日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2021年1月号   <<表紙イラスト>> お正月のイラスト 今年の干支 白黒の斑点模様の丑。 丑の周りには松と竹の葉と南天の実(み)。 丑は「モオ〜〜っ!!コロナいややねん・・・ブハッ」と言いながら困り顔。 鼻息で付けていたマスクを吹き飛ばしています。 左側に黒紋付を着た男の子が自分のマスクを頭に乗せて「まあまあ・・・」と丑に言葉をかけています。 右側ではポチが丑を前足でなでています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2・3頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆1月5日まで館内V活動と会議室利用を休止  当館では、大阪モデルの「赤信号」点灯(12月3日)に伴い、12月4日から館内のボランティア活動と会議室貸出を休止しましたが、感染拡大防止のため、休止期間を1月5日(火)まで延長することにしました。皆様にご不便やご迷惑をおかけしますが、どうかご了承ください。  ※1月6日(水)以降の「休止」解除は1月5日(火)に決定・広報しますので、ご確認ください。  ◆今年度のボランティア交流会はオンラインで  毎年3月におこなっている当館のボランティア交流会を、今年は3月6日(土)午後、インターネット中継で開催することにしました。昨年3月は中止となりましたが、今年もボランティアと職員が100人余り集まり、交流を深めることは困難です。今回は、当館4階会議室で永年活動ボランティアへの感謝式典と記念行事を行い、その模様をYouTubeで配信します。インターネットがご覧になれない方には本当に申し訳ありませんが、ウイルス感染が沈静化していれば人数限定で会場参加も行う予定です。詳細は次号でお伝えしますので、ぜひご参加(視聴)ください。  ◆「表(ひょう)点訳と点字の書式」をテーマに専門講習会  毎日新聞大阪社会事業団と当館では、今年度最後の専門点訳講習会「表(ひょう)点訳と点字の書式コース」を行います。表を表すテクニックと検索性に適したレイアウトを学びます。会場は当館会議室とオンラインの2種類。お申込は点字製作係(電話06-6441-1028)へ要項を請求の上どうぞ。  日時 3月11日・18日(木)9時45分〜11時45分、全2回  講師 福井哲也氏(点字情報技術センター所長)  受講料 1,000円  申込締切 2月20日(土) 会場参加定員 10人  ◆1月の休館・休室について  1月5日(火)=仕事始め  1月6日(水)=サービス・ボランティア活動再開  1月9日(土)=製作部休室(11日月曜指定祝日の振替)  1月12日(火)=5階サービスフロアと図書貸出サービス休止(11日月曜指定祝日の振替)  1月14日(第2木、書庫・在庫整理日)=5階サービスフロアと図書貸出サービス休止  ◆近畿視情協V研修会もオンラインで開催  毎年12月に開催している近畿視情協ボランティア研修会もインターネットで行うことになりました。全体研修「オンラインで体験!視覚障害利用者は点字・録音データ、サピエ図書館をどのように利用しているか」をYouTubeで配信するほか、点訳・音訳ボランティア向けの情報も発信します。閲覧は自由。近畿視情協のホームページ http://lnetk.jp/ からご覧ください。  ◆卓上型の盲導犬カレンダー2021年版を販売  盲導犬チャリティ・カレンダーに今年から卓上型が新登場し、当館3階総務係で販売中です。B6判で表紙を含め14頁。可愛い盲導犬の写真を月替わりで掲載。定価1,000円(税込)。見本はhttps://sodaterukai.net/ でご覧ください。通販ご希望の方は、盲導犬訓練所(電話0721-72-0914)までお願いします。    <<センターの頁>>(2頁)   ●新年のご挨拶〜集う機会は減っても、心と活動はより密に  館長 竹下 亘  謹んで新年のご挨拶を申し上げます。昨年来、当館ではコロナ禍のため、来館によるボランティア活動と利用者サービスを休止・縮小し、皆様に大変なご心労とご不便をおかけしていることを本当に申し訳なく思っています。