日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2022年5月号   <<表紙イラスト>> タケノコ掘りのイラストです。 竹林の中で、作業着姿のおじいさんと、男の子と犬のポチがタケノコ掘りをしています。 男の子が、自分と同じくらいの大きさのタケノコを「ズボッ」と掘り起こし、あまりの大きさに驚いています。 犬のポチはよろめいている男の子の背中を両前足で支え、おじいさんは「おお、BIGじゃ…」と笑顔で喜んでいます。 その様子を見て、土の中から顔を出したモグラも、両手を挙げて喜んでいます。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2頁・4頁)   ●ボランティアの頁(3頁)   ●感謝報告(5〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆館内活動と会議室貸出について  当館では、4月から感染対策を徹底しながら館内でのボランティア活動と会議室の利用・貸出を再開しました。会議室については、利用者サービスの使用を確保しながら、当館と協力グループのボランティア活動や講習会を優先しますので、ご利用ください。来館される際は、手洗いと手指消毒に加え、入館時の体温測定(非接触型体温計で測定)と不織布マスクの着用(お持ちでない方には館から提供)をお願いします。  ◆3年ぶりのチャリティコンサートにぜひご来場を  日本ライトハウス創業100周年記念のチャリティコンサートを6月19日(日)13時30分からザ・シンフォニーホールで開催します。出演はヴァイオリニストの川畠成道(かわばた なりみち)氏と澤和樹氏 指揮の千里フィルハーモニア・大阪。曲目はドボルザークの「ヴァイオリン協奏曲イ短調作品53」と「交響曲第9番ホ短調 新世界より 作品95」他。入場料3,500円、視覚障害の方を招待するためのアミティチケット1,000円。お問い合わせ、チケット購入は当館3階総務係か、当法人募金事業部(電話06-6968-1030)まで。  ◆専門点訳講習会「UEB英語点訳コース」を開講  英語点訳が初めての方を対象に、UEB(統一英語点字)の規則をはじめ、英語点字の校正に必要な技術と専門知識の習得を目的とした講習会(定員15人)を開講します。  日程 5月28日、6月11日、6月25日、7月9日、7月23日、8月27日(全6回)10時〜12時  講師 福井哲也(点字情報技術センター技術顧問)  受講料 1,000円(受講料とは別に、日本ライトハウス発行「新版 UEBベーシックマスター 英語点訳の基礎」をご用意ください。)  申込 当館HP(http://www.lighthouse.or.jp/iccb/informations/informations-33560/)で実施要項をご確認ください。  申込締切 5月13日(金)  問合せ先 点字製作係(電話06-6441-1028)  ◆5月の休館・休室について 5月1日(日)〜5日(木)=全館休館 5月12日(第2木曜)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は書庫・在庫整理日のため休室。  15:30〜17:00 職員会議(館内活動休止)    <<センターの頁>>(2・4頁)   ●コロナ禍に抗して、図書製作、貸出サービスともに健闘   情報文化センター・2021年度事業実績のご報告  当館の2021年度の事業実績がまとまりました。2年間を越えるコロナ禍により、館内活動を制限し、オンラインやメール、電話、郵送等に頼る不自由な活動が続く中、ボランティアの皆様の粘り強い努力と視覚障害者の方々の熱心な利用により、図書製作、図書貸出、機器・用具サービスともに前年度と同等か、それを上回る実績を上げることが出来ました。ただし、ボランティア活動については未だに対面リーディングサービスを元に戻すことが出来ず、多くの方に待機をお願いしている上、活動を休止・引退される方も増えているのが心配です。今年度も少しでも図書製作とサービス提供の実績が伸びるように、皆様のお力添えをお願い申し上げます。(館長 竹下 亘)  ◆前年度を上回る図書製作を達成  来館制限等をお願いする中、点字図書、録音図書、電子書籍は2020年度をほぼ上回る製作数を達成することが出来ました(下表は、タイトル数の比較で、実際には冊数や枚数、時間数が大幅に異なるため、製作数の単純な比較は出来ません)。また、製作図書は専門書や図表等の多い、高い処理技術と手間を要するものが多いため、数字には表れない価値があります。 ◆図書製作(単位:タイトル)  点字製作 蔵書:2021年度 213 2020年度 173 アミ・ドゥ・ブライユ:2021年度 6 2020年度 6 教科書・教材:2021年度 252 2020年度 232 プライベート製作:2021年度 32 2020年度 32  録音製作 蔵書:2021年度 149 2020年度 148  内シネマデイジー:2021年度 13 2020年度 13 雑誌:2021年度 144 2020年度 141 学術文献図書等:2021年度 37 2020年度 50 プライベート製作:2021年度 33 2020年度 23  電子書籍 マルチメディアデイジー:2021年度 19 2020年度 14 テキストデイジー:2021年度 33 2020年度 51 テキストデータ:2021年度 20 2020年度 13  ◆図書貸出は微減の一方、サピエの利用は増加  図書貸出サービスは、サピエ図書館が全面改修のため、年度末に3週間停止するなど、影響を受けましたが、貸出数はほぼ前年度並みを維持することが出来ました。  一方、実績には含まれていませんが、自宅で過ごされる 方が増える中、インターネットでいつでも自由に本を探して、読める強味から、サピエ図書館を通しての図書利用(ダウンロード等)は徐々に増えています ◆図書・情報サービス  利用登録者数:2021年度 5,174人 2020年度 5,119人  図書貸出数 点字図書:2021年度 7,873冊 2020年度 8,346冊 録音(デイジー):2021年度 98,231枚 2020年度 100,678枚 録音(テープ):2021年度 937巻 2020年度 1,553巻 図書貸出数合計:2021年度 107,041 2020年度 110,577  対面リーディング:2021年度 95件 2020年度 66件  プライベートサービス:2021年度 152件 2020年度 122件  ◆エンジョイ!グッズサロンの利用は着実に回復  2020年度は、緊急事態宣言による休室や開室時間の短縮で、来室者が減ったエンジョイ!グッズサロンですが、2021年度は、眼科医の紹介等により相談に来られる視覚障害の方や、初めて来られるお客様が増え続けています。 ◆機器・用具サービス  エンジョイ!グッズサロン来室者:2021年度 4,251人 2020年度 3,479人  ICT個人講習:2021年度 449件 2020年度 407件  パソコンQ&A:2021年度 3,999件 2020年度 4,257件  ICTサロン:2021年度 10回・111人 2020年度 10回・135人  ◆情報文化センター・2022年度職員配置のご紹介  今年度の職員配置を以下に掲載しました。新任職員が増えましたので、どうぞよろしくお願いいたします。 ◆製作部=久保田文(あや)(製作部長) 【6階 録音製作係】木田陽子(主任)、内藤流津(るつ)、中川史(ふみ)、宇田佑香 【7階 メディア製作センター・デイジーユニット】白坂マナミ(リーダー)、林登、小西美希、久住拓子(ひさずみ ひろこ)、副田篤子、中村大(ひろし)(新) 【8階 点字製作係、メディア製作センター・点字ユニット】奥野真里(主任)、稲田久美、大川靖子、岡田直美、大下歩(あゆみ)、山原瑞穂 【8階 メディア製作センター・電子書籍ユニット】長本幹、太田和美(かずみ) ◆サービス部=林田茂(サービス部長) 【5階 機器・用具係】松本一寛(かずひろ)(主幹)、原田美貴(主任)、岡本昇、花田潤子、加治川千賀子、江島英夫、須貝直美、前北純弥(まえきた じゅんや)、竹田幸代(ゆきよ)、川口千代(ちよ)、五十川直子(新)、出垣内素子(もとこ)(新)、石原加奈子(新)、西野知世(新) 【別館9階 図書・情報係】山岡幸雄(リーダー)、伊藤信乃、福田直樹、長尾郁子、樋口あゆみ、伊藤淳子、大西純代(新) ◆総務部(3階)=竹下亘(館長・総務部長) 橋口勇男(専務理事・顧問)、谷口由紀(主任)、今村竹志、曽禰一子(いつこ)、コ嶋薫   ●関東や関西の子どもたちがオンラインで楽しく交流   『アミ・ドゥ・ブライユ』第4回読者交流会を開催  3月26日の午後、当館発行の児童向け点字雑誌『アミ・ドゥ・ブライユ』の第4回読者交流会「みんなでつながっチャオ!」をオンラインで開催しました。同誌は多くの皆様のご寄附を元に、2015年から隔月で発行。毎号120部を全国のお子さんや視覚支援学校に無償でお届けし、4月で通巻40号を数えます。