日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2022年12月号   <<表紙イラスト>> 年末のイラストです。 雪の降る夜中に、毛糸の帽子と手袋をつけた女の子が大荷物を抱えて「暮れの買い出しは大変だ…!!」と言いながら走っています。 犬のポチもトイレットペーパーのロールが入った大きな袋を、紐で身体に巻き付けて女の子の後ろについて走っています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2頁)   ●ボランティアの頁(3〜4頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆100周年記念式典を来年3月3日(金)開催  当法人では、「日本ライトハウス創業100周年記念式典・記念行事」を2023年3月3日(金)午後、新大阪のメルパルクホール大阪で開催することになりました。詳しいご案内は次号に掲載しますので、ぜひ今からご予定の上、ご来場くださるようにお願いいたします。  ◆ボランティア友の会交流会にバザー物品を!  当館ボランティア友の会では毎年春、ボランティアと職員が一堂に会する「交流会」を開催しています。コロナ前は百数十人が集まり、当法人から活動歴20年・30年の方に感謝状を贈る感謝式典、記念講演・演奏、友の会総会、昼食懇談、バザーなどを行いました。過去3年間は、中止、オンライン開催、内容を縮小しての開催でしたが、来年は昼食を除いて、ぜひ盛り沢山のプログラムで実施したいと思います。開催時期は2023年4月中旬を予定しています。特にバザーは友の会の活動費確保のためにも再開したいと思いますので、ぜひ今から当館総務係までご提供くださるようにお願いいたします。  ◆2023年「盲導犬カレンダー」好評発売中  盲導犬の写真を満載!壁掛型(見開きA3判)、卓上型(B6判)の2種類。税込1,000円。当館3階総務係までどうぞ。  ◆「盲学校の生徒に星空を!」のご協力に感謝  4年目となるクラウドファンディング「暗所視支援眼鏡を全国の盲学校に贈ろう」を10月末までおこなったところ、全国95人の方々から175万8千円のご寄附を頂き、達成しました。これにより、今年も5校にHOYA MW10 HiKARIを贈る予定です。ご協力くださった皆様に感謝します。  ◆年末年始の休館・休室について  12月8日(第2木曜)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は書庫・在庫整理日で休室。  12月24日(土)=サービス最終日  12月27日(火)=ボランティア活動最終日  (各係で異なりますので、ご確認ください。)  12月29日(木)〜1月4日(水)=全館休館  1月6日(金)=全館活動・サービス再開    <<センターの頁>>(2頁)   ●3年ぶりのリアル開催に1,297人が来場   OMMビルで「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2022」  10月28日(金)・29日(土)、コロナ感染対策のもと、天満橋のOMMビルで「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2022」(読売光と愛の事業団共催)を開催しました。今回は3年ぶりのリアル開催で、35社・団体からさまざまな視覚障害者用具・機器200点余りが出展され、視覚障害の方々を中心に1,297人のご来場がありました。過去2年間は、コロナ禍によりオンライン開催となったため、今回も不安はありましたが、無事に終了し、お客様からも満足の声を聞くことができて、ホッとしています。当日ご来場くださった皆さん、ありがとうございました。(サービス部長 林田 茂)  ◆新商品が多数出展〜その中から3点を紹介  今回の日本ライトハウス展は3年ぶりのリアル開催ということもあり、この期間に登場した新商品が数多く並び、特に歩行を補助する関連のモノが多数出展されたのが印象的でした。そんな中から3点を紹介させていただきます。  1つ目は、靴の中への振動で歩行をナビゲーションする「Ashirase」です。スマホアプリを使用して、これまでによくある音声による案内ではなく、足への振動で行き先を案内する画期的なシステムになっています。 (写真=「Ashirase」を装着したスニーカー。プラスチックのデバイスがスニーカーの側面に着いている。)  2つ目は、スポーツメーカーのミズノが開発した白杖「ミズノケーンST」です。非常な軽さと強さが特長、今年の春から販売がスタートし、興味を持つ 方が多く、常に行列ができていました。体験された 方からは「折り畳みの白杖がほしい」との声も多く聞かれました。同社では、この冬の発売を目指して折り畳みの開発も進めているとのことでした。  3つ目は、システムギアビジョンの「デスクトップリーダー」です。