日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2021年6月号   <<表紙イラスト>> 田植えをする姉妹のイラストです。 たすき掛けの着物を着て、日よけの笠をかぶった姉妹が田んぼで田植えをしています。 お米の苗がたくさん入ったかごを片手に持ったお姉さんは、苗の一株を妹に投げ渡し「おらおら がんばれ…!」と強気に笑いながら立っています。 妹は額の汗を拭ってため息をつき、「お姉ちゃん ズル…」と言いながらも腰を曲げて受け取った苗を植えています。 妹の隣にいる犬のポチも、口に苗をくわえて困った顔をしています。 そんな様子を田んぼの水面から顔をのぞかせたカエルがキョトンとした顔で見ています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2〜3頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆オンラインの「ガイド体験会」にぜひご参加を!  昨年は開催できなかったボランティア友の会の「ガイド体験会」ですが、今年度はコロナ禍に負けず、Zoomを活用して、視覚障害者の理解を深めるための2つのミニ研修を行います。  @自分の点字名刺を作ってみよう=点字の仕組みと面白さを体験し、自分の点字名刺を作成します。受講者には事前に簡易点字盤と「点字名刺作りの手びき」を郵送します。  Aロービジョン者の見えにくさを知ろう=画像資料を参考に、ロービジョンの方がどのように見えているのか、見えにくいかを学びます。  日時 6月24日(木)13時30分〜14時50分  定員 20人  参加費 無料  お申し込みは総務係(E-mail info@iccb.jp)に氏名、電話番号、住所を明記の上、6月12日(土)までにお申し込みください。  ◆専門音訳「処理」と「英語」をオンライン開催  6月初めに開講予定だった専門音訳講習会「処理の基礎」と「英語」コースを緊急事態宣言に伴い延期し、6月23日(水)と25日(金)からオンラインで開催します。詳しくは録音製作係まで。  ◆パソコン点訳の専門講習会を7月に開講  毎日新聞大阪社会事業団と当館主催の専門点訳講習会「点字編集システム」入門コースを開講します。点訳ソフト「点字編集システム」を使用して、パソコン点訳の実技を交えながら、そのメリットを紹介します。  日程 7月14日(水)と15日(木)の全2回、10時〜15時(コロナウイルスの感染状況により、延期になる場合があります。ご了承下さい。)  定員 10人  受講料 1,000円  受講資格 近畿圏内で手打ちか、「点字編集システム」以外のソフトで点訳活動をされているボランティアの方。受講にはWindows8以降を搭載している、インターネットに接続可能なパソコンをご持参いただく必要があります。  申込 要項を請求の上、6月30日(水)までに点字製作係(電話06-6441-1028)まで。  ◆6月の休館・休室について  6月10日(第2木曜、書庫・在庫整理日)=5階エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は休止  ◆20周年記念シンボル・デザインが完成!  前号でご紹介した「エンジョイ!グッズサロン」(旧サービスフロア)のシンボル・デザインが完成しました。今後は、シンボル・デザインと名称のロゴとをセットにして広く周知・PRしていく計画です。 (画像)エンジョイ!グッズサロンのシンボル・デザイン 左側に、手書き風のイラストで11人のシルエットが描かれている。シルエットは、白杖を持った人(白杖には、小さなハートが付いている)、盲導犬を連れた人、その他、大人や子どもが輪になって手をつないでいる。シルエットは太い円形の太枠で囲まれ、枠の上部には「THANKS 20th」、下部には「www.iccb.jp」とホームページアドレスが書いてある。  右側は、カタカナで大きく「エンジョイ!グッズサロン」と書かれたロゴタイプ(「エンジョイ!」の「ジ」の濁点は、クリッとした目になっていて、「!(感嘆符)」は白杖をモチーフにしたデザイン)。ロゴタイプの上部には、「見えない・見えにくい方のための」、下部には「日本ライトハウス情報文化センター」と書いてある。  ◆デザインを使用したエコバッグを販売中  今回採用したデザインが描かれた「エコバッグ」を500円のプレゼント価格で販売中です。