交流会では本誌の人気コーナー「働く先輩」のライブ版や「アミ川柳」大会、「脳トレクイズ」などを行い、関東と関西の読者6人がオンラインでつながり、大いに盛り上がりました。「働く先輩」ライブ版では、東京オリンピック・パラリンピック2020に、陸上100m、走り幅跳び、そして新種目となったユニバーサルリレーで出場された全盲の澤田優蘭(うらん)さんをゲストに迎え、生い立ちや陸上との出会い、パラリンピックでの体験談など貴重なお話しを聴くことができました。交流会の様子を報告させていただきます。(点字製作係 奥野真里、大下 歩(あゆみ))  ◆遅刻だよ 3秒で済む 朝ごはん  その日の午後は、笑い声があふれていました。3月26日、オンラインで開かれた『アミ・ドゥ・ブライユ』読者交流会。視覚障害のある小中学生6人が全国から集まりました。皆、普段から熱心に川柳やお便りを投稿してくれています。  プログラムは、お題に沿ったオリジナル川柳を発表する「アミ川柳」や、今、はまっていることなどをシェアする「ラッキーつぶつぶ」、そしてクイズ大会「脳トレクイズ」など。すべて投稿欄の募集テーマにちなんだものです。  見出しに紹介した句は、私(大下)が特に心を掴まれた川柳です。とても懐かしい気持ちになりました。私は中学から大学まで学校の敷地内の寮で暮らしていましたが、近いからこそ油断して朝寝坊。体感3秒で朝ご飯を飲み下すことになるのです。他の子どもたちからも異口同音に「わかるー!」と声が上がっていました。  もう一つ、子どもたちの共感を集めていたもの、それは電車の話題でした。「今度、特急ひたちを端から端まで乗るんだ」と宣言する子、鉄道研究部に入っていて電車の運転席のレバーやボタンを触らせてもらったことがあると言う子…。主に首都圏の電車について、とてもオンラインとは思えない速さで会話が飛び交っていました。電車のことはとんとわからない私も、共通の趣味の話題で盛り上がる楽しさは想像がつきました。それにしても視覚障害者にこうも電車好きが多いのはなぜなのでしょうね。  この交流会に参加してくれた子どもたちは、通っている学校や住んでいる地域を越えて、これからも事あるごとに顔を会わせる仲になっていくと思います。同じ雑誌を読み、趣味や価値観が通じ合って、しかもそこに「お便り」を送る行動力を持ち合わせている。それは歳が近いとか同じ視覚障害があるとかいうことよりずっと強く、彼らを結び付けると思います。  何か困ったことがあった時、そして特段何もない時でも、「ねえねえ」と気軽に連絡し合えるような仲間になっていってほしい。『アミ・ドゥ・ブライユ』がそのかけ橋になれば嬉しい。今にもZoomの画面から飛び出してきそうな子どもたちのパワーに圧倒されつつ、そんなことを考えました。  ◆『アミ・ドゥ・ブライユ』40号の主な内容  なにこれ?「東京スカイツリー開業10周年」(公式キャラクター「ソラカラちゃん」の触図)  ニュースイッチ「4月から18歳で成人に」「ウクライナとロシアなぜ対立?」「カピバラが温泉につかって美肌に!?」(カピバラの触図)  ときめきトピックス「SnowMan阿部ちゃん先生のお天気教室!」  なるほどファイル「母ゾウアザラシはわが子の声を聞き分ける!!」(触図)  つくっchao!「ギョーザ特集」  特集3・11から11年  おもしろ れきばな「青木昆陽」  アミ川柳「歩く」「朝ごはん」  脳トレクイズ「丸をたどろう」  読者のページ他。   ●ボランティアの頁(3頁)   録音ボランティアの古跡眞知子さんがご逝去  録音製作係のボランティアとして、40年に亘り活動いただいた古跡眞知子さんが3月30日、ご病気のため病院で逝去されました。  古跡さんは、NHK大阪文化センターで開かれた林曠子(ひろこ)先生の講習会の第1期生で、1982年から当館で音訳・録音活動を開始。20年前からは蔵書の編集と『週刊新潮』のデイジー編集をご担当くださいました。今年2月、体調を崩された後も出来るだけ長く『新潮』の編集に携わることを望んでおられましたが、体力的に難しいと判断され、活動休止を決められました。3月初めに緩和ケア病棟への入院を希望され、安らかに逝去されたとのことです。  古跡さんは大らかで、親しみやすいお人柄でありながら、録音図書の製作については几帳面で、繊細な心配りをされる方で、多くの方から信頼され、慕われていました。生前のご愛労に深く感謝するとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。  なお、ご霊前にボランティアの皆様からのお花をお供えしたいと思います。