新聞や書籍、薬の外箱や名刺などの文字情報をカメラで撮影し、クリアな音声で読み上げる読書器。最大の特長は、A3判の用紙サイズまでカバーする認識範囲の広さと、認識スピードの速さです。本を開いて置いてもしっかり読み上げてくれます。  以上の3製品は今年度中の発売を目指しているそうですので、今後の展開から目が離せません。  ◆実際に触り、音を聴き、意見を伝え合える場を  今回の展示会を終えて感じたのは、やっぱりリアルなイベントは活気があって盛り上がりますね。オンラインのイベントも便利で良いのですが、実際に触って、実際に音を聴いて、お互いに意見や情報を伝え合える場所を大事にしたいと思います。今回はボランティアの皆さんには感染予防のため当日の応援をお願いしませんでしたが、次回は、ぜひご一緒に視覚障害者の方々と触れあい、さまざまな用具や機器もご覧いただきたいと思います。コロナ禍以前の日常を1日も早く取り戻せますように。 (写真=賑わう会場内の様子)  ◆主な記録 *来場者数 1,297人(28日581人、29日716人) *エンジョイ!グッズサロン「iPhone体験コーナー」 参加44人(1日目24人、2日目20人) *盲導犬訓練所による盲導犬歩行体験 参加32人(1日目13人、2日目19人) *場内ガイド(最寄駅〜会場内) 利用合計31人    <<ボランティアの頁>>(3〜4頁)   ●兵庫県の視覚障害者福祉の“新しい拠点”を見学   ボランティア友の会の施設見学会で「神戸ライトセンター」へ  11月4日、秋晴れのこの日、世話人を含むボランティア13人と職員4人で、昨年10月、神戸新開地に開設された神戸ライトセンターの見学会を行いました。(対面ボランティア 向井民子)  ◆兵庫県内の様々な視覚障害関係団体が結集  神戸ライトセンターは、兵庫県の視覚障害者の社会参加を支援する公益財団法人中山視覚福祉財団が設置・運営する施設で、館内には特定非営利活動法人神戸アイライト協会をはじめ、様々な視覚障害関係の団体が入居し、活動しています。当日は、アイライト協会のスタッフの方のご案内で2班に分かれて、ガラス張りの明るい、広々したフロア(2階と3階)を案内・説明していただきました。 (写真=神戸ライトセンター(中山記念会館)の外観)  2階は、視覚障害者の社会参加を支援している神戸アイライト協会のフロアで、中央にあるロービジョンフロアでは、視覚障害者の方の使いやすい用具の展示・紹介をしています。それを囲むように部屋が配置されていて、事務所や多目的室の他に、相談室やスタディルームがあります。部屋はガラス張りで通路から様子が見られるようになっています。当日、スタディルームではPC機器の講習が行われていました。  3階は点訳ボランティア連絡会(点V連)、兵庫県朗読ボランティアグループ連絡会(朗V連)をはじめ、兵庫県の盲ろう者の支援センターや福祉作業所、兵庫県盲導犬協会など6団体が事務所を設けて活動されています。  3階の中央は、講習会やちょっとしたイベントができるスペースになっていて、県内の視覚障害関係のボランティアグループも活動拠点にしているそうです。  盲ろうの方の作業所では、盲ろうの方が作ったビーズアクセサリーや着物地で作ったバッグ、小物を販売されています。どれも素敵な作品で、思わず買い物タイムになりました。また、盲ろうの方の調理室があるのに興味を持ちました。実際に調理されている日はいい匂いが漂っているようで、一緒に作ってみたいと思いました。  ◆点訳・朗読グループのネットワーク団体と交流  館内見学の後、点V連と朗V連の代表お二人ずつとの意見交換を行いました。点V連は38グループ、朗V連は16グループのネットワーク団体ですが、兵庫県は日本海から瀬戸内海まで広範囲なので、日常的には各グループで活動し、全体で集まるのが困難とのこと。点V連では週2回、幹事が集まり、点訳の相談に応えたり、点訳依頼を受けて引受先のグループを探したり、パソコンと点字プリンターを駆使して点訳したりしています。朗V連には新しい録音スタジオ2室がありますが、活用法を模索中で、これから活動を盛り上げていきたいとのことでした。  私は、点字が大好きと言われる 方が、「点字は奥深いものです」と語られていたのが印象に残りました。まだまだ未熟な自分になにができるのか、できることを考えて、気持ちを引き締めて行こうと思います。 (写真=点V連の点字プリンター室を見学している様子)   ●これからも繋いでいきたい!点訳と音訳の技術   澤田祐子さん、久保洋子さんにインタビュー(2)  【今回はお二人の専門である理数系の点訳・音訳についてお話を伺いました。(久保田 文(あや))】  ◆マニュアル通りに読むだけでは伝わらない  Q.理数系資料の点訳・音訳には、図・表といった視覚的資料や数式の処理が付きものですが、どういう点が難しいと思われますか?  久保 難しい点というか、ちゃんと中身が分かるように読まなきゃダメだとつくづく思ったことがあってね。