日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2019年6月号   <<表紙イラスト>>  武部はつ子画:あじさいが咲く雨降りの中、女の子が犬の散歩をしていると、かたつむりの親子を発見。なんと、子かたつむりはマラソンの練習中!「『でんでん杯』フルマラソンに出る!!」と頑張る子かたつむり。その後ろから母かたつむりが見守っています。   <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2〜3頁)   ●ボランティアの頁(4頁)   ●感謝報告(5〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板  ◆視覚障害の方と出会ったら温かい挨拶を!  当館には毎日、大勢の視覚障害の方々が来館されています(5階サービスフロアのお客様は年間5千人超!)。その方々の多くは、玄関やエレベータで誰かと出会っても、相手の顔や様子が見えません。また最近は、眼の治療中や視覚障害になってまもないお客様が増えており、不安を覚えつつ来館されている方も少なくありません。  そこでお願いします。当館の玄関やエレベータで出会った方には、温かい挨拶と名乗り(こんにちは、○○ボランティアの○○です)をお願いします。それにより、当館で図書の製作や多様なサービスが行われていることを初めて知る方も多いと思います。職員とボランティア間はもちろんですが、特に視覚障害の方に、安心して当館を利用していただき、「来て良かった」と思っていただけるようにご協力をお願いします。  ◆川畠成道(かわばた なりみち)さんの珠玉のヴァイオリン演奏を  日本ライトハウス第37回チャリティコンサート(6月16日(日)、ザ・シンフォニーホール)が目前に近づきました。今回のゲストはデビュー21年目を迎えた川畠成道さんです。川畠さんは8歳で視覚障害になった後、ヴァイオリンを始め、国際的に高い評価を得て、現在では演奏活動とCD発表を続けています。チケット3,500円(当日座席券引換)、視覚障害者招待のためのアミティチケット1,000円。3階総務係か募金事業部(電話06-6968-1030)にお申込みください。  ◆6月末の臨時休業と、休業日の新設について  6月末、G20開催等に伴い、館内のボランティア活動と利用者サービスを以下の通り臨時休業します。また、7月からサービス部の休業日を新設します。詳細は本誌3頁をご覧ください。  6月27日(木)〜29日(土)=館内のボランティア活動、5階サービスフロア(用具・機器販売、個人講習、対面リーディング等)  ※ただし、予定済みの講習会は実施します。  6月27日(木)〜7月4日(木):アルテ別館の図書貸出サービス    <<センターの頁>>(2〜3頁)   ●20人の子どもたちの笑顔と熱気に包まれて    『アミ・ドゥ・ブライユ』読者交流会を東京で開催  初夏を思わせる陽気となった5月11日(土)、東京で、第2回「みんなで『アミ・ドゥ・ブライユ』読者交流会」を開催しました。同誌はご寄附を元に、2015年から編集・発行している児童向け点字雑誌で、読者は全国に100人余り。第1回の読者交流会は2016年12月に当館で行い、主に西日本の読者が参加しました。その後、「また交流会を開催してほしい」との声が聞かれるようになり、東日本の読者も増えたため、東京都立葛飾盲学校のご協力で、東京開催を実現することができました。当日は東京、千葉、茨城、栃木、神奈川、静岡の小2から中3までのお子さん20人を含む55人が集まり、1日中、笑顔と笑い声に包まれ、熱気に溢れた交流会を行うことができました。(点字製作係主任 奥野真里)  ◆知りたいことがいっぱい!  まず自己紹介をした後『アミ・ドゥ・ブライユ』の感想や意見交換を行いました。「人気の歌手やお薦めの曲が知りたい」(小学女子)、「学校で友達と漫才をしたので、芸人のことを載せてほしい」(小学男子)、「ドラえもんの秘密の道具が知りたい」(小学女子)、「電車のことを載せてほしい」(中学男子)など、初めは小学生中心でしたが、様子をうかがっていた中学生からも次々に手が挙がるようになりました。  ◆先輩のようになりたい!  雑誌の人気コーナー「働く先輩」の拡大版として、パラリンピックのゴールボール日本代表候補選手・若杉遥さん(ALSOK所属)にお越しいただき、お話をうかがいました。中2の時に視力を失い、やむを得ず一般の中学校から盲学校に転校。当時は目が見えなくなったという暗い気持ちだったのが、盲学校で友達や先輩達と関わる中で、視覚障害者としてのスキルを身につけ、徐々に自分の障害を受け入れられるようになったこと。そして、元々アイスホッケーをしていた若杉さんが盲学校でゴールボールと出会った時の話。高校の頃から海外の試合や合宿に参加したり、きびきび動く先輩の姿を見たりして、自身が着実に成長し、視野が広がってきたことを実感している話などに、参加者全員が熱心に耳を傾けていました。  ◆デコ点字をつくっチャオ(chao)!  講演の熱気が冷めやらぬなか、次は創作活動に挑んでもらいました。B5版横の点字用紙に、5マス×2行の大きな点字の枠を作り、その中の適切な位置に点字の代わりにデコシールを貼ってもらおうというものです。お題は、「アミ・ドゥ・ブライユ」。3〜4人ずつのグループに分かれて、さまざまな手触りや柄のシールの中から好きなものを選び、1点ずつ貼っていきます。  ここからは、保護者の方も加わり、お子さんと協同作業をしていただきましたが、「手先の動きが必要なため、点字が分かっているだけでは難しい。良い体験だったと思う」、「私の感覚だと文字の順番にシールを貼っていくと思ったが、娘はシールの形でどこの点にするかを選び、バラバラに貼っていて、新鮮な感覚だなと思った」といった感想が寄せられました。  ◆「脳トレクイズ」では、やはり図が大人気!  最後は、雑誌で大人気の「脳トレクイズ」でした。2問の図のクイズに挑戦してもらった後、勝ち抜き戦の「○×(マルバツ)クイズ」を行いました。全員、真剣そのもので、それまでの和気あいあいとした雰囲気から打って変わって、会場は緊張した空気に包まれました。今回、優勝したのは神奈川から参加した小学6年の女の子でした。クイズを見ていた保護者の方からは、「普段は家で一人でやっているクイズを皆でやると、また雰囲気が変わっておもしろい」、「クイズもすごく楽しそうに参加している息子の姿が見れて嬉しかった」、「難しかったようで、間違えてしょんぼりしていた」といった感想が聞かれました。  ◆人とのつながりを広げる雑誌を目指して  このように、読者が直接集まって交流することは、雑誌を読むことの楽しみを何倍にも膨らませるものだと思いました。『アミ・ドゥ・ブライユ』を、今後も子どもたちが情報や知識を得るだけでなく、人と人とのつながりを広げることのできる雑誌として成長させていきたいと思います。   ●サービス部の休業日新設と営業時間短縮(7月実施)のお願い  ◆振替休業日と在庫・書庫整理日を新設  当館では今年7月から、サービス部(用具・機器販売と個人講習、図書貸出と対面リーディング等)の業務について、以下の通り休業日を設けるとともに、営業時間を短縮することにしましたので、ご了承を賜りたいと思います。  ◆サービス部の休業日(2019年7月〜)  対象 本館5階のサービスフロア(用具・機器販売と個人講習、対面リーディング等、電話06-6441-0039)と、別館の図書・情報係(図書貸出、電話06-6441-0139)  @振替休業日=月曜指定祝日、及び日曜日に祝日が重なった場合は直後の火曜日(図書貸出は従来、直前の土曜日が振替休業でしたが、変更となります。)  A在庫・書庫整理(休業)日=毎月第2木曜日  B営業・電話受付時間=10時〜16時30分(一部のサービスは従来通り10時〜17時)  休業日は毎月、本誌と当館ホームページ、サービス部のメルマガ等でお伝えします。  サービス部の休業日も、他の係は通常通り開室し、各階のボランティア活動や4階会議室での講習会等は行っています。  