日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2019年3月号   <<表紙イラスト>>  武部はつ子画:一枝に5輪ほど咲いたぼけの花を女の子が見て「ぼけの花、きれいね…!」。そばにいた犬が「ぼけ」を勘違いし「むっ…」となる。「大丈夫、君のことじゃないよ」と犬の頭をなでる女の子。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2頁)   ●ボランティアの頁(3頁)   ●掲示板・別枠(4頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆新年度の音訳講習が4月から開講  2019年度も、当館の点訳・音訳ボランティア養成講習会を開催します。まず開講するのは、音訳講習会の(1)と(2)。対象者は、(1)はこれから音訳ボランティアを志す方で、(2)は基礎的な講習を修了済みの方。いずれも毎週火曜日と水曜日の2コースあり、開講日は4月9日(火)と10日(水)から7月末まで。時間は、(1)は13時から14時50分、(2)は15時から16時50分。受講費用はいずれも7,000円。なお、最終段階の(3)は5月開講予定。詳しくは、録音製作係(電話06-6441-1017)へ要項をご請求ください。  また、点訳ボランティア養成講習会は、今年10月から来年3月まで毎週金曜日開講予定です。  ◆福島県から渡邊寛子先生を招いて講演会  近畿点字研究会では3月20日(水)13時〜16時、当館4階会議室で、福島県立視覚支援学校教諭渡邊寛子さんの講演「学ぶ立場から教える立場へ〜点字で開けた第二の人生」を行います。会員外は資料代一人300円。参加希望者は3月11日までにEメールで「近点研講演会参加申込」と題して、kintenkennews@lighthouse.or.jpまで。  ◆「第4回広がれ!点字」を3月23日(土)開催  当館では、点字を使う児童・生徒の教育環境の改善を目的に、全国の教員を対象にした講演会とワークショップを開催します。関心のある方は点字製作係までお問い合わせください。  ◆「点訳のてびき」と「初めての点訳」改訂出版  日本語点訳の基本テキストである「点訳のてびき」の最新第4版が出版されました。2018年に改訂された「日本点字表記法」と、17年前に発行された第3版の問題点の見直し結果が反映されています。また、これに合わせて入門用テキスト「初めての点訳 第3版」が改訂出版されました。発行は全視情協。「点訳のてびき」は税込1,512円。「初めての点訳」は税込756円。当館 5階サービスフロアなどで販売しています。  ◆3月の休館について  6日(水)=ボランティア交流会と職員会議のため全館休館させていただきます。  21日(木)=祝日のため全館休館となります。  30日(土)、5階サービス部(用具・機器、対面リーディング)は棚卸しのため臨時休室します。    <<センターの頁>>(2頁)   ●先端的なメディアで、有用な資料、楽しい作品を多数製作   一ツ橋綜合財団のご助成と、50人のボランティアのご尽力で  当館では、先進的な視覚障害者等情報提供事業を進めるために、2005年度から公益財団法人一ツ橋綜合財団のご助成を頂戴し、マルチメディアデイジー図書や、シネマ・デイジーをはじめとする音声解説の製作・普及に取り組んでいます。今年度も電子書籍29人、音声解説21人に上るボランティアの皆様のご尽力により、多様なニーズを持った利用者の方々に、有用な資料と楽しい作品を多数お届けすることができて感謝しています。今年度の主な実績と今後の計画をご報告します。(館長 竹下 亘)  ◆アクセシブルな電子図書113点を提供  視覚障害者をはじめ読書に困難のある人に向けたアクセシブルな電子書籍の製作では、職員2人とボランティア29人により、マルチメディアデイジー(以下MMD)の小中学校用教科書11タイトル、児童書・一般書16タイトル、テキストデイジーの実用書54タイトル、個人からのリクエストによるテキストデータ化32タイトルの合計113タイトルを提供しました。  デジタル教科書は、学校教育法の一部改正により、2019年度から小・中・高校等での使用が認められることになりましたが、国費保障がない上、アクセシブルなデータでの提供も保証されていません。そこで、当館など全国23団体で組織する「MMD教科書製作団体」では、文部科学省や教科書発行者との話し合いを重ね、アクセシブルなEPUB(DAISY)教科書の採用と安定的な供給体制の実現を求めているところです。  また、児童書については、当館では当初から子どもたちの就学・就労・生活に役立つ図書を選書していますが、今年度は特に自然災害が頻発する中、子どもたちが自ら身を守る方法を学習できる「地震がおきたら」などをMMD化しました。