日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2021年12月号   <<表紙イラスト>> 大掃除のイラストです。 右手に掃除機を抱え、左手にハタキを持ったお母さんが「んもう…!大掃除にならないわっ」と困り顔。 お母さんの目線の先には、お父さん・女の子・犬のポチが一つのコタツに入って「zzz…」と居眠りをしています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●利用者の頁(2頁)   ●センターの頁(3〜4頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆今こそ話そう!読書BF法とボランティア活動  「読書バリアフリー法(以下、BF法)」が2019年6月に施行されて約2年半。折悪しくコロナ禍が重なり、点字図書館の事業とボランティア活動は困難に直面していますが、関係省庁と団体による検討・協議は徐々に進み、今後の展望や課題が見えてきました。そこで、当館のボランティアに向けた特別講演会「今こそ話そう!読書BF法とボランティア活動」を開催します。竹下亘館長と福井哲也副館長(点字情報技術センター所長)を講師に、他所ではほとんど語られたことのない読書BF法の内実と課題、今後高まる点訳・音訳・アクセシブルな電子書籍の価値とボランティアに期待される役割をお伝えします。ぜひご参加(ご視聴)ください。  日時 2021年12月11日(土)13:30〜16:00  会場 オンライン(Zoom)か当館4階会議室  演題 「読書BF法の内実とボランティア活動の価値」(竹下亘)、「AIには出来ない!意味内容を伝える点訳・音訳・電子書籍」(福井哲也)  申込 12月7日(火)までに当館総務係まで。 Zoom参加の方はEメールinfo@iccb.jp。会場参加の方(先着20人)は電話06-6441-0015まで。  12月からのサービス拡大について  当館5階のエンジョイ!グッズサロンと図書貸出サービスは、12月から受付・開室時間を拡大します。今後も感染状況によっては変更することがありますので、ご了承下さい。  ◆エンジョイ!グッズサロン(機器・用具)と図書貸出の開室・電話受付=10時〜16時。パソコンQ&Aとサピエサポートの電話は10時〜16時30分。電子機器やパソコンの個人講習も実施中。ご来館の際は必ず事前予約をお願いします。  ◆来館時のお願い=来館前に体温を測り、来館時はマスクの着用と、石鹸によるこまめな手洗いと手指消毒。出来るだけ少人数での来館と短時間の滞在をお願いします。  ◆年末年始の休館・休室について  12月9日(第2木曜)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は書庫・在庫整理日のため休室。  12月24日(金)=サービス最終日  12月25日(土)=ボランティア活動最終日  (各係で異なりますので、ご確認ください。)  12月29日〜1月4日=全館休館  (仕事納めは12月28日、仕事始めは1月5日)  1月6日(木)=ボランティア活動・サービス再開    <<利用者の頁>>(2頁)   ●「ほとんど家にいる」人が36%、「情報提供の充実」の要望が17%   「2019年度大阪市障がい者等基礎調査結果」から  大阪市福祉局は今年、「大阪市障がい者支援計画・第6期障がい福祉計画・第2期障がい児福祉計画」を発表しました。この3計画はそれぞれ、「障害者基本法」「障害者総合支援法」「児童福祉法」に基づき、2023年度までの福祉計画を立案したものです。3計画の基本理念は、@個人としての尊重、A社会参加の機会の確保、B地域での自立生活の推進で、色々な項目について「現状と課題」と「施策の方向性」が示されています。中でも注目されるのは、「大阪市障がい者支援計画」立案のために行われた「障がい者等基礎調査」です。視覚障害を含め障害のある市民の意識や日常生活が垣間見られ、私達の事業や活動でも留意し、活かしていく必要がありますので、一部をご紹介します。(館長 竹下 亘)  ※調査の回答者数は4,055人。全30問の内、7問を引用。字数上、設問の表現を一部編集。複数回答の設問は上位の項目のみ掲載しました。 ◆不快さ(差別)や不便さを感じた場面(複数回答)  働こうとした時、働いている時 12.9%  公共交通機関を利用する時 11.7%  買い物や外食などをする時 8.2%  家族や周囲の理解を得ようとする時 6.3%  医療機関を利用する時 5.8%  公共施設(建物・道路・公園)などを利用する時 4.2%  趣味・スポーツなどの活動をする時 4.1%  教育を受ける時 3.7%  住宅の購入または住宅の入居時 2.8%  福祉サービスを利用する時 2.4% ◆障がいによって困っていること(複数回答)  外出しづらくなる時がある 25.2%  健康状態が良くない・不安がある 23.1%  人との関わりが苦手になる 22.3%  調理・洗濯・掃除などの家事 21.5%  自分の思いを伝えること、まわりとのコミュニケーションのとりかた 20.2%  充分な睡眠がとれず、生活リズムがくずれる 18.8%  