日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2023年2月号   <<表紙イラスト>> 女の子、犬のポチ、猫がこたつに入って眠っています。女の子の向かい側に座っている男の子は「やだな〜みんな寝ちゃった…」と困り顔。 窓の外では、雪がしんしんと降っています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●ボランティアの頁(2〜4頁)   ●センターの頁(4頁)   ●感謝報告(5〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆点字図書の製作に取り組んでみませんか  当館では、2023年度の「点訳ボランティア養成講習会」を5月から開講します。点字の世界はとても奥が深く、学べば学ぶほど、点訳すればするほどやり甲斐が出て来ます。事前知識は不要です。この機会にぜひお申し込みください。  日時 5月12日〜7月28日の毎週金曜日(6月30日を除く)13時30分〜15時30分。初級修了後、試験を経て中級を9月1日〜12月15日に開催。  受講料 無料。テキスト代のみ自己負担。  申込締切 3月31日(金) 定員 10人。  説明会と事前試験 4月21日(金)10時〜  お申込みは、実施要項をご請求の上、点字製作係(電話06-6441-1028)までどうぞ。  ◆福本淳(きよし)さんのトーク&ライブをオンライン配信  早川福祉会館点字図書室のボランティア交流会が2月18日(土)14時〜15時30分、同館会議室とオンライン(YouTube)で開催されます。ゲストは当館の利用者で、ミュージシャンの福本淳さん。当館ボランティアのオンライン視聴を歓迎。申込は2月13日(月)までに、氏名と所属を明記し、Eメールhayakawa-f@k2.dion.ne.jpの同館まで。  ◆ボランティア友の会交流会にバザー物品を!  今年度のボランティア交流会の開催が4月28日(金)13時〜16時30分、玉水記念館に決まりました。今回はボランティア友の会の活動費確保のためにも久しぶりにバザーを開催したいと思いますが、まだ品物が足りません。ぜひ一品でも多くご提供くださるようにお願いいたします(生ものはご遠慮ください)。お届け、お問合せは3階総務係(電話06-6441-0015)まで。  ◆2月〜3月の休館・休室について  2月9日(第2木曜)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は書庫・在庫整理日のため休室。  2月11日(土・祝)=全館休館  2月23日(木・祝)=全館休館  3月3日(金)=日本ライトハウス創業100周年記念式典のため全館休館  ◆表紙絵について  昨年12月に亡くなられた武部はつ子さんが描かれ、2010年2月号を飾ったイラストを再掲載しました(3月号も掲載予定)。次頁の追悼記事と共に武部さんを偲んでいただければ幸いです。    <<ボランティアの頁>>(2頁〜4頁)   ●【追悼】今も心に生き続ける武部はつ子さん  前号でお伝えした通り、当館ボランティアの武部はつ子さんが昨年12月7日ご病気で逝去されました。35年間、点訳に始まり、図書貸出サービスを支えると共に、本誌の表紙絵も描き続けてくださいました。長年親交を頂いたボランティアと図書・情報係の職員から追悼の言葉を捧げます。  ◆明るい笑顔、ハッキリした言葉、パワーと信念 図書・情報係ボランティア 片岡 忠克  「武部さん〜。武部はつ子さん〜。今はどのあたりですか〜」「聞こえていますか〜」  「武部さん〜、声が聞こえません。」  師走の悲しいあの日から、もう1か月が過ぎました。あの明るい笑顔、ハッキリした言葉、あの体から出るパワーと、強い信念、仕事は早く、何時も感心していましたが、もう見ることはできません。  初めての出会いは、情報文化センターの仮移転先だった日本橋のビルでした。新聞記事の映画批評を見て、「この人はご主人ですか」と尋ねてから、ご主人のマラソン歴、映画の話、ジャズコンサートなどいろいろ 話が弾み、ケルトの地を訪ねて取材され「古代ケルトの残照」を発刊されるなど、ご主人と何時も一緒に活動しておられました。  本を発刊されれば何時も紹介いただいて、お話を聞いていました。