「読書」目の見えないかた・見えにくいかたの情報誌  2021年3月号(第49巻第3号)  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター  電話(火から土曜日)  図書貸出 06−6441−0139  サービス全般 06−6441−0039  休業日 日・月・祝日、第2木曜日、年末年始・夏期  その他(総務)06−6441−0015  ◆もくじ  1.ひごばしニュース  2.便利グッズ紹介  3.お役立ち本棚  4.情報カフェ  ◆「緊急事態宣言」に伴うサービスの休止・縮小について  新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、当館のサービスは、大阪モデルの「赤信号」が「黄信号」に変わるまで、以下の通り、休止、縮小させていただきます。  ●休止  対面リーディングサービス  会議室貸出  ●縮小  図書貸出の電話受付は10時から15時  5階サービスフロアでの機器・用具の相談・購入は、事前予約の上、10時から15時(パソコンQ&Aとサピエサポートセンターの電話は16時まで)  ●来館時のお願い  @来館前に体温を測り、平熱よりも高い時や体調に不安のある時は来館をお控え下さい。  A来館時は、こまめな手洗いと手指消毒をお願いします。  Bマスクの着用をお願いします。  C出来るだけ少人数でのご来館と短時間の滞在をお願いします。館内では他のかたと1m以上距離を空け、大きな声をお控え下さい。  ◆3月の休館について  3月11日(第2木曜)=5階サービスフロアと図書貸出は休室(書庫・在庫整理日)。  3月20日(土、祝)=全館休館。  3月31日(水)=5階サービスフロアは休室(年度末棚卸し)。  1.ひごばしニュース  ◆「読書バリアフリー法」〜すべての都道府県での計画策定に向けて  館長 竹下亘  「読書バリアフリー法」(以下、読書BF法)が2019年6月に成立・施行してから、まもなく2年が経とうとしています。  読書BF法は、正式名称を「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」と言い、「障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現」を目指すものです。  特に評価されるのは、第2条の定義で、対象書籍を「特定書籍」(アナログの点字図書や録音図書など)と、「特定電子書籍等」(アクセシブルな電子書籍やパソコン点訳、デイジー音声図書など)の2種類としたこと。そして、第3条の基本理念に、@特定電子書籍等の普及と特定書籍の提供の継続、A(両書籍の)量的拡充と質の向上、B障害の種類と程度に応じた配慮、を明記したことです。  つまり、読書BF法では、手作りの一点物の図書もデジタル図書と等しく位置付け、読書に困難を持つかたの必要性や要望に合わせた製作・提供を行うこと。言い換えれば、当事者自身によるメディアの選択の自由が保障されているのです。  読書BF法の推進に向けては、全視情協を含む関係16団体の5回に渡る協議と、パブリックコメント(意見公募)を経て、昨年7月、国の「基本計画」が公表。続いて10月、行政機関の「当面の取組」が発表され、今春から具体的な取り組みが進められようとしています。  その中で目立つのは、厚労省と文科省による点字図書館とサピエ図書館、公共図書館等への支援と連携の推進です。特に厚労省からはサピエのサーバの強化に予算が付くとともに、全視情協が負担している運営費の補助金が増額され、これは大変ありがたいことです。  他方、最大の問題は、読書BF法で一番の目標だったアクセシブルな電子書籍の普及の取り組みが足踏みしていることです。これについては法律の条文に、次の3項目を進めることが明記されています。  @出版者によるアクセシブルな電子図書の出版・販売、A原本購入者に対するテキストデータの提供、B点字図書館等、製作団体に対する原本データの提供。  ところが、現時点で、これらの目標は調査・検討課題に止まっており、実現が危ぶまれる状態です。  さらに、懸念されるのは、読書BF法を具体化する予算としては、地域生活支援事業の「地域における読書バリアフリー体制強化事業」と「障害者ICTサポート総合推進事業」しかないということです。  地域生活支援事業は地方自治体が予算化しない限り、実施されません。そのため、全国でどれだけの自治体で実施されるか、実施されるとしてもどれだけ予算が付くか、実際に有用な事業が行われるかどうか、まったく楽観できません。  そんな中、私が注目しているのは、「当面の取組」で厚労省の目標に掲げられている「都道府県等への計画策定の働きかけ」です。この狙いは、都道府県に「読書バリアフリー計画」の策定を促し、市町村がそれに続くことで、地域における視覚障害者等の読書環境の向上を図ろうというものです。  