日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2023年4月号   <<表紙イラスト>> チューリップ畑に女性と眼鏡をかけた男性が立っています。女性は「春だねぇ」と一面に咲いたチューリップを見て、眼鏡の男性と一緒に春の訪れを喜んでいます。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2〜4頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆ぜひ一度、ボランティア交流会にご参加下さい  当館に登録・活動いただいているボランティアは500人を超えます。けれども活動場所が館内かご自宅か、活動内容が点訳、録音、対面、電子書籍、館内作業等々の別によって、ボランティア同士はもちろん、職員とも面識のない方々が少なくないと思います。当館が1979年の開館以来、毎春行ってきたボランティア交流会は、そうしたボランティアと職員間の交流を深めることが主要な目的です。特にこれまで参加されたことのない方は気後れがあるかと思いますが、ぜひ一度お顔を出してくださいませんか。  今年度(2022年度)のボランティア交流会は、4月28日(金)13時〜16時15分、当館から徒歩数分の玉水記念館大ホールで開催します。活動歴20年・30年以上のボランティアへの感謝状贈呈と友の会総会、バザーの他、記念講演では、戦災で両手と両目の視力を失いながら、点字を唇で読むことを習得して人生を切り開き、より良い社会の実現に打ち込んで来られた藤野高明(ふじの たかあき)さんから貴重なお話しを伺います。  また、友の会の活動費捻出のためのバザーも4年ぶりに開催。お買い得品が多数出品されます。参加申込みは、4月15日(土)までに総務係(電話06-6441-0015)までどうぞ。  ◆全国の「相談・体験可能な施設・団体」を公開  エンジョイ!グッズサロンでは、視覚障害者向け機器や用具を取り扱っている全国の施設・団体にアンケート調査を実施。調査結果をもとに、施設名、地域、電話番号、メール・ホームページアドレス、取り扱っている機器や用具などをまとめてホームページで公開しました。  ご覧いただくには、当館のホームページ(http://www.lighthouse.or.jp/iccb/)を開き、「ニポラチャンネル」のページに進むと、「全国の相談・体験可能な施設・団体一覧」がご覧いただけます。  ◆4月の休館・休室について  4月13日(第2木曜)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は書庫・在庫整理日のため休室。  4月28日(金)=ボランティア交流会のため製作部は一部休室。休室状況については各係へお問い合わせください。  4月29日(土)=祝日のため全館休館    <<センターの頁>>(2頁〜4頁)   ●視覚障害者の自己実現と社会参加、文化の発展を目指して   日本ライトハウス創業100周年記念式典に600人がご参加  当法人では、日本ライトハウス創業100周年記念式典・記念行事を3月3日(金)午後、新大阪のメルパルクホール大阪で挙行しました。当日は利用者やボランティア、支援者や全国の福祉関係者、行政機関の代表など約600人が参加され、沢山のお祝いと激励を頂戴し、利用者と職員の意見発表などに熱心に耳を傾けてくださいました。(館長 竹下 亘、点字製作係主任 奥野真里)  ◆支援者・利用者の代表に感謝状を贈呈  記念式典では、まず橋本照夫理事長が「(運営の困難に直面する中)創業当時の初心に戻り、先達の築いてきた理念を踏襲し、視覚障害児・者の徹底した自己実現と社会参加を遂げていくことを目標に支援を展開していきたい」と開会挨拶。続いて、瑶子女王殿下をはじめ、厚生労働大臣、大阪府知事、大阪市長、視覚障害者福祉施設の全国団体や視覚障害者の全国組織の代表から祝辞を賜り、日本ライトハウスの100年間の実績への評価とともに、今後さらに福祉事業を前進させるようにとの激励を頂きました。  