感情のコントロールやストレス解消 18.0%  特にない 17.6%  経済的に困っている 17.0%  食事・排泄・入浴など身の回りのこと 15.2% ◆日中の主な活動(複数回答)  ほとんど外出せずに家にいることが多い(在宅勤務している方は除く) 35.9%  一般企業、自営業、在宅勤務で就労 9.7%  趣味、スポーツ、レクリエーション 10.9%  通所事業など障がい福祉サービス利用 9.9%  通園・通学 6.1% ◆1年間の運動やスポーツの程度(単一回答)  ほとんど毎日 7.3%  週に3日以上 8.8%  週に1〜2日 16.3%  月に1〜3日 9.4%  年に1〜2日 4.7%  全くしなかった 46.6% ◆福祉に関する情報の入手源(複数回答)  家族や親族 34.1%  区役所・保健福祉センターの職員 29.2%  テレビ・新聞・ラジオなど 24.0%  医療機関の職員 18.0%  インターネット 18.0%  福祉サービス事業所などの職員 17.5%  友人・知人・職場の同僚 11.9%  どこからも情報を得られない 6.6% ◆障がい者施策全般に望むこと(複数回答)  所得の保障 22.4%  相談支援体制の充実 18.2%  高齢障がい者支援の充実 18.2%  休日・緊急時の連絡・相談支援体制 17.1%  障がいの特性に沿った情報提供の充実 16.5%  福祉サービスの利用者負担の軽減 16.3%  災害時などの緊急時の防災対策 16.1%  保険・医療・リハビリテーションの充実 15.9%  交通バリアフリーなどの環境整備 15.8%  暮らしやすい住宅の整備 15.2% ◆災害時に必要と思うこと(複数回答)  安全な場所への誘導や介助など 36.8%  医療的ケアの充実と医薬品などの提供 27.4%  避難所の建物・設備などの整備 25.3%  障がいに応じた情報提供 24.5%  障がい者を対象とした避難所の確保 24.3%  避難所での介護・情報伝達等の人的支援 17.3%  災害時における避難支援プラン 12.1%   ●「焦りや悔しさ 拳 の中に 咲かせてみせる 夢の花」   これまでの経験を人生の糧に、未来へ向かって  視覚障害リハビリテーションセンター きらきら 早野 愛  ◆人生の悔しさ、喜びや希望を「歌詞」に込めて  皆さん、こんにちは。今年の4月より、日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンターに入職しました、早野愛と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  私は、音楽を聴くことが好きで、歌詞に感銘を受けたり、勇気をもらったりすることもよくあります。あるとき、自分でも作詞をしてみようと思い立ちました。初めは自分の趣味で作っていただけなので、どこかに発表しようと思っていたわけではなかったのですが、偶然にもオンキヨー世界点字作文コンクールに作詞部門があることを知り、勇気を出して応募しました。  そうしたら幸いなことに、第18回オンキヨー世界点字作文コンクール作詞賞を受賞しました。「わたしの人生」というタイトルで、これまでの人生を歩んできて感じた焦りや悔しさ、喜びや希望を綴りました。  オンキヨー世界点字作文コンクールは、年に1回、視覚障害や点字について書かれた作文と作詞を募集しています。作文は視覚障害の部とサポートの部があり、視覚障害の有無を問わず応募することができます。また、海外からも応募できます。今年の募集は9月30日が締め切りでしたが、興味のある方は、ぜひ来年以降に応募されてみてはいかがでしょうか。  そして、私が作った詞に徳永暁人先生が大変素晴らしい曲をつけてくださいました。徳永暁人先生は、倉木麻衣さんが歌われている名探偵コナンの映画の主題歌の他、B'zさん、ZARDさん、大黒摩季さん、ももいろクローバーZさん等、数多くのアーティストへ楽曲を提供されています。私の受賞作品は、1番のみでしたらYouTubeで聴くことができますので、もしよろしければ聴いていただけると幸いです。  ※YouTubeで「オンキヨー 早野愛」で検索すると上位に表示されます。 ◆第18回オンキヨー世界点字作文コンクール 作詞賞 受賞作品  「わたしの人生」  努力は必ず 報われる のか  自信をなくす 時もある  白杖 手に持ち 行く道探る  トントントンと 地面つく  どこに向かおう 迷いながら  何かないの 明日の目印  壁にぶつかった わたしの人生  歩みを止めて 想い巡らす  暗闇の中で 感じた光  しがみつこうと 奮い立つ  焦りや悔しさ 拳 の中に  咲かせてみせる 夢の花  高鳴る鼓動 聞こえてくる  大丈夫と 励ますように  一歩ずつ進む わたしの人生  勇気を出して 未来へ向かう  ◆人の心に寄り添える支援員を目指して  さて、「わたしの人生」について書かせていただきたいと思います。私は、生まれつきの弱視です。学校の先生方や友人、家族等、多くの方々に支えていただきながら、地域の小学校、中学校、高校、そして、大学に通いました。教室では最前列の席に座るよう、ご配慮いただいていましたが、それでも黒板の文字が見えませんでした。