本来、読書BF法を推進するには、国の予算で全国一律の取り組みが行われることが理想ですが、当面、それが望めない以上、やむを得ません。  ぜひ皆さんも、お住まいの都道府県や市町村でより良い「読書バリアフリー計画」が策定されるように関心を持ち、パブリックコメントがあれば意見を寄せるなど、働きかけて下さるようにお願いいたします。  ◆堀内佳美(ほりうち よしみ)さん講演会、盲導犬50周年フェスタをオンライン配信  当館のボランティア交流会「堀内佳美さん講演会」と、当法人の「盲導犬育成事業50周年記念フェスタ」をインターネット(YouTubeライブ)で公開します。  ●堀内佳美さん講演会  タイ王国で図書館運営や教育支援に取り組んでいる堀内さんのお話を聴きます。  緊急事態宣言のため、開催日を延期し、3月11日(木)14時30分頃から開始の予定です。ご視聴は、次の当館ホームページからどうぞ。 http://www.lighthouse.or.jp/iccb/  ●日本ライトハウス盲導犬育成事業50周年記念フェスタ  3月13日(土)11時から16時、シェラトン都ホテル大阪で開催。  「オーストラリアと日本の盲導犬の育成状況と展望」についてのトークイベント、ヴァイオリニスト川畠成道(かわばた なりみち)さんの演奏や桂文太(かつら ぶんた)さんの落語など。ご視聴は、次の当法人のホームページからどうぞ。 http://www.lighthouse.or.jp/  2.便利グッズ紹介  お申し込み・お問い合わせは、サービス部(電話06−6441−0039)まで。  ◆続々登場!音声拡大読書器  サービス部長 林田茂  音声拡大読書器とは、印刷物などをカメラやスキャナーで読み取り、文字情報をテキスト化して、合成音声で読み上げる読書器のことです。従来の拡大読書器のように、画面に拡大して映せる物もありますが、基本的には耳で内容を確認します。カメラの性能が上がり、文字の認識率と合成音声の読み上げ機能は日々進化しています。そんな音声拡大読書器をジャンルに分けて紹介させていただきます。  ●カメラ型(オムニリーダー、快速よむべえ、クリアリーダープラス、スマートリーダーHD)  カメラ型は小型で、場所を選ばず、持ち歩くことができます。「パシャッ」と写真を撮るようにスイッチを押すと、しばらく待てば読み上げがはじまるという簡単な操作が魅力です。ただし、少し離してカメラで撮るので、光の加減や読ませるモノに折り目や膨らみなどがあると、正しく認識できないこともあります。  ●スキャン型(よみあげ名人、よむべえスマイル)  スキャン型は、スキャナーで読み取るため、読み取りの精度はとても良いように思います。「よみあげ名人」は、パソコンの基本操作を習得することが必要で、「よむべえスマイル」はスキャナーと操作盤が一体なので、パソコンは不要です。  ●OCRソフト(MyRead7、らくらくリーダー2)  パソコンを日常的に使用していて、スキャナーで読み取ったデータをパソコンで編集出来るかたには便利です。  ●アプリ型(OCR-pro、EnvisionAI、Seeing AI、Sullivan+)  iPhoneやiPadのアプリからも目が離せません。読み上げ機能と合わせて多くの機能を備え、高性能のカメラを生かして、バージョンアップを続けています。 アプリにはイメージ描写(風景を説明する)、色や明るさなどを伝える機能があるものもあります。 Seeing AI、Sullivan+は無料です。  ●ウェアラブルデバイス型(エンジェルアイ・スマートリーダー、オーカムマイアイ2、オーカムマイリーダー2=読み上げ機能のみ)  この2機種は、メガネに取り付けたライターほどの小さな機器を、指で操作して写真を撮ると、文字を読み上げてくれます。外出先でも使用でき、目線をあわせて認識させることができるのもメリットです。  「エンジェルアイ」は、手元がズレていると「もう少し上へ」などと言ってくれます。「オーカム」は、時計機能や顔認識など便利な機能がありますが、高額な点がハードルになっています。同じような機器に、オトングラス、エンビジョングラスなどもありますが、こちらはインターネット環境が必要です。  最後に、携帯型の拡大読書器「コンパクト10スピーチ」には、従来の拡大機能にOCR機能が搭載されていて、目と耳で確認できます。  このように音声拡大読書器にはたくさんの種類が登場していますが、全体的に言えるのは、新聞のような段組の文書や、レイアウトが複雑な文書、デザインされた文字や手書き文字、イラストなどが含まれると正しく認識できなかったりします。繰り返し読み込みをすると、読みかたが変わったりすることもあります。6割から8割ほどの内容がわかるというぐらいの感覚で使うほうがストレスも少ないのではないかと思います。  使いかたのコツをうまく掴んでいけば、手軽に情報を得る有効な手段だと思います。関心のあるかたは、まずご自分の読ませたい“モノ”をご持参いただき、体験されることをオススメします。  