日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2020年11月号   <<表紙イラスト>> 箒を手に持ちマフラー姿の姉とセーターを着た弟、その横でポチも一緒に笑顔で上を見上げています。 風でヒラヒラと舞う落ち葉の中の2枚が音楽に合わせて仲良く社交ダンスの真っ最中。 男性役の蝶ネクタイをつけたイチョウの葉と女性役の葉が「Shall we ダンス?」と言い得意げな表情でポーズをとっています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2・3頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆日本点字130周年記念オンライン講演会開催  1890(明治23)年11月1日、東京盲唖学校で開かれた日本点字選定会議で、石川倉次の点字配列案が採択されました。それから時を重ね、本年11月1日は、日本の点字が誕生して130周年となりました。当館ではこれを記念して、点字製作係をはじめ当館のボランティアを対象に講演会を開くことにしました。12月12日(土)の午後、若者の点字ユーザーなどの講演をインターネットでライブ配信する予定です(館内での視聴も出来ます)。詳細は各係からメールや電話でお伝えする他、次号にも掲載します。コロナ禍で来館活動を縮小し、皆さんと顔を合わせる機会が減る中、オンラインを活用して、点字の大切さと必要性をご一緒に再確認したいと思います。  ◆音声解説付き映画を体験してみませんか  今年のボランティア友の会施設見学会は、館内で当館の音声解説ボランティアが製作した映画「バースデーカード」の上映体験会を行います。未体験の方はぜひ参加して、ご鑑賞ください。  日時 11月12日(木)13時00分〜16時00分  申込 当館総務係(電話06-6441-0015)まで  ◆ラジオ大阪「話の目薬」に当法人が定期出演  OBCラジオ大阪の番組「話の目薬ミュージックソン」をご存じですか?視覚障害者に役立つ情報や話題を放送するこの番組が10月から8ヶ月ぶりに再スタートし、月に1度、日本ライトハウスが情報提供を行うことになりました。放送は毎週火曜日夜8時から26分。キャスターは視覚障害者の西村登代子さんと原田年晴アナ。インターネットのradiko(ラジコ)では、過去1週間以内の放送をいつでも聴くことができます。  ◆盲導犬カレンダー2021年版が入荷しました  来年の盲導犬カレンダー(1,000円)の他、肉球をデザインしたリサイクルコットンの巾着(500円)など、盲導犬訓練所の新しいチャリティグッズが入荷しました。3階総務係へどうぞ。  ◆11月の休館・休室予定  11月3日(火)祝日=全館休館  11月10日(火)=5階サービスフロア臨時休室(11月1日・3日「日ラ展トークイベント」振替)  11月12日(第2木、書庫・在庫整理日)=5階サービスフロアと図書貸出サービス休止    <<センターの頁>>(2・3頁)   ●読書バリアフリー法協議会で「当面の方針」を発表   点字図書館、サピエ、端末機器、ボランティア等に関する支援充実を謳う  今年7月公表された「読書バリアフリー法」(視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律)の「基本計画」の促進を図る「関係者協議会(第6回)」が10月2日、オンラインで開催されました。当日は関係省庁の他、関係16団体の代表が参加。私も全視情協(全国視覚障害者情報提供施設協会)理事長として出席しましたが、厚生労働省から発表された「当面の取組」には、視覚障害者等の読書環境の充実に繋がる実効性に乏しく、粘り強い働きかけの必要性を痛感しました。(館長 竹下 亘)  「基本計画」は、これから2024年度まで4年半をかけて具体化が進められます。当日、厚労省から発表された「当面の取組」では、T 総論として、(1)都道府県等への計画策定の働きかけ、(2)HPやリーフレット等による国民等への周知が謳われたほか、U 個別課題では、点字図書館(以下、点図)や視覚障害者に関わる取組として主に以下のような内容が示されました。(番号は原文の引用ですので、飛んでいます。)  1.視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等(第9条関係)  (3)点図におけるアクセシブルな書籍等の充実や視覚障害者等の円滑な利用を図るため、地方公共団体等への支援の充実、視覚障害者以外の障害種別の者の利用に向けての促進などに取り組む。更に、点図の実態把握のため必要な調査等を実施する。(5)協議会の設置やノウハウの提供など、点図や公共図書館(以下、公図)等の連携促進の取組に対する好事例等の普及等により、地方公共団体への支援を実施・検討する。  2.インターネットを利用したサービスの提供体制の強化(第10条関係)  (1)サピエ図書館の安定的な運営、広報活動等の推進を通じた利用者の増加を図るため、システム管理団体(日点)や運営団体(全視情協)(ぜんしじょーきょー)と定期的に協議しつつ、支援の充実に取り組む。  6.端末機器等及び関係情報の入手支援、情報通信技術の習得支援(第14・15条関係)  (1)点図におけるICTの習得支援の充実を図るため、地方公共団体に対する支援の充実に取り組む。