加えて、昨年は録音ボランティアの野村昭子さんと、当館の要であった岡田弥(あまね)部長を交通事故で失った上、多くのボランティアの方々ともお目にかかれなくなり、中にはそのまま引退されたり、逝去された方もおられて寂しさを禁じ得ません。そのような中ですが、皆様から多大なご支援とご協力を頂いていることを心から感謝しております。  まだしばらくは困難な状況が続きそうですので、皆様に気軽にご来館いただき、従来通りの活動を再開していただくには時間がかかると思われます。けれども、互いの距離は遠くなり、集う機会は減っても、心の結びつきと活動の連携はより密にして、引き続き、視覚に障害のある方々が晴眼者と等しく情報を共有できる社会を目指して、共に歩んで参りたいと思います。本年の皆様のご健康とご多幸をお祈りするとともに、これまで通りのお力添えを賜りますようにお願い申し上げます。 【写真左から久保田部長、橋口勇男専務理事、竹下館長、背景に情報文化センターのビルを挟んで林田部長】  ◆焦燥と忍耐の経験をこれからの財産に 製作部長 久保田 文(あや)  昨年は、焦燥と忍耐の年でした。緊急事態宣言で、2ヶ月以上にわたり来館によるボランティア活動を休止した時、館内は火が消えたようになりました。あんなに寂しくて、やるせない思いをしたのは入職以来初めてです。  その間も、ボランティアの皆様には、メールや電話でたくさんの励ましの言葉をいただきました。オンラインによる講習会・勉強会の開催や校正方法をはじめとする製作体制の変更など、突然のお願いにも関わらず、積極的にご協力いただいたことに、心より感謝申し上げます。この一連の経験は、私たちの財産となり、コロナ後においても必ず役立つに違いありません。  本年も、職員一同、安全第一を心がけつつ、“転んでもただでは起きない”という決意を持って情報製作・提供に邁進して参ります。何とぞ、よろしくお願い申し上げます。  ◆サービスフロア開室20周年に向かって! サービス部長 林田 茂  今年の5月23日で、当館の「サービスフロア」(旧エンジョイ!グッズサロン)は開室20周年を迎えます。なにか記憶に残るような企画を考えたいと思いますので、アイデアがあればぜひお声がけをお願いします。  また、昨年4月からSNS(YouTube「ニポラチャンネル」、Twitter、Instagram)もスタートし、情報発信にも力を注いでいます。視覚障害者の方はもちろん、ボランティアの方にも有益な情報が詰まっていますので、ぜひ覗いてください。  前サービス部長の岡田弥(あまね)さんは、サービス部(用具・機器・ICT利用支援サービスと、図書・情報サービス)は、当館の“顔”だとおっしゃっていました。その思いを大事に、一人でも多くの方の生活を便利に、楽しく、豊かにする情報を届けられるよう心がけていきますので、引き続きご支援をお願いいたします。   ●「全ての人が新しい知識や世界と出会うきっかけ作り」を目指して   利用者の方に図書・情報を届ける3つの業務 図書・情報サービス係 伊藤信乃  当館の点字図書室は、本館から歩いて数分離れた別館(アルテビル)の9階にあります。日々利用者の方からの依頼を受け、貸出・返却やレファレンス業務を行うのが、私の主な業務です。  私が図書館司書の資格取得を目指した理由は、正直なところあまりよく覚えていないのですが、大学で講義を受ける中でどんどんとその魅力にはまっていった感覚は、20年ほど経った今でもよく覚えています。「図書館は全ての人が新しい知識や世界と出会えるきっかけの場所であり、図書館員はその手助けをする人である」という教えに感銘を受けたのと同時に、その人が出会う図書館員によっては、出会えたはずの知識や世界に出会えなくなってしまうのだということに責任の重さを感じました。  そして、学校図書館や公共図書館で働く中で、様々な経験や多くの人との出会いがあり、ふと、自分も「全ての人が新しい知識と出会えるきっかけ」に何かの形で参加できないかという思いが強くなっていた頃、縁あってこの日本ライトハウスで働かせていただけることになりました。  現在、私が担当している業務は、ざっくりと言えば、「利用者の方に図書・情報をお届けすること」です。