日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2023年1月号   <<表紙イラスト>> お正月のイラストです。 今年の干支の、真っ白なうさぎが背中を向けて座っています。 男の子と犬のポチは、うさぎの尻尾を見て「今年こそ“おもしろい”年でありますように…!」と笑っています。 それを聞いたうさぎは「尾も白い…ダジャレか…!!」と目を見開いてあきれています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2〜4頁)   ●感謝報告(5〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆日本ライトハウス創業100周年記念式典を3月3日に開催  センターの頁の案内をご覧ください。  ◆音訳ボランティア養成講習会の受付を開始  当館の音訳ボランティア養成講習会は3段階ありますが、今年4月から初心者向けの(1)と蔵書製作のための(3)を以下の通り開講します。詳しくは、当館録音製作係(電話06-6441-1017、E-mail rec@iccb.jp)へ実施要項をご請求下さい。 ◆音訳ボランティア養成講習会(1)  対象=当館での音訳活動を志す初心者の方  内容=発声、発音、アクセントなどの基礎練習を中心にボランティア活動を行う上で必要な心構えや基礎知識を講習、全16回。修了後は選考試験を経て、(2)に進んでいただけます。  日時=4月12日〜8月2日の水曜日13時〜14時50分。講師=安田知博氏。定員=12人程度。受講料=7,000円。申込締切=2月1日(水)。筆記試験・マイクテスト=2月28日(火)〜3月2日(木)に行います(1時間30分程度)。 ◆音訳ボランティア養成講習会(3)  対象=当館の音訳講習会(2)の修了者、または いずれかの音訳・朗読講習会を修了しているか既に音訳活動を始めている方で、Windowsパソコンとインターネット接続環境を有する方。  内容=読み方の基本、記号・漢字・図・表などの音声変換処理、調査・録音の順序、録音ソフト「Recdia」を使用した録音技術、録音雑誌の音訳などを講習します。  日時=前期(講義)は4月5日〜7月19日(全15回)、中間試験を経て、後期(実習)は8月30日〜12月20日(全10回)の水曜日10時〜12時。講師=当館音訳ボランティア・職員。定員=10人程度。受講料=無料。申込締切=2月8日(水)。実技・筆記試験=3月8日(水)午前または午後、3月9日(木)午前に行います(2時間程度)。  ◆1月の休館・休室について  1月5日(木)=仕事始め  1月6日(金)=サービス・ボランティア活動再開  1月7日(土)=製作部休室(9日月曜指定祝日の振替)  1月10日(火)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出休室(9日月曜指定祝日の振替)  1月12日(第2木曜)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は書庫・在庫整理日のため休室。    <<センターの頁>>(2頁〜4頁)   ●新年のご挨拶〜ボランティアと職員の思いを一つにして  ◆点訳・音訳を中心とした文化に光を! 館長 竹下 亘  「読書バリアフリー法」が施行されて3年半が経ちました。同法の目的は、「障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく文字・活字文化を享受できる社会の実現に寄与する」ことであり、基本理念には、“視覚障害者等が利用しやすい多様な書籍媒体の量的拡充と質の向上を図るべき”ことが定められています。これは、日本点字の誕生から130年余り、読み書きの自由を追い求めてきた視覚障害者と共に歩む者の努力が実を結んだものと言っても過言ではありません。  同法は目下、5ヶ年の「基本計画」の3年目が終わろうとしています。この間、サピエ図書館の運営費に国の補助金が付いたことは大きな成果であり、アクセシブルな電子書籍の出版販売・提供も前進が期待されます。しかし、残り2年間で改善すべき課題は多いと感じます。  中でも最大の課題は、視覚障害者等の読書を実際に支えている全国数万人の点訳・音訳等のボランティアが減りつつある今、いかに後継者を育て、その活動を支援するかという問題です。  