日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2019年7月号   <<表紙イラスト>>  武部はつ子画:ある夏の日、水玉模様のワンピースを着たお姉ちゃんと半袖Tシャツの弟で、朝顔の比べっこ。お姉ちゃんの鉢は、顔の大きさほどの大きな1輪の朝顔が咲き、「私のほうが超ビッグでしょ?」と得意顔。弟の鉢は、大きくはないけど4輪の朝顔が咲いていて「数はボクの勝ち!」と負けん気いっぱい。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2〜3頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆夏に向けてチャリティグッズ入荷  ドライTシャツやドリンクボトルなど、夏らしい盲導犬チャリティグッズが多数入荷しました。ご来館の際は当館3階でぜひご覧ください。  写真左:ドリンクボトル500ml。1,200円。  写真右:ドライTシャツ(写真は背面)。2,000円。  他にもフェイスタオル、ショルダーバッグ、マスコットキーホルダー、文房具などが人気です。通信販売をご希望の場合は、盲導犬訓練所(電話0721-72-0914)にお申込みください。  ◆日本ライトハウス展を10月19日・20日開催  当館では、今年も西日本最大級の視覚障害者用具・機器展「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2019」(読売 光と愛の事業団共催)を10月19日(土)・20日(日)の2日間、難波御堂筋ホールで開催します。約45社が出展し、今注目の各種メガネ型情報機器をはじめ、音声や触覚、見やすい表示などで使いやすい生活用品、本や書類を拡大したり音声で読み上げる読書器、白杖や点字機器などを展示、一部販売します。会場は、大阪メトロ御堂筋線なんば駅なか改札から地下通路直結で徒歩1分。出展内容を詳しく紹介した「ガイドブック」(点字、音声デイジー、大きめの活字、Eメール版)を無料でお送りします(発送は10月初旬)。ガイドブックの申込みは、電話06-6441-0039のサービス部までどうぞ。 ◆7月の休館について  ※下記のいずれの日も3階総務係と4階会議室は開室します。 【図書貸出】  7月2日(火)〜4日(木)=サピエ改修のため 【館内のボランティア活動】  7月13日(土)=15日月曜指定祝日の振替休館  ※8階点字製作係のみ開室します。 【5階サービスフロア、図書貸出】  7月11日(第2木曜)=書庫・在庫整理日  7月16日(火)=15日月曜指定祝日の振替休館    <<センターの頁>>(2〜3頁)   ●38人の利用者に、年間788件の“読み書き”をサポート   2018年度も全国1位の対面リーディングサービスを提供  当館の図書館サービスは、点字・録音・電子書籍の製作・貸出・提供とともに、製作されていない書籍や急いで読む必要のある資料を、ボランティアが館内5室の専用スタジオで“読み書き”する対面リーディングによって支えられています。昨年度は、119人のボランティアの皆様のご協力により、38人の利用者の方々に、合計788件(1回2時間)の読み書きサービスを提供しました。全国の点字図書館で対面朗読(読書)を実施しているのは、2017年度の調査で、84館中57館、合計4,059件に過ぎず、当館の利用(提供)数は常に全国1位です。当館図書・情報係がまとめた2018年度の実績をご紹介します。  ◆利用件数・利用者数  利用(提供)件数は、近年伸び続けており、2018年度は前年度に比べて97件増の788件に達しました。また実利用者は38人で、前年度より4人増えました。  (表1)年度別 利用件数の推移 2016年626件 2017年691件 2018年788件  ◆分類別利用状況  右表と下のグラフの通り、分類別で最も利用が多かったのは6年連続「文学」で、前年度と同じ29%を占めました。一方、「伝記・歴史・地理」の利用が前年度の4.6%から9%、「総合雑誌」が2.4%から6%に増加しました。また資格取得に向け定期的な利用が入ったため、資格試験の割合が前年度の2倍になり、同時に医学系の割合も増加しています。  (表2)2018年度 分類利用件数の割合 文学28% 新聞24% 人文17% その他11%、資格9%、科学6%、生活5%  ◆分類別の利用件数と利用順位  1回の利用で複数の資料を利用される場合もあるため、下表の合計件数は、利用件数を上回っていますが、利用内容が様々な専門分野に渡り、代筆やコンピュータの利用補助など“目の代わり”のサービスも1割を超えています。  (表3)<分類>・内容と利用順位(行頭の◯数字は順位)・2017年度の利用件数→2018年度の利用件数で記載。  <新聞・雑誌>  A新聞 192件→198件  E総合雑誌 25件→75件  鉄道雑誌・時刻表等 1件→1件  スポーツ・スポーツ誌 11件→11件  <人文・地歴・哲学・社会>  哲学・心理学・宗教 7件→19件  B伝記・歴史・地理(旅行ガイド含む) 47件→111件  D社会科学(社会福祉・政経・株式) 69件→79件  <文学・芸術>  芸術一般・芸能・音楽(楽譜等) 19件→31件  @文学・エッセイ 320件→310件  短歌・俳句・川柳・詩 1件→0件  <科学・医学・技術>  I東洋医学 38件→47件  西洋医学 7件→21件  数学・科学・物理・生物ほか 0件→3件  工学(コンピュータ・無線等) 0件→5件  <資格・検定・語学>  資格試験問題 11件→27件  C語学(英会話・TOEIC等)・外国語 93件→87件  <生活一般>  家事・育児・料理 4件→3件  各種取り扱い説明書 4件→4件  Hチラシ・手紙・DM・パンフ 45件→54件  <その他>  G代筆 64件→60件  Fコンピュータ補助(データ修正等) 52件→67件  その他 4件→8件  <合計>  2017年度1014件 2018年度1221件   ●利用者のニーズやサービスの課題に大きな気づき   近畿視情協の2019年度総会・研修会に参加して   近畿視情協(近畿視覚障害者情報サービス研究協議会)は、当館を含め関西の点字図書館と公共図書館等41施設・団体が参加し、45年間に亘り、図書目録の共有・発行や職員・ボランティアの研修などを進めている全国でも希なネットワーク組織です。その今年度総会研修会が6月6日、当館で開かれ、「平成30年間の障害者サービスの歩みとこれからめざすもの」と題して、公共図書館の視覚障害司書として全国的に活躍する枚方市立中央図書館の服部敦司氏と、大阪府立中央図書館の杉田正幸氏らが講演を行いました。今年度、近畿視情協の録音委員会委員長を務める当館録音製作係の内藤流津(るつ)が両氏の講演を聴いて受けた衝撃と、気づかされたことについてご報告します。  ◆障害者サービスという枠を打ち破るには?!  服部氏は、ちょうど30年前から勤務した枚方市立図書館での歩みと、「なごや会」(公共図書館で働く視覚障害職員の会)や近畿視情協事務局長としての取り組みを振り返られました。私が衝撃を受けたのは、講演の後半で「なぜ公共図書館で貸し出す資料を作らなければならないのか」「法制度の整備によって障害者用図書の出版が定着するか」「どうすれば障害者サービスという枠を打ち破れるか」という問題提起でした。これらは、録音図書の製作に携わり、また普段から公共図書館を利用しているにも関わらず、私が今まで一度も抱いたことのない疑問でした。  通常、公共図書館で提供されている資料は、購入または寄贈されたものです。「資料から作る」ということはしていません。しかし、なぜ点字図書や録音図書となると購入することができず、作ることから始めなければならないのか、と考えると確かに不思議です。  「障害者サービスとはこうあるものという考えがある限り、枠は打ち破れない」という指摘もありましたが、私はまさにその「枠」にはまっていたのだと痛感しました。知らず知らずの内に自分自身で作ってきたこの枠を、どのようにして取り除いていくのか。これが次の課題だと考えています  ◆当事者への宣伝と質の高い図書の製作が課題  杉田氏は、読書嫌いだった自分が「てんやく広場」との出会いによって大きく変えられ、大阪府立中央図書館に勤務し、日本図書館協会障害者サービス委員会で全国的に活躍するようになるまでの歩みを語られました。そして、今後の課題を列挙される中で、「図書館が(障害者)サービスを行っていることすら知らない人が当たり前に多い」ということを指摘されました。  私は「当たり前に多い」という発言に驚いてしまったのですが、以前、街中で出会った視覚障害の方に「サピエ図書館とはなにか」「録音図書とはなにか」という質問を受けたことがあるのを思い出しました。その時は、当事者の方が「知らない」ということに戸惑いを感じましたが、今回のお話を伺って、私が勝手に「知らないことが珍しいと思い込んでいただけ」と気づかされたのです。今まで障害者サービスの環境について不勉強であったことを深く反省しています。  また杉田氏は、サービスを知らない人に対しての積極的な宣伝・働きかけを、図書館、役所、福祉現場が連携して行う必要性を説かれていました。私はその重要性に気づかされるとともに、初めて利用したサービスや図書が万が一「がっかり」するようなものであったり、そもそも希望する図書が無かったりした場合、せっかく利用いただいても、継続した利用につなげることが出来ないとも思いました。1冊の図書が担う役割は想像以上に大きく、そして様々なジャンルの図書を選書することと質の高い図書を作ることの重要性を改めて感じています。  今回の研修は、今までの考え方を振り返り、深く反省する貴重な時間となりました。今までの私は、利用者の方のニーズやサービスの現状について鈍感過ぎたのだと思います。研修会で自覚した反省点や講演の中で得た気づきをこれからの業務に活かしていきたいと思います。   ●音声ガイド付き映画と、桂文太さんの落語を堪能   第10回中央区バリアフリー上映会が超満員  当館が全面的に協力し、今年で第10回目となる中央区バリアフリー上映会が6月15日(土)、中央区民センターで開催され、300人近い来場者で満員となりました。 