参加ご希望の方は、5月10日までに録音製作係へお申し出ください。  ◆ご家族からボランティアの皆様へのお言葉  専業主婦として、家族のために尽くしていた母ですが、家事以外にも、私が子供のころはお菓子・パン作り、スポーツはアーチェリーを楽しみ、新聞に写真入りで紹介されたこともありました。  一方、朗読に関心を持ち、林曠子先生の講座を受講、その後ライトハウスに通うようになり、生涯の友と言うべき方たちとも出会いました。しばらくして船場(せんば)育ちの大阪弁のイントネーションが強いので、朗読から編集に代わり、『週刊新潮』にわからない言葉があると父に尋ねて調べていることもありました。テープレコーダーからパソコンとなってからは操作に苦労し、職員の方を頼ることも多かったように思います。  しかし、亡くなる直前まで、「ライトハウスのボランティアが生きる支えとなっている。この活動に携わることができて本当に良かった」と何度も言って、緩和ケア病棟の看護師さんにも嬉しそうに話していたようでした。  ライトハウスでの活動、出会った皆様に心より感謝いたします。(古跡賀洋子(かよこ))   ●報告の頁(8頁)  ◆考案200周年に向けて「点字」の再興を!  ルイ・ブライユが1825年に点字を考案して、まもなく200年。これを機に点字をさらに社会に広めようという願いから「点字考案200年記念推進委員会」が発足し、第1回記念講演会&シンポジウムを3月、東京と大阪の2会場とオンラインで行いました。講演では、韓国で2016年に施行された「点字法」について成立の経緯と現状が報告され、法律で点字を公的な文字に定めることの重要性が示されました。シンポジウムでは、日本の各界で活躍している点字使用者4人が発表。特に日本点字図書館理事長の長岡英司(ひでじ)氏の報告はショッキングで、点字図書館の点字図書貸出数が、1982年に55,454タイトル(一人当たり3.21タイトル)だったのが2017年には42,357タイトル(同1.7タイトル)に減っているなど、点字の利用の漸減を示す統計が各種紹介されました。これに対する対応策は、色々提言されましたが、当館でも点字の再興に向けて検討と取り組みを強めたいと思います。(奥野)  ◆今年度の音訳ボランティア養成講習会が開講  音訳ボランティア養成講習会が4月から開講。(1)は講師安田知博(ともひろ)氏、受講者13人で、4月6日から8月24日まで全15回行われます。また、(3)は4月26日から開講。講師は当館の録音ボランティア十数人、受講者6人で、来年3月まで全30回行われます。また、(2)は現在(1)を受講中の方を対象に、9月中旬〜来年1月頃まで全17回行われる予定です。 あゆみ 【4月】 6日 音訳ボランティア養成講習会(1)開講 9日 専門講習会テキストデイジー編集コース開講  全視情協事務局移転 14日 サービス部休室(書庫・在庫整理日)  消防避難訓練  ボランティア友の会世話人会  日本ライトハウス新任職員研修(当館) 15日 わろう座映画体験会 16日 オープンデー(館内見学日、6人) 26日 音訳ボランティア養成講習会(3)開講 28日 ボランティア交流会・記念演奏会 29日 全館休館(祝日) 予定 【5月】 3〜5日 全館休館(祝日) 12日 エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は休室(書庫・在庫整理日)  ボランティア友の会世話人会  情報文化センター職員会議(15:30〜17:00) 14日 オープンデー(館内見学日、要予約) 19日 点訳ボランティア養成講習会開講 編集後記 わが家は息子達が巣立ち、初老の夫婦二人の静かな毎日になりました。ふと気づくと、もう長い間、“子ども”としゃべったり、遊んだりした記憶がありません。そんな中、『アミ・ドゥ・ブライユ』読者の集いで、10歳前後の子ども達とふれあう機会が与えられ、無邪気な会話に大笑いし、可愛らしさに頬が緩みました。実は、孫が生まれても面倒を見られるか心配だったのですが、少し楽しみになってきました。地震や原発事故、コロナ禍や戦争など先行き不安な時代ですが、この子ども達の将来が平和で幸せなものになるように祈ります。(竹) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2022年5月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2022年5月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円