当館では、当初から日曜・月曜が休館日だったため、1998年のハッピーマンデー制度以降、月曜指定祝日の場合は、直前の土曜日を振替休館日としましたが、サービスフロアは休業せず、職員が個別に振替休暇を取ってきました。  しかし、年々、業務内容が広がり、休日出勤も増える中、振替休暇の取得が非常に困難となってきました。加えて、今年度から労働基準法が厳しくなり、大半の職員が年間5日以上の有給休暇の取得を義務づけられましたが、この法律遵守がさらに困難です。また、職員の残業時間も増える一方で、苦慮しています。  これまで職員の努力と役割分担の見直し、業務の合理化等に努めてきましたが、このままでは職員の休暇取得を法律通りに実施することは無理です。こうした事情ですので、どうかご理解くださいますようにお願い申し上げます。  ◆6月27日(木)からの臨時休業について  表紙でお伝えした、館内のボランティア活動と利用者サービスの臨時休業は、大阪でのG20サミット開催とサピエのシステム改修のための停止に伴うものです。G20サミットは、世界37の国と機関が集まる「日本がこれまで経験したことのない大規模な国際会議」で、当館周辺でも厳しい警戒と交通規制が行われ、当館への往来や発送作業に大きな影響が発生します。またサピエの改修は、図書データ量の増加に対応するためサーバを増強するもので、改修中は図書の検索や貸出作業が行えなくなります。皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご了承ください。  ◆6月27日(木)〜の窓口別の休業期間  *館内ボランティア活動・5階サービスフロア=6月27日(木)〜29日(土)  *図書貸出=6月27日(木)〜7月4日(木)  ※サピエサポートセンターと総務係は開室。4階会議室の講習会等は予定通り実施。    <<ボランティア頁>>(4頁)   ●初めての“見えない世界”、意義ある体験会    ガイド体験会〜サポートの基本の「き」に参加して  ボランティア友の会主催の「ガイド体験会」が5月23日に行われました。ボランティア20人が参加して、アイマスクをしての歩行や食事体験などを行い、ガイドの仕方や声のかけ方などを学びました。当日の様子と感想を、ボランティア友の会世話人会の植田美穂子さんに書いていただきました。  真夏並みの暑さのなか、中之島の国立国際美術館までアイマスクをしてお散歩?まず会議室で、視覚障害の方の理解やガイドの基本について、30分のレクチャーを受けてから、いざ出発。初めての“見えない世界。”  相棒さんのガイド。いいお声だなあと思いつつ、足元がこわごわ、恐る恐る一歩一歩、足が前へ進まない。足元の段差、周りのお店、居酒屋さん。  相棒さんから丁寧な説明を受けているのに、ちっとも楽しくない。ただ、時々吹く風が、心を落ち着かせてくれました。横断歩道、階段、やっとこさ国際美術館の広場へ。アイマスクを外したら、太陽が眩しい。キラキラ輝いた太陽。相棒さん様々。  帰りは私がガイド。このガイド、性格が災いして、自分の足元ばかり見て、相棒さんの足元を見てない!自分の足元は平板なのに、相棒さんの足元は少し斜めになってる。階段の手すりを使ってもらおうとするけど、どれくらい右寄り、左寄り、本当は事前に言わなくてはいけないのに、直前になって言うもんだから、転びそうになって。相棒さんはずいぶん怖い思いをしたんだろうなと。ごめんなさい。  会議室に戻って、さあお楽しみの「堂島ロールケーキ」。テーブルの上にケーキと、時計の針の2時の方向に飲み物。「いただきます!」  フォークを入れて切ってるつもりなのに、切れてない。切ったつもりなのに、切れてない。お口へうまく持っていけない。日頃のお上品さ(?)はどこへ。なんとかお口へいれて。誰かの「どんな色してるのかしら。」「どれくらい大きいのかしら。」という声。そういえば、最初のレクチャーの後、アイマスクをして物を渡していくゲームをしたとき、ぬいぐるみやボールの色や形がわからなかったっけ。ロールケーキはなんとか完食したけど…、おいしゅうございました、とは言えなかった。  