その届け方は3つあります。  ひとつめは、図書係として日々利用者の方とのやりとりを通じて、ご希望の図書を探し、お届けすることです。これが本当に難しく、毎日自分の能力不足を痛感しております。いかに求める図書にたどりつくか、聞き取り力(りょく)や、コミュニケーション力、そして、日々話題となっている情報の収集力などが必要とされます。無事にお求めの図書にたどり着けた時に、利用者の方と一緒に喜べるのは、この仕事の魅力の1つでもあります。  そして2つめは、整理・情報係として、サピエ図書館(サピエ)を通じて利用者の方に図書情報やデータをお届けすることです。具体的に私が担当しているのは、製作する本の選定委員、選定された本のサピエ掲載書誌の作成、完成した点訳・音訳図書、逐次刊行物のサピエへのデータ登録などです。これらの業務には、司書としての専門知識もかなり必要とされるので、毎日眉間にシワを寄せて悩んでいます。利用者目線の使いやすさと、司書としての規則、さらにサピエ独自のルールがぶつかることも多く、全ての折衷案を模索するのは本当に難しいです。自分だけでは解決できず、先輩方のお知恵を拝借してなんとか乗り切っています。利用者の方にとって望ましいことは何か、司書としてそこに反映できる知識は何か、自分なりの軸となるものを見つけたいと思い、日々奮闘しています。  3つめは、毎月発行の情報誌「読書」を通じて利用者の方に情報をお届けすることです。「読書」では、イベント案内や当館で紹介・販売している各種機器・商品の案内の他、当館で製作した点訳・音訳図書や他館で製作された新刊図書を紹介しています。ここでの記事作成、編集、校正作業では、限られた紙面の中で、いかにわかりやすく、興味をもってもらえる情報を発信するか、という力が必要になります。先輩方と一緒に作業しながら、文章作成のコツや、よりよい情報提供の仕方、多くの人にとって見やすい紙面にするための配慮など、ワザや知識を吸収すべく、誌面とにらめっこの毎日です。  これらの他、日々到着する視覚障害関連図書や定期刊行物、他の点字図書館や関係施設の情報誌等の受入業務もおこなっています。受け入れた図書や情報誌は当館3階の書庫に保管しており、「ボランティア友の会文庫」として貸出していますので、皆様もぜひご参考にしてください。  以上のように、担当しているどの業務をとってもまだまだ未熟で、利用者の皆さんにも、一緒に働いてくださるボランティアの皆さんや職員の方にも、求められるものを十分に返せず、反省ばかりの毎日ですが、目標とする「全ての人が新しい知識・世界と出会うきっかけ作り」が私にもできるよう、これからも一つ一つ、目の前の課題に取り組んでいきたいと思います。   ●点字誕生130周年の記念講演会をオンラインで開催  当館では昨年12月12日、日本の点字誕生130周年の記念講演会「点字の未来に向かって」を開催しました。コロナ禍に負けず、点訳活動を盛り上げるために企画したもので、オンライン(ZoomとYouTube)による講演会には、当館の点訳ボランティアなど60人余りが参加しました。(総務主任 谷口由紀)  ◆将来が楽しみな小学生2人にインタビュー  まず竹下館長が「点訳奉仕者の誕生と点字図書館」についての基調報告を行いました。日本点字を考案した石川倉次の配列案に関する考察や、戦時中の当館の点訳活動の実績等を文献を繙きながら紹介。点字図書館とボランティアが培ってきた歴史を振り返りつつ、点字の未来に向かって、協働の関係をこれからも続けていくことをあらためて呼びかける報告でした。  次に、当館で製作している児童向け点字雑誌『アミ・ドゥ・ブライユ』の読者である小学3年の新倉将希さんと小学5年の藤本清孝さんへのインタビューが続きました。「楽しいこと、興味のあること」を中心に、今後読んでみたいと思う記事のこと、好きな連載記事や興味のある点字図書のこと、将来の夢など、天真爛漫な点字の読者さんたちと奥野職員とのほのぼのとしたやりとりは、参加者を和ませました。    ◆点字盤と電子機器を活用して大学へ  最後に、点字の教科書をずっと利用してこられた大学1年の三好里奈さんから「大学生になって考えること」と題してお話しいただきました。