それはボランティア活動の日の僅かな時間帯でしたが、何時も楽しそうに話しておられ、こちらも気持ちよく聞いて、いつかは訪ねてみたいと思うようになりました。  ご主人のジャズコンサートの日は、受付を担当されて、観客の皆さんを気持ちよく案内されており、疲れを知らないガンバリ屋さんと思いました。  こんなこともありました。いつの年か友の会のバザー企画として『ワンブックワンライフ』の表紙絵の展示即売展を実施しました。武部さんのお世話に、館からの支援を頂き、大好評だったことも良い思い出でしたね。ユーモラスな季節の事柄を大きな気持ちで仕上げられるのが武部さんの包容力と思います。表紙絵が見られなくなるのは残念です。  昨年の6月に体調を崩されて、脚に後遺症が残りましたが、1か月後には復帰されて、杖を突きながら、ボランティア活動を始められ、10月末にはアニマルのイラスト展を開催され、皆さんから追加の注文を頂いて頑張っているというお話をお聞きして安心していましたが、12月初めに自宅で突然に倒れて静かに旅立たれました。  ご主人は何時も「はっちゃん、はっちゃん」と呼んでおられたようで、「何時も私の空気のようでした」とお話されたのが印象に残っています。  どうか今は静かにお休みください。心からご冥福をお祈り申し上げます。  「さようなら、はっちゃん。」 合掌  ◆利用者・職員、共に支えてくださった武部さん 図書・情報係 山岡 幸雄  「今日はデートやから、きっちりかえらしてもらうで。」旦那さんとの約束がある日は必ず笑顔でそう宣言してから、作業された武部さん。筋を通さないと気が済まない武部さんは、もちろん一切手を抜きません。猛烈な勢いで、録音・点字の貸出・返却処理、書庫戻し、新刊図書の点字確認に督促までこなされていきます。なんて、簡単に書きましたが、それは業務に対する並大抵の理解で出来ることではないのです。本当に職員と同じ、いや、それ以上のことを積み重ね、共に利用者を支えてくださっていたのです。「そんなんあかんで!ちゃんとやったげ!」厳しい言葉で職員の背筋をシャンとさせ、「できることは何でも言うてや。そしたら少しでも負担減らせるやろ。」「きついな。でも、よう頑張ってる。見る人にはわかるからな。」と、温かい言葉をくださった武部さん。…え?書庫戻しが出来てない?それは三途の河を泳いで戻ってこられるのを待っているからですよ!はよ、みんなで一杯やりましょう。ね、武部さん。   ●これからも繋いでいきたい!点訳と音訳の技術   澤田祐子さん、久保洋子さんにインタビュー(3)  昨年11月号から連載してきた点訳ボランティア歴52年目の澤田さんと音訳ボランティア歴39年目の久保さんの対談も最終回を迎えました。今回は、コロナ禍に思う日本ライトハウスのボランティア活動についてお聞きしました。長年かけて築き上げたボランティア活動の形が変わらざるを得ない今日ですが、お二人の提言をヒントとして、皆さんとご一緒にやり甲斐と喜びを感じられる、質の高い活動を実現していきたいと思います。(製作部長 久保田 文(あや))  ◆些細な事を皆でワイワイ、それが技術の蓄積に  Q.この2年間、感染症拡大防止対策で対面でのボランティア活動を制限せざるを得なかったのですが、ボランティアの方のモチベーションが下がっているのではないか。また、点訳・音訳技術が下がってしまったのではないかと感じる場面が増えてしまいました。  澤田 わかります。校正も郵送でやりとりしているから、対面での読み合わせをしていないものね。前は、(点字製作のフロア内で)ちょっとそこまで行こうとしただけでも呼び止められて、ちょっとしたレイアウトのことなんかを聞いてもらえていたけれど、オンラインとか郵送だったら、そういうことはできないでしょう。そういう小さなやり取りで大事なことを覚えていくんです。  久保 一人で黙々とやるだけじゃなくてね、やっぱり週に1回、館に来て、皆の顔を見て、職員の顔も見て。顔を合わせるってことが大事なんだと思いますよ。  澤田 ごちゃごちゃ喋っているうちに、向こうの方から「あなたちょっとそれ違うわよ」とか言われてみたりしてね(笑)  久保 そうやって、いろんな人の意見も異論も聞いて育った人が、次は誰かに聞かれて答えてって……。そういう風に、続いてもいくでしょうし、発展もしていくでしょう。  澤田 コロナは本当に困りますよね。