日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2021年11月号   <<表紙イラスト>> 冷たい秋風が木の葉を飛ばしています。 木からぶら下がっている蓑虫(Mr.MINOMUSHI)は風に吹かれて「はっくしょい!!」と大きなくしゃみ。 掃除の箒を持った女の子はその様子を見て「お大事に…」と心配しています。 犬のポチも蓑虫を見上げて、気にかけている様子。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2〜3頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆11月以降の館内活動・サービス提供について  大阪府の緊急事態宣言の解除に伴い、休止・縮小していた館内のボランティア活動やサービスを10月から再開・拡大しています。11月以降の館内活動やサービスの予定は以下の通りです。 ◆館内のボランティア活動と会議室利用  定員の2分の1を目安に実施。係毎にご来館の予約や日時指定、人数制限をお願いしています。 ◆エンジョイ!グッズサロンと図書貸出  開室と電話受付は10時〜15時(パソコンQ&Aとサピエサポートの電話は10時〜16時30分)。ご来館時は事前予約をお願いします。感染状況により、12月から受付時間を拡大する予定です。 ◆再開するサービス  *対面リーディング=Zoomを使い、2部屋に分かれて実施。詳細は「対面通信」10月号掲載。  *電子機器やパソコンの個人講習 ◆来館時のお願い  @来館前に体温を測り、平熱よりも高い時や体調に不安のある時は来館をお控え下さい。  A来館時は、石鹸によるこまめな手洗いと手指消毒をお願いします。  Bマスクの着用をお願いします。  ◆盲導犬カレンダー2022年版の発売開始!  毎年大人気の日本ライトハウス盲導犬チャリティ・カレンダーを当館3階総務係で販売中。今年は盲導犬訓練所のユーザーやボランティアから募集した写真を月毎に掲載。壁掛けタイプ(見開きA3判)、卓上タイプ(B6判)の2種類で共に定価1,000円(税込)。見本は、ホームページ(http://www.guidedog-lighthouse.jp/)でご覧ください。通販ご希望の方は、盲導犬訓練所(電話0721-72-0914)までお願いします。当館では、新しいチャリティグッズとして、「盲導犬事業開始50周年記念マスク」(900円)、「のびのびエコ軍手」(500円)も扱っています。  ◆11月の休館・休室について  11月3日(水・祝日)=全館休館  11月11日(第2木曜)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は書庫・在庫整理日のため休室。  11月23日(火・祝日)=全館休館    <<センターの頁>>(2〜3頁)   ●グッズサロン20周年記念「トークイベント」に1千人を超える参加者   「全国ロービジョンフェア2021」をオンラインで開催  コロナ禍により、今年も「日本ライトハウス展」は中止となりましたが、当館ではこれに替えて、10月9日・10日、エンジョイ!グッズサロン20周年記念「オンライントークイベント〜全国ロービジョンフェア2021」(社会福祉法人 読売光と愛の事業団共催)をインターネットで開催。利用者も発言できるZoomミーティングと視聴のみのYouTubeライブで、特別ゲストを招いてのトークイベント「どこまで言っても良いん会(いいんかい)」を行い、5つのプログラムに延べ1,000人を超える皆様がご参加くださいました。特に印象に残った2テーマをご紹介します。(サービス部長 林田 茂)  ◆最新のウェアラブルデバイスを比較紹介  テーマ1では、眼鏡型OCR文字読み上げ機器3種類を紹介し、その有効性を比較しました。@「エンジェルアイスマートリーダー」は、対象物の位置を「上へ移動、左へ移動」と指示してくれるため全盲の方に有効で、A「オーカム」は、読ませたい場所近くで手のジェスチャーを使って操作をするため、対象物が少し見える弱視者により有効であることを確認。また、B「エンビジョングラス」は、文字の読み上げに加え、「風景を説明」や「モノを見つける」「通話(遠隔サポートも可)」などといった機能も魅力的ですが、基本はインターネット接続とスマホのアプリが必須のため、使いこなすには人を選びそうです。  遠隔サポートでは、暗所視支援眼鏡MW10(テン)も登場し、2021年モデルではリモートチャット機能が加わり、離れていても映像を見てサポートできることが紹介されました。この機器は、定額月払いのサブスクリプションも選択できて、今後、他の機器にも導入されるきっかけになるかもしれませんので、目が離せません。  ◆移動支援「今そこにある未来」  視覚障害の方の移動支援も変わりつつあります。テーマ3では、点字ブロックにQRコードを貼付する「shikAI(シカイ)」や、点状ブロックの凸上に黒丸などを付ける「コード化点字ブロック」を紹介。どちらもスマホで読み取り、ナビゲーションするシステムです。別のタイプのNavilens(ナビレンズ)は、情報が埋め込まれたタグ(四角形の図柄)を壁に貼り、スマホをかざすと情報を読み上げる仕組みで、能動的な情報収集の助けになります。  それぞれに異なる魅力がありますが、アプリを使い分けないといけないことや、周知ができていないことが課題に挙げられています。その改善を目指して動いているのが、神戸アイセンターのネクストビジョンです。2025年の大阪万博に、これらのシステムを導入することを目指しているので、今後の展開に期待が高まります。  このテーマで、さらに興味をそそられたのが「あしらせ」というナビゲーションシステムです。靴のインナー部分にGPSの信号を送り、振動で情報を伝え、誘導するという優れものです。  とは言いつつも、このテーマの最後にネクストビジョンの山田さんが、「これからも白杖と点字ブロックを使って安全を確保しながら歩くことに変わりはなく、白杖歩行とうまく組み合わせて使うことを前提とした、あくまでも移動支援の補助ツールであることを念頭に置いてほしい」と述べられたのが印象に残りました。 (写真=トークイベント時のパソコン画面。Zoomにてゲストの御園(みその)政光さん(点字毎日「御園政光のICTノート」筆者)と当館職員が会話をしている)  これら二つのテーマからは、コロナ禍においても視覚障害の方の環境が大きく変わりつつあることが実感されました。この他のテーマでも、スマホのアプリが沢山紹介されました。私たちも常にアンテナを張り巡らせながら、新しい機器や用具を含め、こうした情報を利用者の方に丁寧にわかりやすく説明し、その方に適した選択をしてもらえるように心がけたいと思います。   ●早川福祉会館点字図書室の運営13年目に向かって   350人のボランティアと情文との連携でサービス向上を  早川福祉会館点字図書室室長 数又 幸市(かずまた こういち)  ◆早川福祉会館と点字図書室の紹介  日本ライトハウスでは、2010年度から早川福祉会館点字図書室の運営を大阪市から受託しています。東住吉区役所の近隣に位置する早川福祉会館は、シャープ株式会社の創業者早川徳次(とくじ)氏が「地域福祉の拠点整備に」と大阪市へ寄附された私財7千万円をもとに、1962年に建設され、同時に大阪市立の点字図書室が開設されました。現在の会館は、1994年に建て替えられた4階建ての建物で、1階に喫茶コーナー、2階と4階に福祉目的のグループが夜間まで無料で利用できる貸室が整備されています。(写真=南港通に面した早川福祉会館の正面。建物は早川の「早」の字を模したデザインになっています。)  点字図書室は3階にあり、書庫や貸出窓口のほか、録音スタジオ7室、編集室4室、対面読書室3室、ボランティア室などが設置され、情報文化センター(以下、情文)と同様に、点字・録音図書の製作や貸出、対面読書などの業務を10人余りの職員で行っています。  ◆350人のボランティアの力で全国上位の実績  ボランティアは、点訳、録音、テキストデイジーの製作などに、現在約350人の方が活動されています。情文と異なる点は、点訳と録音でそれぞれ2つのグループを組織し、自主的な運営を行い、職員が協力するという形を取っていることです。ボランティア養成講習会も毎年実施していますが、各グループから指導力のある方が講師となり開催しています。修了した受講者は、そのままグループの会員として、ボランティア活動をする流れになっています。  講習会は日中に加えて、全国的にも数少ない「夜の部」もあり、仕事や家庭の事情などで日中に時間を取ることが難しい方などもボランティアを志すことができるシステムを取っています。活動時間の確保としても、週3日(水〜金)を点字図書室の夜間開館日として、夜9時まで録音スタジオなどを開放し、活動のサポートをしています。各グループは定期的な勉強会や打ち合わせを貸室などで行いながら、スキルの向上を図り、利用者への情報提供に尽力されています。  また、利用者サービスの中で最も特徴的なことは、個人的な依頼に対応するプライベート製作の件数が他施設と比べとても多いことです。2019年度の全国実態調査「日本の点字図書館」では、点訳が全国で2番目、音訳(デイジー)は5番目という実績となっています。依頼内容は多岐にわたるため、製作を担当していただくボランティアの方と密に連絡を取ることで、少しでも迅速に提供できるよう努めています。  ◆情文との連携・協力でさらなる発展を  情文との連携では、以前から行っていた講習会への講師派遣に加え、一昨年からはサービス部のICT担当職員を相談担当として週1日配置しました。電話や来館での利用者対応のほか、市内施設での出張講習会も行うなど、ICTのサポートサービスの向上にも努めています。  今年度は、大阪市との委託契約(3年間)の最終年度を迎えました。早川徳次氏と当法人の創業者岩橋武夫は、1944年に戦争で失明した方が働ける「早川分工場」を力を合わせて創設したご縁があります。また、早川と情文との連携協力も他では得がたい強みです。利用者サービスのさらなる充実に向けて、来年度以降も継続して運営を受託できるように、次期公募への準備を進めていきたいと思います。   ●報告の頁(8頁)  ◆全視情協・高知大会がオンラインで開催  全視情協(全国視覚障害者情報提供施設協会)の今年度第46回大会「情報共有社会の実現へ〜読書バリアフリーの流れを高知から」が10月13日と14日、オンラインで開催。全国の点字図書館やボランティア団体、公共図書館など115施設・団体から346人が参加し(当館からも多数の職員が分散参加)、研修と情報共有を行いました。全体会では、3年前、公共図書館と点字図書館を合築して開館した「オーテピア高知声と点字の図書館」の先進的なサービスの基調報告を基に、公共図書館や学校図書館における読書バリアフリーの現状や点字図書館との連携推進に向けた課題を共有しました。2日目には、点訳、録音、電子書籍の3分科会が行われ、全国の担当者が専門的技術の研修や課題の共有を行いました。  ◆鉄道弘済会の朗読録音表彰で当館の8人が受賞  全国で活躍する録音ボランティアを表彰する公益財団法人鉄道弘済会主催の「第51回朗読録音奉仕者感謝の集い」で、今年も当館ボランティアが多数受賞されました。コロナ禍のため、昨年に続いて式典が中止となったため、受賞者のご来館に合わせて、随時、ささやかな授与式を開いて、感謝状をお渡ししています。ご受賞をお祝いするとともに、これからもお元気で活躍されますようにお祈り申し上げます。  全国表彰・朗読の部=遠藤敬子さん  地区表彰・朗読の部=福島博子さん  同・校正の部=大西祥子さん  同・デイジー編集の部=山崎千代子さん  同・個人奨励賞(活動歴数年で、今後さらなる活躍が期待される方)=小林万智子さん、M洋一(はま よういち)さん、和田啓子さん、渡瀬尚子さん  ◆音声解説の馬場玲衣(れい)が退職し、宇田佑香(うだ ゆうか)を採用  当館の音声解説を担当してきた馬場玲衣職員が11月14日付で退職することになり、後任職員を公募した結果、10月11日付で宇田佑香を採用しました。馬場職員は2018年1月から3階総務係に席を置いて、ボイスぷらすの皆さんと共にシネマ・デイジーや映画の音声解説を多数製作し、バリアフリー映画会の開催も担当しました。今後の活躍を期待したいと思います。なお、今回の人事異動を機に、音声解説を製作部録音製作係に位置付けることとし、宇田職員は木田陽子主任の下、6階録音製作係で勤務します。 あゆみ 【10月】 2日 オープンデー(館内見学日・4人) 7日・20日 専門音訳講習会・小説の読み方コース 9日・10日 オンライントークイベント〜全国ロービジョンフェア2021 13日・14日 全視情協第46回大会(オンライン) 予定 【11月】 3日 全館休館(祝日) 4日 ボランティア世話人会 11日 エンジョイ!グッズサロンと図書貸出休室(書庫・在庫整理日)  第69回全国盲人福祉施設大会(オンライン) 13日 オープンデー(館内見学日・要予約) 17日・18日 法人理事会・評議員会 23日 全館休館(祝日) 24日 専門点訳・点字編集システム実践コース開講 25日 見学:視覚障害生活訓練等指導者養成課程 編集後記 先日、友人から大阪の蜂蜜をいただきました。栄養価が高いので、私は健康と疲労回復、風邪予防に蜂蜜を常備するようにしています。驚いたのは、「日本書記」に、日本の養蜂は7世紀の半ばに百済人が奈良県の三輪山に放ち養ったと書かれている、というのです。平安時代になると、巣蜜まで貴重なものとして献上されていたそうです。花の種類によって、香りも独特でそれも楽しみのひとつです。急に冷え込んできましたが、好きなカップ&ソーサーで紅茶に蜂蜜を入れて一服。秋はモンブランケーキとともに、午後の昼下がりを楽しみたいです。但し、蜂蜜は1歳未満の赤ちゃんは食べてはいけないので、ご注意ください。(一) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2021年11月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2021年11月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円