日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2019年2月号   <<表紙イラスト>>  武部はつ子画:汗びっしょりでスキーする女の子。雪山を下って尻もちをつき、「なんですべれないの…!?」。犬も一緒に雪まみれで落ちてきて、「ポチだるま…」。白うさぎとキツネがその様子を覗いて「♪〜」とおもしろがっている。   <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2頁)   ●利用者の頁(3頁)   ●掲示板・別枠(4頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆3月6日(水)は落語と交流で楽しい1日を  今年の「ボランティア交流会」は3月6日(水)、玉水記念館で開催します。年に一度、当館のボランティアの皆さんと職員が顔を合わせ、親しく交流する催しです。今年は、新しい盲導犬をパートナーに迎えたばかりの上方落語家桂文太さんを迎え、落語とトークを楽しみます。また、今回は特に多くのボランティアの皆様に感謝状をお贈りしますので、ぜひご一緒にお祝いください。友の会総会、美味しいお弁当を囲んでの歓談、お買い得品満載のバザーなど盛り沢山。当日は全館休館となります。お申込みは各係か3階総務係までどうぞ。「友の会」の活動費となるバザー物品のご提供もお願いいたします。  日時 3月6日(水)午前10時〜午後3時頃  会場 玉水記念館(肥後橋駅8番出口すぐ)  会費 1,000円(お弁当代)  ◆「ボランティア世話人会」交代のお願い  ボランティア友の会では、2年単位で、各係のボランティア10人の方に「世話人」になっていただき、2ヶ月(奇数月)に1回、「世話人会」を開催しています。当館とボランティアの皆さんとの情報・意見交換を行うとともに、ボランティア交流会、施設見学会など友の会の主催行事を担当していただいています。経験された方は異口同音に、「最初は不安だったけど、色々なことを初めて知れて良かった」と言われます。来年度は6人が交代になります。職員からお声かけした際は、ぜひご協力をお願いいたします。  ◆今年も点訳・音訳体験オープンデーを開催  一人でも多くの方々に点訳・音訳に関心を持っていただき、ボランティア参加者を募るために、「点訳・音訳体験オープンデー」を開催します。当館の活動を知っていただくだけでも結構です。ぜひお知り合いの方にご案内ください。  日時 3月8日(金)・9日(土)、各日11時・12時30分・14時から開始(30分単位で途中参加も可)。各回90分〜120分。  場所 当館4階会議室(その後、全館を巡回)  どなたでも歓迎。申込不要。直接ご来場ください。詳しくは当館総務係(電話06-6441-0015)。  ◆ブータンの青年ヨンテンさんが研修に来館  本誌4頁の記事をぜひお読みください。    <<センターの頁>>(2頁)   ●専門点訳・音訳技術の向上と普及を目指して   毎日新聞大阪社会事業団の第31回専門講習会が終了  毎日新聞大阪社会事業団と当館の共催で毎年行っている専門点訳・音訳講習会の2018年度第31回が終了しました。この講習会は1987年度に開講。過去31回・合計111コースを実施し、受講者の合計は1,962人に達しました。点訳・音訳のボランティア活動については、国がその重要性を認め、2019年度から点訳・音訳ボランティア活動を振興する予算が組まれますが、そこで求められるのは専門的な点訳・音訳技術の向上と普及です。この講習会の修了者の力が点字・録音図書に活かされ、その技術が伝播し、全国に広まることを期待したいと思います。(館長 竹下 亘)  ◆今年度は教科書・教材点訳など4コースを実施  第31回となる2018年度は、以下のような講習会を行い、合計76人の方が修了されました。  ・専門点訳「英語」コース(全8回、受講22人)=英語点字の国際的な新規則であるUEBの実践的な利用と普及を目指す。  ・専門点訳「教科書・教材」実践コース(全5日8回、受講実人数32人)=一般校の視覚障害生徒に質の高い教科書・教材の製作提供が求められる中、理科、社会、国語、英語、算数・数学、音楽・美術の各教科について、点訳者の質問を基に実践的な点訳のノウハウを講習。  ・専門音訳「英語」コース(全7回、受講11人)=英語・英文を交えた専門書の音訳ニーズが高まる中、その音訳技法を基礎から講習。  ・専門音訳「東洋医学」コース(全7回、受講11人)=視覚障害者の東洋医学の学習と治療活動を支える音訳活動を行うための知識を講習。  受講者は当館を含め、近畿各地の点字図書館やグループで点訳・音訳に打ち込んでいる方々で、皆さん、非常に熱心に受講されました。  ◆多数の専門グループが点訳・音訳に活躍中  この専門講習会は、1987年秋、点字教科書・教材の入手に苦労していた視覚障害大学生を支援する点訳者の養成を主目的に始まりました。第1回から3回目までは「専門点訳」のみの講習会で外国語、理数、楽譜、数学コース、後には東洋医学などが行われました。1991年の第4回から「専門音訳」が加わり、英語と図表を皮切りに理数、東洋医学、パソコンコースなどが開講。修了者は所属する施設やグループで活躍されるほか、修了者による専門グループを作り、当館で勉強会を続けながら、専門点訳・音訳のリクエストにも応えてくださいました。  現在も活動している専門グループは、点訳では、グループONE(英語等)、グループα(理数)、アンダンテ(楽譜)、グループ東医(東洋医学)。音訳では、英語チーム、理数チーム、パソコンチーム、東洋医学チーム、ボイスぷらす(音声解説)があります。この他、専門講習を母胎にしたグループ活動や勉強会もあり、研鑽を積みながら専門点訳・音訳活動を展開しています。  ◆専門講習会の全国への波及に向けて  近年、残念ながら全国的に点訳・音訳講習会の応募者、修了者、そして継続的な活動者が漸減傾向にあります。一方、視覚障害者の方々の読書ニーズは多様化し、通常の技術では製作できない専門資料の点訳・音訳の必要性も高まっています。当館では、全国に類のないこの専門講習会をモデルに、今後、全国各地で専門点訳・音訳講習会が開催され、熟練の点訳・音訳者が増えるように働きかけていきたいと思います。  ◆過去31回の開講コースと受講者数  <専門点訳>  外国語コース:8回 137人  理・数コース:10回 110人  楽譜コース:8回 104人  触図・触知コース:9回 147人  教科書コース:2回 94人  東洋医学コース:3回 41人  試験コース:2回 43人  古典コース:2回 31人  パソコンコース:1回 12人  合計:45回 719人  <専門音訳>  理数コース:4回 52人  英語コース:8回 99人  東洋医学コース:9回 138人  図表コース:8回 165人  パソコンコース:7回 100人  古典・文学コース:5回 98人  音声表現コース:4回 200人  音声解説コース:5回 130人  その他コース:16回 261人  合計:66回 1243人    <<利用者の頁>>(3頁)   ●「点字付きかるた」の楽しみを全国に広げるために   「大阪点字付きかるたを楽しむ会」代表 兵藤美奈子  私たち「大阪点字付きかるたを楽しむ会」は、一昨年の11月から2か月に1度、奇数月の土曜日に情報文化センター4階の会議室で活動しています。全盲の子どもさんから年齢の高い方まで幅広い人たちが集まって、百人一首かるたを楽しんでいます。その様子は昨年、ラジオ大阪の「話の目薬ミュージックソン」という番組でも紹介していただきました。会の名称に「大阪」と入れたのは、同じような活動が全国各地に広がっていけばとの願いを込めてです。  実は2020年、オリンピック・パラリンピック東京大会の協賛イベントに合わせて、「バリアフリーかるた競技大会(仮称)」(一般社団法人全日本かるた協会主催)の開催が予定されており、そこで点字付きかるたが使用されます。