日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2019年11月号   <<表紙イラスト>> 男の子が木に実っている柿を取っていると、カラスがいたずらをして柿をキック。 カラスが蹴った柿のシュートは男の子の頭に命中! そばにいた愛犬も驚いています。 男の子が「いてっ」とビックリしている様子を見てカラスは「ケケッ」と笑っています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2〜4頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆朗読劇「Helen〜ともしびをかかげて」を再演  昨年11月、大阪市中央公会堂で「ヘレン・ケラー女史没後50年」記念事業を行った際、劇団SE・TSU・NA(セツナ)の朗読劇「Helen(ヘレン)〜ともしびをかかげて」を上演したところ、大変な好評を頂きました。この朗読劇を、当法人の後援会「灯友会(とうゆうかい)」のチャリティイベントとして、12月7日(土)、玉水記念館で再演することになりました。  −見えない、聞こえない、話せない。三重苦の奇跡の人と呼ばれたヘレン・ケラー。彼女がいかにして世界の希望の光になったのか、その生涯と、その活動に心打たれた日本人がいたことをあなたは知っているでしょうか?−  当日は、Sonority(ソノリティ)によるイングリッシュハンドベルの演奏も行われます。「天使のハーモニー」と称されるハンドベルの澄んだ音色が会場に響き渡ります。どうぞ朗読劇とあわせてお楽しみください。ご来場をお待ちしております。  日時 12月7日(土)10時30分〜と14時〜の2回  会場 玉水記念館  料金 一般2,000円。視覚障害の方1,000円(ガイド1人まで無料)、中学生以下500円。  申込みは当館総務係(電話06-6441-0015)まで。  ◆岸博実氏を講師に近畿視情協V研修会  近畿視情協(近畿視覚障害者情報サービス研究協議会)の今年度ボランティア・職員研修会が12月5日(木)10時〜16時、玉水記念館で開かれます。午前は盲教育史を掘り起こし、新たな光を当て続けている京都府立盲学校非常勤講師 岸博実氏の講演「視覚障害者ボランティア活動の底流〜京都盲唖院の挑戦と京の町衆」。午後は点字と録音の2分科会に分かれ、点字は「みんなで考える『記号類の使い方』」、録音は「耳を鍛える〜音声表現技術と校正技術を同時に学ぶ」を行います。申込は、ご所属の当館各係か近畿視情協会員施設・団体まで。会員外も参加歓迎しますが、参加費500円をお願いします。  ◆11月の休館予定  11月2日(土)=録音製作係、メディア製作センター休室(3日祝日の振替、点字製作係は開室)  11月5日(火)=図書貸出と5階サービスフロア休室(3日祝日の振替)  11月14日(第2木、書庫・在庫整理日)=5階サービスフロアと図書貸出はサービス休止  11月23日(土、祝日)=全館休館    <<センターの頁>>(2〜4頁)   ●「日本ライトハウス展2019」 に終日満員の1,616人   高齢で見えにくい方、「初めて」の方が多数ご来場 今年も「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2019」を社会福祉法人読売 光と愛の事業団の共催により10月19日(土)・20日(日)、難波御堂筋ビル7階ホールと8階大会議室で開催しました。今回は46社・団体の出展と6題の特別ステージなどを行ったところ、2日間で1,616人のお客様が来場。昨年は過去最高1,910人のお客様で会場が溢れましたが、今回は程よい混み具合となりました。毎回楽しみにして来られる熱心なお客様のほか、高齢で目の見えにくい方や初めて来られた方が目立ち、この展示会を機に、多くの方が好適な視覚障害者用具・情報機器や当法人のサービスを利用して、豊かな生活への一歩を踏み出していただくことが望まれます。(館長 竹下 亘)  ◆多種多様な機器・用具に黒山の人だかり  機器・用具展示では、拡大読書器や音声読書器、ルーペ類、白杖、外出補助具、盲導犬、パソコンソフト、録音・再生機器、点字ディスプレイや点字プリンターなど多種多様な製品が出展。