続く感謝式典では、法人の諸事業をご支援くださっている54人・団体の方々に感謝状を贈呈。当館からはボランティアと利用者、そして長年ご支援いただいている団体の代表として、以下の皆様(50音順)に感謝状を差し上げました。 ◆感謝状を贈呈した皆様  館内作業ボランティア 板波キミ(いたなみ きみ)様  点字製作ボランティア 澤田祐子様  録音製作ボランティア 東 佳子(ひがし よしこ)様  対面リーディングボランティア 森田幸子様  エンジョイ!グッズサロン利用者 赤堀浩敬(あかほり ひろのり)様  図書・情報サービス利用者 岡本良和様  親切会関西支部(朝野順男(あさの じゅんお)支部長)  全国PHP友の会関西エリア本部(片岡明夫本部長)  (公財)一ツ橋綜合財団(相賀昌宏(おうが まさひろ)理事長)  (公財)毎日新聞大阪社会事業団(丸山雅也支部長)  (社福)読売光と愛の事業団(水田邦雄理事長)  式典では、この後、第40回岩橋武夫賞の贈呈式(シロアム視覚障害者福祉会チェ・ドンイク氏、次頁に掲載)と、当法人のチャリティコンサートでお馴染みのヴァイオリニスト川畠成道(かわばた なりみち)氏の記念演奏が行われ、華を添えていただきました。 (写真=感謝状をお贈りしたボランティアや支援者の皆様。舞台の上に並んで立っている。)  ◆101年目から目指すべき目標や課題を検討  第2部の記念行事「Go Forward!101年目からの日本ライトハウスに求められるもの」では、橋口勇男専務理事が法人の「100年の歩み」を紹介した後、法人4施設の利用者4人と職員4人によるシンポジウムを実施。利用者から視覚障害者等の自己実現と社会参加と文化の発展を進めていくために求められるものは何かを伺い、職員との意見交換を通して、101年目から日本ライトハウスが目指すべき目標や課題の掘り下げと共有を図りました。  看護師在職中に失明し、視覚障害リハビリテーションセンター(以下「リハセン」と略)で自立訓練と就労移行支援を利用した中島千恵さんは、まったく自身の価値を見いだせず、ずっと心を閉ざしていたが、職員が一対一で寄り添い、話を聴き、中島さんと社会を繋いだことで、前に進み出せるようになった経験を語り、今は看護師の経験を活かし、視覚障害について医療関係者に知ってもらう講演を行うなど、精力的に活動していることを発表。当事者に寄り添う姿勢の重要性とともに、施設の支援が個々の視覚障害者に行き渡るように、眼科・医療と福祉の連携をもっと進めてほしいと訴えました。  高校の数学教師だった西尾淳(にしお あつし)さんは定年後、再就職を目指して職業訓練部に在籍しています。しかし、就職活動に取り組む中で、「視覚障害者はなにもできない」と誤解している社会の厚い壁を痛感していると語り、これまでリハセンで積み上げてきた視覚障害者の就職の成功事例をまとめて公開し、訓練生の参考にするとともに、世間の偏見を取り除くために、社会に広く公開してほしいと訴えました。  また、リハセンに入所している重複障害の利用者の“声”として、後見人の方からのメッセージが紹介されました。ライトハウスと繋がって利用者の感情が安定し、心身ともに健康維持ができていることが評価された一方、今後、コロナの感染対策が緩和された後は、利用者の行動の制限緩和や、社会に開かれた施設の運営に努力するようにという要望が語られました。  情報文化センター(以下「情文」)利用者の山岸蒼太(やまぎし そうた)さんは、子どもの頃からボランティアに依頼して、製作された点字資料やテキストデータをはじめ、点字ディスプレイやパソコンをフルに活用し、学習や研究を行ってきた経験を元に、情報アクセスについて提言。高齢化等によりボランティアが減少する中、特に教科書・教材支援や国・自治体の広報物といった情報保証されるべき資料の製作には、それに見合う対価が支払われても良いのではないか。また、情報機器や外出支援アプリなどの情報を収集・整理し、その情報を施設から発信して、利用者と社会とを繋いでいくことも必要だと指摘しました。  また、会場から発言した盲導犬利用者の池田純さんは「42年間、盲導犬と歩くことで安心・安全に外出し、社会参加することができた」と経験を語り、盲導犬のさらなる普及を訴えました。 (写真=メルパルクホールの舞台とシンポジスト)  ◆利用者の求めに応えて、施設と社会の変革を  シンポジウム後半では職員が発言。リハセンの市川としみ職員は、先輩職員から教わった専門技術や知識の重要性を語り、「これからは自分たちが後輩に継承し、次の世代に繋いでいく必要がある。そして利用者が社会に一歩を踏み出す一助を担っていきたい」と述べました。  職業訓練部の福田香絵(ふくだ かえ)職員は、社会で視覚障害について理解されていないことがまだまだ多い中、職員が啓発活動に励む必要があることを認め、西尾さんの「就職事例の整理・公表」の要望も受けとめていきたいと語りました。  また、リハセンで重度障害者の支援を担当している徳永愛子職員は、視覚だけでなく障害の重複化、利用者の高齢化が進んでいる今、本人がこれまでの生活に溶け込む形で施設に入所し、安心・安全・快適に過ごしてもらえるよう、開かれた施設を目指していきたいと語りました。  情文の林田茂職員は、「今後、ボランティアのあり方を見直すとともに、ICT技術の活用も重要になるだろう」と発言。施設から利用者にさまざまな機器やアプリのメリット・デメリットを伝えて選択してもらうことの重要性や、眼科、役所、企業、ボランティアなどに広く情文の取り組みを発信し、ネットワークを広げ、社会の理解・環境を変えていく必要があると今後の展望を語りました。  司会の竹下はまとめとして、「現在、当法人の経営が非常な困難に直面する中、単独で視覚障害者の自己実現や社会参加を進めることは困難であり、全国の関係施設や支援者、当事者と連携して社会を変えていくことを目指したい」と呼びかけ、シンポジウムを閉じました。  こうして100周年記念事業は無事に終わりましたが、既に創業101年目に入った今、私達は過去の遺産や伝統にしがみつかず、新たな一歩を踏み出さなければなりません。私達は常に心を新たにし、視覚障害者が直面する課題に向き合い、その声に耳を傾けて前へ進みたいと思います。   ●第40回岩橋武夫賞をシロアム視覚障害者福祉会のチェ・ドンイク氏に贈呈  日本の障害者福祉は、岩橋武夫の招請に応えてヘレン・ケラーが1937年と1948年の2度に亘り来日し、全国行脚を行った結果、基礎が築かれました。また、岩橋武夫はアジア・太平洋地域に対する戦争責任の反省から「アジア盲人福祉会議」(1955年、東京)の実現に尽力しました。当法人では、こうした国際協力の精神を継承するため1974年、早川徳次遺徳顕彰会と共に岩橋武夫賞を創設。アジア・太平洋諸国等で視覚障害者の教育やリハビリテーション、福祉事業などに活躍・貢献した方々を毎年顕彰してきました。  今回、第40回岩橋賞をお贈りしたのは、韓国ソウルのシロアム視覚障害者福祉会常任理事、兼シロアムインターナショナル副会長のチェ・ドンイク(Choi DongIc)氏で、ウガンダ、タンザニアへの教育支援とミャンマー、フィリピン、ベトナムへの情報化支援事業を推進している功績を讃えたものです。氏は1962年生まれ。ソウル盲学校を卒業し、崇實(スンシル)大学と大学院、ミシガン大学などで社会福祉やキリスト教の牧会学を修めた後、シロアム視覚障害者福祉館館長、韓国視覚障害者連合会会長、大韓民国国会議員を歴任。国会議員時代には世界唯一と言える「韓国点字法」の制定に多大な貢献をされました。  チェ氏は受賞挨拶で、岩橋賞の贈呈は「思いも寄らない奇跡」だと感謝し、「アジアやアフリカを行き来しながら、彼らより良い環境で暮らしている自分がどれだけ幸せなのかを改めて感じます。また、そうした人々に対しては、自分は負債を感じ、いつも申し訳ない気持ちになります。どこで生まれたかが人間の暮らしのクオリティーを決めるこの世界で、私たちが“地球村での一つの家族”と真に言える日はいつになったら来るのでしょうか」と訴えました。  シロアム視覚障害者福祉会と当法人は姉妹提携をしており、福祉館と当館も長年交流しています。これからもシロアムの活動に学びながら親交を深めていきたいと思います。 (写真=岩橋武夫賞受賞に言葉を述べるチェ・ドンイク氏)   ●報告の頁(8頁)  ◆「バリアフリー2023」で「目のコーナー」を開催  当館では、今年もインテックス大阪で開かれる高齢者・障害者の総合福祉展「バリアフリー2023」で、「目の見えない方・見えにくい方のための展示コーナー」を開催します。日時は4月19日(水)から21日(金)の10時から17時。会場は大阪メトロ南港ポートタウン線・中ふ頭駅から徒歩5分のインテックス大阪。入場無料です。  今回の出展は16社。この展示会の「ガイドブック」の点字版、音声デイジー版、大きめの活字版、Eメール版を無料でお送りします。4月8日(土)までにお申し込みいただければ、事前に発送します。お申し込みは、エンジョイ!グッズサロン(電話06-6441-0039)までどうぞ。  ◆当館北側横断歩道のエスコートゾーンが再整備  当館北側の横断歩道に敷設されながら、自動車の通行で大部分が剥がれ落ちていたエスコートゾーンがこのほど敷き直されました。当館周辺では、2015年に当館から淀屋橋駅4番出口までの土佐堀通り南側に点字ブロックが敷設されたのを皮切りに、エスコートゾーンは2017年に当館北側、2018年に当館東側の横断歩道に設置されました。これは、利用者の濱田昭二さんと支援者の働きかけで実現したものです。  また、鶴見区の視覚障害リハビリテーションセンターと最寄り駅の放出駅を結ぶルートの点字ブロックの整備も2年がかりで完了しました。これは、同センターの利用者だった小林由紀さんが支援者の協力を得て大阪市に働きかけた結果、実現したものです。2021年9月に白線の引き直し、2022年2月に交差点への点状ブロック設置が行われ、3月初めにリハセンから南西へ5区画分の道路の歩道に線状ブロックが敷設されました。これにより、元々設置されていた放出駅前も含め全体の3分の2程度の距離に点字ブロックが設置されたことになります。  視覚障害者の安心安全な歩行環境を実現して下さったお二人に心から感謝したいと思います。  ◆本誌の表紙絵を片岡朋子さんが担当  今号から1年間の予定で、本誌の表紙絵をイラストレーターの片岡朋子さんに描いていただくことになりました。片岡さんは館内作業ボランティア片岡忠克さんと音訳ボランティア片岡珠子さんのお嬢様で、長年当館のチャリティ事業にご協力くださっています。お楽しみに。 あゆみ 【3月】 3日 日本ライトハウス創業100周年記念式典 9日 見学:京都ライトハウス職員 11日 オープンデー(館内見学日・2人) 15日 近畿視情協運営委員会(最終会議) 22日・23日 法人理事会・評議員会(本部) 30日 ボランティア世話人会 予定 【4月】 13日 サービス部休室(書庫・在庫整理日)  職員会議(15:30〜休館) 15日 オープンデー(館内見学日・要予約) 19〜21日 バリアフリー展(インテックス大阪) 28日 ボランティア交流会(玉水記念館) 29日 全館休館(祝日) 【5月】 3〜5日 全館休館(祝日) 編集後記 ハナミズキの花は、桜の花が終わる頃、咲き出します。桜のように待ちわびるわけではなく、春になったら咲いてくれます。1912年にワシントンに贈った桜の返礼として3年後に贈られた木として知られています。それがきっかけでついた花言葉は、「返礼」です。街路樹や庭木によく見かけますね。色は、大ヒット曲の歌詞にある薄紅色やもう少し濃いピンク色もあります。白色も素敵です。花びらのように見えるものは、総苞片<そうぼうべん>という葉っぱだそうです。花に見える部分が葉っぱであるため、美しい姿を長く観賞できます。そのためについた花言葉は、「永続性」や「逆境に耐える愛」。今の幸せがずっと続きますようにと願いを込めて。(一) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2023年4月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 片岡朋子  発行日 2023年4月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円