この大会に向けて、全国各地で機運が高まり、多くの視覚障害者が参加し、盛り上がっていけると面白いだろうなと思っています。  つい最近まで、点字の付いた百人一首は市販されておらず、手作りのものを使用するほかありませんでした。このため、小さい頃から視覚障害者だった方からは、「これまでほとんど百人一首に触れたことがなかった」という声も聞かれます。また、点字を習い始めたばかりの中途視覚障害の方も参加してくださり、「点字がスラスラ読めなくても楽しめた」との感想をいただいています。  毎回の活動では、次のような方法で百人一首かるたを楽しんでいます。  @「坊主めくり」=京都ライトハウスが製作・販売している「お坊さんめくり」を使用します。姫は「メ」、お坊さんは「コタ」、殿様は棒1本と、点字が付いた札を使います。点字が不慣れな方も親しみやすく、目をつぶった晴眼者が全盲の人に「これ何?」と尋ねる場面も。  A「四人一首」=二人が対面し、正方形の台の四隅に1枚ずつ、計4枚の札を置き、取り合います。最後の1枚がなくなったら別の1枚を補充し、計10枚で対戦します。「Aさんの手前の窓際は○○の札」「Bさんの手前の廊下側は××」と場所を覚え、記憶と瞬発力勝負の対戦が繰り広げられます。「春すぎて…」の「春」、「瀬をはやみ…」の「せ」を聞いた瞬間に手が動くスピード感は迫力満点です。  写真:「かるたを楽しむ会」の活動風景。机の上に広げられたカルタを老若男女が触読している。  B10枚×2セットの札を用意し、2020年のかるた大会と同じ形式で行うプレー=二人が対面し、10枚ずつの同じ札をそれぞれの目の前の台の上に並べます。読み上げられた札を持ち上げ、早く審判に見せた方が勝ちです。審判に見せるまでは手持ちの札なので、ロービジョンの方は目に札を近づけて確認することもOKです。  C100枚並べた札を取り合う遊び=時間はかかりますが、子どもには大人気で、こちらも盛り上がります!  視覚障害者が楽しめる余暇の過ごし方はまだまだ少ないと感じています。点字付きかるた普及の取り組みが視覚障害者の楽しみの幅を広げ、楽しく点字を学ぶきっかけにもなればいいなあと思っています。この記事を読まれた方はもちろん、近くに関心のありそうな方がおられましたら、私たちの会のことをぜひご紹介ください。  次回の開催は以下の通りです。  日時 3月9日(土)13時30分〜16時30分  場所 情報文化センター4階会議室3  問い合わせ先   兵藤美奈子 putti-castle205@key.ocn.ne.jp   野々村好三 090-3841-9107  なお、記事中@とBで使う百人一首かるたは、京都ライトハウス情報製作センター(電話075-462-4446)で購入することができます。   ●掲示板・別枠(4頁)  ◆ミャンマー、ベトナム、ブータンからダスキン研修生が次々に来館  当館では、ダスキン愛の輪基金の「アジア太平洋障害者リーダー育成事業」に協力し、毎年、視覚障害の青年の研修を行っています。これは2000年から始まり、今年で20回目。当館が迎えた研修生は19ヶ国28人になりましたが、昨年末から研修生(修了生)の来館が相次いでいます。  12月15日、18年ぶりに来館したのは、第1期、ミャンマーのメイ・カン・チット・キンさん。彼女は日本で結婚し、二人の子どもを産み育てた後、母国に戻り、日本のNPOジャパンハートのヤンゴン事務所の責任者をしています。今回は現地職員の日本研修の同行・通訳のために来日。「次はミャンマーの視覚障害者を連れてきて、最先端の情報提供サービスを見学させたい」と帰って行きました。  続いて1月25日に来館したのは第13期、ベトナムのダオ・トゥ・フオンさん。彼女は2012年の帰国後、ハノイで読書障害の学生を対象にマルチメディアデイジー教科書を製作するNPO「Lift You Up」を設立。今回は東京で開催されるダスキン修了者らのセミナーに招待されたものですが、当館に立ち寄るため、関空経由で来日し、7年前に交流した職員やボランティアとの再会を喜んでいました。  