点訳・図コース=古谷豊子、9人  点訳・外国語コース=戸井美智子、10人  音訳・図表コース=久保洋子、11人   第9回(1996年度)  点訳・理数コース=澤田祐子、10人  音訳・東洋医学コース=片山一夫、12人  音訳・英語コース=古谷穹子、9人   第10回(1997年度)、,  点訳・東洋医学コース=与野福三、12人  音訳・東洋医学コース=片山一夫、12人  音訳・図表コース=久保洋子、12人   第11回(1998年度)  点訳・東洋医学コース=与野福三、10人  点訳・楽譜コース=森岡 章、14人  音訳・英語コース=古谷穹子他、17人   第12回(1999年度)  点訳・試験コース=疋田泰男、21人  点訳・数学コース=澤田祐子、12人  音訳・パソコンコース=久保洋子、18人   第13回(2000年度)  点訳・外国語コース=小原二三夫他、26人  点訳・触図コース=古谷豊子、20人  音訳・デイジーコース=岡村佳子、20人   第14回(2001年度)  点訳・表と科学記号コース=澤田祐子、15人  音訳・デイジーコース=岡村佳子、12人  Vセミナー=福島 智他、32人   第15回(2002年度)  点訳・楽譜コース=加藤俊和、15人  音訳・パソコンコース=中本和代、20人  音訳・東洋医学コース=片山一夫他、29人  Vセミナー=三宮麻由子他、350人   第16回(2003年度)  点訳・触知コース=小原二三夫、11人  音訳・パソコンコース=中本和代、16人  音訳・近代文学コース=工藤和子、19人  Vセミナー=福井哲也他、385人   第17回(2004年度)  点訳・古典近代コース=澤田祐子、12人  音訳・パソコンコース=中本和代、12人  音訳・英語コース=上田道子、10人  音訳・理数 コース=久保洋子、21人  Vセミナー=楊 雪元他、186人   第18回(2005年度)  点訳・理科系コース=小原二三夫、14人  音訳・デイジーコース=岡村佳子、25人  音訳・プライベートコース=安田知博、24人   第19回(2006年度)  点訳・数学コース=澤田祐子、7人  音訳・理数コース=久保洋子、7人  音訳・パソコンコース=中本和代、7人  音訳「コース=対面朗読・コース=久保洋子、13人  音訳・プライベートコース=安田知博   第20回(2007年度)   点訳・楽譜コース=北村多恵、12人  点訳・パソコンコース=木村謹治他、12人  音訳・東洋医学コース=片山一夫、14人  音訳・パソコンコース=中本和代、18人  音訳・古典コース=佐久間かず子、28人   第21回(2008年度)  点訳・算数コース=澤田祐子、10人  音訳・英語コース=上田道子、15人  音訳・音訳声解説コース=林 曠子他、34人  音訳・図表コース=久保洋子、14人  音訳・マルチメディアコース=久保田文、12人   第22回(2009年度)  点訳・英語コース=奥野真里、13人  音訳・マルチメディアコース=久保田文、10人  音訳・図表コース=久保洋子、8人  音訳・東洋医学コース=片山一夫、9人  音訳・音訳声解説コース=深田美智代ほか、36人   第23回(2010年度)  点訳・触知コース=小原二三夫、21人  音訳・マルチメディアコース=久保田文、10人  音訳・パソコンコース=中本和代、9人  音訳・古典コース=佐久間かず子、20人  音訳・図表  久保洋子・M名あきよ、15人   第24回(2011年度)  点訳・写真・図表コース=小原二三夫、21人  点訳・漢文コース=佐久間かず子、澤田祐子他、19人  音訳・東洋医学コース=片山一夫、15人  音訳・英語コース=上田道子他、13人  音訳・デイジー編集コース=浜本裕子他、15人   第25回(2012年度)  点訳・楽譜コース=加藤俊和、24人  音訳・古典コース=佐久間かず子、高梨智子、水野順子、山中真理子、11人  音訳・音訳声表現技術コース=久保洋子、前田綾子他、67人  音訳・デイジー編集コース=岡本 昇他、30人 =========================== ≪感謝報告≫  2013年1月分を別のファイルでお送りしております。 《報告のページ》 ○カンボジアとマレーシアから研修に来館  ダスキン愛の輪基金の第14期アジア太平洋障害者リーダー育成事業で来日中の視覚障害研修生2人が2月末から順次、視覚障害リハビリテーションセンターと当館で研修を行います。一人目はカンボジアのニヨン・シナさん(25歳、女性)で2月27日から3月16日まで。二人目はマレーシアのリム・ユーイーさん(28歳、男性)で3月25日から4月6日まで。それぞれライトハウスと近隣の施設でさまざまなサービスやプログラムを見学・体験します。当館では1週間前後研修しますので、お声かけやご協力をお願いいたします。 ○ボランティアの角谷宗一(かくたに・たかいち)さんがご逝去  児童点字図書製作グループ(児点図)代表の角谷宗一さんが1月29日、ご病気のため亡くなられました。享年88。直前までお元気で、翌日の来館を楽しみにされていた中での突然のご召天でした。児点図は1984年から当館で点訳活動を行っている協力団体で、角谷さんは、創立メンバーだった禮子夫人のご縁で1990年から2002年まで当館貸出係のボランティアをされ、奥様が体調を崩された2003年から児点図にご夫婦で参加。奥様が2005年に先立たれた後も活動を続け、2010年からは代表を務めて来られました。お二人の生前のご協力に心から感謝するとともに天上での平安をお祈り致します。 あゆみ 【2月】 6日 専門音訳講習会・音声表現処理技術コース1回目(13日:2回目) 7日 日盲社協点字出版部会研修会(〜8日) 8日 見学:大阪市視覚特別支援学校PTA 16日 オープンデー(館内見学) 予定 【3月】 7日 ボランティア友の会世話人会 8日 ボランティア友の会交流会(玉水記念館、情報文化センターは全館休館) 9日 近畿視情協職員研修会    オープンデー(館内見学、要予約) 12日 対面リーディングボランティア基礎講習会 15日 日本ライトハウス理事会(本部) 21日 専門音訳講習会デイジー編集コース(〜22日) 【4月】 14日 日本ライトハウス・チャリティコンサート(ザ・シンフォニーホール) 編集後記  『のぼうの城』をご存じですか?原作も映画も大好きで超オススメです。豊臣軍2万に対して500人で戦いを挑み勝利したという実話なんです。はなから勝ち目のないことにも真っ向勝負に出る。力の差が歴然の相手に嫌なものは嫌と言う。誇りと勇気を持って立ち向かう。熱くなる作品に、鬨(とき)を上げたくなります(頑張るぞ、おー!) (茂) =ONE BOOK ONE LIFE 2013年3月号= 発行  社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター 発行人 竹下 亘 住所  大阪市西区江戸堀1丁目13−2(〒550−0002)     TEL 06−6441−0015 FAX 06−6441−0095 発行日 2013年3月1日