(購入は、お一人様1個まで)反射板が付いていて夜間でも大活躍。折りたたんでバッグに下げていれば安全&便利なNEWエコバッグです。色は黄色、ネイビー、赤色の3色。また、同じ物を視覚障害の来館者限定で先着120人にプレゼントします。来館時の密を避けるため、電話やメールでの取り置きも受け付けていますが、この場合、色は選んでいただけません。 (画像)エコバッグ 縦長で下部が光を反射する生地になっている。中央に20周年記念のシンボル・デザインがプリントされている。  ◆2つのオリジナル商品を販売  エコバッグの他にもシンボルデザインをあしらったオリジナル商品を販売しています。  「ショルダーサコッシュ」=1,200円。紐の長さを調節して肩にかけられるショルダーバッグ。あけぐちは安心なホック付きで、折りたたみの白杖や携帯電話、ちょっとした小物を入れるのに便利なバッグです。色は白色、紺色の2種類。 (画像)ショルダーサコッシュ 横長で、内側(うちがわ)に留め具のボタンが付いている。中央にシンボル・デザインの円形のロゴマークがプリントされている。ロゴマークの下部には「NIPPON LIGHTHOUSE」の文字と白杖がデザインされている。  「デニムショルダートート」=1,500円。手持ちでも肩掛けでもOKな2ウェイのデニムトート。横マチなしでスマートなバッグです。色はインディゴカラー、ヴィンテージカラーの2種類。 (画像)デニムショルダートート 縦長のデニム生地。本体の上部中央に手持ち用の紐、両端に肩紐がついている。プリントされているデザインはショルダーサコッシュと同じもの。  今回ご紹介したエコバッグと2つのオリジナル商品は、通信販売も承っていますのでぜひお買い求めください。お問い合わせはエンジョイ!グッズサロン(電話06-6441-0039)まで。    <<センターの頁>>(2〜3頁)   ●法人研修を受講して〜当館新任職員3人のご紹介  当館では昨年度から今年度にかけて3人の新任職員、中川史(ナカガワ フミ)(録音製作係)、コ嶋薫(総務係)、藤岡亜希子(図書・情報係)を迎えました。3人の紹介を兼ねて、4月に本部、視覚障害リハビリテーションセンター、盲導犬訓練所で行われた当法人の新任職員研修の感想文をご紹介します。  ◆全感覚総動員のアイマスクによる食事体験  録音製作係 中川史(ナカガワ フミ)  屋外での手びき実習の後、腹時計もお昼を告げる頃、アイマスクによる食事体験が始まりました。先ずは廊下でアイマスクを付け、自分の席を目指します。恐る恐る部屋に入るものの、手びきのおかげで無事着席。午前中、座学で使用した部屋なのでイメージ出来ることと、周りの声掛けがとても助けとなりました。  続いて湯呑にお茶を入れるミッション。茶碗とやかんの位置の説明を受け、いざ注ぐ動作へ。しかし、茶碗の中へ少し入れた指にお茶を感じた瞬間、ストップと声が掛かりました。トレーの上だったのでセーフでしたが、溢れる寸前とのこと。思い出したのは、ニポラチャンネルで見た「みずいろクリップ」。クリップ付属のセンサーが液体の量を教えてくれる便利グッズです。なるほど!とその用途を実感した瞬間でした。  そして、ようやく昼食。時計回りに、筍ご飯(年に一度のお楽しみとのこと)、酢の物、汁物、茄子と豆腐の揚げ出しあんかけの豪華メニュー。しかし、詳しいメニューの説明なしに始まった食事は、まるでクイズのよう。汁物のお麩が生麩へとランクアップ。味まで変化することに驚きました。全感覚総動員のこの一食は、お腹も脳も満腹の心に残る貴重な体験となりました。  ◆盲導犬も図書館もボランティアあってこそ  総務係 コ嶋薫  盲導犬訓練所での研修講義中は、広報・PRで活躍するデモ犬が二頭、同じ教室にいて、職員の方が講義中にハーネスを手に持つ度に、「自分の出番だ!」と立ち上がって尻尾を振っていたのが愛らしかったです。  講義の中で印象的だった話は、全国に11カ所ある訓練所によって盲導犬の特徴が異なるというお話でした。例えば、北海道の訓練所では、雪道歩行の訓練をしたり、通常は英語で指示を出すところを日本語で訓練したりしているそうです。そのほかにも特徴があるので、居住地ではなく盲導犬の特性によって訓練所を選ぶユーザーもいるとか。講義後の施設見学では犬舎(けんしゃ)や、犬の身体を洗う水場などを見てまわりました。  研修後、講義の時同じ教室にいたデモ犬の一頭が引退する日だったので、引退式に参加させていただきました。デモ犬の仲間たちとボランティアさんに拍手を贈られてどこか誇らしげに見えました。