特に人気を集めたのは、目の前の文字を音声で読み上げたり、目の前の物を見やすく映す眼鏡型のウェアラブル機器や、多用途のスマートフォンとアプリで、どのブースも順番待ちとなりました。また、生活用具や便利グッズを出展した当館のブースも2日間、大賑わいでした。  ◆特別ステージやiPhone体験会、地図展も好評  毎年恒例の特別ステージでは、理化学研究所仲泊聡氏(なかどまりさとし)の「ロービジョンケアの現状」、石川県 しらお眼科橋本伸子氏の「看護師目線の学ぶケア」、メディア・アクセス・サポートセンター川野浩二氏の「映画館に行こう!『UDCast』開発者が語る映画の未来」、パワーユーザー品川博之氏と当館松本一寛(かずひろ)職員の「iPhoneがある時ない時〜あれから10年、これからどやねん」をはじめ、視覚障害アマチュア落語家の高座を行ったところ、いずれも満席。また、当館主催の「iPhone体験会」や大阪市視覚障害者福祉協会主催の「見えない・見えにくい人のさわって聴いて見る地図展」(20日のみ)も好評を博し、終日満員の盛況となりました。  ◆初めて参加した方から高い評価  アンケートは集計中ですが、初めて参加した方の回答が目立っています。沖縄から初めて参加された目の見えにくい50代の女性からは、「地元では展示されていない機器が沢山あり、担当者が丁寧に説明してくれてとても良かった。視覚障害者の落語を初めて聞き勇気をもらった」。また、30歳の大阪の中途視覚障害の男性からは「色々不安に思うことを聴いていただいてありがたかった」などの感想を頂いています。  ◆ボランティアの皆様のご協力に感謝します  今回も当館のボランティアに加えて、参天製薬株式会社の社員の皆様など約50人が場内のガイドと体験会の講師・補助、事前準備にご協力くださいました。毎回、お客様からは場内(外)のガイドが「親切、丁寧」という評価を頂いており、この展示会の誇りとなっています。  ご協力くださったボランティアの皆様 有川美津子 生嶋貞夫 池本滋子 大坂陽子 大前雅司 大安徹雄 奥 幸子 斧田綱子 笠松幸彦 加藤珠子 角本靖子 金井典子 河内町子 川口千代 川添美智子 木原富子 小泉憲一 佐古智子 佐藤久子 品川博之 清水浩子 嶋津豊子 岡博子 田中千壽子 谷崎節子 千原加容子 名賀知子 中野靖子 那須由美子 西垣泰子 羽淵雅子 藤井倫子 増尾明子 待田敏彦 松田洋子 松谷富子 松永和子 南村はるひこ 宮野興子 山本普実雄 若松ひろみ 参天製薬株式会社の社員の皆様   ●読書バリアフリー法を基に、サピエやボランティア活動の将来を検討   全視情協(ぜんしじょーきょー)・第45回栃木大会が宇都宮市で開催 全視情協(ぜんしじょーきょー)(特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会)の第45回大会が、10月3日(木)〜4日(金)、宇都宮市で開かれ、全国75施設・団体から230人(当館からは9人)が参加しました。全視情協は、全国101の点字図書館やNPO、ボランティア団体などが協力して、図書製作と情報提供サービスの向上を進め、サピエを運営している組織です。事務局は当館3階にあり、職員3人が専従し、理事長は竹下が務めています。今大会では、この6月に成立・施行された「読書バリアフリー法」に基づいて、今後、サピエやボランティア活動をどのように発展させるべきか、利用対象者の拡大にどう取り組むかなどを検討・協議し、4項目の大会決議(4頁に掲載)を採択。また点字・録音製作の研修や職員間の情報交換・交流を深め、成果を上げることができました。