そのために重要なのは、視覚障害者等の読書権保障の観点からも、高い技術を要する公的・専門的資料の点訳・音訳等に正当な対価が支払われる制度を拡げること。そして、点字図書館とボランティアが90年かけて築いてきた点訳・音訳を中心とする文化とその価値を社会に知らしめ、光を当てることではないかと思います。  今年も皆様の健康が守られ、お一人お一人が十分にお力を発揮されますようお祈りします。  ◆オフラインとオンラインの「ええとこどり」を 製作部長 久保田 文(あや)  製作部では、昨年、来館によるボランティア活動の維持と対面形式の講習会・勉強会の開催に努めました。コロナ禍を経て、ボランティアの方がお仲間や職員と直接 顔を合わせ、言葉を交わすことで得られるものは、製作技術だけでなく、活動のエネルギー源となる熱意や意欲なのだと、改めて感じた1年でした。  一方、遠方の方を交えた交流や、外出を控えている方との打ち合わせには、引き続きZoomを活用しており、今後は、オフラインとオンラインの「ええとこどり」を製作部のニューノーマルにしていきたいと考えています。  今年も、職員一同、ボランティアの皆さんと力を合わせて、利用者の方々に喜んでいただける図書や雑誌、コンテンツの製作活動に邁進しますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  ◆卯年にちなんで「飛躍」「向上」! サービス部長 林田 茂  サービス部に異動して4年目を迎えました。一昨年はサービスフロアの20周年記念企画、ニポラチャンネルなどのSNSの情報発信、クラウドファンディング、コロナ禍で2年続いたオンライン展示会の実施。昨年はやっと開催できたリアルな展示会のバリアフリー展や日本ライトハウス展も無事に実施でき、いろんな意味でワンクールを送れたような気がします。  思い返すとあっという間でした。何とかやってこられたのは、利用者や関係者との関わり合いの中から色んな経験を与えてもらい、学ばせてもらったことと、支えてくれたスタッフのお陰でした。  ワンクールを終えて、これからの自分へのキャッチコピーを作ってみました。『見えにくさの不安や不便に寄り添う〜well-being』、こんな思いを込めつつ、卯年にちなんで職員一同さらに「飛躍」、「向上」できればと思います。 (写真=左から久保田部長、竹下館長、橋口専務、林田部長。当館3階にて。)   ●「101年目からの日本ライトハウスに求められるもの」をテーマに   100周年記念式典・行事を3月3日、メルパルクホール大阪で開催  当法人の創業は1922(大正11)年、岩橋武夫がエスペラントの学習書を点字出版したことに始まります。以来、ライト・ハウス会館の建設(昭和10年)、ヘレン・ケラー・キャンペーン(昭和12年と昭和23年)、職業・生活訓練センターの開設(昭和40年)、盲導犬訓練事業開始(昭和45年)、盲人情報文化センターの開館(昭和54年)、点字情報技術センターの新築(1991年)、視覚障害リハビリテーションセンター開設(1992年)、そして現情報文化センターの新築開館(2009年)と常に時代を先取りし、利用者のニーズに合わせて事業を展開。100年間、数え切れないボランティアと支援者の方々に支えられて来ました。  そうした皆様への感謝を込めて、日本ライトハウスの創業100周年記念式典と記念行事を3月3日(金)午後、新大阪のメルパルクホール大阪で開催します(当日、当館は休館します)。利用者をはじめボランティアや支援者の方々にもご参加いただきたく、ご案内いたします。 ◆記念式典・行事のプログラム  日時 2023年3月3日(金)12時50分〜17時  会場 メルパルクホール大阪(JR新大阪駅、大阪メトロ御堂筋線新大阪駅)  ◆第1部 記念式典  *開会挨拶=橋本照夫理事長  *祝辞=瑶子女王殿下、厚生労働省、大阪府、大阪市、日本盲人社会福祉施設協議会理事長、日本視覚障害者団体連合会会長  *感謝状贈呈式  *第40回岩橋武夫賞贈呈式=シロアム視覚障害者福祉会常任理事チェ・ドンイク氏  *記念演奏=ヴァイオリニスト川畠成道(なりみち)氏 ◆岩橋武夫賞は、アジア諸国で視覚障害者の教育やリハビリテーション、福祉事業等に活躍・貢献した方を顕彰するものです。