一頭の犬が盲導犬になるまでには、パピー(子犬)の育成から引退犬のお世話まで、多くのボランティアさんの協力が不可欠です。当館の図書や刊行物も、一から製作するボランティアさんの協力があって成り立っていることを念頭に置いて、業務に励みたいと思いました。  ◆本部の講義と同行援助体験で大きな気づき  図書・情報係 藤岡亜希子  本部の講義で印象に残っているのは、「法人全体のお金の流れを教わったこと」です。どんな活動を行っているのかということが、お金の流れを知ることで見えてきました。お金の流れを意識しながらお仕事をするという気持ちになるきっかけもいただきました。  実習で印象に残っているのは、「同行援助体験」です。ガイド役と利用者役(アイマスク装着)をそれぞれ体験し、道端や段差の歩行と、室内の階段の昇降を行いました。ガイド役の時は緊張しました。利用者に不安を与えないようにこまめな声かけや歩幅を合わせるなど、安心してもらえるような方法を常に考えていました。  利用者役の時は、「視界がないと、耳からの刺激(音)がいつもよりも敏感になるんだなぁ」という発見がありました。車の騒音が近くで聴こえるような気がして、不安な気持ちで歩いていた時、ガイド役の方が、外の景色や状況をこまめに教えてくれました。気持ちを落ち着かせてくれるような声かけをしてくれたおかげで、安心感につながりました。  新任職員研修の全体で感じたことは、法人の中にはさまざまな事業がありますが、どの事業においても、ボランティアさんのお力添えに支えられているということでした。私は4月に入ったばかりですが、これからボランティアの皆さまと親しくなり、ご一緒に活動できることを楽しみにしています。 (写真)新任職員の3人。左から中川、コ嶋、藤岡職員   ●インターネットの「朗読図書」と「合成音声読み上げ」は広がるか   話題のaudiobook.jpとYourEyesを試し読み  今日、インターネットのAmazonで販売しているAudibleという朗読図書や、Kindleという電子書籍の合成音声による読み上げが一般に普及してきました。こうした新しい読書システムにはどんな長所と短所があるのか、サピエ図書館とどう違うのか。それを確かめるために今、話題のaudiobook.jpとYourEyesを試し読みしてみました。(サービス部主幹 松本一寛(マツモト カズヒロ)、館長 竹下 亘)  ◆3万点の朗読図書が読めるオーディオブック  audiobook.jpは、株式会社オトバンクが運営している朗読図書配信サービスです。スマホやパソコンでインターネット(https://audiobook.jp/)に接続し、アプリをダウンロードすれば、月額750円〜で朗読図書を聴くことができます(30日間無料トライアルもあります)。  現在、所蔵図書は約3万タイトル(サピエのデイジー図書は10万タイトル)ですが、小説や実用書、雑学書が多いようです。また、読み手は声優の他、俳優や芸能人で、基本的にBGMや効果音が入っており、読書というより、演技やドラマを楽しむ要素が強い印象を受けます。  利用会員は160万人以上とのことですが、残念ながら視覚障害者のアクセシビリティは不完全です。例えば、iPhoneで利用する場合、ログイン時のIDやパスワード等を読み上げなかったり、ダウンロードした書籍の題名を読み上げなかったり、聴きたい書籍を選択した後のダウンロード操作が不十分など、改善してほしい点が多々あります。  オーディオブックの“朗読”図書と、サピエやデイジーの“音訳”図書とは、特長や用途の異なる別種類の録音図書として、これから並行して発展していくのではないでしょうか。  ◆手許の書籍を合成音声で読めるユアアイズ  一方、YourEyesは、株式会社ポニーキャニオンが立ち上げた、視覚障害者等を対象とした「読書支援サービス」です。使用法は、まず利用者本人がiPhone等対応の専用アプリで手許の書籍や文書を1頁ずつ撮影します。撮影した画像は、インターネットでAIサーバに送られ、読み上げ用のテキストデータに変換された後、合成音声で読み上げることができます。そのデータは、自動的にサーバに蓄積されていくので、利用者は読みたい本の裏表紙のISBNコードを撮影すれば、そのデータがある場合は、すぐに読める仕組みです。利用は月額550円です。  ただし、他のOCRを使ったシステムと同様、複雑なレイアウトのものは正しい順番で読み上げません。また、特殊な固有名詞の読みや図表などの読み上げは苦手です。