映画「しゃべれどもしゃべれども」を音声ガイド・日本語字幕付きで楽しんでもらえたのはもちろんですが、映画の主人公が半人前の落語家ということもあり、特別ゲストとして、盲導犬と活動する落語家桂文太さんに高座を披露していただきました。   文太さんは、今年の冬、2頭目の盲導犬に持ち替えられました。その時の盲導犬訓練所での共同生活(盲導犬との共同訓練)と、盲導犬を連れて活動をつづけていることを面白おかしく話されて、会場を笑いに包んでくれました。また、盲導犬に出会ったときのマナー「さしすせそ」を笑いを交えて伝えられていたのも印象的でした。  「さ」=さわらないで。「し」=しずかに。「す」=すっとよけてね。「せ」=せきは上手にゆずってね。「そ」=そっと見守ってください。と、文太さんらしくお願いごとも添えられていました。  そして、お待たせの落語は、映画でも登場した「火焔太鼓」でした。映画のなかの落語と文太さんの落語を聞き比べることができ、落語を知らない方にも楽しめる機会になったと思います。  今回主催したHANDSちゅうおうは、当館が日本橋に仮移転している時からのお付き合いで、誰もが自分らしく安心して暮らしていける街の実現を目指して策定された「中央区地域アクションプラン」の取り組みの中からできた団体です。今回のようなイベントや行事を通じて、障害についての理解や啓発活動を行っています。   ●報告の頁(8頁)  ◆当法人の岩橋明子会長が逝去  当法人の岩橋明子会長が6月17日逝去しました。享年90歳でした。岩橋会長は1949年、当法人創業者の岩橋武夫が開校した燈影(とうえい)女学院の教師となり、子息の岩橋英行と結婚。1954年からは第2代理事長となった夫を支え、英行理事長の死後、1984年から1999年までは第3代理事長として、法人の発展と国際協力に貢献しました。1999年からは会長に就任し、昨年のヘレン・ケラー没後50年記念事業など法人の主要な行事で大任を果たしてきました。知的で包容力のある人柄と優れた英語力により、国内外で尊敬と信頼を受け、2000年にはWBU(世界盲人連合)の終身名誉会員に選ばれました。当法人では7月下旬、追悼の会を行う予定です。  ◆「クローバー」が特定非営利活動法人に  大阪を拠点に視覚障害者の外出介助を続けている「視覚障害者支援の会クローバー」(中川由希子代表理事)がこの程、特定非営利活動法人となりました。同会は、阪神・淡路大震災直後に、被災した視覚障害者の支援を目的に結成。以来24年間、ボランティアとして外出支援活動を展開してきました。同行援護サービスが始まった後も利用は増え続け、昨年のガイドの件数は663件にも。コーディネイトを含む事務作業がボランティアで出来る量ではなくなったため、法人格を取り、専任の事務スタッフを配置するなど、体制を整備することになりました。同会では新たなボランティアも募集中。お問い合わせは、電話06−6654−9064(火曜・土曜10時30分〜16時)のクローバーまで。 ◆録音Vの中家(なかや)惠美子さんがご逝去  元・当館録音ボランティアの中家惠美子さんが6月4日、ご病気のため逝去されました。中家さんは1986年から活動を始められ、30年近くにわたり、多数の図書を音訳・校正してくださいました。2014年に勇退されましたが、その後もご連絡やご支援をいただいていました。生前のご協力に感謝し、心からご冥福をお祈りいたします。  あゆみ【6月】 4日・7日 専門音訳講習会・小説の読み方 6日 近畿視情協総会・研修会 8日 オープンデー(館内見学日、3人) 13日〜14日 全視情協総会(東京、竹下) 16日 日本ライトハウスチャリティコンサート 20日〜21日 全国盲人福祉施設大会(帯広、竹下) 27日〜29日 臨時休業:ボランティア活動・サービス部(3階総務係・4階会議室は開室)  予定【7月】 2日〜4日 図書・情報係休室(サピエ改修) 4日 ボランティア世話人会 11日〜12日 サピエ研修会(エルおおさか) 20日 オープンデー(館内見学日、要予約) 【8月】 10日〜15日 全館夏期休館(サービス部は10日〜19日) 編集後記 ライトハウスに入職させて頂いてから早2ヶ月。6月のはじめは良い頃合なのか、「そろそろ慣れましたか?」と1週間、毎日違う方から聞かれました。休憩室やエレベータの中、他施設でも多くの方に見守って頂いている事を実感しています。幼い頃から本とスポーツが好きで、小学5年生からずっとバスケットボールをしています。30代に入り体力的な事を考えて、最近はついにゴルフを始めました。近々、コースデビューを目指して頑張っています。3階総務の一番手前に座っていますので、お気軽にお声がけください♪(亜) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2019年7月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2019年7月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円