授業についていくことができず、困ったことはたくさんありました。一番困ったのは、文字の習得です。拡大すれば文字を見ることはできますが、雰囲気でしか読み取ることはできず、線の数や、点の有無、はねる箇所やはらう箇所までは分かりません。  また、見えにくい中で文字を書くことは、線と線がうまく交わらなかったり、文字と文字が重なったり、難しいことがいくつもあります。  そこで、平仮名や新しい漢字を学ぶ度に、母が、私の手を取りながら書き方を教えてくれました。徐々に書き方のコツを掴んでいった私は、読み取っていただけるような文字を書くことができるようになりました。このことは、今でも母に心から感謝しています。  しかし、努力をしても報われることばかりではありませんでした。焦りや悔しさが込み上げてきたこともあります。それでも、その過程で学んだことや得た経験は、人生の糧になると信じています。  多くの方々の優しさや温かさに触れながら人生を歩んできた私は、幸せ者です。そう思えるようになるまで長い道のりでしたが、人生で出会った人々が、私を変えていってくれたように思います。常に感謝の気持ちを忘れずに、その感謝の気持ちを少しでも形にすることができるよう、日々精進していきます。  私は現在、日本ライトハウス 障害者支援施設きらきらで、点字の読み書きや、墨字(主に漢字)の学習、音声読み上げソフトを使ったコンピューターの訓練などのプログラムに関わっています。見えない、見えにくい方々の心に寄り添える支援員になることが、今の私の夢です。  ◆「きらきら」とは  障害者支援施設きらきらは、障害者総合支援法の自立訓練(機能訓練)に基づき、見えない、見えにくい方々の生活をより豊かに、便利にするためのプログラムを提供しています。歩行訓練では、白杖を使って安全に一人で歩けるように支援。コミュニケーション訓練では、点字や墨字の学習をはじめ、音声読み上げソフトや拡大機能を使ったパソコン、iPhoneなどの情報機器の使用方法を訓練。日常生活動作訓練では、調理、掃除、洗濯など、日常の中で困っていることを一緒に考え、改善方法を見つけていきます。   ●報告の頁(8頁)  ◆対面リーディング・サービスをZoomで再開  前号でお伝えした通り、対面リーディング・サービスを10月15日から再開しました。ボランティアと利用者が隣接する対面スタジオ2室に分かれ、パソコンに向かって顔を合わせ、声を交わせるZoomを使って実施。ボランティア、利用者共に「概ね問題なかった」との声が多かった反面、「相手の雰囲気が分かりにくい」「マイクを通すとやや聞き取りにくい」といったご意見もあり、「1室で出来ないなら利用を見送る」という方もおられます。万全の条件ではありませんが、当分はこの方式で続ける予定です。  10月15日から11月13日の利用件数は以下の通り。 *対面ボランティア担当 14件 *職員対応(会議室使用) 5件、合計19件  ◆衆院選の音声版「選挙のお知らせ」を製作  10月31日に行われた「衆議院議員総選挙」(及び「最高裁判所裁判官国民審査」)では、全国で「選挙公報」の点字版、音声版、拡大文字版が発行されました。当館メディア製作センターでも音声版の製作を受託。多くのボランティアの皆さん(お名前を7頁に掲載)に1週間、連日夜遅くまでご協力いただき、比例区1ブロック、小選挙区4県35区の音声デイジー版「選挙のお知らせ」を無事に製作することができました。 あゆみ 【11月】 4日 ボランティア世話人会 11日 第69回全国盲人福祉施設大会(オンライン) 13日 オープンデー(館内見学日・5人) 17日・18日 法人理事会・評議員会  日盲社協(にちもうしゃきょう)情報化対応支援者研修会(〜19日) 19日 見学:国際協力機構(JICA(ジャイカ))横浜センター 24日 専門点訳・点字編集システム実践コース開講 25日 見学:視覚障害生活訓練等指導者養成課程 予定 【12月】 2日 全視情協サピエ研修会(〜3日) 9日 エンジョイ!グッズサロンと図書貸出休室(書庫・在庫整理日) 11日 特別講演会・読書BF法とボランティア活動 16日 見学:福岡市立点字図書館 18日 オープンデー(館内見学日・要予約) 24日 サービス最終日 25日 ボランティア活動最終日 28日 仕事納め 【1月】 5日 仕事始め 6日 全館ボランティア活動・サービス再開 編集後記 10月から当館の見学者も少しづつ増え始めました。以前は月1回のオープンデーを含め年間40回余り、合計300人以上に達しましたが、コロナ禍の2年間は“閑古鳥”。それが10月、11月のオープンデーには、ボランティアの志望者をはじめ、同行援護の受講者や特別支援教育の学生、視覚障害者の方、点字に興味のある方など9人が参加。団体見学も入り出しました。願わくは、見学を通して当館と視覚障害者の方々への理解が広まりますように。(竹) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2021年12月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2021年12月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円