(館長 竹下 亘)  ◆第45回大会の主なプログラム  全体会1 基調報告「視覚障害者等の情報保障の到達点と課題」  分科会1 シンポジウム「サピエの将来を展望する」  分科会2 利用者のニーズに根差した点字資料の提供について考える  分科会3 デイジー図書の品質の維持・向上と職員の役割について  全体会2 千葉県台風15号被害と支援の報告  ブロック会議 サピエと点字図書館の利用 対象者の拡大について  大会式典(宣言・決議採択)  全体会3 シンポジウム「ボランティアの養成、活躍、連携について考える」  ◆読書バリアフリー法に“魂を入れる”ために 大会冒頭の基調報告では、竹下から、本年6月28日に施行された「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)の理念と国の具体的施策(案)を説明。今後の課題として、公立・学校図書館へのてこ入れと点字図書館との連携の強化/サピエへの公的助成の増額/出版者によるアクセシブルな電子書籍の販売と電子データの提供(点字図書館等と原本を購入した視覚障害者等に対して)の働きかけ/情報端末の入手と操作習得の支援と研究開発の推進/職員・ボランティアの育成、などを挙げ、それぞれの問題点を指摘しました。  また、障害者手帳を持たない視覚障害者や読字障害者などに加えて、今年の1月1日から「マラケシュ条約」と「改正著作権法」で「受益者」(利用対象者)となった上肢障害者等に対して、サピエ図書館や点字図書館の利用拡大を進めるべきことを訴えました。(これについては、翌日行われた全国6ブロックの協議結果をもとに、今後の進め方を検討していくことになりました。)  ◆当事者等の意見を受けてサピエの将来を展望  続く分科会では、サービス、点訳、音訳の3グループに分散。サービスの分科会では、「サピエの将来を展望する」と題したシンポジウムを行い、視覚障害者、弱視者、盲ろう者の代表と、高等教育機関における点字教材等の製作団体、サピエに準じるネットワークを運営する国立国会図書館の5人から、サピエが所蔵・提供する図書データやメディア、内容や提供方法等について率直な意見を聞きました。特に耳に残ったのは、視覚障害当事者の希望するコンテンツの傾向/ボランティア団体等に対するサピエの年会費の軽減/テキストデータの有用性とサピエへの登録の希望/盲ろう者における点字データの重要性/視覚障害学生におけるテキストデータの利用率の増加/国立国会図書館における学術文献録音図書製作の一部テキストデータ化開始、などで、今後、サピエも利用者ニーズに合わせてさらに展開する必要性が痛感されました。  また、点訳の分科会では「点訳のてびき 第4版」に基づく研修、音訳の分科会では、図、表、グラフ、イラストなど視覚的資料の的確で分かりやすい音訳の実習など、いずれも点訳と音訳の質の向上に向けたプログラムが行われました。  ◆ボランティア活動の維持、発展を図るために  大会の最後は、「ボランティアの養成、活躍、連携をどう進めるか」と題したシンポジウムで、点字図書館3館と、全国ネットの音訳ボランティア団体から発表を聴き、意見交換を行いました。  発表した3館は、@6部会700人のボランティアを擁するボランティア団体と館が車の両輪として連携・協力、A館主導でボランティアを養成し、ボランティア活動を調整、B講習会は館が行うが、修了者は県内の点訳・音訳団体に所属し、館と協力して活動する、など活動形態が三者三様。3館ともボランティアの高齢化と漸減が進む中、さまざまな工夫や努力を重ねながら、ボランティアの養成を図り、活躍を支援し、より良い連携に努めている姿が浮き彫りになりました。  一方、音訳ボランティア団体からは、サピエに登録されている一部の録音図書の質が厳しく批判され、点字図書館(員)が製作についての意識を高め、利用者の立場に立ってボランティアと真摯に向き合うべきことなどが提言されました。  ボランティア活動の維持、発展は最重要の課題であり、当館においてもボランティアと職員の連携・協力を今後もさらに進めたいと思います。  ◆大会決議 (要旨)  一 視覚障害者等の読書の基盤である「サピエ」が安定的に運営され、さらなる発展を遂げるように、国による運営費の増額と、国と地方公共団体による有効な施策の実施を要望する。  一 視覚障害者等の読書を支えている点訳・音訳ボランティア活動等が今後も維持されるように、障害者総合支援法で都道府県・市町村の「任意事業」に留められている「点訳・朗読奉仕員等養成研修」事業を「必須事業」とすることを要望する。  