この課題はシステム上で校正ボランティアを募って、補正する構想ですが、あまり進んでいないようです。  ただ、このようなシステムが考案されたのは、視覚障害者がすぐに読みたい書籍があっても、録音図書やデジタルデータがないものが多いためで、アクセシブルな書籍の種類を増やし、いち早く提供することが求められています。   ●報告の頁(8頁)  ◆大阪府「読書バリアフリー計画」が成立・施行  大阪府は3月末、「大阪府視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画」を策定・施行しました。この計画では、基本方針として5つの方向性、@アクセシブルな書籍の充実、A公立図書館等の人材育成・体制整備、B利用しやすい施設・設備(機器)、サービスの充実、C図書館サービスに係る情報発信、D国、市町村との連携、を掲げ、それぞれについて5、6項目の具体的な目標を掲げています。全国の都道府県で読書バリアフリー計画を策定したのはまだ数ヶ所で、いち早い取り組みですが、その内容は、既に大阪府の公共図書館と点字図書館等で行われてきたことを「継続する」ものが大半で、新たな目標はごくわずかしかありません。そんな中、目にとまるのは「府立中央図書館において、障がい当事者でピアサポートができる人材の確保に取り組む」「読書支援機器の講習会等が身近な地域で受講できるよう使用体験講習会の実施を検討する」「アクセシブルな書籍等の製作を無償のボランティアに頼っている現体制について、抜本的な見直しを国に求める」「障がい者手帳の有無や障がい種別・等級等による利用サービスの制約について、対象範囲の拡大に向けた検討を国に要望する」などで、今後の進展が期待されます。計画はホームページで公開されていますので、関心のある方は、「大阪府読書バリアフリー計画」と検索してみてください。  ◆ボランティア友の会世話人会報告  5月6日(木)10:00〜11:15  出席者:植田、大安(オオヤス)、奥、尾崎、笠松、木虎(館から竹下、コ嶋)  <館からの報告>  緊急事態宣言に伴う館内活動休止について  職員の異動(前回の追加)  バザー預かり品について(寄贈先を探し譲る)  日本ライトハウス評議員会・ボランティア代表の交替(山本普美雄(やまもと ふみお)さんから笠松幸彦(カサマツ ユキヒコ)さんへ)  サービスフロア開設20周年記念のシンボルデザインとグッズ販売について  <協議事項>  ガイド体験会の日程と内容(本誌掲示板参照)  各世話人より、所属部門の現状報告  <次回>6月24日(木)15:00-16:30 あゆみ 【5月】 6日 ボランティア友の会世話人会(オンライン) 7日 音訳ボランティア養成講習会(3)開講 23日 <エンジョイ!グッズサロン開設20周年> 予定 【6月】 ※緊急事態宣言中は、ボランティアの館内活動・会議室貸出の休止を継続します。 10日 5階エンジョイ!グッズサロンと図書貸出休室(書庫・在庫整理日) 22日 点訳ボランティア養成講習会(中級)開講 23日 専門音訳・処理の基礎講習会(オンライン)開講 24日 ガイド体験会(オンライン)  ボランティア世話人会(オンライン) 25日 専門音訳・英語講習会(オンライン)開講 ※5日に開講を予定していた「電子書籍・テキストデータ作成講習会」は7月24日・8月7日に延期しました。 編集後記 花が大好きです。わが家の門前には染井吉野、山桜、八重桜、鬱金と4種類の桜があり、例年は4月下旬まで順に咲いて満喫できるのですが、今年はあっという間に散ってしまい、寂しい限りでした。でも、続く5月は薔薇の季節。私の特愛は、近くの植物園に咲くセント・リチャード・オブ・チチェスターという品種で、蕾が開くと、花弁が溢れ出て、黄色からオレンジ、ピンクへと色が変わっていき、豊かな芳香を放ちます。以前、花弁を数えたらなんと100枚以上ありました。この度は外出規制と、史上最速の梅雨入りで我慢するしかありませんが、この秋、そして来春には花見を楽しめる日が来るのを待ち望みたいと思います。(竹) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2021年6月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2021年6月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円