なお、YouTubeの「ニポラチャンネル」では、「音声拡大読書器」@からCで、各種類の使いかた、読み上げかたを視聴していただけます。  (1)商品情報  ◆セイコー音声腕時計・新モデル  セイコー製音声腕時計の新モデルが出ました。本体は円形で、スポーツシーンにも使いやすいデザイン。4時の方向の側面に音声ボタンがあり、現在時刻を音声で知らせてくれます。  ストップウォッチ機能、アラーム機能、時報付きです。色はシルバー、ブラック、ホワイトの3色です。ブラックとホワイトはベルトの素材がシリコンバンドとなります。  当館に見本もありますので、お問い合わせ下さい。また、取扱説明書は墨字と点字です。点字版をご希望の場合は、お申し込み時にお知らせ下さい。価格17,000円(税込)  ◆ジオム社製「ポケッタブルケーン 2」  軽金属製、4段の折りたたみ式白杖です。シャフト部分は丈夫で、耐久性に優れ、グリップ部分は細く、軽量化されています。  長さは約5cm刻みで、87cmから147cm。収納ケース付き。石突きもストレートのスタンダードタイプの他、ローラーやマシュマロタイプから選ぶことが可能です。  当館に見本もありますので、ぜひ実際に手に取ってお試し下さい。価格6,000円(非課税)  ※上記はスタンダードタイプの場合です。石突きを変更した際の価格や補装具申請をご希望の場合はお問い合わせ下さい。  ◆入荷待ち、品薄商品のお知らせ  コロナ禍の影響により、拡大読書器、デイジープレイヤー、白杖、点字タイプライターなど、一部の商品が入荷待ちや品薄状態となっています。どうかご容赦下さい。  ◆お試し用・低倍率の眼鏡型ルーペ等のご紹介について  「100均(ひゃっきん)」や文具店など、身近なお店で購入できる低倍率の眼鏡型ルーペやシート型ルーペを、サービスフロアでもお試しいただけるようになりました。倍率は2倍前後です。見本のみで、販売はしていません。お試しご希望の場合は、お問い合わせ下さい。  ◆「日本ライトハウス展2020」期間限定販売は3月末まで  サービスフロアでは、オンライン企画「日本ライトハウス展2020」の開催に合わせて、ユニバーサル財布やロービジョンウォッチなどを数量限定や限定価格で販売しています。期間は3月末まで。  商品の詳細は、サービス部までお問い合わせいただくか、以下の当館ホームページからご覧下さい。 http://www.lighthouse.or.jp/iccb/shops/index_shops/index_items/nichira2020/  (2)講習会・体験会情報  ◆パソコンや電子機器の個人講習受付再開のお知らせ  緊急事態宣言発出に伴い、ながらく停止しておりました視覚障害スタッフによるパソコンやiPhone・iPadなど情報機器の操作方法の有料個人講習を3月3日(水)より再開いたします。  講習は1コマ90分で2000円で予約制です。ご希望の場合は、サービス部まで電話でお申込みください。  3.お役立ち本棚  お問い合わせ・お申し込みは、貸出窓口(電話06−6441−0139)までご連絡下さい。  ◆お役立ち目録「将棋」  今月号では、将棋を題材にした小説や棋士のエッセイなどの本を集めました。目録は点字版、デイジー版、墨字版があります。ご希望のかたには無料でお送りします。  ◆「センバツ2021(抜粋版)」デイジー版を貸し出します  音訳ボランティアグループ「グループN-BUN」(エヌブン)製作の標題書を貸し出します。  今年の第93回選抜高校野球大会の雑誌「センバツ2021」と、日本高等学校野球連盟のホームページから抜粋した試合の組み合わせ表、日程などを音訳したデイジー版になる予定です。  ご希望のかたは図書貸出係までお申込み下さい。3月19日(金)以降、お申し込みいただいたかたに順次お送りします。  4.情報カフェ  ◆大阪フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会にご招待  大阪フィルハーモニー交響楽団では、4月23日(金)19時から北区のフェスティバルホールで行われる定期演奏会に当館の利用者5組10人をご招待します。  今回は、尾高忠明(おたか ただあき)の指揮、大阪フィルハーモニー合唱団の合唱で、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」、モーツァルトの「ミサ曲ハ長調『戴冠式ミサ』」他を演奏。  お申込みは必ず郵便で、住所、氏名、電話番号、点字プログラム希望の有無を明記し、3月16日(火)までに当館大フィル係(〒550−0002大阪市西区江戸堀113−2)までご応募下さい。  結果発表は招待券の発送(3月19日の予定)をもって代えさせていただきます。  ◆関西電力からのご案内  いつもご愛顧いただきありがとうございます。さて、近頃、関西電力を装い、コロナウイルス感染症を理由に、個人情報を聞き出そうとする事象等が発生しております。十分にご注意いただきますようお願いいたします。