私なんて、コロナで家にいたら足腰が弱っちゃって、大変だったのよ。  久保 館に来るっていうことが健康維持だったから、私もそうだけど、高齢のボランティアは体が動かなくなっちゃうのよね。だから、何があってもここに通わないとって思っていました。外に出たいと思っていたボランティアにとっては、(館内活動が)再開して良かったと思います。 (写真=久保洋子さん(左)と澤田祐子さん(右)。当館3階にて)  ◆職員は知識・技術と柔軟なボランティア対応を  Q.今、専門点訳・専門音訳の技術を引き継いでくださるボランティアの方が非常に少ないという状況になっています。専門技術の継承のために、職員はどのように関わっていくべきだと思われますか。  澤田 日本ライトハウスに就職して、情報文化センターで点訳を学習して、定年まで40年位あるとして、そうすれば、ベテラン点訳者みたいな人ができるわけでしょう。そういう人を職員として育てていって、点訳はボランティアに頼んでも良いけれど、最終的には職員が修正したり、ボランティアにルールも教えてあげる……これからは、そんな風に点訳者を職業化しないとダメだと思います。  久保 いろいろな講習会で講師をさせてもらっているけれど、ちゃんとしたレベルの講習ができているかなっていうのは職員がチェックする必要があると思います。専門講習会も毎回聞いていれば、中身は全部わからなくても「これで良いのかな」っていうのはわかるようになると思うの。職員はとても忙しいでしょうけれど、そこのチェックはやっていただきたいなと思います。  澤田 そうですね、どういうところが難しいかっていうことくらいは知っておかないと。  久保 録音図書のことがわかってくるとボランティアからの質問への答え方も変わるんですよね。聞かれたことに何でも答えていくのじゃなくて、そのボランティアと相談して、いよいよとなったら周りも巻き込んで、っていうように、柔軟に対応していけると思います。ここのお仕事は、専門性もだけれど人柄も必要ですね。  ◆ボランティア活動は「気長に、無理せず続けること」  Q.これからボランティア活動を始める方に、一言、エールを贈るとしたら。  澤田 やっぱり、間違いを指摘されても落ち込まずに気長にがんばってね、って言うかな。  久保 あまり無理はしないで。とにかく続けてね、って。  澤田 そう、続けないとね。  久保 続けないと、面白さはわかってこない。 【2時間近くにわたるインタビューでしたが、お二人のつきない情熱と、後進の方々や職員への厳しくも温かい愛情が感じられた時間でした。澤田さん、久保さん、本当にありがとうございました。(久保田)】    <<センターのページ>>(4頁)   ●銀幕の視覚障害者(3)〜「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」  録音製作係 宇田 佑香  古今東西、視覚障害者が登場する映画は数多あります。そんな中から、映画好きが高じて当館の音声解説担当になった宇田職員が観て、心に残った作品を不定期連載でご紹介します。  「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」=マーティン・ブレスト監督、1993年、アメリカ映画、157分  視力を失った退役軍人と、彼 の世話を任された高校生の心の交流を描いたヒューマンドラマ。視覚障害者が物語の軸となる映画の代表作として知られています。  アル・パチーノ演じる盲目の退役軍人フランク中佐がエキセントリックなおじさんで、歯に衣着せぬ物言いで世話役の高校生を圧倒したり、無類の女好きで女性の香水を言い当てる特技を持っていたり、さらには街中でフェラーリを120キロオーバーで乗り回したりと、とにかくぶっ飛んでいます。  ときたま、「視覚障害者は、視覚以外の感覚が晴眼者に比べて研ぎ澄まされていて、その超人的な能力で人をあっと言わせる」などといった、盲人に対する偏った固定観念のようなものに出くわします。フランク中佐も、一見するとそのたぐいに入るのだと思います。  でも、2度目の鑑賞後、一概にそうは言えないのではないかと感じました。彼の超越した感覚は、視覚障害によるものではなく、彼のパーソナリティそのものだ、と思えてならないのです。本作は視覚障害者が主人公の映画として名高い故に、彼を“盲人”という色眼鏡で見てしまい、作品の本質を見誤りかねないなぁと感じる今日この頃です。  