三好さんは、小学1年のときから本格的に点字を習い始めたそうです。点字に触れることが楽しく、点字を覚えることも苦にならなかったとのこと。速読や五十音を書く練習をおこない、点字の読み書きの力を向上させていきました。  中学の頃からは、増えていく情報や授業のスピードについていけるように、紙に比べてコンパクトで便利な点字ディスプレイを活用されていたそうです。しかし、数式や英語、楽譜、化学式などの新しい点字のきまりが次々に増えると、覚えること、習得に時間がかかることもありました。そのようなときには、点字盤で紙に書き、読むことを繰り返し練習されたそうです。点字はじっくり読み味わうことができる。わからなかったところもすぐに読み返すことができる。この実感のもと、習得に時間のかかる複雑な点字を覚えるには、紙で1点ずつ確認しながらの読み書きが効果的であることを話されました。  点字をこれからも使い続けたい。点字を知ってもらうことも大切だと、大学の仲間に点字を紹介する会もおこなっているそうです。ご自身の体験を踏まえた「点字への思い」は、整然と、それでいて時折笑顔もこぼれつつ語られ、あっという間の20分間でした。  1時間半の短い講演会でしたが、様々な年代や立場の方が集い、改めて点字の可能性や大切さを共有できた会となりました。   ●報告の頁(8頁)  ◆当館点訳「鬼滅の刃(きめつのやいば)」第1・2巻が第1位に  点字製作係では、以前からマンガの点訳に取り組んでいます。昨年、映画の大ヒットで話題のマンガ「鬼滅の刃」を点訳し、サピエ図書館に登録したところ、11月にダウンロードの第1位を記録しました。原作は、大正時代を舞台に、主人公が、鬼と化した妹を人間に戻す方法を探して戦う姿を描いたもので、絵も筋も奇想天外でダイナミック。点訳では、絵や場面の説明に工夫が凝らされています。こうしたジャンルからも点字の利用が増えれば、嬉しく思います。  ◆総務係にコ嶋 薫職員を採用  当館では、3階総務係庶務担当の大岡亜希子職員が出産準備で1月末に退職するため、12月1日付でコ嶋 薫を採用しました。9月から勤務した前任者が通勤中のケガで退職したため公募採用したものです。総務係の2月以降の職員配置は以下の通りですので、よろしくお願いします。竹下 亘(館長兼総務部長)、谷口由紀(総務主任)、今村竹志(システム管理)、曽禰一子(いつこ)(経理)、馬場玲衣(れい)(音声解説)、コ嶋 薫(庶務)。 あゆみ【12月】 4日 館内ボランティア活動・会議室利用休止(大阪モデル「赤信号」に伴い、〜1月5日) 12日 日本点字130周年記念講演会(オンライン) 15日 全館消防避難訓練 暗所視支援眼鏡贈呈式(林田、東京・文京盲学校、筑波大附属視覚特別支援学校) 24日 機器・用具サービス、図書貸出年内最終日 26日 仕事納め 予定【1月】 5日 仕事始め 6日 サービス再開・ボランティア活動再開予定 9日 製作部休室(11日月曜指定祝日の振替) 12日 5階サービスフロアと図書貸出休止(11日月曜指定祝日の振替) 14日 ボランティア友の会世話人会 5階サービスフロアと図書貸出休止(書庫・在庫整理日) 16日 オープンデー(館内見学日、要予約) 編集後記 12月初め、父が自宅で天に召されました。99歳4ヶ月。11月末、115回目のパンのワークショップにオンラインで“主演”して、わずか10日後のことでした。感服したのは、父が最後まで現役を貫き、ライフワークをやり遂げたこと。それを支えてくれたのは、地域の最高の在宅医療と看護、介護のターミナルケアで、感謝のほかありません。特に最後の10日間は、刻々と状態が変わる中、最適の支援が提供され、本人の願い通りに、最期まで自宅で家族と共に暮らすことが出来ました。さて、私は後半生(父に倣うのは無理ですが)、どのように生きていくべきか、改めて考えたいと思います。(竹) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2021年1月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2021年1月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円