そして、今年第20期生として、3月5日から研修に来館するのがブータンのヨンテン・ジャムツォさん(27歳、男性、進行性の弱視)です。  ブータンはネパールの東、北を中国(ヒマラヤ山脈)、南をインドに挟まれた国で、九州ほどの面積に約70万人が暮らしています。  ヨンテンさんは同国初の研修生。進行性の弱視で、盲学校を卒業後、首都ティンプーで障害者団体のスタッフをしています。非常にまじめで、敬虔な仏教徒でもあり、今回の研修では、視覚障害に関するあらゆる情報を収集し、帰国後は、同国初の視覚障害者団体を作りたいと意欲を燃やしています。3月6日のボランティア交流会にも参加予定ですので、館内で出会ったら、ぜひお声をかけてください。  写真:ブータンの正装で寺社参拝するヨンテンさん   ●報告の頁(10頁)  ◆小林幸一郎氏が片岡好亀賞を受賞  昨年10月号で紹介したNPO法人モンキーマジック代表理事の小林幸一郎氏が、名古屋ライトハウスの創設者を記念した愛盲報恩会・第13回片岡好亀賞を受賞されました。  当館とも関わりが長く、推薦者は公私ともにお付き合いのある林田職員で、授賞式にも同席しました。小林さんは大学卒業後、28歳の時に網膜色素変性症を発症。大きな衝撃を受けましたが、ロービジョンクリニックに出会い、高校時代から続けてきたクライミングを活かしてモンキーマジックを設立。数々の大会で優勝しながら、障害者向けクライミングの活動を展開されており、今後のさらなる活躍が期待されています。  ◆ボランティア友の会世話人会報告  1月10日(木)10:00〜11:30  出席者:小倉、高階、橋本、雪岡、増尾、川添、小泉、三原、小林(館から竹下、林田、松井)  <館からの報告>  ・「マラケシュ条約」発効と図書貸出利用  規約について  <協議事項>  ・来年度の世話人交替について  ・ボランティア友の会交流会、総会について  <次回>3月5日(火)10:00〜  【訂正】前号3頁「ベストセラーのサピエ製作状況と完成予定期間」で、以下の太字2ヵ所が誤っていましたので、訂正します。  ◆2018年7月のベストセラー「単行本・ビジネス」  順位1 1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365 出版年月18/5 点訳は製作済みで原本発行から1ヶ月で完成、録音は製作中で完成予定は原本発行から12ヶ月後。  順位10 大富豪からの手紙 出版年月18/3 録音は製作中で完成予定は原本発行から6ヶ月後。  あゆみ 【1月】 7日 仕事始め 8日 ボランティア活動・サービス再開 10日 ボランティア世話人会 19日 見学:きららの会    オープンデー(館内見学日、3人) 24日 見学:大阪医専視能訓練士課程    見学:厚生労働省障害保健福祉部長 30日 全視情協・点字担当職員研修会(〜31日、東京、奥野、松本) 31日 わろう座映画体験会「美女と野獣」  予定 【2月】 16日 オープンデー(館内見学日、要予約) 22日 わろう座映画体験会「釣りバカ日誌16」 【3月】 6日 ボランティア交流会(玉水記念館、全館休館)、職員会議 8日、9日 点訳・音訳体験オープンデー  編集後記 左記に掲載されている授賞式後に視覚障害の方とのクライミング交流イベントにも小林さんと参加してきました。楽しく登っている小林さんを見ていると『知好楽』という言葉が浮かびました。「これを知っているだけでは、愛好する人には及ばない、これを楽しんでいる人にはさらに及ばない。」論語の一節です。何事にも一生懸命だけど、常に楽しんでいる姿は見習いたいです。おめでとうございます。(茂) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2019年2月号  発行 社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2019年2月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円