更に、点図における支援の実施状況等の把握のための必要な調査等を実施する。(2)障害者ICTサポート総合推進事業について、点図との連携による効率的な実施方法を検討する。(3)点字ディスプレイ、デイジープレイヤー等の適切な給付が実施されるように、日常生活用具給付等事業の推進実施を促す。  8.製作人材・図書館サービス人材の育成(第17条関係)  (2)点図における製作人材等の育成の充実を図るため、地方公共団体における先行事例や関係者等の意見を踏まえながら、地方公共団体に対する支援の充実に取り組む。(4)点図、点字出版施設、公図等における、製作人材の人数や養成研修の実施状況などの製作人材の育成の実状把握のため、必要な調査を実施する。  ◆国の「取組」の課題と、今後の改善を目指して  以上の通り、国の「取組」は、調査や関係調整が主で、実際の事業は地方公共団体に委ねられています。厚労省の新規事業としては都道府県、指定都市、中核市を対象にした「地域における読書バリアフリー体制強化事業」があり、その内容は、(1)点図から公図等に対する対面朗読サービスやサピエの利用に関する研修会等の実施、(2)視覚障害以外の障害者に対する利用促進に対する支援、(3)地域における図書等の点字・音声・テキストデータ化ができる人材養成の強化等となっています。しかし、これは各自治体が予算を捻出しない限り実施されない「地域生活支援事業」で、まだ13自治体に止まっています。  今後も私はこの協議会に参加し、厚労省等に問題指摘と改善の要望を続け、少しでも点図やサピエ、そしてボランティア活動への有効な支援が進められ、視覚障害者等の読書環境が改善されるように取り組んでいきたいと思います。   ●読み方検索「音調べ」をご活用ください   120万件近くの地名などの読み方を登録・公開中  読み方検索「音調べ」は、ボランティアの方々のご協力のもと、1997年から入力・利用の始まった「読み方調べ」のデータをもとに作成された点訳・音訳作業のための検索システムです。これまでは一部重複したデータも含まれていましたが、9月までにデータの重複チェックが終了し、1,169,571件に及ぶ地名などの「事項」に関する語句の読み方が登録・公開されました。  この膨大なデータの入力には、20年余に亘り、多数の「情報システム」のボランティアの皆さんにご尽力いただき、2013年後半からはお一人の方が編集作業に取り組んで来てくださいました。  「音調べ」は、館内6・7・8階に設置した検索用パソコンの他、インターネットを使える環境があれば、ご自宅でも検索が可能です。感染症対策でご家庭での活動が増える中、読みの調査の一手段としてご活用いただければ幸いです。  なお、「音調べ」は、ご自宅では読み方のみの検索となりますが、館内では、読み方に加え、その語句の解説も参照できます(著作権法上、解説はご自宅では閲覧できません)。  (図)館内用「音調べ」の検索画面  ご利用は、原則として当館のボランティアとさせていただいています。ユーザーIDとパスワード、検索方法などは、製作部各係の職員がご説明します。ぜひお気軽にご利用ください。  ◆「音調べ」のホームページアドレス http://info.iccb.jp/yomikata/   ●サービスフロアと早川福祉会館で電子機器の利用を支援   情報機器を上手に使って、生活を豊かにしていただくために  サービス部 前北純弥(まえきた じゅんや)  当館5階、視覚障害者向けの用具や機器を展示・紹介・販売するサービスフロアには、視覚障害当事者スタッフも勤務しています。私もその一人。主な業務は、機器操作に関する個人講習や電話応対です。フロアには毎日多くの方が来館され、お電話をいただきますが、その中でパソコン、プレクストーク、iPhoneやiPadといった電子機器の使い方に関するサポートを行うのが私の仕事です。  この仕事に就いて特に難しいと感じたのは、電話でのサポート。電話越しに機器の音声を聴きながら操作を誘導するのですが、これがなかなか難しいのです。まず状況の把握。たとえば「パソコンの音声が出ない」というお問い合わせがあったとすると、「何を読み上げないの?」「どんな操作をしていたの?」「いつから音声が出ないの?」など、状況を明確にするために、いくつかの確認が必要です。音が出ないという困りごとに至った経緯や原因をいろいろと想定しながら、解決のための操作を考えていきます。  館内で行う個人講習では、その方の希望内容を伺い、一人一人のペースに合わせながら操作をご案内します。ここ数年はiPhoneを使いたいというご希望も多く、音声読み上げ機能(ボイスオーバー)を活用した基本操作をお伝えする機会も増えています。従来のガラケーとは全く操作が異なるため、最初は戸惑う方もおられますが、活字印刷物の読み取りやナビ機能、情報検索、音声解説付きの映画鑑賞など、日常生活を便利にするツールとしても利用されています。  初めて利用されるという意味では、デイジー図書再生機器プレクストークのご紹介や操作講習の機会も多いです。視覚障害によって、以前のように読書を楽しめなくなってしまった方が「また本が読める」と喜んでおられる様子に出会えるとこちらも嬉しく思います。