チェ・ドンイク氏は韓国のシロアム視覚障害者福祉会常任理事、兼シロアムインターナショナル副会長として、国際協力に尽力。ウガンダ、タンザニアへの教育支援とミャンマー、フィリピン、ベトナムへの情報化支援事業を続けていることに加え、韓国内において世界唯一と言える「韓国点字法」の制定に多大な貢献をされました。  ◆第2部 記念行事「Go Forward! 101年目からの日本ライトハウスに求められるもの」  *100年の歩み=橋口勇男専務理事  *発表「日本ライトハウスを通して社会に期待すること」=利用者代表4人  *同シンポジウム=発表者4人と職員代表 ◆シンポジウムの趣旨 日本ライトハウスの多様な施設や事業の利用者の声を通して、視覚障害者等の自己実現と社会参加を広げていくために社会に求められるものは何かに耳を傾け、職員との意見交換を通して、これからの日本ライトハウスの目標を考え、101年目からの新たな出発点とします。  *閉会挨拶 日比野清常務理事 ◆参加申込方法  参加ご希望の方は手渡し、ハガキ、Eメールなど「文書」で、「100周年記念式典参加希望」と書き、郵便番号、住所、氏名、電話番号、同伴者の有無を下記へお送り下さい。締切は1月31日(火)必着。2月初旬に招待券を送りますが、先着順とし、定員に達した場合はご連絡します(定員はコロナの感染状況に応じて決定)。  送り先(届け先) 〒550-0002大阪市西区江戸堀1-13-2 日本ライトハウス情報文化センター総務係、Eメール 100th@iccb.jp。   ●人形浄瑠璃の音声ガイドプロジェクトに協力  当館では、大阪大学大学院人文学研究科と大阪大学総合学術博物館が主催するアート人材育成プログラム「中之島に鼬を放つ」のプロジェクト『人形芝居を聴く』に協力しています。これは、視覚障害者が人形浄瑠璃を鑑賞するための音声ガイドについて考えるプロジェクトで、カリキュラムの一つであるワークショップが、12月4日(日)、当館4階で開催されました。  ワークショップには、一般公募で選考された受講生15人とプロジェクトを担当する大阪大学の教員3人のほか、視覚障害のモニター3人(点字製作係の大下歩職員と点字情報技術センターの福井哲也顧問、利用者でボランティアの中島千恵さん)と当館の久保田製作部長、音声解説担当の宇田職員が参加しました。  当日は、大阪府能勢町の伝統芸能・能勢浄瑠璃の人形遣いの方々と「浄るりシアター(浄瑠璃シアター)」のスタッフ総勢11人が人形たちと共に貸切バスで来館。「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)〜奥庭狐火の段」の一場面を実演。受講生はそれを見ながら適切な音声ガイドの内容や付け方を考えました。実演後は人形の仕組みや人形遣いの役割についての説明があり、モニターの3人は、演技をゆっくり再現しているところを触って人形や人形遣いの動きを感じ取っていました。 (写真=実演中の写真。着物を着た女性の人形の周りを4匹の狐の人形が取り囲んでいる。)  モニターをした大下職員は、柔らかな素材で作られた狐の人形が、うしろ足で耳の後ろを掻く動作をしているのを触って「可愛い!」と声を上げ、浄瑠璃の視聴について感想を求められたときは「語り手が2人だから登場人物も2人だと思ったら、実は1人だった」「音楽が一番盛り上がっている時が一番分からなかった」など率直な意見を述べ、受講生は熱心にメモを取っていました。受講生もモニターに対し、「色の名前はどの程度わかりますか」「人形の表情を説明しても良いですか」など積極的に質問をし、2時間半のワークショップは瞬く間に終わりを迎えました。 (写真=受講生の動かす人形を触っている福井顧問と中島さん。)  今後は、今回の学びを元に受講生が音声ガイドを習作し、2月にモニターの3人と久保田、宇田が視聴。その評価が受講生にフィードバックされる予定です。(久保田)   ●ダスキン22期生のジャスミンさんが修了  ダスキン愛の輪基金のダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業・第22期の修了式が12月16日(金)、吹田市のダスキン本社で開催。当館で8月研修を行ったフィリピンのジャスミン・センテアノ・アンビオンさん(全盲)を含む5人が成果発表を行いました。  