さらに、少年探偵団や小人の冒険シリーズの継続製作は、多くの子どもたちがワクワクしながら続編を待っています。これらは、サピエ図書館のほか、当館独自のサーバーからのダウンロードサービスを通して、全国の個人や学校、図書館等に無償で配信しています。  ◆シネマ・デイジー11作品と映画会5回を提供  音声解説事業については、当館では2007年度から着手し、現在職員2人(一人は兼務)と21人のボランティアが従事しています。今年度は、音声だけで映画を楽しむことができるシネマ・デイジー11作品を製作し、館内でのバリアフリー映画体験会5回(参加者350人余り)を実施したほか、当法人主催のヘレン・ケラー女史没後50年記念事業で行った朗読劇をはじめ、舞台演劇での音声解説の普及にも取り組みました。  特にシネマ・デイジーの人気は高まる一方です。2014年1月から2018年12月までに製作され、サピエ図書館にアップされた作品は382、その内当館の作品は116を占めますが、そのダウンロード数の累計は57万4,496件に上っています。  ◆HyMe(ハイミー)事業による「音訳教材」の提供を拡大  当館では2015年から「専門音訳」と「電子書籍」技術の統合・発展を目指すHyMe事業を進めていますが、来年度はその一環として、地域の学校や全国の特別支援学校で学ぶ視覚障害生徒への音訳教材の提供を広げる計画です。音訳教材とは、教科書の図・表・写真等、特に視覚的な資料を視覚障害のある生徒が理解できるように音訳したもので、近年、その必要性が高まっています。  製作に当たっては、当館が開発し、今年度改修した「音訳教材データベースシステム」を活用するとともに、全国の専門音訳ボランティアの協力を仰ぎます。ボランティアが音訳した録音データは、インターネットで「音訳教材データベースシステム」に登録され、当館職員がデータを確認した上で公開。利用登録した学校や生徒さんは必要な音訳教材をダウンロードすれば、画像と音声が同期した簡易マルチメディアデイジー教科書として利用できます。  今後も一ツ橋綜合財団のご支援とボランティアの皆様のご協力で、先進的なメディアによる豊かな情報提供を進めていきたいと思います。    <<ボランティアの頁>>(3頁)   ●「児童点字図書製作グループ」が35年の活動に幕   1千点近い児童書、児童雑誌などを点字読者に届けて  1984(昭和59)年の発足以来、情報文化センターを拠点に、自主活動グループとして継続してきました「児童点字図書製作グループ」(児点図)を、このたび閉会することに致しました。活動期間35年という長い間、主に児童書を中心に点訳書製作に関わっていくことが出来たことを、会員一同感謝しております。  「児点図」は、旧盲人情報文化センター点訳ボランティアの本田作江さんが指導された大阪市主催の婦人会館と、朝日新聞カルチャーセンターの点訳講習会を修了した有志が点訳活動を続けるために結成されました。  その活動を振り返ってみると、点字板と点筆による“手打ち”から始まり、点字タイプライター(ライトブレイラー)による点訳、さらにはパソコンによる点字入力という、点訳機器の変遷をたどってきたように思います。  点字板による手打ちの時代には、打ち間違いのために修正が必要となり、その結果、行ずれが生じ、何枚も打ち直すこともありました。また打ち直したものをさらに打ち直すこともあり、その時の苦い経験は今でもよく話題に上ります。  点訳書は、児童書を中心に、古谷(ふるや)豊子さんの発案で児童雑誌の『クレソン』や『JR時刻表』(一部抜粋)など定期出版のものも手がけました。当初からの記録をみると、児童書の製作数は800タイトル以上にもなっています。  製本も当初は1冊1冊手作りで、「手に取ってみて温かみを感じるものを」「出来れば内容が想像できるようなものを」との思いから、表紙に布地を貼り、アップリケや刺繍、レース編みなどを施し、製本担当者の思いのこもった本も作成していました。この時に製作した点訳書は現在、別館(アルテビル)の書庫に一部置いていただき、今なお貸し出されています。(この製本作業は、パソコン点訳への移行に伴って、残念ながら、終了することとなりました。)  会員数は、もっとも多い時で40名以上を数えましたが、現在の在籍会員は11名となりました。  写真:児点図の現会員:前列左から上野たき子、平井孝子、七條スヱ子、大城文恵、片山敏子、平田信子、後列左から勢喜陽子、中澤和代、三井幸子、若林安也子、三井順世の皆さん。  私たちは、「多くの児童書に接することが出来た」「辞書を調べることが苦にならず、知識が増えた」「点訳を通して、多くの方々と知り合えた」等、点訳活動を続けてきたことで、貴重で大切なものをたくさん得ることが出来ました。  