読書に限らず、興味のある情報を得ること、コミュニケーションをとること、生活を豊かにすることに機器を上手に使っていただきたいと願っています。  昨年から週に1日、日本ライトハウスが大阪市の委託を受けて運営している早川福祉会館点字図書室に出張勤務していますが、そこでは「地域講習会」という新たな取り組みにも携わっています。月に1度、大阪市内各区で区民センター等の場所を借り、出張での機器サポートを行っています。なかには「早川は遠くてなかなか行けないけど近くなので参加しました」というお声もあり、これからも新たな出会いが増えていけばいいなと感じています。  視覚に障害があると情報が得にくくなります。重要なことも、くだらないように思われることも含めて自由に情報にアクセスできることが、私たちの生活を充実させてくれます。ただ便利だといわれる機器も、手に入れるだけでは何の役にも立ちません。長く使い続けていただき、それぞれのやりたいことに活用してもらってはじめて意味があると思います。その活用方法を一緒に考え、情報機器を良きパートナーとしていただき、少しでも希望をかなえていただけるように努めていきたいと思います。  (写真)据置型と携帯型のプレクストーク(左=PTR3/PTN3、右=リンクポケット/PTP1)   ●報告の頁(8頁)  ◆前田綾子さんが朗読録音特別功労賞を受賞  公益財団法人鉄道弘済会の朗読録音奉仕者表彰の当館受賞者は先月号でお伝えしましたが、さらに、今年度第50回記念の特別功労賞を前田綾子さんが受賞されました。前田さんは当館が録音図書の製作貸出を開始した1959(昭和34)年から音訳録音を始められ、 以来62年間に渡り、現在も当館に通い収録されているほか、当館を含め府内各地で小説等の音訳を指導して来られました。前田さんの受賞は当館の誇りであり、今後もお元気で活動を続けられるように心から願います。  なお、前田さん、水野さん、夛田さん、若槻さんら今年度の受賞者の授与式がコロナ禍で中止になったため、当館では11月26日(木)12時15分から4階会議室で、ささやかな祝賀式を開催します。お知り合いの方はぜひご参列ください。  (写真)前田綾子さんが正面を向いて話している様子  ◆当館の音訳講習会が下半期から開講  今年度上半期、中止せざるを得なかった当館のボランティア講習会ですが、下半期から音訳講習会は以下の通り開講しました。点訳も来春の本格再開を目指して準備したいと思います。  音訳ボランティア養成講習会(2)2020年度後期(安田知博(ともひろ)講師、10人)  音訳ボランティア養成講習会(3)2021年度受講前フォローアップ講座(安田知博(ともひろ)講師他、8人)  橋本勝利(かつとし)のフォローアップ講座2020年度後期(水曜9人、金曜7人)  読み方講座(前田綾子講師、10人)  ◆専門点訳・音訳講習会が大きな成果  コロナ禍に対処しながら開催している今年度の専門点訳・音訳講習会ですが、大きな成果が上がっています。専門音訳・音声解説コースは小グループに分かれて音声解説の試作に取り組み、最終日には視覚障害者のモニターも交えて上映体験会を開催し、16人が修了。専門点訳・楽譜コースは加藤俊和講師を含め全員オンラインで、北海道から沖縄まで14都道府県から29人が受講して開催中。澤田祐子講師の専門点訳・古文コースも来場とオンライン半々で19人が受講中。また前田綾子講師の専門音訳・小説の読み方コースには、コロナ禍で各地の講習会が中止になった影響か、定員12人×2回の講習に32グループ80人の応募があり、抽選で多くの方に受講を諦めていただきました。こういう時期だからこそ、工夫と注意を払いながら、質の高い点訳・音訳講習会を実施したいと思います。 あゆみ【10月】 1日 日本ライトハウス展2020オンライン企画開幕(YouTubeで3月末まで公開中) 対面リーディングサービス再開 10日 オープンデー(館内見学日、2人) 21日 見学:リハセン実習生他 22日 わろう座映画体験会「任侠学園」 24日 見学:関西医科大学 予定【11月】 1日・3日 日ラ展オンライントークイベント 10日 5階サービスフロア臨時休室(振替) 12日 V友の会施設見学会(館内上映体験会) サービス部休室(書庫・在庫整理日) 14日 オープンデー(館内見学日、要予約) 19日 見学:日本ライトハウス養成部受講生 26日 鉄道弘済会受賞者祝賀式(4階会議室) 編集後記 寒くなってきました。スーパーに色々な種類のサツマイモが盛られているのを見かけます。数年前の甘さ重視の大ブームの火付け役となった安納芋。ねっとり濃厚な甘みでまるでお菓子のようなおいしさの紅(べに)はるか。絹のようになめらかな食感のシルクスイート。昔ながらのホクホク系なら、西の鳴門金時、東の紅(べに)あずま。オレンジ系や紫色などのカラフルなさつまいももあります。いろいろ、食べ比べて、食欲の秋を楽しみましょう!焼き芋にチーズトッピングもおすすめです。(一) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2020年11月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2020年11月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円