たった2時間のガイド体験会でしたが、人生いままでお勉強したなかで、非常に価値のある、意義のある体験会でした。これからは、視覚障害のかたに出会ったら、勇気を出して「何かお手伝いしましょか?」と声をかけたいと思います。  ◆当日の参加者のアンケート結果から 「見えにくい方の物の見え方を知り、全盲の方でなくても車など大変危険だと思った。」 「声かけを多くして、景色や状況を細かく伝える方が良い事がよくわかった。」 「実際に手に触れる物と頭で考えてる(想像する)ことの違いがよく分かりました。」 「この経験により白杖をもった人がますます目にとまるようになると思います」 「このような体験のできる機会を是非又お願いできたらと思います。」   ●報告の頁(8頁)  ◆「大阪あいねっと」のリーフを府内に配付  当館をはじめ府内の9施設・団体では大阪府眼科医会の後援のもと「大阪あいねっと」を組織し、中途視覚障害の方々に、眼科の受診中にいち早く適切な相談先を見つけて、生きる希望や力を得ていただく取り組みをしています。この度、一般向けの広報リーフレット(写真は表紙)を作成し、大阪府内全市区町村の障害福祉の窓口に送付しました。内容は9施設・団体の簡単な紹介と連絡先です。当館3階にも常備していますので、視覚障害で困っている方々へのご紹介にぜひお使いください。  ◆今年度も国会・学術文献録音図書を受託  当館メディア製作センターでは、今年度も国立国会図書館の学術文献録音図書製作事業(合計500時間、約20タイトル)を受託しました。これは、全国の公共図書館などから依頼のあった学術文献を音訳録音するもので、当館でなければ製作困難な古典や医学書などが多数含まれています。録音ボランティアの皆様には大変なご苦労をかけますが、視覚障害者への公的な情報保障を進めるため、お力添えをお願いいたします。  ◆専門点訳「点訳のてびき」コースに99人  第32回専門点訳講習会「点訳のてびき第4版解説コース」を5月9・10日と29・30日の2回開講したところ、定員をはるかに上回る99人(2回合計)が受講。今年改訂出版された日本点字委員会の「日本点字表記法」と、それに基づいて出版された全視情協の「点訳のてびき第4版」について、日本点字委員会の渡辺昭一会長と当館職員の奥野真里から詳しい解説が行われた後、参加者との間で熱心な質疑応答が交わされました。  あゆみ 【5月】 9日 ボランティア友の会世話人会 9日・29日 専門点訳講習会・点訳のてびき 11日 ICTサロン開講〜ICT利用最前線    オープンデー(館内見学日、9人)    アミ・ドゥ・ブライユ読者交流会(東京) 15日 専門音訳講習会・図表コース開講 16日 音訳V養成講習会(3)開講 18日 専門音訳講習会・古典コース開講 24日 日本ライトハウス理事会・評議員会 31日 わろう座映画会「バースデーカード」  予定 【6月】 4日・7日 専門音訳講習会・小説の読み方 8日 オープンデー(館内見学日、要予約) 13日〜14日 全視情協総会(東京、竹下) 16日 日本ライトハウスチャリティコンサート 20〜21日 全国盲人福祉施設大会(帯広、竹下) 27日〜29日 臨時休業:ボランティア活動・サービス部(3階総務係・4階会議室は開室)  編集後記 97歳の母を見送りました。長い連休のお陰で、毎日家族で見舞って、讃美歌をうたい、旅立ちを看取れたことが慰めでした。母は10数年前から認知症になりました。意志のはっきりした人でしたので、心身が次第に弱っていく姿を見るのはとても辛いことでした。が、人生を力強く生きただけでなく、晩年に自分の弱さを受けとめながら生き抜いた姿も立派だったと思い、改めて母への敬愛の念が募っています(竹)。 ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2019年6月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2019年6月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円