一 著作権法第37条第3項の権利制限規定における受益者である視覚障害や読字障害のある人、上肢や眼球運動に障害のある人などの読書が保障されるよう、公立図書館や学校図書館等の利用体制の整備を求めるとともに、点字図書館の利用対象者も障害者手帳を所持する視覚障害者から著作権法に則って拡大するように要望する。  一 出版者に対して、アクセシブルなEPUB方式、あるいは「デイジー3.0以降」による電子書籍の製作・販売を求めるとともに、点字図書館等や書籍を購入した視覚障害者等に「電磁的記録」の提供を進めるよう要望する。   ●報告の頁(8頁)  ◆藤野高明(たかあき)氏が点字・点訳の重要性を講演  当館点字製作係では、12月14日(土)13時30分〜16時、当館4階会議室で、元大阪市立盲学校教諭、藤野高明氏の講演会を開催します。戦災で両手を失った藤野氏が、唇で点字を読むことにより教育を受け、教員となり、社会参加した歩みを通して、点字と点訳の重要性を学びます。参加希望者は、点字製作係までお申し込みください。  ◆当館と別館の避難階段について  10月11日、秋の避難訓練を行い、当日活動中のボランティアにご参加いただきました。当館(日本ライトハウスビル)は2009年、東南海直下地震に備えて新築したもので、耐震設計・施工は万全の上、火災時などの避難階段は各階廊下の北端の防火扉の外、避難はしごは各階の南東隅の防火扉の外にあります。また図書・情報係(書庫)のあるアルテビルも新耐震基準をクリアし、阪神大震災にも損傷を受けなかった建物で、部屋の入口横と廊下の南端の2ヶ所に避難階段があります。一度は避難階段をご確認いただきたいと思いますが、屋外階段ですので、非常時以外は使用しないでください。  ◆グループONEが大阪市表彰  大阪市の2019年度地域福祉推進功労者表彰を、当館で活動する専門点訳・外国語グループのグループONE(10人)が受賞しました。グループONEは毎日新聞大阪社会事業団の第1回専門点訳講習会英語コースの受講生が1987年に結成。以来32年間、外国語教材や参考書の点訳を続けています。ご受賞を共に喜び、讃えたいと思います。  ◆盲導犬ヴィオラが旅立ち  当館の岡本昇職員の盲導犬だったヴィオラが10月9日、16歳で亡くなりました。ヴィオラは2005年から2012年まで活躍し、引退後は奈良の引退犬ボランティアの家庭で幸せな老後を送っていました。現役中、温かく見守ってくださった皆さんに感謝します。  あゆみ【10月】 3日〜4日 全視情協(ぜんしじょーきょー)大会(宇都宮市) 9日 見学:草笛会 11日 避難訓練 19日〜20日 日本ライトハウス展(全館休館) 25日 わろう座映画体験会「岳(ガク)」 見学:長岡京市視覚障害者協会 26日 オープンデー(館内見学日、4人)  予定【11月】 2日 一部休室=録音製作係、メディア製作センター(3日日曜祝日の振替) 5日 サービス部休室(3日日曜祝日の振替) 7日 V友の会施設見学会(防災センター) 9日 オープンデー(館内見学日、要予約) 14日 サービスフロアと図書貸出はサービス休止(在庫・書庫整理日)  予定【12月】 5日 近畿視情協V・職員研修会(玉水記念館) 7日 朗読劇「Helen〜ともしびをかかげて」(玉水記念館) 編集後期 キャリアウーマンだった母が数年前に突然退職し、次に始めたのがガイドヘルパーのお仕事でした。「今度、日ラ展(にちらてん)にガイドで行くねん。会えるかな〜。」と聞いていたのに初日は見つからず、ついに2日目に大盛況の会場で母を発見。携帯ゲームとテレビドラマにはまっている家の姿とは違い、昔と同じようにキラキラと頑張っていました。いつまでも元気で楽しく働いてほしいものです。(亜)  ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2019年11月  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2019年11月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円