ジャスミンさんは5月から東京で研修に入り、当館をはじめ各地の施設で学んだ知識や経験を元に、母国にはなくて、日本にしかない制度や設備、サービスについて日本語で報告しました。  「大阪が一番良い。みんなあたたかくて親切」と大阪をべた褒めするジャスミンさん。帰国後は、出来れば大阪の大学院に留学して、専門の経営学の勉強を続けたいとのことです。 (写真=学士服を着た笑顔のジャスミンさん。)   ●報告の頁(8頁)  ◆「MMD図書講演会」をNaD(ナディ)との共催で開催  読み書きに困難のある子供たちのためのマルチメディアデイジー(以下、MMD)教科書・図書を製作しているNPO法人NaDと当館の共催で、12月4日、第15回MMD図書講演会を開催しました。当館会議室とZoom参加を合わせて約250人が参加。宝塚市の通級指導の教員2人によるMMD教科書を活用した音読練習やテスト勉強の事例報告の他、娘さんがMMD図書・教科書と出会ったことで読書の喜びや学ぶことの楽しさを覚え、得意とすることでの自立を目指しているという母親の発表などが行われ、多くの参加者の感動と共感を呼んでいました。  ◆点訳ボランティア養成講習会で10人が修了  今年度の点訳ボランティア養成講習会が12月15日に終了しました。今回は5月から7月に初級講習、試験を経て9月から12月まで中級講習が行われ、10人の 方が修了。これから点訳活動に入られます。今後のご活躍をお祈りします。 (写真=修了者の皆さん(50音順、敬称略)。前列左から 稲田弘江、小笠原恵三、栗谷博子、漕江圭子(こぎえ けいこ)、高井園子。後列左から永吉ひとみ、福田真也、船井由紀子、水谷和美、宮本洋子、講師の鴻上真理さんと講師補助の華崎律子さん。)  ◆本田睦子さんと武部はつ子さんがご逝去  当館を長年に亘り支えてくださったお二人の 方が昨年末相次いで逝去されました。  当館の元職員で、音訳ボランティアでもあった本田睦子さんは11月30日、島根県の病院で亡くなられました。本田さんは1970年から2004年3月まで主に図書貸出に従事。多くの利用者から信頼を集めていました。定年退職後も当館のボランティアとして音訳・校正活動に打ち込まれましたが、ALSになったため2013年末で引退し、帰郷して療養されていました。  武部はつ子さんは1988年から点訳ボランティアを始められ、翌年から今日まで毎月、本誌の表紙イラストも担当。さらに1990年から図書貸出のボランティアも始められ、10年余り前からは貸出作業に専念。職員も頼りにする存在でした。昨年6月に脳梗塞になられましたが、翌7月から復帰。杖をつきながら毎週アルテビルに通い、本誌の表紙も描き続けられました。前の週も元気に来館されていましたが、12月7日午後、突然倒れ、病院に搬送された時には脳出血で手の施しようがなく亡くなられたそうです。  お二人のご冥福を心からお祈りいたします。 あゆみ 【12月】 10日 オープンデー(館内見学日、7人) 15日 見学:ロバの会(京都朗読奉仕会) 20日 見学:大阪医専視能訓練士学科 24日 サービス年内最終日 27日 ボランティア活動最終日 28日 仕事納め 予定 【1月】 5日 仕事始め 6日 ボランティア活動・サービス再開 7日 製作部休室(9日月曜指定祝日振替) 10日 サービス部休室(9日月曜指定祝日振替) 12日 ボランティア世話人会  サービス部休室(書庫・在庫整理日) 14日 オープンデー(館内見学日・要予約) 編集後記 「はっちゃんは僕にとって空気のような存在だったんで、彼女がいなくなって今、僕は息が出来ひんのですわ。」左欄に書いた武部はつ子さんのご葬儀で、御夫君が涙ながらに語られた言葉です。当館でも、多くの職員やボランティアが長年に亘り、また毎週一緒に作業していたため、突然の訃報に受けたショックは大きなものでした。34年もの間、本誌の顔だった武部さんのイラストが本号で最後になるというのも辛く、寂しい限りです。(竹) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2023年1月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2023年1月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円