音訳を始めたばかりの頃に数1の参考書を読むことになって、関数記号の読み方が書いてあるマニュアルがあったので、それを見ながら数ヵ月かけて読んだんです。よくできたマニュアルで、∫なら先に「インテグラル」って言って、それから「インテグラルサフィックス」で、次にあっちの記号、こっちの記号っていう風に、どんな数式でも読めたの。何年か後、対面リーディングに来た視覚障害の学生さんがそれと同じ参考書を持って来て、「これ読んでください」と。読んでいる途中で、「これ、テープ図書が有るの知ってる?」って聞いたら、「はい、聞いたんです。でも何も分からなかった」って。私がそのテープを読んでるのに気づかなくて良かった(笑)。私もその頃には音訳というものが少し分かってきていたから、「やっぱりそうよね」と思ったんですけれど。  Q.数式は正しく読んでいたのですよね。どうして分からなかったのでしょう。  久保 「インテグラルサフィックス」って言われて何のことかわかる?  澤田 学生の頃は、「インテグラル、下が4で……」とか言って書いていたわね。  久保 そう、学校では「下がナニナニ」「上がナニナニ」「ナニナニからナニナニまで」って言っていたでしょう。なのにテープ図書を聞いたら「サフィックス」とか「インデックス」とか読まれていてね、そりゃあ分からない。  澤田 点字の場合、一番難しいのは図です。立方体の見取り図なんかをそのまま点図にすると、立方体なのに何で平行四辺形が2つも3つもあるのって話になるの。昔、風呂桶に水が溜まっている図を描いた時に、それを見た視覚障害の職員に「これは平行四辺形の形をした風呂桶なの?」って言われたことがあって(笑)。見える人のための図はそうだけれど、それをそのまま描いちゃダメということ。  久保 そう、音訳でも「平行四辺形」と説明をしちゃダメなのよね。  澤田 上から見た図とか前から見た図とかに分けて、前から見たら水がここまで溜まっていて、上から見たら長方形ですっていうように描かなきゃいけない。  久保 そういうのが難しいわねぇ。  ◆小説やエッセイでも処理技術は必須  Q.お二人は一般書の校正もしていますが、一般書の処理で多いのは字の説明でしょうか。  久保 同音異義語だけでも補足が必要なものは結構ありますよ。でも気づかない人が多いです。原本の文字を一言一句間違わずに読むということにばかり気を取られていて、音で聞くとどうかというところに気づけないのね。  澤田 似たようなことは点字でもあって、点字の場合はマス空けばかり気にしちゃって、同音異義語なんかに気づけないの。もちろん、マス空けは正しくやらないといけないんだけど。引用や注釈も、どうも変なところに入っているなと思って原本を見ると、原本と同じところに入れていたりしてね。その場所に入れるのが良いのか、もっと前や後ろに入れるのが良いのかって、いろいろあるでしょう。墨字の本は紙の都合でここに入れてるけれど、読んでいく順番はこうだ、とか。  久保 「原本通りの位置」で本当に内容が伝わるかを考えていただきたいですね。本当の「原本通り」というのは原本の情報が間違いなく正しく伝わることだと思います。 【次回は、コロナ禍に思うボランティア活動についてのお話を掲載いたします。】   ●報告の頁(8頁)  ◆「灯友会(とうゆうかい)バザール」への物品提供の御礼  11月初めの灯友会バザールの際は、30人の 方から手作りの作品を含めて色々な品物をご提供いただき、ありがとうございました。お陰様でバザールは賑わい、52万円余りの売上がありました。収益は盲導犬育成に使わせていただきます。 あゆみ 【11月】 4日 V友の会施設見学会(神戸ライトセンター) 4〜5日 灯友会バザール(当館4階) 12日 オープンデー(館内見学日、5人) 16〜17日 全視情協近畿ブロック・音訳指導員養成講習会(玉水記念館) 16・17日 日本ライトハウス理事会・評議員会 17〜18日 日盲社協・情報化対応支援者研修会 情報機器コース 25日 見学:日本ライトハウス養成部受講生 予定 【12月】 8日 サービス部休室(書庫・在庫整理日) 10日 オープンデー(館内見学日、要予約) 15日 見学:ロバの会(京都朗読奉仕会) 24日 サービス年内最終日 27日 ボランティア活動最終日 28日 仕事納め 【1月】 5日 仕事始め 6日 ボランティア活動・サービス再開 編集後記 本号は記事が溢れたため、感謝報告の頁を圧縮することになり、申し訳ありません。今年もコロナ禍の中、ボランティアの皆様には図書製作とサービス支援にお力添えくださり、ありがとうございました。来年の活動が少しでも平常に行えることを祈ります。(竹) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2022年12月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2022年12月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円