この映画のシネマ・デイジーは、当館で製作しました。DVDやブルーレイには音声ガイドは付いていませんが、レンタルショップや動画配信サイトでご鑑賞いただけます。お酒がお好きな方は、フランク中佐お気に入りのウイスキー「ジャック・ダニエル」を嗜みながら、鑑賞されてみてはいかがでしょうか。   ●報告の頁(8頁)  ◆「暗所視支援眼鏡」を全国5校に寄贈  当館では、HOYA株式会社が2018年に発売した「暗所視支援眼鏡 HOYA MW10 HiKARI(ひかり)」の開発・改善をサポートし、2020年から毎年、日本ライトハウスの事業としてクラウドファンディング「盲学校の生徒に星空を。暗所視支援眼鏡を届けたい!」を行って来ました。この事業は、故岡田弥(あまね)部長が力を入れていたもので、これまでに全国26校の視覚支援学校に贈り、大変喜んでいただいています。今年度第4回目では、全国から95件(86人)のご寄附をいただき、このほど茨城県立盲学校、香川県立盲学校、滋賀県立盲学校、長野県長野盲学校、山口県立下関南総合支援学校の5校に寄贈することができました。ご寄附者の大半は、これまで日本ライトハウスとはご縁のなかった方々ですが、インターネットで寄附を募るクラウドファンディングをきっかけに視覚障害者に関心を持ち、ご支援くださったことを心から感謝申し上げます。  ◆神戸市立点字図書館のボランティアと交流会  神戸市立点字図書館が3年ぶりにボランティア合同研修会を開催され、1月20日、当館に15人(点訳・音訳・テキストデイジー製作ボランティア計12人、職員3人)の方が来館されました。2時間30分という限られた時間でしたが、当館のボランティア5人との交流・情報交換と館内見学をしていただきました。「製作過程(校正)でボランティア同士の情報交換の方法は?」「選書はどうしていますか?」「製作期間はどのくらいかかりますか?」「利用者さんと交流会を開催することはありますか?」など、さまざまな質問について話し合い、それぞれの施設のボランティア活動や図書の製作方法を共有する貴重な機会となりました。  ◆当館ボランティアの藤原静江さんがご逝去  2007年から2019年まで館内作業をお手伝いくださった藤原静江さんが1月5日、老衰のため92歳で亡くなられました。藤原さんは1968年から30年余、当法人職業・生活訓練センター(のちに視覚障害リハビリテーションセンター)の指導員として勤務し、厳しくも温かい指導で利用者に慕われました。退職後、障害のある方に付き添って当館の録音装備や本誌の発送作業をお手伝いくださいました。ご冥福をお祈り致します。  ◆職員の異動について  当館では1月から2人の職員を採用しました。どうぞよろしくお願いいたします。  サービス部機器・用具係(エンジョイ!グッズサロン)=橋美加  製作部点字製作係(メディア製作センター点字ユニット)=西岡貴美子 あゆみ 【1月】 5日 仕事始め 6日 ボランティア活動・サービス再開 12日 ボランティア世話人会 14日 オープンデー(館内見学日・4人) 20日 見学:神戸市立点字図書館ボランティア 予定 【2月】 9日 サービス部休室(書庫・在庫整理日) 11日 全館休館(祝日) 17日 わろう座映画体験会「真実」 18日 オープンデー(館内見学日・要予約) 23日 全館休館(祝日) 【3月】 3日 日本ライトハウス創業100周年記念式典(メルパルクホール大阪、全館休館) 編集後記 表にも書いたとおり、今月号の表紙イラストは過去のワンブックワンライフからイラストを選んで再掲載させて頂きました。原画が残っているものだけでも約20年分保管しており、さながら部屋の片付けの際に出てきたアルバムをじっくり眺めるような気分でイラストを選ばせて頂きました。来月号も過去の号からイラストを再掲載する予定ですので、バックナンバーをお持ちの方はどのイラストが掲載されるのか予想してみてください。(コ) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2023年2月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2023年2月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円