そして、児点図が作成した本が「サピエ図書館」を通して多くの方々に利用していただいていることを思うと感慨深く、「長らく続けてきて良かった!」と思っています。  けれども、35年間という長い期間が経過し、会員も高齢となり、少しずつ点訳にも支障が出てくるようになりました。心から点訳の好きな者の集まりで、まだまだ続けていきたい気持ちはありますが、責任のある作業でもあることを考え、このたびの閉会を決意いたしました。  ここまで長期間活動を続けてこられたのは、情報文化センターの多くの方々が見守っていてくださったこと、そして、特に点字製作係の皆様に色々な面でご配慮、お力添えを頂いたことによるものと心から感謝しております。  多くの方々から頂いたご厚意に感謝して閉会できることを、会員一同幸せに思います。  今後の日本ライトハウス情報文化センターのますますのご発展とご活躍を祈念いたします。本当にありがとうございました。(若林安也子)   ●掲示板・別枠(4頁)  ◆ボランティア保険をご活用ください  当館のボランティアの方は、館の責任でボランティア保険に加入しています。年度初め(3月中旬)と毎月中旬更新しています。館内はもちろん、ご自宅と当館との往復途上でけがをされた場合も保障の対象になります。万一けがをされた場合は、所属係か3階総務係まで遠慮なくご連絡ください。また所属の社協や図書館で掛けておられる場合は、当館で掛ける必要はありませんが、不安な場合はご相談ください。   ●報告の頁(8頁)  ◆当館エントランスの内外壁を補修  当館玄関の内外壁は緑色のパネルで覆われていますが、パネルのつなぎ目のパテが溶け出し、ふれると汚れる危険が生じましたので、パテの詰め替え工事を行いました(写真下左)。当館ビルも新築から早や10年を迎え、そろそろ不具合が出てくる時期になりました。ビル設備の不備等でお気づきの点があれば、総務係にお伝えください。  ◆肥後橋交差点横断歩道の改修が進行中  当館前の肥後橋交差点は、利用者と地元議員のお力添えで、数年前から音響信号機やエスコートゾーン(横断歩道上に幅40cmの点状タイルを貼って、視覚障害者の方を安全に誘導する鋪装)の整備が進んでいます。昨年12月、肥後橋交差点南側・東西の横断歩道にエスコートゾーン(写真下右)が新設されたのをはじめ、1月には交差点西側・南北の横断歩道の音響信号機が付け替えられました。ただし、東西のエスコートゾーンは四ツ橋筋の道路改修のため再度工事が予定されています。また、南北のエスコートゾーンはボロボロ剥がれており、貼り替えを要望しているところです。  写真左:パテ詰め替え工事後の1階エレベーター付近。  写真右:横断歩道に沿って点字ブロックのような点状タイルが敷かれている。色は黄色ではなく横断歩道に似せている。  ◆総務係の松井友美恵職員が退職  3階総務係の松井友美恵職員が2月10日付で退職しました。松井職員は接客の一番手で、庶務やボランティア関係事務の主担当でした。後任の職員は4月から勤務予定のため、しばらく行き届かないこともあると思いますが、どうかご了承ください。  【お詫び】前号「専門点訳・音訳講習会」の記事中、専門音訳グループの一覧から「古典チーム」が洩れていました。お詫びいたします。改めて、現在活動中の専門グループは点訳=グループONE(英語等)、グループα(理数)、アンダンテ(楽譜)、グループ東医(東洋医学)。音訳=英語チーム、理数チーム、東洋医学チーム、パソコンチーム、古典チーム、ボイスぷらす(音声解説)等となります。  あゆみ 【2月】 16日 オープンデー(館内見学日、5人) 22日 わろう座映画体験会「釣りバカ日誌16」  予定 【3月】 5日 ブータン・ヨンテンさん研修(〜23日) 5日 ボランティア世話人会 6日 ボランティア交流会(玉水記念館、全館休館)、職員会議 8日、9日 点訳・音訳体験オープンデー 14日 対面リーディング基礎講習会 23日 第4回広がれ!点字(講演会とワークショップ) 30日 5階サービスフロア臨時休室(棚卸し) 編集後記 私達夫婦の子どもは二人ですが、今年20回目を迎えるダスキン研修を担当したお陰で、アジア各国に「お父さんお母さん」と慕ってくれる“子ども達”が増えました。今は彼らの再訪を楽しみに待っているだけですが、いつか彼らを訪ねて各国を旅したいと夢見ています。(竹) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2019年3月号  発行 社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2019年3月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円