「読書」 目の見えない方・見えにくい方の情報誌  2018年1月号(第46巻 第1号)  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター  電話  図書貸出 06−6441−0139  サービス全般 06−6441−0039  その他(総務) 06−6441−0015  (火〜土曜日の10時〜17時)  休館日 日・月・祝日、年末年始・夏期  ◆もくじ  1.ひごばしニュース  2.便利グッズ紹介  3.お役立ち本棚  4.情報カフェ  ◆1月の休館について  1月5日(金)=仕事始め  1月6日(土)=サービス再開。通常、図書貸出は8日(月曜指定祝日)の振替休館となりますが、今回はサービスを行います。  1.ひごばしニュース  ◆新年のご挨拶〜人と人とのつながりを大事にする一年に  館長 竹下亘  謹んで新年のお慶びを申し上げます。皆さまの日頃のご利用とご支援に感謝するとともに、本年が皆さまにとってより良い年となりますようにお祈り申し上げます。  さて、本年はヘレン・ケラーが亡くなって50年となります。当法人ではこれを記念して、11月23日(金・祝日)と24日(土)、大阪市中央公会堂で「ヘレン・ケラー女史と岩橋武夫〜女史没後50年を記念して」と題した行事を開催することになりました。  ヘレン・ケラーは1880年6月27日、米国アラバマ州に生まれました。1歳7ヶ月で髄膜炎により全盲ろうになりましたが、6歳の時、家庭教師に迎えたアン・サリバン(当時20歳)の教育により再び「言葉」を獲得。サリバンの全身全霊を傾けての介助の下盲学校、聾学校、ハーバード大学女子部に学び、卒業後はさまざまな社会活動を行いました。54歳の時、当時36歳の岩橋武夫がヘレンを訪ねて、友情を深めるようになり、彼の強い求めに応えて、1937年(昭和12年)初来日。岩橋と共に全国を講演して回り、視覚、聴覚をはじめとする障害者に生きる自信を奮い起こすとともに社会に障害者理解と支援を訴えました。さらに1948年(昭和23年)、岩橋を助けるため再び来日し、全国キャンペーンを展開。それが1949年、わが国初の身体障害者福祉法の施行をもたらしました。岩橋が56歳で亡くなった翌年1955年(昭和30年)には彼を追悼するため三度来日。そして、50年前の1968年(昭和43年)6月1日に87歳で逝去しました。(二人の長年に渡る深い交流は、当法人90周年の記念出版「往復書簡〜日本の障害者福祉の礎(いしずえ)となったヘレン・ケラー女史と岩橋武夫」(点字版、デイジー版あり)に詳しく記されています。)  ヘレン・ケラーと言えば、盲ろう唖の障害を克服した「聖女」と賞賛されたり、本来サリバンを指した「奇跡の人」がヘレンの肩書に誤解されたりしていますが、ヘレンの人生はそのような美辞麗句では語り尽くせないほど豊かで、深いものであり、その活動が今日の世界にもたらした影響は計り知れないものがあります。  本年の記念行事では、ヘレンと岩橋の歩みと交流を振り返るプログラムや、二人と縁のある多方面の関係者による発表やシンポジウムなどを通して、ヘレン・ケラーと岩橋武夫が残したものと、今日、私たちが受け継ぎ、さらに発展させるべきものを明らかにし、皆さんと共有したいと願っています。  この度、私も改めてヘレン・ケラーの自伝(22歳と49歳の時に書いたもの。岩橋武夫訳「わたしの生涯」などとして出版)を読み返してみました。そこで再認識したのは、ヘレンが指文字(片手でアルファベット26文字を表し、手のひらに文字を綴る方法)を中心とするコミュニケーション手段により、多くの人々と交流し、指文字と点字と浮き出し文字で古今東西の書物に親しみ、また例えばシカゴ万博では3週間にわたり、ありとあらゆる展示物を「むさぼるように」触察するなど、外界のあらゆるものを視聴覚以外の感覚を駆使して感じ取り、理解し、非常に豊かな知識と感受性を育てていったということです。  中でも感動を覚えたのは、ヘレンが6歳で「ウォーター(水)」という言葉を取り戻したことに始まり、物の名前をどんどん覚えていく過程で、突然「真理」を発見するエピソードです。へレンがサリバンにスミレを摘んで渡すと、サリバンはヘレンを抱き寄せ、手のひらに「ヘレンのことを愛しているわ」と綴ります。そこから「愛」とは何かという会話を交わす中で、ついにヘレンは感じ取ります。「その瞬間、美しい真理が、私の脳裏にひらめいた−私の心とほかの人の心は、見えない糸で結ばれているのだ、と。」(小倉慶郎(おぐら・よしろう)訳)。  このようにヘレンの成長を導き、その人生を支えたのは、人と人とのつながりでした。言い換えれば、指文字や点字などによる人と人とのコミュニケーションなしにヘレン・ケラーの人生はありませんでした。今年はこの当たり前のことを心に刻み、人と人とのつながりを大事にして、引き続き「情報共有社会」の実現を目指していきたいと思います。  2.便利グッズ紹介  お申し込み・お問い合わせは、サービス部(電話06−6441−0039)まで。  (1)商品情報  ◆凸面点字器「トツテンくん」  凸面の、読む形の点字を書くことができる4行26マスの携帯型点字器です(発売元=読書工房)。点字サイズが通常の1.2倍のLサイズ。初心者の方でも使いやすくなっています。テープガイドを使って12mm幅のテープにも点字が書けます。点筆付き、ケース入り。色は緑、黄、ピンク、青、白の5色。価格は1,500円(税込)。  ◆ワープロソフト「MyWord(マイワード)7」発売  日本語ワープロソフトMyWordが新しくなりました(発売元=高知システム開発)。世界標準の文字規格であるユニコードに対応し、Microsoft Wordの文章形式docxにも対応しました。また、医療関係で利用される特殊な用語が、外字に頼ることなく、きれいなフォントで印刷することができます。その他、絵文字や特殊記号が含まれたテキストやHTML文書を閲覧することも可能です。  なお、MyWord7を使用するには、PC-Talker7 III以降のバージョンが必要です。  価格はDVD版64,800円(税込)、ウェブ版62,640円(税込)。  ◆販売終了のお知らせ  振動を骨に伝えて音を聞く骨伝導(こつでんどう)ヘッドホン「PCボーンアクア」(発売元=ゴールデンダンス)は、販売終了となりました。ご了承下さい。  (2)講習会情報  参加ご希望の方は、事前にご予約をお願いします。参加費は記載がない限り無料です。  ◆2月のICTサロン〜ファッションコーディネイトサポートアプリ体験会  iPhone、iPad用のファッションコーディネートサポートアプリ(FCS)は、ご自身がお持ちの服を撮影して、コーディネートを登録するものでしたが、この度、iPhone7でiOSが11の環境であれば、洋服に付けたICタグにiPhoneやiPadをかざすと、その服の色や柄、コーディネートなどを音声で読み上げてくれるようになりました。  この体験会では、デモ機のiPhone7を使用して、実際にアイテムの確認や収納管理などを体験していただく予定です。講師は、開発元のコネクトドットのスタッフが担当します。  日時 2月24日(土)14時〜16時30分  場所 当館4階会議室  定員 20人(先着順)  なお、1月のICTサロン(ブレイルメモスマート体験会およびiPhone体験講習会)も定員に空きがある場合は受け付けます。定員に達した場合は、キャンセル待ちでの受付となりますので、ご了承下さい。  ◆プレクストーク関連講習会  @プレクストークリンクポケット初心者体験会  リンクポケットは、「サピエ」の録音図書をダウンロードして、気軽に読書を楽しむことができる小型の録音再生機です。持ち運びに便利な大きさなので、自宅だけでなく外出先でも自由に聞くことができます。この体験会では、実際に「サピエ」に接続し、図書を検索、再生する操作を中心に行います。「サピエ」を利用したことがない方、操作にお困りの方も、ぜひこの機会にご参加下さい。  日時 1月20日(土)か2月15日(木)10時30分〜12時30分  場所 当館4階会議室  定員 各回4人(先着順)  AプレクストークポータブルレコーダーPTR3体験会  シナノケンシ株式会社から発売予定のプレクストークポータブルレコーダーPTR3の基本操作体験会を行います。PTR3は、パソコンを使わずにインターネット上の図書館「サピエ」から、デイジー図書の検索や再生、ダウンロードができる卓上型デイジー録音再生機です。体験会では、実際に「サピエ」に接続し、図書を検索、再生する操作、簡単な録音操作を中心に説明します。  日時 1月20日(土)か2月15日(木)13時30分〜15時30分  場所 当館4階会議室  定員 各回5人(先着順)  ◆パソコンや電子機器の操作方法の個人講習について  サービスフロアでは、視覚障害スタッフがパソコンやiPhoneやiPadなど情報機器の操作方法の個人講習を行っています。予約制で料金は2時間2,000円です。音声ソフトの使い方が分からない、iPhone・iPadの機能を知りたいなど素朴な疑問にもお答えします。ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。  3.お役立ち本棚  お問い合わせ・お申し込みは、貸出窓口(電話06−6441−0139)までご連絡下さい。  ◆お役立ち目録「お金について考える」  「お金」についてさまざまな視点から考えた本をご紹介します。投資、保険、相続など、気になるテーマが見つかるかもしれません。目録は点字版、デイジー版、墨字版があります。ご希望の方には無料でお送りします。  4.情報カフェ  ◆注目の講演会が相次いで開催  新春、当館で以下のような講演会が行われます。関心のある方はぜひご参加下さい。  ●日本点字図書館・長岡英司(ながおか・ひでじ)館長講演会=1月25日(木)13時30分〜16時頃、当館4階会議室で開催。近畿視情協の2017年度職員研修会として、今年度から日本点字図書館の館長に就任された長岡さんの講演会を行います。会員外の方は参加費500円。参加希望者は、近畿視情協事務局(電話06−6441−0015、当館内)にお申し込み下さい。  ●福島令子(ふくしま・れいこ)さんと守田稔(もりた・みのる)さんの講演会=2月24日(土)午後、当館4階会議室で開催されます。盲ろうの東京大学教授福島智(ふくしま・さとし)さんの母親で、親子で指点字を考案した福島令子さんと、日本で初めて視覚障害者として医師国家試験に合格した精神科医の守田稔さんが講演します。詳しくは本誌次号でご案内します。  ◆関西電力からのご案内  いつもご愛顧いただきありがとうございます。  さて、昨年4月より大阪ガスエリアにて関電ガスの販売を開始しております。関電ガスの「なっトクプラン」なら、大阪ガスの一般料金に比べ使用量にかかわらずおトクになります。  さらに電気セット割引・早期契約割引でもっとおトクになります。詳しくは0800−777−5800までお問合わせください。